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June 29, 2007

天国への階段式ピラミッド メル・ギブソン 『アポカリプト』

20070629173130やあみんな! ぼくはジャガー・パウ! アウトドア大好きの、古代マヤ系ナイスボーイさ!
ある日ぼくの村は野蛮な都会人たちに襲われて、村人のほとんどはピラミッドがそびえたつ大都会に売っ払われてしまった。そこでぼくたちがなにをさせられるのかと思ったら、なんと神様への捧げモノにされるって言うじゃん! シャレになんねー! と、言ってるそばから仲間がマグロみたいにさばかれちゃってるし。ひょえー!!
でもぼくは絶対死なないもんね! いとしのハニーとまたイチャイチャするまで、なにがなんでも生き延びてやるっつーの!!

・・・本編はもうすこし深刻なお話です。
メル・ギブソンってよくわかんない御仁です。『マッドマックス』でアクション俳優としてデビューし、『ブレイブハート』あたりで「演技も監督もできるんだぜ!」ということを証明。その後『パッション』でキリストの最後を衝撃的に描き、「信心深い人なんだなー」と思ったら、今度は飲酒運転&差別発言で世界中からひんしゅくを浴び・・・
そしてこの度の『アポカリプト』では、全編古代マヤ語を用いてマヤ文明を題材にした映画を作るというんだから。一見ナニがやりたいのか「てんでバラバラ」という印象を受けます。
ですが、彼のフィルモグラフィーを見ていたら、なんとなく浮かびあがってきたものがありました。メルさんが演じる役柄ってえのは、大体において家族の死がトラウマになったり、戦いの動機になったりする場合が多い。彼にとって家族とは、かくも大きな存在であるということなのでしょう(じゃあ殺すなyo!)

『アポカリプト』ではメルギブが主演を兼ねているわけではありませんが、主人公の妻子はまだ生きています。よかった! だけど自分が超死にそう!
「君は 生き延びることができるか?」


さて、先にも述べましたように、この映画は古代マヤを主なモチーフとしております。外国人だろうと宇宙人だろうと英語をしゃべっているハリウッドムービーの中で、あえて古代マヤ語を用いているくらいですから、さぞや忠実に歴史考証しているのかと思いきや・・・ これがまあ、なんつーかかなり大胆なアレンジがなされてまして。マヤ文明というよりか、マヤ・インカ・アステカRemixという感じになってました。その方面に詳しい人が見ましたら、きっと頭抱えちゃうと思います。
ちなみに記者会見でそのことをつっこまれたメルギブは、「帰れこの野郎!」と吼えられたとのこと。 ・・・いいね、その態度! オトナとしては間違ってるが、オトコとしては間違ってないぞ!(正しくもないが!)

しかしその辺のトンデモに目をつぶりさえすれば、かなりいけてるアクションムービーになっておりました。
正直に申しますと、今年一番のめりこんで見た映画。後半はもうずっと「アアッ!」「ポカ-リ」と口を開きっぱなしで画面に見入っておりました。
ちょっと息継ぎをしただけでも死にかねない状況で、血をだらだらと垂れ流しながら疾走するジャガー・パウ。その姿は、「生きる」ことに無気力になりがちな我ら現代人に、それがいかに貴重なものであるかを教えてくれます。
そう、先の『300』が美しく散るための戦いを描いた作品だとするなら、こちらは「是が非でも生き延びる!」戦いを描いた作品。
ピンチに次ぐピンチを、ジャガー君は根性と機転とラッキーでどうにかクリアしていきます。普通なら50回くらいは死んでるはずなんですが、どうやら彼には強い神のご加護があるようで。この辺にメルギブの信心深さが見え隠れしておりますね。

古代マヤというと、「人々がある日突然消えうせた」みたいな伝説で知られています。映画でもその理由が幾つか示唆されていましたが、先日レビューした『蟻の革命』という小説にはこんな説が載せられていました。なんでも古代マヤの人々は恐ろしいまでの計画主義者で、うっかり滅亡の予定まで書いてしまったため、その日時がやってきた時、「仕方ねっか」と自ら滅んだとか。これまたトンデモ大爆笑なお話ですが、現代の日本人はあんまり笑えないかもしれませんね。

20070629173146この映画、もっと大々的にやるのかと思っていたら、意外に上映館少ないみたいです。みんな中南米に冷たくないですか? その一方で近々東京上野で「マヤ・インカ・アステカ文明展」も開催されるそうで。
映画を観てマヤに興味を持たれた方は、ぜひ足を運んで遅いツッコミをいれてみてください。


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June 27, 2007

適当掲示板49&記事500件突破記念&成り立ちが知りたいバトン

数少ない閲覧者のみなさま。SGA屋伍一でごぜえます。いつもありがとうございます。

先日の「平成ライダーの六年間を振り返る 響鬼編①」を持ちまして、当ブログの記事も500件に達しました。よくもまあ、こんだけくだらない文章書き連ねたもんだわ(笑) でもまあ飽きっぽい自分にしては、なかなかがんばったんでないの? とも思います。

折りよくみずぐきまり様から「成り立ちが知りたいバトン」なるものを頂いたので、さっそくトライしてみましょうか

■名前を教えて下さい。(フリガナも付けて)

SGA屋伍一(すがや ごいち)と申します

■名前の由来を教えて下さい。

本名を普通にもじっただけです。元の苗字は千葉県に多いんだとか

■今の名前は何代目ですか?

ブログ始める前は「SGA851」を名乗っていたので、二代目かなあ。だいぶ人間らしい名前になった

■サイト名(ブログが主の人はブログで)を教えて下さい。(フリガナも付けて)

SGA屋物語紹介所(すがやものがたりしょうかいじょ)です

■サイト(ブログ)名の由来は?

映画、小説、マンガ・・・・など、媒体の枠を越えて、好きな「お話」・作家について、自分流に語れればなあと

■サイト(ブログ)を開設してどのくらい経ちますか?

もう二年半になります・・・(遠い目)

■そのサイト(ブログ)は何代目ですか?

初代です。 支店としてやっぱしくだらない日常の日記があります
http://d.hatena.ne.jp/sga851/ 

■初めてできたオン友は?

「興味と妄想」(http://masamunet.seesaa.net/)
「どうにもこうにも」(http://d.hatena.ne.jp/t_masamune/)の高野正宗さまと
「風雲児たち長屋」(http://www.fuunji.net/)常連の秦太さま・・・かな
上記の「長屋」で『新撰組!』の感想書いてる時から仲良くさせてもらってます

■自分が一番仲がいいと思ってるオン友は?

上記の高野様、秦太さま、あと「C note」(http://kenko-note.cocolog-nifty.com/blog/)のkenkoさま
わたしはそう思ってますが、向うさんも同じように思ってくれてるかどうかは(笑)

■相互リンクはして貰ってますか?

『興味と妄想』の方にだけ。ありがとうございます

■相互とブクマ、どちらが多いですか?

相互がほとんどですかね。こっちが一方的にリンクしてるお宅も多いです

■因みにこのバトンを回してくれた人とは相伍リンクしてますか?

はい。お世話になってます

■このバトンを、成り立ちが知りたい1~10人の方に回して下さい。
(アンカーは無しです。必ず誰かに回して下さい。)

モン吉さん。シル助くん。パン太くん。ニャン太くん。ナスカくん。
モモタロス。ウラタロス。キンタロス。リュウタロス。デネブさん。

よろしくメカドッグ!

がんばって答えてみましたが、予想通りつまらん回答になってしまいました。みずぐきさんスイマセン

そこで今回はもう一つ企画考えてみました。
日ごろお世話になってる、特別ありがたい方、特に尊敬している方々のイメージイラストを勝手に書かせていただきました。恩を仇で返すとはこのことだっ!!
実物を参考にしたものもあり、完全なる空想図もあり。あくまで「イメージ」ということでお見逃しください・・・ 

20070627171705上にも書いた「興味と妄想」(http://masamunet.seesaa.net/)
「どうにもこうにも」(http://d.hatena.ne.jp/t_masamune/)の高野正宗さま
「ひえ~」と悲鳴をあげてしまうほど、驚異的な読書量を誇るお方です
ブログ立ち上げ前からお世話になってる上、mixiまで紹介していただいて本当に頭が上がりません

20070627171720当ブログの自然科学分野顧問、秦太さま。
まさに「博覧強記」を地で行かれる方。特にムシとキノコに関して
ご多忙なのにここだけじゃなく、はてな日記の方でもマメに解説コメントを入れてくださり、まことにありがたい半面、申し訳なかったりもします。
いまもどこかの空の下でムシさんを追いかけてらっしゃるのでしょうか。お体にはくれぐれも気をつけて。

20070627171736「まさとし@京阪電車工房」(http://blog.so-net.ne.jp/gami3055)管理人のまさとし様
・・・ってなんでこの画像なんだ(笑)
京阪電車に情熱を燃やす熱い男。
当ブログのしょうもない落書きコーナー「パン太くん」シリーズを応援してくれてる、たぶん世界で唯一の御仁でもあります。
最近全然そっちにコメントいれてなくてすいません・・・・ でもマメにうかがってはおりますよー

20070627171755「まんがパイプマシン」(http://www.h6.dion.ne.jp/~kani2205/)管理人のかに様
・・・・さすがにこれは怒られるだろうか。すいませんすいませんすいません゜(゜´Д`゜)゜
手塚治虫をはじめとする、骨のあるマンガ作品をこよなく愛し、ご自身も明朗快活少年SFマンガ『パイプマシン』を執筆中。
て言うか、続きはまだなんでしょうか(あわわ)

20070627171831そしてバトンを回してくださった「妄風日記」(http://moufudiary.blog24.fc2.com/)管理人のみずぐきまりさま。
まだお若いのに山田風太郎の大ファンという奇特な方。その愛情は、専門ブログをたちあげてしまうほど。『ナルト』や『おおきく振りかぶって』などもお好きなようです。
「美麗」という言葉がぴったりくるような、素晴らしいイラストを描かれる方でもあられます。

20070425180859こちらははてなダイアリー「コールスロー」(http://d.hatena.ne.jp/Akimbo/)管理人のAkimboさま。
mixiからの再掲で申し訳ありません・・・・
都会の矛盾点を鋭く見抜く観察眼と、童子のごとき茶目っ気を併せ持つお方。
この方も大変な読書家ですが、わたしと違って難しそ~な本の方がメインのようです。『のだめカンタービレ』もお好きだそうですが。

20070627171900去年の秋くらいから親しくさせてもらってる、広島の「素敵な奥さん」、kenkoさま。上にも書きましたが、ブログ「C note」(http://kenko-note.cocolog-nifty.com/blog/)の管理人さん。
可愛らしいニャンコたんと、おどろおどろしいモンスターが大好きという、ちょっとミステリアスなお方(笑)。
ちまちまいじいじと映画レビュー書いてたわたしを、広い世界に導いてくださった恩人でもあります。

20070627171921トリを飾りますのは、カリスマ映画ブログ「カリスマ映画論」(http://blog.livedoor.jp/clockworkorenge/)管理人の睦月さま。
こちらにはいつもすんごい量のコメントが来てるんですが、その一つ一つに本当に丁寧に対応されてる見上げたお方。
描いてて気づいたんですが、睦月さま、なんかうちのねーちゃんとどっか似てるんですわ(爆)
・・・・えーと、こちらもすいません・・・・


20061223204155_1「一年でやめる」とか言ってたはずなのに、みなさんに構っていただけるのがうれしゅうて、いつの間にやら二年半。醜く生き恥をさらし続けておりますです。さしずめゾンビブログとでも申しましょうか。
これからもいつ消えるかわからない風前のともし火のようなブログではございますが(ウルフ、カモン!)、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。


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June 25, 2007

動かすチカラだ ベルナール・ウェルベル 『蟻の革命』

20070625194215人間の物語と蟻の物語が同時進行し、やがてシンクロするフランス発のヘンテコ小説『蟻』三部作の完結編。
第一部『蟻』のレビューはこちら
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2006/09/post_b115.html
第二部『蟻の時代』はこちら
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2006/11/post_3df1.html

19歳の多感な少女、ジュリー・パンソンは父が管理している森を散策中、不思議な一冊の本を見つける。それはフォンテーヌブローの一連の奇怪な事件に関っていた、『相対的かつ絶対的知の百科事典』の第三巻だった。

一方ジュリーの父ガストンは、同じ森の中で、奇妙な小さいピラミッドを発見する。一体それは、誰がどんな目的で作ったものなのか?

そして幾多の冒険を経た勇敢な働きアリ、103号。彼女は人間たちから得た情報を利用して、アリの社会に新世界をもたらそうと計画していた。しかし悲しいかな、働きアリである彼女の寿命はもう残り少ない。果たして103号の望みはかなえられるのか。

この三つの話が平行して語られていき、やがて一本のストーリーに収束していきます。


この作品(角川文庫)が日本で出たのも、もう4年前。てっきり二部で終っていたと思っていた『蟻』シリーズに第三部があったとは驚きでした。紹介文を読むと「痛恨の刊行中止事件」とありますが、一体何があったのでしょう。たぶん版元が潰れたとかその辺の事情だと思われますが。

それはともかくこの完結編、1部、2部よりも読むのに時間がかかりました。理由としては①初読だった ②話が本格的に動き出すのが遅い ③1部、2部の合計にも匹敵する大ボリューム ④主人公のジュリーが可愛げがなく、萌え辛く感情移入もしにくい などがあります。しかし中盤のあたりでジュリーが学園のアイドルになるあたりから、以前の勢いが戻ってきた感じがしました。

例によって怪しいウンチクが話の合間合間に多数織り込まれているのですが、今回はムシのそれよりも「社会」にまつわる小話が多かったような気がします。タイトルにあるように、完結編は「革命」がテーマ。
おフランスの方々って、どうも常に「理想の社会」を思い描いているようなところがありますね。そして同時に知識偏重でもある。だから頭ではあれこれ考えるんでしょうけど、実際に実行に移すとなると、どうも及び腰になってしまうようです。
しかしジュリーには「若さ」という力があり、103号には旺盛な探究心があります。一人と一匹は自分の理想を実現させようと、困難や失敗にもめげず、悪戦苦闘・試行錯誤を繰り返します。おじさんにさしかかった身としましては、どうも「革命」なるものには冷ややかな思いがあるのですけど、傍でそういうのを見ているのはけっこう楽しかったりして。どうやら自分もイヤーなフランス人にだいぶ近づいてきたようです。

フォンテーヌブローの森に人間の女王と蟻の女王が合間見えたとき、物語は完結編にふさわしい最高潮を迎えます。ついでにぶっとび具合も最高潮に。このトンデモな展開に、あなたはついていけるでしょうか。

20070625194231『蟻の革命』はまだ普通に角川文庫から買えます・・・・が、今調べてみたら、第一部『蟻』のみ品切れになってしまった模様。ああ! もたもたしてる間にこんなことに!
もし店頭か古書店でみかけたら、とりあえず確保しておくことをおすすめします。もしついていけなかったら、その時はすいません!

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June 23, 2007

どっちのマジックショー クリストファー・ノーラン 『プレステージ』

20070620200832_119世紀末ロンドン、アンジャーとボーデンは修行中の若き奇術師。それなりに仲よくやっていた彼らだったが、ある事件を境にして不倶戴天の間柄となってしまう。時には足を引っ張り、時には芸で出し抜き、次第にエスカレートしていく競争。その果てに待つものとは。

面白かったのは、彼らの仕返しのやり方てえのが、なんでここまでってくらい回りくどいというか、手が込んでるとこ。「正々堂々と闇討ちすりゃいいじゃん」と思ってしまうんですが、その辺が彼らの奇術師としての美意識なんでしょうね。奇術の恨みは奇術で返す!みたいな。まさに奇術師の鏡ではないでしょうか(そうか?)

お話はこうしたデッドヒートと、彼らが得意とするある奇術の謎でもって観客を引っ張ります。自慢するわけじゃないんですけど、わたくしにしては珍しく、お話の半ばくらいで、謎のひとつがわかっちゃいました。しかしそれはわたしが鋭いからってわけじゃなくて、単にその手のミステリーを今までに何冊か読んでいたから。
あと監督、ヒントくれすぎ(笑)。もうちょっと控えめでもよかったと思いますよー。ですからがっかりしたと言うよりか、そのフェアプレイ精神にむしろ感心しました。

20070620200853
ちょっとわかりづらいな、と思ったのはお話の途中で登場人物の一人が「テスラ」というキーワードを目にした途端、急にアメリカへ飛んでいってしまったこと。あとで他のサイトを見てわかったんですが、この時代の人々にとって、テスラというけったいな発明家がいて、アメリカで妙な研究をしているというのは、一般常識だったようです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%A9
いやー、このひと面白いわ。エジソンとの確執とかオカルトに興味があったとか、かなりエキセントリックな方だったようですね。この映画で初めて知りましたが、なんかいかにも映画の主人公になりそうな人物です。ちなみに演じているのはデビッド・ボウイ。言われないとわかんないですね。

先にも述べましたが、全編が「奇術」で彩られていまして、有名な手品のトリックをちょこちょこバラしてくれたりもします。「いいのかなー」と思いつつけっこう楽しみました。某団体から抗議が出そうなネタも一個ありましたが・・・・
人をだますことに、そして拍手を受けることに全てを捧げる彼らマジシャンたち。アンジャーとボーデンも最初はそうだったんでしょうけど、「あいつをぶちのめす」ことが目的となった時から、阿修羅の道を歩むことになります。

原作はクリストファー・プリーストの幻想小説『奇術師』。あらすじを読みますと彼らの子孫が語り手を務めているということで、また映画とは違った味わいがありそうです。
20070620200944日本のスタッフでこれをやるとするなら、やはり主人公を演じるのはMr.マリックとマギー司郎氏でしょうか。

「ハンドパワーです!」
「あなたのやってることはね、ホントにわたしもー、認めませんから♪」

そんな感じでひとつ。

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June 19, 2007

平成ライダーの六年間を振り返る 響鬼編①

20070617200148
もうあらかた騒ぎも収まっているというのに、地雷原を突っ走るようでとっても怖いんですが、当コーナーを始めたきっかけでもありますし、いい加減『響鬼』編に突入したいと思います。

受験を控えた平凡な少年・安達明日夢は、母の郷里である屋久島へ向かう途中、風変わりな一人の男と出会う。「ヒビキ」と名乗ったその男は、実は鬼に姿を変えて、魔化魍なる怪物を退治することを仕事をしていた。ヒビキや彼の属する組織「猛士」との交流を通じ、少年の世界は少しずつ変っていく。

まずわたしの立ち位置を明らかにしておきますと、わたしはこの作品の前半も後半もそれなりに評価しております。それを踏まえていただいた上で、第一回はいわゆる「前半」響鬼の特長について述べてみましょう。

響鬼という作品でまず目につくのは、随所に見られる「和」のテイスト。例えば主人公の響鬼(下画像)ですが、名前の通り基本的には「鬼」を主要なモチーフとしております。また、炎を背負って登場するあたりは不動明王からの、太鼓を武器にするところは雷神からの着想かと思われます(さらに別に、「雷」がモチーフとなっているライダー=鬼もいます)。加えて彼のメイン武器である「音撃棒」。これの先端には口を開いた顔と口を閉じた顔が彫られていて、それぞれ「ア」「ウン」という名が付けられてたりします。体表には「たすき」や「ふんどし」を思わせる装飾もあしらわれていて、まあ「響鬼」一人をとってみただけでも、こんだけの意匠がこめられているわけです。

作品に登場する「鬼」全体の設定にも目を向けてみましょう。「厳しい鍛錬を重ねて鬼となる」という設定は修験道を、そして役小角が鬼を使役したという伝説を思い起こさせます。また、鬼たちが用いるディスクから動物状に変形する小型ロボット「ディスクアニマル」は、陰陽師が用いたという「式神」を彷彿とさせます。
さらに鬼たちが退治する魔化魍。これには「ウブメ」「イッタンモメン」など、よく知られている妖怪の名が付けられていて(形は微妙に異なる)、習性や出る場所、弱点なども細かく設定されています。そしてそれを育てる怪人には、鬼の異名である「童子」という名がつけられていたり・・・
このように『響鬼』は、日本に古来からある伝承や宗教から、様々な材料を取り出し、再構成した作品となっています。深読みしようと思えばいくらでも深読みできる。そんなところが、この手の伝奇ものが好きな方たちには大変ジャストミートだったようです。

もうひとつ『響鬼』の主要な特徴と言えるのは、その独特の語り口。
主人公の片割れである明日夢少年は、ごく日常にあるような様々な問題に遭遇します。受験に不安を覚えたり、盲腸になったり、バイトに慣れなかったり、不良から理不尽な暴力を振るわれたり、など。
普通なら「ちくしょー」とか「なんでだよー」という場面で、少年は何も言いません。ただ、なんともいえない辛そう~な表情をします。
それに対しヒビキさんも具体的に「ああしろ」「こうしろ」とは言いません。ただ「オレならこうするけど」と言って、実際その通りやってみせる。それを見て励まされた少年は、自分も日常の問題を乗り越えていく・・・ そんなスタイルが取られています。
スタッフはこうした形をとることで、「言葉を越えた交流」みたいなものが描きたかったのかもしれません。また、今の時代言動と行動が一致しない大人が多いので、「行いは言葉よりも雄弁である」ということも言いたかったんではないでしょうか。

20060606213344_3次の回では前半を担当した高寺成紀プロデューサーと、後半を担当した白倉伸一郎プロデューサーの作家性の違いについて論じてみたいと思います。

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June 15, 2007

魁!! スパルタ塾! ザック・スナイダー 『300』

20070615183103いまどきバンカラ(死語)な気風で知られる私立スパルタ学園。番格の西田烈王(にしだ れお)は、保健所から脱走してきた狂犬を、竹刀一本で撲殺したという伝説を持ち、周囲から恐れられていた。
ある日スパルタ学園に、ペルシア大学付属連合よりの使者が訪れる。ペルシア連合は身長3メートルの巨人・久世卓(くぜ すぐる)をボスと頂く、全国でも最大規模の番長グループ。その傘下に下るようにという一方的な申し出を、西田は毅然として跳ね除けた。
「こちとら百万からの命知らずを抱えとるんやで~!! そいつを敵に回すたあ、おどれらアホかーっ!!」
「上等じゃ~ ペルシアの~ 男にゃあ、“けじめ”つーもんがあるさけえの~」
学校側の退学処分も意に介さず、西田ら三百人の精鋭は暴走族の聖地「ホット・ロード」へと向かう。そして二千年の長きに渡って語り継がれる、伝説の戦いが幕を開けた。

原作はフランク・ミラーによるコミック。コチラにレビューしてあります。

映画の第一印象は、上のあらすじからもわかるように(ええ!?)、「すごく映像の凝ったヤンキーもの」という感じでした。
ご存知の通り不良のみなさんは、あまり頭がよくありません。はっきり言うと「バカ」です。この『300』はそんなおバカさんたち(天然・体育会系)を、真っ向から描いた作品です。
彼らは頑固で、ケンカっぱやくて、やかましくて、計算が苦手で、はた迷惑で、人の話を聞かず、趣味が甚だ悪い。反面、純粋で、欲がなく、恐れを知らず、仲間思いで、目標を決めたらひたすらそれに向かって突き進みます。
さらに単なるヤンキーと違って、その覚悟や鍛えられ方が半端じゃありません。例えばとても敵いそうにない大軍団を目にして、スパルタの若い兵士はにやけながらこう言います。
「これなら念願の“理想の死”が遂げられそうだ」
まさに「武士道とは死ぬことと見つけたり」じゃあーりませんか。恐らく『子連れ狼』か平田弘史の影響かと思われます(ミラー経由)。
そんな激烈バカが300人もいたら。それはもう、大変なことになってしまいます。大型トラックも機動隊も、気合でことごとく吹っ飛ばされるほどに。その猛威は、ぜひ劇場にてお確かめください。

映像について。今回のコンセプトは「オレ(監督)の絵なんざいらん!! とにかくミラー先生の絵を忠実に描け!」というものだったそうです。その甲斐あってか、実に見事な再現ぶりでした。こういう姿勢、一昨年公開された『シン・シティ』と実によく似ています。その『シン・シティ』についてザク監督は、「悪いが踏み台にさせてもらった」と不遜なことを申しております。これはまあ、「ぼくがフランクを・・・一番上手にコピれるんだ!」という、オタク特有の競争意識なんでしょうね。
もう一つ思い出されるのは、宣伝でも引合いにだされていた『マトリックス』。『マトリックス』が光ったのは、それまで「動いたら動きっぱなし」だったハリウッド・アクションにおいて、「静止画像の美しさ・かっこよさ」を取り入れたからだと、わたしは考えています。
ご存知の通り、マンガというものは基本的に動きません。その代わり、背景や人物のポーズがはっきりとわかります。この『300』でもそうしたコミックの長所が、いかんなく発揮されています。
印象派の画風を思わせる、独特の色彩の背景。スローモーションを多様したアクション。その二つの効果により、こんだけ人がうじゃうじゃ出てくる映画なのに、実に明快なアートを作り出しております。
さらに素早い動きも織り交ぜて、多彩なリズムをも作り出しています。なんとなく「電気紙芝居」という語が、ぴったりくるような作りでした。

20070615183142ザク監督の次回作は、アメコミの最高傑作と噂される『ウォッチメン』。今回のヒットのごほうびに、会社から映画化のOKをもらったそうですが・・・ ははは、この人のオタクっぷり、筋金入りだよ。

『300/スリー・ハンドレッド』は全国で大ヒット公開中。国際抗議がなんぼのもんじゃい!(あわわ)


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June 13, 2007

ニコニコイマジン劇場

20070612124656「オッス!!
オレ、モモタロス!
こんなツラしてっけど
一応『正義の味方』
なんだぜ~!!」
「・・・・・
そうかなあ」


そのいち

20070612125030考えてごらんよ

難しいことじゃない

この世には天国も地獄もない

僕らの上にはただ 広い空があるだけ


20070612125043思い描いてごらんよ

とても簡単なことさ

世界の全てのひとたちが

同じ今日を生きている


20070612125147♪Imagine

all the people

Living

life in peace....


20061017222535A-

歯~

アア


(ジョンの愛に捧げる。捧げちゃう)


そのに

20070612125254「ああーっ!!チクショウ!!

待機中は退屈でしょうがねえ!

なんかやるこたねーのか!」

「仕方ありませんよ。先輩」


20070612125352「だってぼくら、『ヒマジン』ですから
あはは」

「・・・・・
そういう面白すぎるシャレはやめろ(怒)」


次回未定

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June 11, 2007

ウルトラマンサトウ 松本人志 『大日本人』

(注:画像と本文はあまり関係ありません)
20070611120941‐ダウンタウン・・・というか松本人志はお好きですか?

「あまり好きじゃないねえ」

‐そりゃまたなんで?

「あの人、『シネマ坊主』というコラム持ってるでしょ? あれでオレの好きな作品、いろいろこき下ろしてくれたからねえ(笑)。まあ“好みが違う”ってことなんだろうけど、もう少し謙虚に書けないもんかなーと思って。作品の評価も公平じゃないしね。単なる映画好きが好き勝手書いてるだけなんだから、そういうもんなんだろうけど」

‐じゃあなんで彼の映画観に行ったんですか?

「だって内容が“特撮ヒーローもの”って言うんだもん。その筋のファンとしたら興味が湧くのは当たり前じゃん。だったら『スーパージャイアントJ』とか、もっとらしいタイトルにしろよ、とは思ったけどさ」

20070611121019‐どういうあらすじなんですか?

「ええと、普通に自然災害のように、怪獣が現れる世界が舞台でね。電気を浴びて巨大化して、怪獣を倒すのを生業としてる“大佐藤”という家があるわけだ。かつては同業者ももっといて、もてはやされた時代もあったけど、いまはすっかり人気が落ちたのと怪獣が少なくなったので、怪獣退治をするのは主人公一人だけ。映画はドキュメンタリー仕立てで、“大佐藤氏はどういう人間で、どういう日常を送っているのか”をインタビュー形式で表現している。その合間にへんてこりんな怪獣たちとのバトルシーンが挿入されるわけだ」

‐彼はそういう形式をとることで何を伝えたかったんでしょうね?

「現代社会からすればさあ、なんか時代遅れに思えたり、意味あるのかわかんないものってあるじゃん。相撲の取り組みの前のあの長い儀式?とか、特撮ヒ-ローのお約束とか、○○制とか。で、松ちゃんはそういうのをコミカルに描く一方で、すごく愛してると思うんだよね。『意味があるかないかわかんないけど、とりあえず残しておきたいじゃん』って。あと一般的な日本人の気質のあいまいなとことか変なとこを、いろいろ風刺してもいたな」

20070611121305‐じゃあそれなりに中身のある映画なんですね?

「たぶん。でも映画として面白いかというと、それはまた全然別問題で。上に書いたようなことはあとになって思いついたことで、見ている最中はわけがわからず終始ぽかーんとしてた。ああ、久々に大ハズレひいちゃったよー、みたいな(笑)。上のインタビューの部分もとにかく退屈で、うっかり寝そうになったし。普段はどんな映画だって『お金がもったいないから』って必死に起きているオレがだよ!? こんなの劇場版『ファイナルファンジー』(2001公開)以来だよ」

‐怒ってますねえ(笑)

「ただ、小ネタとかでクスクス笑える程度のものはあった。ビデオでみんなで飲みながら、ツッコミいれつつ見たら楽しめるような気もする。今にして思えば。ただ(オレにとっては)高い金払って、映画館で一人で見るのはどうにもツライもんがあったなあ」

‐あえてどこか誉めるとすれば?

「そうねえ、紛れもなく『個性的』な作品であることは確かだね。あと時々出てくるネコが可愛かった」

20070611121407‐それ映画の内容とあんまり関係ないですよ! あと他に思われた点などありますか?

「大佐藤さんがあんなに世間からやっかまれてる理由がよくわかんなかったなあ。たぶん松ちゃんの『オレはみんなから嫌われてる』という思い込みの表われなんだろな。前なんかの記事でそんなこと書いてた」

‐そうですか。最後に何か一言

「松ちゃんよ、これに懲りて、今後はもっと謙虚になろうな!」

‐たぶん変んないと思いますよ。あと、あなたもちょっとえらそうですよ
(2007.6.10 静岡県某所にて収録)

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June 08, 2007

コント山本くんと武田くん⑨ 恋愛相談編  ~大河ドラマ『風林火山』より

武田 「亀梨なんとかです」
山本 「山本カンスケで、GO! YEAH!!っす」
武田 「ふう~~~う~~~」
山本 「あら? どうしたんでごいすか、殿。わざとらしいため息なんかついちゃって」
武田 「いやー、実はあの由布のヤツにぞっこん惚れられてしまってのー。いやはや、もてる男はツライわい」
山本 「ああ、そうですか。どうもごちそう様」
武田 「『あなた無しでは生きていけない!』だってさ。あんまり美しく生まれてしまうというのも、かえって困り者じゃのう?」
山本 「ぷっ くくく・・・ こまわり君みたいなツラしてよくもまあ・・・」
武田 「カンスケ・・・ てめえ、今何か言ったか?」
山本 「あ、いや、あのですね。純和風のお顔立ち同士、とってもお似合いのカップルだと思うでごいすよ」
武田 「しかしなあ、わたしの好みはどちらかといえば、仲間由紀江とか伊東美咲とか、ああいう今風の目のパッチリしたオナゴなんだがなあ」
山本 「しかたありません、殿。世の中には『適材適所』という言葉がございますゆえ」
武田 「さっきから好き放題言ってくれるがな、カンスケ。てめえこそ、あの田舎娘以外に誰かにもてたことあんのか!? ねえだろ!!」
山本 「しし失敬な。それがしとてかつては二枚目俳優でならした男。スタジオパークを女性ファンで満員にしたことだってあるでごいす。最近の色恋沙汰といえば、そうでごいすねえ。駿河に逗留してた折、義元どのゆかりの女性に思いを寄せられて、甚だ難儀したことがあったでごいす」
武田 「ほほう。義元の妹か。それとも腰元とか」
山本 「母上さまでごいす」
武田 「ふーん ・・・・って婆さんかよ!」
山本 「そのうえ尼さんでごいす」
武田 「よもやカンスケ・・・ 手を出してはいまいの?」
山本 「正直申しますとだまくらかして駿河を乗っ取ることも考えたのごいすが、あまりに鬼畜の所業と思えたので諦め申した」
武田 「賢明じゃの。そんな展開にしたら、それこそ抗議電話が何本かかってくるかわからん」
山本 「あと一生懸命40年前のお姿をイメージしようと努力したのでごいすが、いかんせん実物を前にしては、いささか無理があったでごいす。そんなことより、最近それがしにもひとつ深刻な悩みがあるのでごいす」
武田 「なんじゃ? 申してみよ」
山本 「最近皆様が、やけにそれがしに優しいのでごいす」
武田 「? じゃあ良かったじゃねえか。意味深な言い方すんなよ」
山本 「それがそれがしにとっては苦痛なのでごいす。ご存知の通りそれがし、幼きころより周囲から冷たい扱いを受けるのが常でごいした。そんな日々を過ごしているうちに、いつのまにかひどい言葉を浴びせられるのが快感になってしまったのでごいす。逆に暖かい言葉をかけられると、全身にえもいわれぬ苦痛が・・・・」
武田 「まごうかたなき『変態』じゃの」
山本 「そうそう! そのような言葉をもっと・・・・」

ガラッ(ふすまの開く音)

三条 「おれ、三条」
山本 「これはこれは奥方様!! お待ち申しておりました。ささ、いつものようにそれがしに罵詈雑言をお吐きくだされ~」
三条 「いえいえ、山本殿。そちの働き、本当に感謝しておりますよ。夫と二人、『さすが名軍師』といつも噂しておりますの」
山本 「ぐああああ! 奥方様まで! 一体どうされたというのでごいすか!?」
三条 「何をそのように苦しまれているのですか?(冷笑) ほんに山本殿は底が知れぬというか、面白い方♪」
山本 「ぐおおおおお!! 殿! 奥方様を止めてくだされ!」
武田 「いや、これ面白いよ。カンスケ最高!!」
山本 「がはっ(吐血) お、鬼・・・・」
20070608180242


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June 06, 2007

それでもボブはやっていない アントワーン・フークア 『シューター』

20070606170853いきなりあらすじから。

ボブは米軍でも随一と噂されたほどの腕を持つ名スナイパー。上層部の裏切りにより友を失った彼は、退役し山奥で隠遁生活を送っていた。そんなボブの元に政府のお偉いさんが、「テロを未然に防ぐため力を貸して欲しい」と頼みにやってくる。気乗りしないながらも、結局依頼を引き受けることに。
そういうわけで捜査を始めたボブ。その途上で満員電車に乗り込むよう指示された彼は、隣に居合わせた女性に手をつかまれる。
「この人、痴漢です!」
彼女はそう叫んだ。全ては巧妙に仕組まれたワナだったのだ。辛くも逃げることに成功したボブは、自分の名誉を傷つけた者たちに対し、完全なるリベンジを果たすことを誓う。
↑ウソが混じってます。上手に見分けてください。

原作はスティーブン・ハンターの傑作冒険小説『極大射程』(原題は『POINT OF INPACT』)。シリーズごとこちらにレビューしてあります。
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2007/02/post_6716.html

途中ネコが本の上にゲロを吐いてしまうというアクシデントはあったものの、その絶妙なストーリーテーリングに手に汗握らされ、あっという間に上下あわせて800ページを読みきってしまいました。
んで、その時「これ、映画向きの話だなあ」と思ったんですね。読んでいて非常に頭に情景が描きやすいお話であったし、小難しいテーマの一切ない王道的エンターティメントだったんで。
だからこの作品が「映画化」と聞いた時にはさもありなん、と思いました(一回企画流れてるんですが)。

しかし入ってくる情報を聞いてみると、「おや?」と思う点が幾つかありまして。例えば原作のボブはベトナム帰還兵で、もういい年のオッサンだったりするんだけど、映画の舞台は現代で、主演もまだ若めのマーク・ウォルバーグが務めるという。
実際見てみると冒頭からけっこう違う話になってまして、その時点でわたしはもう「これはこれで別物のアクション映画として楽しもう」とハラを決めました。たぶんスタッフもそのことを意識して、映画タイトルを違うものにしたのだと思います。とはいっても一応シンクロしてる部分も多々あり、完全に切り離して見るのはなかなかむずかしゅうございました。やっぱり「映画向き」とはいっても、上下たっぷりの大ボリュームがネックだったんでしょうか。これを忠実に映像化するのであられば、スペシャルドラマで二時間×二本くらいの尺が必要だったと思います。

一応原作のテイストが生かされてるところがあるとするなら、それは「ボブさんがスナイパーである」ということ。
普通アクションヒーローというものは、画面の中央で仁王立ちになって、「どっからでも来いや!!」とマシンガンを乱射してたりするものです。
しかしボブさんはスナイパーなんで、基本的にできるだけ遠く離れた安全な位置から銃を撃ちます。実に男らしいやり方じゃないでしょうか(笑) ムダ撃ちもほとんどしません。一発一発ていねいに狙いを定めてトリガーをひきます。「モノを大切に」ということが叫ばれている昨今、非常に賞賛すべき態度だと思います。ついでに人命ももう少し大切にしてくれたら、もっと良かったです。
この「狙撃」にこだわった幾つかの演出が、本作のウリといえるでしょう。文字通りの離れ業がバンバン成功するのを見てると正直胸が空く反面、この手の快感に目覚めるのは危険だなあとも思ったり。
「スナイパーは普通観測手(スポッター)とペアで行動する」という描写も、これまであまりなかったんではないでしょうか。この映画で初めてそのことを知った人も多いかと思います。まあわたしも原作読んで知ったクチですが。

しつこいようですが原作のことを考えないようにすれば、ピンチに次ぐピンチ、逆転に次ぐ逆転の展開になかなか引き込まれます。たった一人ならまだしも、選んだパートナーが頼りない新米警官であるため、一層危機感が増して感じられました。
また冒頭でいかにも善人そうなダニー・グローバーや、秘密めいた素性の車椅子の男(役者の名がわからん)も、なかなか深い印象を残します。

20070606170927ツッコミどころもいろいろあり、着地もちょっと難があるんですが、青筋立てて怒るほどでもなく・・・・・ つくづく煮え切らねえ批評だなあ(笑)

わりと早めに上映終りそうな気がするんで、興味おありの方はお早めに。現在公開中です。

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June 04, 2007

「さんびゃく」と読まないで フランク・ミラー 『300』

20070604174224各国で大ヒットを記録し、いよいよ日本上陸となるスペクタクル映画『300』。本日はその原作について語ります。

むかすむかす、ここからえんれえ東に、「すぱる田」つー変ったまちがあったんだべな。そのまちのおとこ衆は、ガキのころからいくさの訓練をみっちりしこまれていて、使いモンにならねえガキは谷底さ投げ捨てられるちゅー、おっとろしい慣わしがあったんだと。
その「すぱる田」へ、ある日あたり一帯をしきってる「ぺるし屋」つー国の使者がやってきただ。「滅ぼされたくなきゃあ、貢ぎモンをたんとよこせ」っちゅー、そりゃあ無体な要求を言いに。なんせ「ぺるし屋」には100万人からなる大軍団がある。それに対し「すぱる田」の軍隊はせいぜいウン百人程度。逆らうわけはなかろうと、「ぺるし屋」の連中はたかをくくっとったんだな。
だが連中はわかってなかったんだべ。「すぱる田」のおとこどもは算数がえらい苦手だ、っちゅうことを。そしてやつらは売られたケンカは必ず買う、ちゅうことを。

歴史上名高い「デルモピュライの戦い」を題材にしたコミック。作者はアラン・ムーアと並び称されるカリスマ・ライターのフランク・ミラー。代表作は『バットマン:ダークナイト・リターンズ』や『シン・シティ』などです。
横長のちょっと変った版形で、ほとんどのコマに背景が描かれているので、かなり絵本に近い印象。
ジム・リーの端正なアートからアメコミに入ったわたしとしては、ミラー先生の荒削りなタッチってそれほど好きではないんですけど、この作品ではセピア調のバックにいかしたシルエットが多用されてて、なかなか良いなー、と思いました。

この作品を読んでまず思ったのは、ミラー先生は本当に「権力にものをいわせて力ずくで言うこと聞かせようとする連中」が、大大大っキライなんだなあ、ということ。
だから映画を観たアメリカの兵隊さんたちが「オレたちみたい!」とはしゃいだり、イラン政府が「我々を悪者にしたな!」と怒ったりするのは、勘違いも甚だしいわけで。他のミラー作品を二・三読めばすぐわかると思うんですけどね。『ダークナイト・リターンズ』なんて、それこそ老いたバットマンが、合衆国政府に公然とケンカを売る、つう話ですし。
それにレオニダス王率いるスパルタ軍も、「正義」とは少々言いがたいところがありまして。国を守るためとはいえ、連中のやることはあまりに過激。敵軍はもちろん、自軍の兵の命すら屁とも思っちゃいません。こうしたあっけらかんとした狂気は、『シン・シティ』にもありました。

ただ話の流れが、「米国版忠臣蔵」である「アラモ砦の戦い」を思わせるところがあり、兵隊さんたちの愛国心を刺激してしまった理由は、たぶんその辺にあるんじゃないかという気がします。
しかしこの手の「多勢に無勢で真っ向勝負」という話は、欧米の専売特許ではありません。わが国にもあります。それは関ヶ原の戦いにおける薩摩武士たちのエピソード。
味方であった小早川秀秋の裏切りにより、敵に退路を塞がれてしまった1600名ほどの薩摩武士たち。
せめて君主だけでも国許に帰そうと、彼らは全て「死兵」となり、十余万の軍勢に対し真正面からぶつかっていくのですが・・・・ その結果はみなもと太郎氏の『風雲児たち』第一巻か、平田弘史氏の『薩摩義士伝』第二巻でお確かめください。両方ともマンガです。
実はミラー先生は日本の劇画にも詳しく、平田作品もけっこう読んでおられるそうで。もしかしたら『300』って『薩摩義士伝』のインスパイアもちょっと入ってるのでは・・・ と、勝手な妄想をめぐらせております。

20070604174239その『300』原作本は小学館プロダクションより発売中。2800円という買い手の勇気が試される値段でありますが、レオニダス王なら「臆病者は去るがよい!」とおっしゃられることでしょう。きっと。
あと映画のメイキングブックがとってもよく似た装丁で横に並んでいたりするので、買う時くれぐれもまちがわれませんようお気をつけください。

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June 02, 2007

適当掲示板48&へっぽこ料理教室

毎度どうもっす。SGA屋伍一です。感想その他ございましたらこちらにいただければうれしく思います。

さて、本日の企画ですが、ある程度かそれ以上に料理ができる方、すいません。あなたの役に立つようなことはここには何も書いてないと思います。
一人暮らしを始めてはや二ヶ月。コンビニ弁当も食い飽きたけど、さりとて作ってくれる彼女もいないし・・・ そんなキミたちの助けになれればな~ なんて♪

ではまずへっぽこ料理の大まかな心得を伝授しましょう。
①「箱・袋の説明どおりに作ろう」
なぜか初心者に限って、「これにあれを入れたら・・・」とムチャな冒険をする傾向があるようです。でもそういうチャレンジは、大抵手痛い結果に終ります。「安全第一」の気持ちを忘れずに。
②分量は適当で良し
料理の何が面倒かといって、丁寧に材料の分量を図ることほど面倒なことはありません。最初のうちこそある程度基準に合わせることも大切でしょうけど、慣れてきたら目分量でホイホイとやってしまいましょう。けっこうなんとかなるもんです。

では簡単な順にいきましょう。

20070602180428A:野菜炒め

数ある料理の内でも最も簡単で自由度の高いメニュー。野菜切ってフライパンで炒めるだけ。所要時間も十二分くらいでしょうか。
腹が減ってる時は塩コショウだけでもけっこう美味いものですが、「それじゃものたりない」という人はマヨネーズなりソースなり加えてみてください。
画像はキャベツ・ピーマン・ウィンナー・鴨肉のクンセイに、スライスチーズを加えて炒めたものです。

20060617191903B:マーボー豆腐

これも市販の素を使うと恐ろしく簡単にできるシロモノです。時間もそれほどかかりません。作り方は箱の説明をごらんください。わたしは丸味屋さんの中辛のものをよく使います。
最初に素を暖める段階でひき肉を加え、完成ちょい前にカレーパウダーなんかふりかけたりすると、より美味しくなると思います。


20061021114111C:焼きそば

野菜炒めをヴァージョンアップさせたものとして考えましょう。
まず野菜炒めを作る。それにメンを混ぜてさらに炒める。終了です。
上記二つに比べ「手際のよさ」が少々求められます。
ダシ粉があったら完成間際にふりかけてみてください。けっこういけるでやんす。


20060913190546D:チャーハン

ご飯があまってしまった時に便利な一品。
「チャーハンの素」をまず買ってきて、袋の説明どおりにやってみてください。
冷や飯をしゃもじで切るようにして炒めるのがコツです。
よく「超強火で一気に」みたいなこと言われてますけど、夏にやるとかなり体力を消耗しますので、あまりおすすめできません。中火くらいでもそれなりにできますよ
辛いのがお好きな人は適当にキムチなども加えてみてください

20060922193036E:ハヤシライス(ハッシュ・ド・ビーフとも言う)

箱にも書いてありますが、タマネギと牛肉を炒めて、水を加えて煮ます。沸騰させた後二十分ほどして一回火を止め、ルーを入れ、また弱火で煮ます。
これまでのものと比べ、煮るのに多少時間がかかります。なんかやりながら待つのもいいかもしれません。
けっこう簡単。「隠し味にバナナがいい」と聞いたことがあり、実際に試したところ、苦いというか甘ったるい経験となりました。
「隠し味はごく少量」と覚えておきましょう。

20070309203143F:カレーライス

みんな大好きカレーライス。ハヤシにくらべるとニンジン・ジャガイモの皮をむくのがちと面倒であります。練習あるのみ。あとニンジンは細かく切ったほうが早く煮えます。
バターを入れたりコーヒーを入れたり・・・と各家庭でいろいろ独自の工夫があるようですが、Akimboさまに教えてもらったあるサイトによると
http://www.akiyan.com/blog/archives/2007/02/post_81.html
「隠し味に何も入れないほうが美味い」という衝撃の真実が載せられていました。食品会社も伊達にルーを作ってるわけじゃない、ちゅーことですね。

そろそろ飽きてきたんでこの辺で。少しはお役に立てたでしょうか。
これからの時期はものが腐りやすくなりますんで、その点もお気をつけください。
20070531183006


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