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May 28, 2007

サイバラ・クロニクル・サンク 西原理恵子いろいろ

20070527194140今回は鴨志田穣氏を悼むということでひとつ。

先日サイバラ女王様のダンナさまであった鴨志田穣氏が亡くなられました。死因は腎臓ガン。氏は長年アルコ-ル中毒を患っておられましたが、それと直接関係あるのかは、よくわかりません。
彼の名を初めて見たのは、確か『できるかな』の一冊目であったか。(俺の女王様にやけに馴れ馴れしいこの坊主はいったい何者だ!)と思っていたら、読み進んでいくうちに最近入籍した夫であることが判明。恋に敗れたわたしは、その晩バーボンを立て続けに五本空け、救急車で運ばれていきました(信じないように)。

で、この鴨志田さんという方がまたカミサンに似合いの、相当ヤクザな方でして。
報道カメラマンを志し、24歳で単身タイに渡るも、着いたその日にバクチで全財産をすってしまい、翌日帰国。その後またタイに行き、イラクで壮絶な最期を遂げた橋田信介に師事。一応ジャーナリストの仕事もしてゲリラに捕まったり、ニートになったり、僧になったり。その上アル中の暴れん坊。
そんな人が「ひとり突撃愚連隊」な西原理恵子と一緒になり、無事に済むわけありません。幸い可愛いお子さんを二人もうけることが出来たものの、彼らの結婚生活は、かなり波乱に富んだものだったようです。

結局、二人は数年して離婚。しかしその後も鴨志田さんはサイバラ漫画にちょくちょく顔を見せていました。
そしてあれは去年の夏ごろだったか。毎日新聞連載の『毎日かあさん』に、復縁を匂わせるようなエピソードがありました。お互い爆弾みたいな二人のこと。いつまで続くだろうか・・・・と思っていたら、つまりはそういうことだったようです。西原さんは一緒に過ごせる日数が多くないことを知り、彼のため、子供たちのため、もう一度鴨志田さんを受け入れることにしたのでしょう。そういう目でみると、ここ最近の『毎日かあさん』も『いけちゃんとぼく』も、また違った印象で見えてきます。

鴨志田さんの人柄がよくわかるのは、やはり彼自身が文章を書いていた『アジアパー伝』(全五冊)。周囲の人からはその傍若無人ぶりで恐れられていたようですが、この本を読むと彼が人一倍ナイーブな人間だったことがよくわかります。以下は西原さんがその本に添えた漫画のモノローグ。タイですっからかんになって帰国した直後のころの心情がつづられています。

「焼き鳥屋のおっさんにも飲み屋の友人にも、みんなにカメラマンになると言って出てきた。」「誰にもあえない。外にも出られない。」
「クリスマスの夜ぼくは工場をさぼった。親父の車を勝手に借りて海へドライブに」「岬で車を止め ビールを飲む」「となりの車のカップルが セックスをはじめた。」「さっきからビールを飲んでいるので小便がものすごくしたい」「でも今車を出てくと悪いなあ。」「ビールの缶にすることにした。」「たまりにたまっていた小便は太くてたっぷりで 全部車にとびちった。」
「ぼくは何になれるんだろう。ぼくはどこに行くんだろう。ぼくはどうなってしまうんだろう。」「クリスマスの夜ぼくは小便まみれになって思った。」
「そしてぼくはまたタイに来た。」

あまりにもダメダメな鴨志田青年。しかしそんな鴨ちゃんに母性愛を感じずにはいられません(男ですが)。自分のことは棚に上げて、「馬鹿な子ほどかわいいとは、こういうことか」と得心いたしました。

もひとつ最新刊『できるかなクアトロ』に掲載されていた、『いけちゃんとぼく のあとがき』から引用して、今回は〆たいと思います。

「むかし好きだったひとたちの子供のころにあいに行きたくないですか。」「きっとね」「アリの巣掘りかなんかして 返事もろくにしてくれないだろうけど。」
「そんなことを時々思ったりしていたら」「わたしのところに男の子がひとりやってきて」「最初は私の子供だって思ってたけどどうも違う気がしてきて」「ああ 私はいま好きだった人たちの子供のころをのぞいてるんだって気がついた」
20070527194213
「ねえ 何してるの? どこへ行くの?」「男の子って 走るのがはやいね。」「わたし あなたのこと好きだったの。」

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Comments

 普通に書きます、西原さんの本を読み返しています。
 私が鴨さんを知ったのは鳥頭紀行でしたかな?
勝谷さんも同行していましたが。

 子供たちに向かって、
「あんたたちの父さんはいろんなものから逃げ続けて
最後には家庭からも脱走」
「あんた、もう中卒でいいよ」

 カニをもらって祖母と母親にあげないで自分だけで食べる
西原さん。次の日祖母がカニを買ってきて自分だけで食べる。
 また子供たちも押入れに隠れてカニを食べていた。
「うわ、ご、ごめんなさい」
 鴨さん「お前の行為が家族の絆をバラバラにしているんだぞ!」
 珍しく正論を吐く鴨さん。

 夫が千回目の禁酒を誓いました、
西原「死ね、死んでまえ」

西原さんが健康診断をしてアルコール値が乙女並みに
低いのを見て鴨さん「なんで、そんなに低いんだよ!」
 なんででしょうか?西原さん普通にしていれば100歳まで
生きれるそうです。

 娘が可愛くてしかたがない鴨さん。
「お父さん寂しがるから」とお友達の誕生会も断りました。

 ナイーヴ、そうですよね。でも精神的に不安定なのか
何度か精神病院に入院もしていましたが。
 でも板谷さんからの視点で見ると、やはり悪い奴じゃないけど
うるさい、そうですがw

Posted by: 犬塚志乃 | June 02, 2007 at 01:33 PM

クラスや親戚の中に大抵一人はいると思うんですけど
自分勝手で、まわりに面倒ばかりかけていて
でも表裏がなくて、不思議と憎めないひと

まあそういう人だと思います。鴨志田さんは

印象に残ったエピソードを二つばかし

とある貧しい国で、西原さんが浮浪児にお菓子をやろうとしたら、それをどなりつけた鴨志田さん。でもその夜、路上で眠っているその子の横に、そっとお菓子をおいていったという話

彼が寝ているそばで戦争映画をかけると、音が夢に反映されるらしく寝ながらなきじゃくっていたとか。でも起きたら何も覚えてなくて、泣きはらした目でカルピスアイスを食べていたとか

本当にまあ憎めないひとであります

Posted by: SGA屋伍一 | June 02, 2007 at 09:24 PM

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