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May 14, 2007

愛と旅立ちのクモ男 サム・ライミ 『スパイダーマン3』 ネタバレ編

20070514171500予想通りのメガヒット。でもファンの評価は賛否両論・・・・な『スパイダーマン3』。それではネタバレ編参ります。未見の方は避難よろしく。

どこからともなく現れた寄生獣スーツの力に酔いしれ、やりたい放題のスパイダーマン=ピーター・パーカー。だが最愛のMJに「シンイチくん? きみ、本当にシンイチくんなの?」と言われたピーターは、そこでようやっと我に帰る。
(この性悪スーツとすぐに手を切らなければ! このままではちびっ子人気をコナンやシンちゃんにとられてしまう!)
別れ話が少々もつれたものの、なんとか依存症からたちなおったピーター。しかし一方的に捨てられた女の執念は深い。ブラック・スーツはすぐに別の男をくわえ込んで、スパイダーマンへの復讐を企む。

まずは先回先送りにしたヴェノム、ことヴェーやんのお話からはじめましょう。「悪のスパイダーマン」ヴェノムは、『スポーン』でおなじみのトッド・マクファーレンがデザインしたヴィラン。彼の登場により『スパイダーマン』の部数はさらに増大し、フィギュアもバカ売れ。90年代『スパイダーマン』を象徴するキャラクターです。しかし発案者であるトッドには稿料以外の見返りはほとんどなく、これに激怒したトッドはマーヴルと決裂した、なんて因縁のエピソードもあります。
このヴェノム、「記事のデマをスパイダーマンにばらされて逆恨みする」というところは映画と一緒なんですが、原作の方では自分を悪者だとは思っていません。むしろ「正義の味方」を自称していて、人助けなんかもちょくちょくやっています。ただヴェノムの「正義」ってーのは過激だったり、少々歪んでたりするんで、彼のことをヒーローだと思ってる人はほとんどいません。そんなアタマの悪いガキんちょみたいなところが憎めないヤツなんですが、映画では単なるヘタレ悪役となっていて、やや本来の魅力が損なわれていたような気がしました。

さて、『スパイダーマン』ってもともと「バカ映画」だと思うんですよね。なんせ「クモに噛まれたらクモになっちゃった」ってえ話ですから。でも逆境にあっても必死にがんばるピーターの姿が、その「バカさ」をあまり感じさせないつくりになっていました。
ところが今回は「調子に乗ったピーターが自分から道を踏み外す」という内容のため、バカ大全開(笑)。「オレって最高にイケてな~い?」と勘違い丸出しで、腰を振りまくるピーター。その姿が、哀しくもあり、おかしくもあり。「燃え」を期待していたファンは、この辺でひいてしまったようです。

しかしやっぱりそれなりにマジメなテーマも語られています。今回のキーワードは「復讐」と「親子」。ピーター、ハリー、サンドマン、エディー・・・・ 4人の怪人はその二つの糸によって奇妙に結ばれています。
『スパイダーマン』の重要な柱に、「大いなる力には大いなる責任が伴う」という主張があります。これについて「アメリカが力にものをいわせて他国にちょっかい出しているのを、正当化しているようでイヤだ」という意見を読んだことがありました。「それは違うんでないかのう」と思いつつも、わたしもちょっとひっかかっるものを感じていました。
ですが、この度の『3』で、「そうではない」ということがはっきりと示されました。「その力は決して『報復』や『殺し』のために使われてはならんのだ」と。例えその動機が家族のへの愛情から出たものだとしても、そうした行為は関る全てのひとたちに、悲惨な結果しかもたらしません。醜く変っていくピーターやハリーの姿から、そんなことを学ばされます。それでも「他者への愛情」が動機ならばまだ救いようはあるんですが、純粋に私怨のためだけに動いていたエディーはああいう結果となりました。まさに「人を呪わば穴ふたつ」。あるいは「憎むな。殺すな。許しましょう!」です。『スパイダーマン』は9.11とも浅からぬ関わりがあるので、そのことが明示されてなんか安心いたしました。
ちなみにライミ監督の以前の作品である『ダークマン』は、「救われなかったスパイダーマンの話」とみることもできるかも。ご興味おありのかたはどうぞ。

20070514171412
完結編ということでピー太が結婚する=一人前のオトナになる・・・ということで幕となるのだと思っていましたが、まだまだ彼には成長の余地が十分あるようです。例の「ひも付きアクション」だって、もっともっと色んなやり方があると思います。やっぱこれで終ってしまうのはもったいない。シリーズを重ねていくのは諸刃の剣だとわかっていても、ついついさらなる続編を期待してしまいます。
だからっていうわけでもないですが、『スパイダーマン』関連の記事を、あとでもう一回やりたいと思います。しつこくてスンマソン!


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Comments

おぉ!今日はTBできたーー!!わーい
ちょっと今回のこちらの記事、ツボワードがいっぱいなんですけどー

>「シンイチくん? きみ、本当にシンイチくんなの?」

これウケた(笑)寄生獣懐かしいなぁ。
現在岩明さんが連載中のヒストリエがようやく再開したようで喜んでたトコです。

スポーン大好きなんですが、ヴェノムのデザインっておんなじ人なんですか。
へぇ~。アメコミ野郎SGAさんならではの豆知識ですね。
ライミ監督ダークマンも相当好きです。

>「人を呪わば穴ふたつ」

これも。地獄少女ですよね?
「いっぺん・・・死んでみる?」っていうセリフのものまねが、
一時わたしの周辺で流行ってました。

最後のスパイダーマンのイラスト、いつにも増してお上手!
引き続きの関連記事も楽しみにしております。

Posted by: kenko | May 16, 2007 at 11:28 PM

TBの件、いつもご苦労をかけてすいません

>寄生獣

いや、今回はまさしくそんな内容だと思いました
「気づかないうちに、脳まで乗っ取られてるんじゃないか?」みたいな
ミギーはあのスーツより可愛げがありましたけどね

『ヒストリエ』は未読ですがいずれ読んで見たい作品です

>ライミ監督ダークマンも相当好きです。

さすがkenkoさま、ご存知でしたか
宙吊りでヘリにぶら下がるシーンはまんまスパイダーマンですよね。というか、『4』であれやってほしい

>『地獄少女』

すいません。これもよく知らなくて・・・ 「人を呪わば・・・」はどっちかというと『孔雀王』で覚えた言葉です

>関連記事

じつは・・・「日本」「マンガ」がキーワードです

Posted by: SGA屋伍一 | May 17, 2007 at 08:26 AM

おおおおお!TB送信できた!!!!ちょっと感動的です。

こんにちわ。TB&コメントありがとうございます。

>ピー太

て!ちょっと小さくツボでした。
ピーターが調子に乗って踊っているシーンでは、劇場で失笑が起きておりました。似合わないですよね。

ピーターがMJへのあてつけでグウェンと踊るシーンですけど。あてつけの為に利用されたと知ったグウェンがMJの元にツカツカと歩み寄ってゴメンなさいするシーンも少し印象に残りました。出番は少なかったけど、なかなか聡明な女性なのかもしれないと思ったり。

テンコ盛り感は否めないけど、私は結構ストレートに楽しめました。最後にハリーの取った行動には、素直に感動しましたよ。

そそ、『ダークマン』はサム・ライミ監督作品で一番のお気に入りなんです。知らない人が多くて切なかったんですけど、こちらで挙げていたので嬉しかったです。

Posted by: 隣の評論家 | May 19, 2007 at 08:53 PM

隣の評論家様、お返しありがとうございます

>ピーターが調子に乗って踊っているシーンでは、劇場で失笑が起きておりました。

やはり。しかしかつてはわたしもああいう風に、道行く女性全てが「ふふ~ん みんなオレに気があるんだろ?」なんて思えたことが・・・ いや、何でもありません

普通なら憎まれ役になりそうなグウェンやハリー、そしてサンドマンすら「根はいいひと」であるのがこのシリーズの特長ですね。エディは例外ですが。MJも・・・ちょっと(笑)

>『ダークマン』

当時はいかすアメコミ映画がほとんどなかったので、今考えればとっても貴重な作品でありました
「わたしは誰でもあり、誰でもない」 そう呟いて人ごみに消えていくシーンにしびれたのを覚えています

Posted by: SGA屋伍一 | May 19, 2007 at 09:53 PM

SGA屋伍一さんこんばんわ♪TBが遅れて申し訳ありません・・

ヴェノムは原作の方でもかなり人気のあるヴィランだと聞いているだけに、本作のヴェノムの存在にはファンの方もガッカリしてる人は多いかもしれませんね~。
最後に爆散して噂の『4』にはもう出ないと思いますし、教授の所にあったちっぽけなやつがまた誰かに寄生するんでしょうかね?

でも6部作とか囁かれてもいるらしいので、蜘蛛男のヒモアクションはまた進化して再び舞い戻ってきそう♪
個人的にはヒモアクションよりも、何とか日本版蜘蛛男のレオパルドンを引っ張ってきて、ロボットアクションを拝める日を期待したいこの頃ですw

Posted by: メビウス | May 21, 2007 at 10:13 PM

メビウスさま、勉強でお忙しいところ律儀にコメントありがとうございます

>本作のヴェノムの存在にはファンの方もガッカリしてる人は多いかもしれませんね~。

そうですね。でもあのヴェノムの姿をスクリーンで拝めたということだけでも、ありがたいことかもしれません

>最後に爆散して噂の『4』にはもう出ないと思いますし

あるアメコミ系の掲示板では「あれでヴェノム死んだなんて思ってるヤツは誰もいない」なんて言われてました(笑)
寄生獣かガイバー(知ってる?)か、はたまたカスピ海ヨーグルトの如く、小片さえ残っていれば復活できそうな気がします。ご指摘の通り教授のとこにも残ってましたしね

>何とか日本版蜘蛛男のレオパルドンを引っ張ってきて

えー(笑) でもNYをノシノシ歩くレオパルドン・・・ 確かに観てみたい! そしてトランスフォーマーと夢の共演を!

Posted by: SGA屋伍一 | May 22, 2007 at 08:02 AM

 べノムの名前はるろうに剣心で知りましたw
で八ツ目無明異というキャラのモデルがべノムとカーネイジと
書いてあり、どんなキャラか調べたら、、、、、、こういうキャラでしたか。
なんというかベノムと同じでした。 なにやらエディと因縁があるようです
が。
 ところでもしもベノムとデアデビルが戦ったら?

 教会の鐘の音
 べノム「うわーぎゃーす」
 デアデビル「うあー耳がいいからうるさーい」
戦いになりませんw

Posted by: 犬塚志乃 | May 22, 2007 at 10:49 PM

>カーネイジ

『4』の敵役候補ナンバー1ですね。ヴェノムがあちこちに寄生獣をばら撒いたせいで、「スパイダーマンもどき」は他にもいろいろいるようです
『ワンピース』にもヴェノムがモデルとおぼしきキャラがいると聞きました

>べノム「うわーぎゃーす」

とりあえず彼には「耳栓持参」を強く勧めます

Posted by: SGA屋伍一 | May 23, 2007 at 07:56 AM

伍一さん、こんにちわ。
もう・・・海賊が海賊がああ!!忙しいのよ、あいつらのせいで(苦)。


・・・というわけで、伍一さん、お久しぶりでした。
私なら・・・「逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!逃げちゃダメだ!」と
連呼する碇シンジくんと真っ黒スパイダーを引き合いに出してしまいそう
です。
あれはまさに暴走した初号機状態でしたからね。
(あれ?知ってる?エヴァ。私、狂うほどに大好きなの。)


「燃え」を期待したファンの前で、彦麻呂さながらに「萌え~」を披露
してしまったピーターに落ち度があったのか。
それとも「萌え」たばっかりに、変な女と平気でスパイディキッスを
かましたスパイダーマンが軽率だったのかは分かりませんが・・・
おっしゃるように賛否両論が飛び交っている1作でありました(苦笑)。

でもね、すっごく楽しめましたよ。
あれこれ言いたいことはいくつかあるけれど・・・・・(笑)。
なんだかんだ言いながらも私はとっても楽しかったの。


いずれにしろジェラシーに燃えた男どもの華麗なる戦いの一部始終は
大変に見ごたえがありましたわ♪

Posted by: 睦月 | May 24, 2007 at 04:05 PM

睦月さま、お返しありがとうございます。海族祭りまっさかりのようですね。できればわたしも来週あたり観にいきたいところです

>あれはまさに暴走した初号機状態でしたからね。

どちらかというと戦闘中より、街中で腰を振りまくるシーンの方が、「暴走」のテロップがよく似合うと思います
ちなみに『エヴァ』は本放送の第一回から見ておりますよ。だはは

「『萌え』と『燃え』の間には、深くて広い川が流れてるってことさ」(加持リョウジの口調で)
なんつーか、どんな仕事にもひたむきにがんばっていた新人俳優が、売れ出した途端、「もう○○はやらない」と言い出したり、共演者にちょっかいを出したりするような、そんな哀しさと似ています

でもわたしも睦月さまと同じようにメチャクチャ楽しみましたよ。この映画の「オモチャ箱感」はやはり群を抜いていますしね。海賊さんたちがこの「楽しさ」にどれほど迫れるか楽しみです。特に怪獣方面で

Posted by: SGA屋伍一 | May 25, 2007 at 08:50 AM

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