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April 30, 2007

岡山少年野球団 デスマッチ野球編 あさのあつこ 『バッテリーⅤ』

20070429204410別に強化週間というわけでもないんですが、記憶が薄れる前にやっとこうと思いまして。
超自己チュウな天才ピッチャー原田巧と、その剛速球に魅せられたキャッチャー永倉豪の物語。
これまでの記事はこちら
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2005/05/post_3881.html
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2005/07/post_2f60.html
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2006/06/post_4916.html
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2006/10/post_10b3.html
そういえば「原田・永倉」って『新選組!』でよくつるんでた二人でしたね。たぶん偶然でしょうけど。

悩んだ末、もう一度巧のキャッチャーを務める決意をした豪。しかし再始動を始めたばかりのバッテリーはまだまだぎこちなく、新田東のメンバーは不安を隠せない。
一方、バッテリーをかきまわした本人である横手二中の瑞垣も、胸の中に苛立ちを抱えていた。チームの大黒柱でもある親友・門脇への複雑な思い(恋ではありません)を抑えきれなくなっていたのだ。その感情は冷たい言葉の刃となって、門脇の心に突き刺さる。

前の巻は豪ちゃんがキャッチャーとしての自信を失ってしまうという内容だったため、全体的に「ウジウジ・ウダウダ」してたという印象でした。対してこの巻では、なんでかみんな「イライラ・ピリピリ」してるという印象です。たっくん・豪ちゃんはもちろん、ライバルの門脇・瑞垣までちょっとしたことでキレだす始末。大勝負を前に気が高ぶるのはわかるけど、「キミ達もう少しカルシウム取りたまえ」と言ってやりたくもなります。

そのライバルの一人である瑞垣、「Ⅳ」の時点でも十分キャラが立っていましたが、この「Ⅴ」になるとさらに存在感が増していきます。一見へらへらしてるようで、心の奥にドス黒いものを秘めてもいる。「こんな中学生いねーだろ」とお約束のツッコミを入れつつも、ついついその「毒」にひきつけられてしまいました。
実際書き手の興味もこのあたりになると、半分くらいは瑞垣の方に行ってしまったような気がします。単なる脇キャラにしては明らかに描写の密度が濃すぎますし。完結後、彼を主人公にした後日談が刊行されたこともそれを裏付けています。

超自己中の巧VS超腹黒の瑞垣。「毒をもって毒を制す」ってとこでしょうか。この毒毒対決が「Ⅴ」のメインとなります。単なる練習の一場面のはずなのに、熱気が半端じゃありません。その勝負の行方は果たして?

さて、この地味な小説に一人色気を添えていた小町先生ですが、完全に消滅しました(笑)。あさのさんもひどいよなー。その代わりか知りませんが、豪ちゃんに思いを寄せる伊藤さんという女子が登場します。しかし豪ちゃんはそれほど気にした風もなく。青波くんに嫌われたことには大ショックを受けていて、同級生の女の子にときめかない・・・・ 中学生男子として少々問題だと思います。

20070429204459巻末には横手の次世代バッテリーを主人公とした短編が、ボーナストラックとして収録されています。これがハートウォーミングないい話でして。でも、こいつらにならたぶん勝てるよ(笑)! と思わずにはいられません。
そんなわけで次はいよいよ最終巻。号泣する準備は出来ています!


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April 28, 2007

岡山少年野球団 劇場版 あさのあつこ  滝田洋二郎 『バッテリー』

20070428184718(イラストは記事とは関係ありません)
昨年夏、甲子園を湧かせた「ハンカチ王子」こと斎藤佑樹投手。その知られざる中学時代のエピソードが、いま明かされる!

という話ではありません。ていうかハンカチ王子とは何の関係もありません。映画の名誉ために言っておくと、甲子園で熱戦が展開されてたころ、映画はすでに後半の撮影に入っていたそうなので、彼の人気に便乗したわけではないようです。
・・・・えー、マジメにやります。大人顔負けの剛速球を放つ天才ピッチャー・原田巧と、その球に魅せられたキャッチャー・永倉豪の、友情というか真剣勝負を描いた話。これに病弱な原田君の弟、高圧的な野球部の顧問や先輩などが絡みます。原作はもともと児童書として刊行された青春小説。先日最終巻である「Ⅵ」が、文庫でも出版されました(角川文庫)。

で、今回の映画化ですが、なかなか忠実にやってあります。文庫6冊の話を2時間の尺にほどよいスピードで収めていた点も見事。ただ当たり前のことですが、違う点も幾つかあります。
原作は、極力情に流されない、ドライな物語であります。原作者あさのあつこ先生が、変に自分の理想を託さぬよう、努めて客観的な視点で物語を著されたからでしょう。
ですが映画版は、どちらかというと観客に寄り添った、非常に馴染みやすい『バッテリー』になっています。おそらく監督滝田洋二郎氏が、子供たちの親のような視点でお話を見つめたからだと思います。原作ではとっても影の薄い巧の父がけっこう目立っているのは、彼が監督の代弁者だからでしょう。劇中で原田パパが巧の野球について評する場面がありますが、なんだか滝田監督が「ぼくはこういう風に解釈しましたよ」と述べているようでした。たぶんその解釈は原作とは微妙に違っているような気がするんですが、わたしはそれもアリだと思いました。また公式サイトで観られるあさの先生の講演を聞きますと(http://www.bt-movie.jp/special.html)、彼女もまた「よし」としていることが伺えます。

さて、今回の映画のキモのひとつは、たっくんのタマが「いかにすごいか」を描くところにあります。こればっかりは、実際に見せることが出来る映像の強みですからね。で、どうだったかと言うと・・・・ ええ、とってもすげえ球でしたよ。プロでも十分通用するんじゃないでしょうか。なんとなく「打ちたくなる」というより「捕りたくなるような」球でした。本当にキャッチしたら手のホネ折っちゃうでしょうけど。
映画が始まる前、後ろの座席に座っていた中高生とおぼしき少年たちがはしゃいでいて、ちょっとやかましかったんですが、上映中は「ぴたっ」と静かになっていました。タックンの球にそれだけの力があったということでしょう。あときっと、連中も野球が好きなんだろうなー、と。

では原作を読んだ立場からおおざっぱに各キャラクターの印象を語らせてもらいます。
●巧・・・・ 高橋由伸に似てると思った。ずっと仏頂面の役なので、たまに笑顔が出るとほっとした
●豪・・・・ ちょっと芝居が固かったかな・・・・ でも巧をぶっとばすところは迫真の演技でした
●青波・・・・ メイン三人の中では、一番原作のイメージに近い。とってもかわいらしかったです。純粋な意味で言ってます
●オトムライ・・・・ 萩原聖人もやさぐれた役が似合うようになったものだ
●沢口・・・・ 吉貞を合併吸収
●(たぶん)海音寺・・・・ 「頼むで」(涙)
●門脇・・・・ 青波と並んで原作のイメージに近いキャスト。オヤジっぽい見かけが特に
●瑞垣・・・・ イヤミな描写もあったけど、原作の瑞垣に比べるとまだまださわやか(笑)

20070428184735ゴールデンウィークにこれ観るという人も少数派でしょうけど、ちょっとおすすめの一本です。滅多に映画誉めない友人が、「いやあ、良かったよー」なんて言ってましたし。
原作の方も先日やっとこ読了しましたので、近日中にそちらも片付けたいと思います。ちなみに第一巻のレビューはこちら↓
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2005/05/post_3881.html
(イラストは記事とは関係ありません)

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April 27, 2007

コント山本くんと武田くん⑦軍旗燦然編 ~大河ドラマ『風林火山』より

武田 「速水もこみちです」
山本 「山本勘助ぞなもし」
貞光 「さ(かぽっ)」
青木 「あ(かぽっ)」
武田 「またお便りが来てるぞ。静岡県の武田信虎さんからだ」
山本 「きっと暇で仕方ないんでしょうのう」
武田 「ひとつ、腹ペコのまま戦場に行かないこと
ひとつ、天気の悪い日には奇襲をかけること
ひとつ、戦に出るときには背後に気をつけること
ひとつ、他人の刀を頼りにしないこと
ひとつ、土の上を馬で走り回って遊ぶこと

・・・・・ノブトラ五つの誓いだそうだが・・・・ どう思う、勘助?」
山本 「大方こないだのウルトラマンでも観て心を入れ替えたんでしょう」
武田 「だな。問題はそのネタがどれほどの人にわかるか、ってことだ。スローガンで思い出したが、カンスケ、そちの考案したあの旗じゃが、その後苦情が殺到しておるぞ」
山本 「そちが考案したって・・・・ ありゃ殿が勝手に作ったもんじゃないでごいすか!」
武田 「(無視して)あー、まず『漢字が読めない』 ミノから」
山本 「ったく体育会系はこれだから・・・・ ちゃんと勉強マジメにやらんのが悪いのごいす!」
武田 「『遠くから見ると字が細かくて見づらい』 諸角のジイ様から。老眼だからな」
山本 「メガネ買え! あとあんたの姓もけっこう読みづらいぞ!」
武田 「『長くてイライラする』 小山田から」
山本 「カルシウムが足りねえんだよ! 毎朝牛乳飲め!」
武田 「『カアサンがフリンしてるみたいで落ち着かない』 放浪中の真田くんから」
山本 「きれいな嫁さんもらうから、そういう余計な悩みをしょうことになるのじゃ! 俺なんかなあ! 俺なんかなあ!」
武田 「『なんかむかつく』 雷太から」
山本 「ちっくしょー!! ノコリのやつ、いっつも難癖つけやがって!」
武田 「えーとあと『パクるな』 中国政府から」
山本 「お前らだって北京五輪のキャラクター、パン○ーゼットから思いっきりパクってんじゃねえか!」
武田 「こら、カンスケ! 国際問題に発展したらどうする! で、どうする? 変えるか?」
山本 「何を弱気なことを! 孫子マニアとしての殿のプライドは、その程度のものでごいすか!」
武田 「む・・・ そう言われると胸が痛むの。ところでお主、孫子では他にどんなところが好きなんじゃ?」
山本 「はあ。そりゃああの筋斗雲でびゃーっと空を駆け巡るところとか」
武田 「バカモン! そりゃ孫悟空だろ!!」
山本 「え? 違う人なんでごいすか?」
武田 「たりめーだ! 大体ありゃ人じゃなくて猿だろうが!」
山本 「そう言われてみると、なるほど、そうでごいすのう」
武田 「やはり・・・・あれかのう。そちには軍師の職は荷が重いかのう」
山本 「待ってくだされ殿! 先日それがし、ようやく軍略の極意を悟ったのでごいす! これで天下統一はなったも同然!」
武田 「・・・・無駄だと思うが聞いてやる。では軍略と一言で言ってなんじゃ!」
山本 「ははっ 『七人の小人』がごときものかと!」
武田 「そのココロは?」
山本 「♪へいほー へいほー しごとが好(ずびゃ!)」
20070427180609
 

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April 25, 2007

のち、オデンくん リリー・フランキー 松岡錠司 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

20070425180834そのシュールなデザインと斬新なスタイルで、映像界に衝撃を与えたリリー・フランキー氏の手によるショートアニメ『おでんくん』。これはかのキャラクターがいかにしてこの世に生を受けたのか、その謎に迫る緊迫のドキュメント


では全くありません。「親譲りの無節操で、子供のころから不孝ばかりしている」フラキリ・ジョー青年とその最愛の母の、共に過ごしてきた日々、そして別れを描いた作品です。原作は200万部を超すべストセラー。先にSPドラマ版、テレビシリーズも作られています。

印象を一言で申しますと、すごく淡々とした映画です。哀しい場面もあるけれど、「どどーん」と押し寄せる波のようなベタな演出があるわけではなく、控えめ、控えめにしっとりと語られます。(『泣かせに走ったら抵抗するつもりだった』オダギリ・ジョー談)。また、そういう場面の合間合間にも、しょうもない下ネタなんかがふられたりしてまして。この辺は脚本松尾スズキ氏のカラーでしょうか。
ですから物語の山もすごくなだらか。いいとこ標高50メートルくらい。山っつーか丘ですね。わたしも付き合いでなければ、あんまり「観にいこう」という気にならなかったと思います(珍しく連れがいた)。
ですが、最近ちょっと演出過剰気味の映画ばかり見ていたので、自分としてはちょうどいいリセットになりました。感性をまっさらな状態にしてもらったと言うか。
たまにはこういうのもいいものですね。自分も母を思い出して少し切ない気分になりました。うちの母ですか? バリバリ生存中ですが?

ただそういう構成のためか、この映画「もう終わりかなあ」というところでなかなか終りません。アイスコーヒーをがぶ飲みしていたため、終盤になるとわたしの尿意もかなり限界に来ていました。でもそこでトイレに行ったら重要なシーン見逃しちゃいそうだし。つーか、戻ってきたら映画終ってるかもしんないし。そんなわけでラスト近くはずっと内股状態でもだえ続けておりました。

そんな極限状態の中にありながらも、オダギリ君のオカン樹木希林に対する演技には、一瞬尿意を忘れさせるほどの力がありました。本当に、仮面ライダーのころから比べるとずいぶんと成長したものです。
また、恐らくこれが映画初出演であろう内田也哉子さんもとても魅力的でした。前に雑誌の記事で見かけたことあるんですが、こんなにチャーミングな女性には見えなかったんですが・・・・ フィルムの魔力というやつでしょうか。ちょっと惚れました。近日中にモックンに話をつけに行きたいと思います。

わたくしこの映画を観た次の日に『ブラッド・ダイヤモンド』を観たんですけど、偶然両方とも親子の絆を描いた作品でありました。そして続けて見ると、日本が平和であるということがよくわかります。やっぱ人間、平和が一番ですよね。

20070425180816それにしても本がバカ売れして映画までヒットした日にゃあ、リリーさん儲けすぎて笑いが止まらなくなっちゃうだろうなあ。そしてまたトコトン堕落しちゃうだろうなあ。天国のオカンのためにも、今のうちにその莫大な収益を信頼できる誰かに預けておいた方がいいと思います。リリーさん! わたしで良ければいつでも引き受けますよ!


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April 23, 2007

適当掲示板46&1月から3月に観た映画を振り返る

こんばんは。SGA屋伍一です。ご意見ご感想、その他ありましたらこちらへどうぞ。

さて今回は手抜き企画・・・・というわけではなく。最近寄る年波のせいか、こうやってマメにまとめとかないとすぐ忘れちゃうんですよ。ああ、ミネ子さん(誰?)、今日の晩御飯はまだですかいのう。え? さっき食べたばっかり?

それでは「映画の95%はバカ・マジメ・アート・エンターティメントの4つに分類できる」というムチャ理論に基づき、観た順に例のヘタクソな落書きを並べていきます

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・『硫黄島からの手紙』(マジメ)・・・・◎+ワンコ可哀相
・『鉄コン筋クリート』(アート)・・・・◎+「あんしん、あんしん」
・『エラゴン 意志を継ぐ者』(エンタ)・・・・○+暗黒面
・『ディパーテッド』(マジメ)・・・・×+オスカーおめでとう


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・『どろろ』(エンタ)・・・・○+ほげたらほげたらほげたらぽん
・『墨攻』(マジメ)・・・・×+ラブ&ピース
・『パプリカ』(バカ・アート)・・・・○+夢で会えたら
・『世界最速のインディアン』(マジメ)・・・・○+前立腺肥大にご用心


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20070330125454_1・『ゴーストライダー』(エンタ)・・・・△+リーブ21
・『パフューム ある人殺しの物語』(バカ・アート)・・・・◎+けろっ子デメタン
・『ナイトミュージアム』(バカ・エンタ)・・・・○+ガムガム
・『ラストキング・オブ・スコットランド』(マジメ)・・・・◎+痛いのイヤーン
・『ハッピーフィート』(バカ・エンタ)・・・・◎+ペンギン萌え


今のところはやはり『硫黄島からの手紙』が最も印象に残ってますかね。次いで『ハッピー・フィート』あたりでしょうか。
これからも『スパイダーマン3』『パイレーツ・オブ・カリビアン』『300』など楽しみな作品が続きます。

20061223204155そんなわけで「この映画面白かったよ」という情報などありましたら、教えていただけると助かりますです。よろしく。

SGA屋伍一でした。

※この項、謎の英字コメントがよく来るので、しばらくコメント不可といたします。ご意見おありの方は他の掲示板コーナーにコメントしていただければ幸いです

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April 21, 2007

妖怪退治に使命をかけて 錦織博 『天保異聞 妖奇士』 /高橋良輔 『幕末機関説 いろはにほへと』

20070421175109先頃終了した時代アニメ二本を、おおざっぱに紹介いたします。
まず花の「土6」に放映された『天保異聞 妖奇士(あやかしあやし)』から。

幕末まであと少しという天保年間。日本の各地で巨大な妖怪「妖夷」が現れ、人々を恐れさせていた。幕府はこれに対処するため、妖夷を退治できる特殊技能を持った者たち「奇士(あやし)」を密かに集める。その最後のメンバーに選ばれたのは、幼い頃「異界」と呼ばれる謎の領域へ行って以来、放蕩の日々を送っていた竜導往壓 (りゅうどう ゆきあつ)なる浪人であった。

物語の柱となっているのは、突如として現世に現れる不可思議な領域「異界」。登場人物の何人かは、辛いことの多い現世に嫌気がさし、時間・空間を超越したこの異界へ行くことを切望します。
わたしはこの「異界」は、アニメ・ゲームといったサブカルチャーの暗喩ではないかと推測します。その魅力に取り付かれ、首の辺りまでどっぷりつかってしまっているけれど、そのことに後ろめたさも抱いている。そんなライター會川昇氏の煩悶がうかがえます。
その會川氏、『十二国記』『鋼の錬金術師』『仮面ライダー剣』といった「原作付き」の仕事を見ますと、アレンジャーとしてはなかなか優れた才能を有していると思います。しかし一からやらせると、どうも趣味が暴走して微妙なものが出来てしまうような気が(笑)。
この『妖奇士』、その人から「名」を取り出してその字を武器にする「漢神(あやがみ)」といったアイデアはまことに独創的だし、アニメで『仮面の忍者赤影』(特撮のほう)や『必殺仕事人』がやりたいという狙いもわからなくはない。ただそれらがバランスよく組み合わさっていたかというと、それこそ「微妙」な感じでして。
一方で江戸のダメ人間たちの心象が非常に丁寧に描かれており、秀逸なエピソードも幾つかあります。そんな風に評価できる部分も多々あったのですが、やはり狙いが渋すぎたのか、当初の予定の半分で放送終了。遠山金四郎、高野長英、国定忠治といった面々も見たかっただけに、この短縮はまことに残念でした。

もう一本はネット配信のみという、斬新な形で公開された『幕末機関説 いろはにほへと』。
こちらは明治元年前後が舞台。世が乱れる時現れ、それを手にしたものは天下を我が物に出来ると言われる「覇者の首」。幼い頃よりそれを封印するよう育てられてきた剣客・秋月耀次郎は、時代の多くの英傑と出会い、またすれ違いながら、災いの元凶たる「首」を追う。

こちらで目を引くのはリアルかつ、けれん味のある剣劇。なにせスタッフロールに「殺陣」という役職があるくらい。何度か行なわれた隻眼の銃使い・神無左京之介と耀次郎の対決は、なかなか手に汗握らされるものがありました。また成り行きで主人公が旅の一座と行動を共にするため、「演劇」をからめたストーリーが展開され、その辺りも独特の空気を持つ作品となっていました。
さらに勝海舟、坂本竜馬、土方歳三といったメジャーどころはもちろん、河合継之介&アームストロング砲、益満休之介、天狗党の残党など、これまでアニメでは描かれなかったようなマイナーな題材も多数登場します。
ただ、これらのモチーフ、お話に本当に必要だったかというとそうも言えず(笑)。歴史の好きな人ならオマケ的に楽しめたでしょうけど、SFロボットものを得意としてきた高橋氏のこれまでのキャリアに魅かれて見始めた人たちには、少々厳しかったやもしれません。
今月末からまたチャンネルGYAOにて一挙配信されるようですので、興味を持たれた方はご覧になってみてください。

20070421175157ここまで書いといて身もフタもありませんが、アニメと時代劇ってそんなに相性いいもんじゃないと思います。この二本も決して満点とは言いがたい。しかし「今までにないものを作ろう」というチャレンジ精神は、大いに評価したいところです。
そしていつかこの「時代アニメ」から、「文句なし!」と言えるような傑作が現れんことを願っております。

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April 20, 2007

GTI(グッバイ・ティーチャー・イトシキ) 久米田康治 『さよなら絶望先生』

20070420184149お先真っ暗 望みを捨てる
捨てて はかない命絶つ
誰が呼んだか 誰が呼んだか 絶望先生
とかくこの世は 諸行無常
今日も決め手の 今日も決め手の 「絶望したああああ!!」

新学期が始まるその日、女子高生・風浦可符香(ふうら かふか)は、桜の木で首を吊っている一人の男を見つける。幸い一命を取り留めたその男の名は糸色望(いとしき のぞむ)。なんと可符香の担任教師であった。物事を何でもネガティブにしかとれない望。物事を何でもポジティブにしかとれない可符香。出会ってはいけない二人が出会ってしまったそのとき、物語は動き出す。他にも望のクラスには、何でもきっちりしていないと気が済まない木津千里(きつ ちり)、何でもボーイズラブに結びつけて考える藤吉晴美(ふじよし はるみ)など、ツボにはまると行くところまで行ってしまう生徒が多数在籍。絶望先生は彼女たちと共に社会の矛盾を糾弾し。日本の明日を模索する。って、あれ? そんな話だったっけっか?

実はワタクシ、作者の久米田先生のことはデビュー作『行け! 南国アイスホッケー部!』のころから存じております。昔はサンデー派だったので。この作品、はじめこそコミカルなスポーツものでありましたが、その内ホッケーの「ホ」の字もでてこなくなり、しまいにはダジャレと下ネタが紙面を埋め尽くすという、こう言ってはなんですが「ゴミ」のようなマンガでございました。しかしゴミの中にも時折「お、これはなかなか・・・・」というものがあるように、『南国アイス』においてもまれに興味深い実験がなされることがないでもなかったです。
さてそれから月日は流れ、少年マガジンを立ち・拾い読みをしていたわたしは、久しぶりに久米田先生の名前を見つけました。それがこの『絶望先生』だったわけですが。
いや、読んで驚きました。『南国アイス』の時と基本的なスタイルは変らないのに、びっくりするほど洗練されていたからです。学術・政治・芸能・マンガ・スポーツ・日常と、あらゆるジャンルからネタをかき集め、一つのテーマを徹底的に追求するとともに、ギャグマンガの本質である「ナンセンス」も忘れない。下ネタもあるにはありますが、あくまでアクセント程度にとどめられています。
例えば単行本第6巻に収録されている「デトックス」を題材にしたエピソードはこんな流れ。
ある温泉宿にやってきた一行。温泉で身も心も清められた生徒たちは、すっかりいつもの毒気を失ってしまう。それに危機感を覚える絶望先生。「毒が抜けてしまったものは何かとモノ足りないものです」
「保険の利くブラックジャックは 何か魅力に欠けるもの!」「毒の抜けた秋葉原は ただの電気街になる!」「毒の抜けた細木数子は ズバリ言わない!(遠まわしに言う)」
さらに挙げられる「毒が抜けたらどうなるか」という多くの実例。
(ワイドショー→はなまるマーケット BUBUKA→Myojo 蠅の王→十五少年漂流記 べジータ→恋に落ちたべジータ 2チャンネル→ミクシィ・・・ほか)
では絶望先生から毒を取ったらどうなるのか? というところでオチへ続きます。
ネタが多すぎてわからないものもあると思いますが、そこで役立つのがこのHP。
http://zetubou.hewl.info/wiki/
『絶望先生』に出てくるほぼ全てのネタが解説されています。管理人さんのひたむきな情熱には、ただ頭が下がるばかりです。

ところで一体なにが久米田先生をここまでレベルアップさせたのでしょう? それは単行本第一巻のあとがきの一文から察することが出来ます。
「運よく音羽で拾われた。あれからもう8ヵ月が経っていた。」
このマンガを始める八ヶ月前、久米田先生は長年相愛関係にあった少年サンデーから、一方的な別れを告げられます。まさにサンデーに、マンガに、自分の才能に、将来に「絶望した!」状態だったことでしょう。
奇跡的にマガジンで復活の機会を与えられた先生は、それこそ半端じゃない意気ごみで連載に臨まれたものと思います。そして一度辛酸を舐めているがゆえに、「いつ捨てられるかわからない」という緊張感も絶えずあるはず。そうした「いつでも崖っぷち感」が、この作品に一定のレベルを保たせているものと思われます。

20061225190403_1そんな『絶望先生』ですが、驚くべきことになんとこのほどアニメ化が決定いたしました。
http://www.starchild.co.jp/special/zetsubou/
うーん。やばいネタも多いだけにどっからクレームが来て、打ち切りになるような気がしてなりません。
たぶん最終回の最後のセリフは「不寛容な社会に・・・」
←で決まりじゃないでしょうか。

『さよなら絶望先生』は少年マガジンコミックスより7巻まで発売中。近日第8巻も発売予定。
第一巻はなんとなくまだノリがゆるやかなので、できれば二巻あたりからの鑑賞をおすすめします。

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April 18, 2007

ぼくモモタロスなんなのさ 『仮面ライダー電王』を語る①

20070207002431時の列車ゼンダライオン(違)、次行く駅は過去か未来か・・・・・

平成版仮面ライダシリーズ最新作で、現在ほぼ1クールを終了した『仮面ライダー電王』について今回は語ります。まずあらすじとおおまかな設定を。

たぶんものすごく不幸な星の元に生まれた青年、野上良太郎。道を歩けば、穴に落ちる、物が飛んでくる、不良に絡まれるなんてことは日常茶飯事。そんなある日のこと、彼は極めつけの不幸に見舞われる。時を越え過去を破壊する怪物・イマジンにとりつかれてしまったのだ。しかしそれでも正気を失わない良太郎を見て、彼の前に現れた不思議な少女ハナはこう言った。「あなたなら『電王』になれるかもしれない」
なんだかよくわかんないけど、自分にはヒーローになる素質があるらしい。そして目の前で襲われている人たちを放っておくことはできない。かくして良太郎はハナから託されたベルトを巻き、叫んだ。「変身!」

『電王』の独特な点は、本来怪物である「イマジン」の力を借りて戦うというところ(『剣』とも少し似てますが)。一応良太郎だけでも変身することは可能ですが、その素体状態(プラットフォームという・笑)では無力に等しいため、イマジンに体を貸して戦力UPを図るというわけ。
「イマジンたちは契約者の想像した姿をそのままとる」という設定のゆえか、本作の怪人・ライダーのデザインは、昔話や童話のキャラがモチーフとなっています。例えば電王のメイン形態である「ソードフォーム」は「桃太郎」からとられているため、顔面に桃が「パカッ」と二つに割れたシルエットがあしらわれています。チャレンジ精神もここに極まれり、ですな。

良太郎君はいまのところ四体のイマジンと契約する予定。一人の体に複数の人格が・・・というあたりはダニエル・キイスの一連の作品を、「ひ弱だけどオバケたちに慕われるピュアな主人公」という設定は、『しゃばけ』シリーズを連想させます。またモラルや理性のかけらもない怪物たちを、教育と愛情(笑)でもって言うことを聞かせるなにやら仏教的なコンセプトは、『西遊記』を思い出させます。
そんなところからわかるように、ひ弱ではあっても、良太郎君は最近の少年漫画にありがちな自虐的へタレ主人公とは違います。しょっちゅう悲鳴をあげてはいても、泣き言は滅多に言わない。言うべきことはしっかり言い、やるべきことはきっちりやる。そんなところがなんとも微笑ましい若者です。

さて、この『電王』、これまで白倉プロデューサーが得意としていた「一年通しての連続性」「主義の違いからぶつかりあうライダーたち」といった「技」があえて排されています。どちらかというと直前にやっている「戦隊もの」のカラーにやや近い。ファンとしては少々寂しい気がしないでもないですが、「人の心の闇を描く」という点や、「立場のまるで異なる者たちが、戦いを通じて理解しあっていく」という要素は、まぎれもなく平成ライダーのそれです。そしてなにより見ていて楽しいので、引き続き応援して行こうと思っています。
ただわたし、こういう「○話完結形式」というか、1エピソードごとの区切りがきっちりしてるスタイルって途中で飽きてしまう傾向があるので、スタッフの皆様はその点、気を抜かないようにしていただきたい(えらそうだな、こいつは)
20070418181931そういうわけで『仮面ライダー電王』は現在日曜朝八時より、絶賛放映中。
「最後までクライマックス」でね!

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April 16, 2007

Cは炭素のC エドワード・ズウィック 『ブラッド・ダイヤモンド』

♪ ダイヤモンドだね ああ 幾つもの野心
 ああ うまく立ち回らなきゃ 墓場行きだよ

・・・・いい加減ネタが古いっちゅーねん。先日のアカデミー賞を沸かせた作品群の一本。このタイトル、わかっちゃいるのについつい『ブラック・ダイアモンド』と言ってしまいませっか? 実際そんな映画(ジェット・リー主演)や用語(南アフリカの中流層の黒人たち)もありますし。その上「血の色」とか「ピンク」とか言われた日にゃあ・・・ あっしには無色透明にしか見えないんですけどねえ・・・・ 現在公開中です。

舞台は西アフリカはシエラレオネ。とある漁師ソロモン・バンディの住む村は、反政府ゲリラRUFの襲撃を受ける。バンディは家族と引き離され、ダイヤモンドの採掘場で働かされることに。そこで彼は、世界でもトップクラスのバカでかいダイヤを見つけてしまい、なんとかそいつを隠すことに成功する。だがその秘密は、牢で一緒だった密輸業者ダニー・アーチャーに知られてしまう。そのブツを取引させてくれとバンディに頼み込むアーチャー。疑わしいことこの上ない申し出ではあったが、家族と再会するためには彼の手を借りるほかない。きまずい空気を漂わせつつ、二人はダイヤの隠し場所まで旅をすることに・・・・

監督は『ラスト・サムライ』が記憶に新しいエドワード・ズウィック。「あの感動を再び!」みたいな感じで宣伝してますけど、どこかファンタジーっぽかった『ラスサム』に比べると、本作はけっこうキツイです。アフリカの現実を赤裸々に描写した内容なので。
虐殺、奴隷、集団誘拐、児童虐待、瞬時にして戦場となる市街・・・・ これまでにも幾つかの映画で描かれてきましたが、アフリカの現実はかように恐ろしいものであります(平和な地域もあるでしょうけど)。映画とはいえ、あまりのむごい描写に胃が痛くなるほど。特に今回は人体切断シーン等がハートにぐっさり来ました。少しまえまで、アフリカといったら雄大な自然がひろがる「わくわく動物ランド」というイメージだったのに・・・・ 美しい風景と死体の山。まさに天国と地獄のコラボレーションであります。

こうした現実的なテーマを訴えると同時に、この映画は人間の普遍的な性向を、「ダイヤモンド」というお宝を通して描いた文芸作品でもあります。基本的には鉛筆の芯と変わりないそのブツを、血眼になって追いかける男たち。そしてそれに翻弄される平凡な親子。生まれながらの善人が存在しないのと同様、生まれながらの悪人というのもまた存在しません。作品に登場する多くの悪人たちも、生まれたときは無垢な存在であったに違いありません。しかし苛酷な経験や、大抵の人間なら持っているであろう富へ欲望、そして周囲の悪い大人たちの手により、いつしかいっぱしのワルへと変っていく。それを更生させることは果たして可能なのか。父を失った男と。子を捜し求める父。二人の姿を通して、監督の祈りが聞こえてくるようです。

んで困ったことにこの映画、サスペンス作品としても大変面白い。息詰まる追跡劇、ビッグなお宝の争奪戦・・・ エンターテイメントとしての要素も十分に含まれています。「現実にある悲惨な題材を娯楽として楽しんでいいものか」という気もしないでもないですが、単なる情報にすぎなかった問題、事件も、こうした映画を通じてより、親身になって感じることができる・・・という点は決して悪いことではないと思います。それがボクの言い訳。

2007041617391920070416173944最後に今日は、男性諸氏にアドバイスです。もし彼女から「ダイヤの指輪が欲しい!」と言われたら、この映画を見せましょう。そして「ボクにとってのダイヤはキミさ!」と言ってみてください。もしかしたらうまくごまかせるかもしれません。

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April 14, 2007

パンタあの子のニャンなのさ 4回目じゃなかろうか

そのいち 額にツノ

200704141754032007041418375220070414183915 キ
 ッ
 ト
 化
 
 希
 望


そのに 本当の自分

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そのさん 真実の名前

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そのよん 決着の時

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そのご 新・決着の時

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 ・

 ・

 ・


そのろく 挨拶に代えて

20070404114434 パンダの顔も色々です


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April 13, 2007

北斗の剣 アスカ伝 富樫倫太郎 『太子暗黒伝 壱 厩戸皇子篇』

20070413183733「次にわたしの筆は、古代に向かうことになると思う」
そう富樫先生が『雄呂血』で予告されてから6年(笑)。ようやくその現物を拝むことができました。大河伝奇小説『陰陽寮』(http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2005/06/post_fe50.html)のプレ・ストーリー、『太子暗黒伝』です。

時は飛鳥時代。大和朝廷は様々な難題を抱えていた。統治者である用明天皇は病弱で床に臥せリがち。それをいいことに権力抗争にあけくれる豪族たち。なかなか定まらぬ後継者問題。そして大奈無智率いる属国・出雲の軍勢が、朝廷の領地を荒しているとの報告が入る。
後の聖徳太子・厩戸皇子はこの時14歳。類まれな才能を持ちながら「政治のことなんか知ったこっちゃない」と、自由に野山を駆け巡る日々を過ごしていた。だが迫り来る戦火の波は、皇子を否応なしにその渦へとたぐりよせていく。

聖徳太子といいますと、小学校の歴史の授業で、卑弥呼・ヤマトタケルについで最初に出てくる人物。「神話」と「歴史」を分け隔てるわかりやすい目印でもあります。それほどにメジャーな人物なのに、よくわからないことも多く(なんせ大層昔のひとですから)、「実在してなかったかもね」とまで言われてしまう有様。
しかし「よくわからない」ということは、伝奇作家にとっては「腕の奮いがいがある」ということでもあります。
かくしてこの神秘的な逸話には事欠かない皇子様を素材に、富樫流伝奇ワールドが展開されます。
とはいっても一応きっちり史書を調べた上で無茶をやらかすのが富樫流。今回もこの時代の政争の様子などを、想像で補完しつつ丁寧に再現しております。
その中で特に興味深いのが、用明天皇が「わし、仏教に帰依する」と言い出すくだり。
今でこそ日本は仏教国ですが、この時代はまだまだ「外国の教え」でした。例えるなら陛下が突然「おれ、クリスチャン(もしくはムスリム)になる」とでも言い出すようなものでしょうか。当時の大臣たちのビックリぶりが目に浮かびます。
一方で、日本史に平気で異国の神話・伝説を組み込む無茶振りも健在。「蟻留宇」&「摩修宇」、「円木戸」というネーミングからすると、今回はバビロニア系で攻めてくる模様。その内「丸毒」「墳馬場」なんてキャラも登場してきたりして。

さて、聖徳太子をモチーフとした物語で思い出すのは、やはり山岸涼子のコミック『日出処の天子』(というか、これくらいしか思いつかない)。で、この小説、『日出処の天子』から影響を受けたのでは?という部分がいろいろありまして(例えば、皇子が実の母にわけもなく疎まれてたり、渡来人二人が皇子の両脇をがっちりガードしてたり、など)。蘇我さんちのご家族ももれなく登場します。ですから、かの名作コミックのファンの方は、別ヴァージョンとしても楽しめるかと思います。ただし、あちらにあった背徳的な要素は全てカット。むしろ健康的ですらあります。『暗黒伝』なのにねえ(笑)。

大和朝廷が確立されてる時代に普通に九州に「ヤマタイ国」があるので、面食らわれる読者もおられるやも。実はこの設定、富樫さんが前から自作で練り上げてきたものでして、その辺の事情に付きましては先の『雄呂血』(光文社文庫より・上下あり)などで説明されています。興味を持たれた方はそちらもどうぞ。

20070413183634この『太子暗黒伝』、すでに第二巻にあたる『出雲燃ゆ』が発売中。『陰陽寮』の時は大抵続きが出るのに一年かかったのに、この早さは・・・・ ノリノリってことですか!? 富樫先生!!
というわけで、『太子暗黒伝』はトクマノベルスより発売中であります。

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April 11, 2007

二度あることは三度ない トニー・スコット 『デジャヴ』

20070410212728ひどい! そんなにはっきり言うなんて! けっこう気にしてるのに! ・・・あ。「デブ」じゃなくて『デジャヴ』ね。失敬失敬。
ジェリー・ブラッカイマー三連弾の一発目。まずは手堅いジャブで攻める・・・という感じでしょうか。デンゼル・ワシントン主演、トニー・スコット監督の『デジャヴ』です。
今更説明するまでもありませんが、『デジャヴ』とはおフランスの言葉で「既視感」のこと。みなさんも「あれ、これと全く同じようなシチュエーション、前にもあったような・・・」と感じたことはございませんか? それが「デジャヴ」です。

デンゼル演じる主人公の刑事は、町である美女を見たとき、不思議な感覚に襲われる。(この女性を、俺は知っている!?) そして彼女が殺されてしまう光景も、どっかで見たような気がする。大変だ! 彼女を助けなきゃ!
・・・・というストーリーをタイトルと予告から勝手に想像していました。が、違いました。正しい?あらすじはこちら↓
ATF(アルコール・タバコ・火器局)の捜査官ダグは、ある大きな事件を追っている最中、一人の女性の死体と遭遇する。ダグは彼女が事件の鍵を握っていると推理。ダグの能力を高く評価したFBIは、風変わりなモニタールームへ彼を誘う。その部屋のモニターは、約4日前に起きた事柄の忠実な再現映像を造りだすことのできる画期的なシステムだった。人工衛星からの膨大な情報を基に造りだしている、と説明するスタッフ。しかしダグは四日前の彼女の姿を追ううちに、奇妙な感覚を覚え始める・・・・

ジェリー・ブラッカイマー製作のブツというのは、概ね「お客さん! 火薬大盛りにしときましたから♪」という感じで、画面に映るものを片っ端から爆破していく、いわば「盛大なお金の無駄遣い」的な印象。
しかしこの『デジャヴ』は、予告を見る限りいつもよりおとなしそうで、その上特に突出した要素も感じられなかったんで、スルーの予定でした。しかしあちこちで「意外と(笑)まあまあ良く出来てる」という評判を聞き、観にいくことに決定(←流されやすい)。
で、見てみて感心しました。まずこの「4日前を追いかける」という秀逸なアイデア、ちょっとほかに類を見ません。数年前のあるメジャーな作品で、やや近いものはありましたけど、タイトルを言うとそれだけでネタバレになるんで、言いません。
このシステム、一見便利なようでいて、けっこうもどかしい。観客もいつしか「ああ、じれってェ~」と言いながら、デンゼルさんと一緒にそのヴィジョンにひきこまれてしまうことでしょう。
また、ひとによっては「やっぱバカ映画?」と判断してしまうかもしれませんが、なかなか良く練られたプロットが、この映画の持つバカ要素を希薄なものにしています。いやあ、ジェリーさん、こういうのも作れるんじゃないですか。そういえばやはりトニー・スコットと組んだ『エネミー・オブ・アメリカ』ともカラーが似てますが、構成の点でもサービスの点でも、こちらが上だと思います。

過ぎ去ったはずの空間に生きる女性に、いつしか普通以上の思いを抱いてしまうダグ。健康ではつらつとした女性も魅力的ですが、ほっとくと死んじゃいそうなはかなげな女性というのも、時として非常に美しく感じられるもの。どっちがいいかといえば・・・・難しいですね。っていうかわたし選べるような立場じゃないし・・・ とほほ。

文明社会にいると忘れがちですが、死とはいつか必ず誰にもおとずれるもの。しかしそれでも死と戦い続ける人間は、雄々しく、かっこいいものだなあと、一途なダグ・リーマンを見て思いました。

20070410212755最後にひとつ忠告。こちらをご覧のセレブ・レディの皆様、もしかするとあなたの前に「キミとどっかで会ったような気がするんだ」「とても初対面とは思えない」なんつーキザな男が現れることもあるかもしれませんが、それはデジャヴでもなんでもなく、ただのヘタクソなナンパです。くれぐれもご注意を。

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April 09, 2007

コント山本くんと武田くん⑥ 勘助就職編 ~大河ドラマ『風林火山』より

武田 「妻夫木聡です」
山本 「山本勘助におわします」
貞光 「さだみ(かぽっ)」
武田 「今日はおハガキが一通来ているぞ」
山本 「いつも応援ありがとう!」
武田 「静岡県の武田信虎くんから。『てめえら、必ずぶっ殺す』だって」
山本 「ふーん。それより先生、ぼく悩み事があるんですけど・・・」
武田 「そうか。先生に何でもいってみなさい」
山本 「・・・・ボクもしかして、クラスのみんなから嫌われてるんでしょうか?」
武田 「うん。そうだよ(きっぱり)」
山本 「ええ! ショック!! いじめかっこ悪い!」
武田 「だってキミ新参者のクセに態デカ過ぎなんだもん」
山本 「こんなに謙虚なそれがしのどこが! こうしてお土産の生首だってちゃんと持ってきたのにいいいい!!(ドカ)」
青木 「チクショー。テメ、カンスケ、覚えてろコノヤロー」
武田 「(かぽっ)だからそういう生々しいものを、一々ここまで持ってくるんじゃねーよ!」
山本 「これが本当のヘッド・ハンティングでござる。ぐしし」
武田 「あとな、お前のお笑いのセンス最悪。こないだのミノとの対戦もお前はウケ狙いだったんだろうけどさ、みんなどん引きしてたぞ。恐竜倒したとかいうからどれほどのもんかと思えば、とんだ見掛け倒しなんだもん」
山本 「恐れながら殿、『恐竜を倒した』のではなく『京流をマスターした』のです」
武田 「口で言われてもわかんねっつの! テロップだしとけ! それとも一つ。お前雷太のことずっと『ノコリどの、ノコリどの』って呼んでるだろ」
山本 「はて。それが何か」
武田 「あいつは『ノコリ』じゃない。『アマリ』だ」
山本 「これはしたり・・・・ 実は時々峰竜太や藤竜也ともごっちゃになるのでごいす」
武田 「本当にみんなと仲良くなりたいなら、まず顔と名前くらいきっちり覚えろ。ちなみにワシのもとには最終的に24人の名将が集まることになっておる」
山本 「ええ! そんなにたくさん覚えらんない! 少年マンガじゃ多くても1チーム12人くらいなのに!」
武田 「御廷十三隊は十三人いるうえにそれぞれ副隊長までいるぞ。ってそうじゃなくて、軍略を極めんとするものがこれくらい覚えられんでどうする!」
山本 「(しぶしぶ)はーい」
武田 「よし、じゃあこれから順々に紹介していくぞー。ここテストに出るからなー。さっきの甘利はもういいか。それと板垣ももう知ってるよな?」
山本 「千葉ちゃんでごいすな。今風に『ガッキー』と呼んでもようごいすか?」
武田 「好きにしろ。次にすぐキレる危険な若者、小山田」
山本 「オヤマダオヤマダ・・・・ あだ名は『おじゃ漫画ヤマダくん』ね」
武田 「そう呼んだら、たぶんあいつキレるぞ。続いて割と早くに寝返りに協力してくれた飯富虎政。そんでギリギリまでねばった諸角虎定と」
山本 「こいつら影薄いでごいすよね。おじさんA、じいさんAでいいでごいすよ」
武田 「おめーはオレがさっきなんて言ったのか、もう忘れたのか! ・・・・まあいい。次にお前とこないだ対戦した鬼ミノ」
山本 「もしかして昼に『奥さん、これは健康にいいですよ!』とか言ってるあの方でごいすか?」
武田 「たまたま名前がかぶってるだけだ。それにあの人は別に鬼じゃないだろ」
山本 「ところがどっこいでごいす。実は(中略)で(自粛)らしいでごいすよ」
武田 「ふーん。芸能界って怖いな。次に・・・・」
山本 「との~ もう疲れたでごいす。あとはまた今度にして、どっか飲み行きましょうよ」
武田 「こらこら、まだ四分の一しか終ってないんだぞ!」
山本 「詰め込み式はよくないでごいすよ。それに殿だって最近遊んでないでしょ?」
武田 「ふむ・・・・ どっかいい店知ってるの?」
山本 「それがですね。こないだ諏訪ってところでいい娘見つけまして・・・・」
(ガラッ)
三条 「殿! その者からお離れください!」
武田 「悪ィ、カンスケ、オレちょっと用事思い出した。あとよろしく頼むわ」
山本 「ちょっと待、殿、そんなずる(ズビャア!!) がはっ!」
20070409080428

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April 07, 2007

愛と青春のクモ男 サム・ライミ 『スパイダーマン』

20070407175012久しぶりに旬の映画ネタが尽きてしまいました。こんな時には(ちょいと)昔の話をしましょうか。最新作も迫っていることですし、映画『スパイダーマン』について語らせてもらいます。その前にこの愛すべきクモ男の誕生について少し。

いまをさること45年前、すでに『ファンタスティック・フォー』などのヒット作を手がけていた敏腕編集者兼漫画作者のスタン・リーは、ひとつの風変わりなストーリーを思いつきます。主人公はさえないメガネくん。放射能を浴びたクモに噛まれたことにより、自らも壁をよじ登れるクモ能力を有するようになる。
編集部はそのアイデアを、「キモい」の一言で却下。しかしさすがはスタン・リー。彼はスタッフを丸め込んで作品を形にすると、もうじき廃刊になる雑誌に、こっそりその漫画を載せてしまいます。するとなんたる不思議、その雑誌『AMAZING FANTASY』15号は、けっこうな売り上げを記録してしまったのです。これが以後現在まで続くことになる「スパイダーマン伝説」の始まりでした。

90年代に入ると、映画『バットマン』のヒットを受けてか、『スパイダーマン』も「映画化」の動きが出てきます。ところが版元であるマーヴル・コミックスが権利のことで色々ごねたため、企画は難航。結局最初に話が出てから8年以上経って、マニアックな作風で知られるサム・ライミの手によりスパイディは銀幕デビューを果たします。その後の世界的なフィーバーに関しては、みなさんご存知の通り。で、今日は「ピーターがなぜ『ピーター』なのか」ということについて(またしても)妄想大全開で考えてみましょう。

日本において「ピーター」と言ったら普通は池畑慎之介ですが、欧米ではかなり知られた「ピーター」が二人います。
一人は童話のヒーロー「ピーター・パン」。永遠に少年の心を持ち、夜の摩天楼を自在に飛び回るピーター・パンは、なるほど、スパイダーマンのご先祖と言えるかもしれません。
そしていまひとりはイエス・キリストの弟子であるピーター。我々が「ペテロ」の名で知っている人物です。
ここで映画『スパイダーマン』冒頭のストーリーを思い起こしてみましょう。
クモ能力をゲットして、もやしもんからマッチョマンへ華麗なる転身を遂げたピーターは有頂天になり、遅めの反抗期も手伝って、つい育ての親であるベン叔父さんにこころない言葉を言ってしまいます。本当は誰よりも大切に思っているのに。「あとで謝ればいい」ピーターはそう考えたことでしょう。しかしその機会は永遠に訪れませんでした。叔父さんはピーターがわざと見逃した強盗の手により殺されてしまったからです。衝撃に打ちのめされるピーター。
ここでまた使徒ペテロに話を戻します(せわしねえなー)。
この方は「聖人」として世間に認知されていますが、聖書を実際に読んでみますと、失敗したり怒られたりといったエピソードに事欠かない、よくいえば「人間臭い」人物です。それがよく表れているのがキリストの死の直前のくだり。
キリストの裁判を遠巻きにして見ていたペテロは、そばにいた女性から「あなたは彼の弟子ではなかったか」と問い詰められ、激しくうろたえます。そこで三度にわたって「あんな人のことは知らない」と言い、ついには「のろったり誓ったりした」と聖書にはあります。その後ペテロは激しくそのことを後悔し、以後身を投げ打って師の教えを広めるわけですが。
ピーターも最愛の叔父さんを失ってようやくその力の真の使い道を悟ります。正義感、義務感・・・そういった気持ちももちろんあると思います。しかしわたしにはピーターがその仕事に打ち込む最も強い動機は、「いまは亡き叔父さんにほめてもらいたいがため」であるような気がしてなりません。
キリストが弟子に課した重要なおきてのひとつに、「あなたの隣人を自分自身のように愛せよ」という言葉があります。この「隣人」という言葉は、単に隣近所のひとを指すのではなく、自分が関る苦しみ悲しんでいるひとたち全てにあてはまるんだそうです。そしてその人たちに親切を示すとき、自分もまた彼らの隣人になるのだそうで。
ピーター・パーカー=スパイダーマンもまた、ベン・パーカーの息子として恥じない生き方をするべく、その糸が届く限り全てのひとの命のために奔走します。だからこそ彼の二つ名は「鋼鉄の男」でもなく「暗闇の騎士」でもなく、「あなたの親愛なる隣人」なのでしょう。

20070407175152余裕がありましたら『2』と、「なぜスパイダーマンが日本でこんなにうけているのか」についても書いてみたいなー、と思います。

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April 06, 2007

適当掲示板45&花見報告のはずが上野報告に

数少ない閲覧者の皆々様、毎度ありがとうございます。ご意見ご感想その他ありましたら、こちらにお寄せください。こないだのメンテですけど、どうやら携帯でも普通に見られるようにするための工事だったようです。ま、こんなとこ携帯でチェックするのなんて、それこそわたしくらいのもんでしょうけど。

さて、今年の花見ですが
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早咲きの河津はすでに散ってしまったり(三月頭)、伊豆高原のソメイヨシノはまだ蕾ばっかりだったり(三月末)、両方とも行く時期を誤ってしまいました。なかなか花は人の都合のいいようには咲いてくれんとです。それでも一応見られる画像だけ上げときます。向かって左二枚が河津、右二枚が伊東は「さくらの里」の画像です。
本当はこうなるはずなんですが↓(去年の画像)
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2006/04/262006_21d3.html


代わりというわけでもないですが、つい一昨日上野公園まで行って参りました。そもそもの発端は知人のお孫さんが春休みどこにも連れてってもらえなくて「恐竜見に行きたいよ~」とせがまれたため。その場にいた友人のSくん夫妻、Fさんのご家族も「じゃあぼくらもあたしらも」と同行することになり、総勢9名(小児二名・乳児一名含む)の中所帯でガヤガヤと。ずっと運転してくれたSくんありがとう。

今回は動物園と科学博物館の常設展を主に見学しました。

で、主役のチビスケふたりなんですが、こいつらが走っちゃいけないところで全力疾走するは、「立ち入り禁止」の柵を乗り越えようとするは、「おんぶして肩車して」としつこくせがむは、しまいにゃオモチャとりあってケンカするはで、まるで言うこと聞きゃあしねえ(笑)

20070404142926最後にはわたしもうつろな目で、「も、いい。キミ達好きにしたまえ・・・」と放心状態でした。小さい子を持つパパママ、保育士たちの方々の苦労が、ちょっとだけわかったような気がします(^^;)


とかなんとか愚痴ってるわりには、なんかはしゃいでますね。この隣のニヤけた不審者A(33)は。


それでは全体的に薄暗くなっちゃいましたが、見学してきたブツどもを紹介します。

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向かって左から。
・寝起きのジャイアントパン太くん。「寝てばっかりですが」と解説にまで書かれておりました
・いじけ気味のローランドゴリラ。味のあるフェイスです
・アジア象衝撃の入浴シーン。18歳未満観覧禁止
・トラの頭蓋骨

で、『皇帝ペンギン』を観て以来、すっかりペンギン萌えになってしまったわたしが一番注目したのはやはりこの方たち

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向かって一番左は、ハードジェルのCMで一躍有名になったイワトビペンギン。真ん中二枚がオウサマペンギン。みごとなお腹。桜が舞う中ペンギンが泳いだり立ち尽くしてたりする光景は、なかなかにシュールでございました。
右端はすぐそばで売っていたヒナペンギンのぬいぐるみ。(自分の)お土産として衝動的に購入。しめしあわしたわけでもないのに、チビスケたちまでまったく同じものを買っていたのには、ちょっと複雑な心境がいたしやした。

んで科学博物館のほう。

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向かって左から
・魚竜の一種ショニサウルス・シカニエンシス(舌カム)。前長21メートルで、この種のものとしては最大だそうです。
・ゾウの近縁であるアルシノイテリウム。全長4メートル。サイの怪獣といったシルエット。
・T.rexの近縁(たしか)カルカノドントサウルスの頭骨
・昆虫の標本に見入るマメ台風1号・2号


バブルも弾けて久しいこのご時世に、両方とも大人500円、子供タダで入れるのは助かります。お金がないけどどこか行きたいときなんか、いいんじゃないでしょうか。
HPは  上野動物園   http://www.tokyo-zoo.net/
     国立科学博物館 http://www.kahaku.go.jp/

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April 03, 2007

ココログメンテナンスのお知らせ(またかい)

2007年4月3日(火)15:00~4月4日(水)15:00の約24時間、ココログメンテナンスの関係でコメント・TB共に受付られなくなるそうです。どうぞご了承ください

20060530071354←頭を下げてるつもりらしい

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ハイスクール仮面組 谷口悟朗 『コードギアス 反逆のルルーシュ』 解読無能編

20070403082837
深夜作品でありながら異様な盛り上がりを見せているアニメ『コードギアス』。少し前に「入門編」みたいな記事を書きました(http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2007/03/comers_544c.html)が、今回は「中級編」ということで、このアニメがどんなものにインスパイアされて作られたのか、妄想大全開で考えてみます。以下の説に確かな根拠はまったくございません。鼻くそでもほじりながら「もしかしたらそうかもねー」くらいの気持ちでお読みください。

まず一つ目はご存知『DEATH NOTE』。人知を超える特殊能力をゲットした少年が、極めて自分勝手な動機で世界制服に乗り出す・・・というあらすじは、まさしく『デスノート』。契約を交わす相手がグロイ怪物ではなく、緑の髪の美少女というところなど、いかにも今風のアニメですけど。仮面をかぶった状態で死闘を繰り広げるというところも、『デスノ』前半を思い出させます。

二つ目はご存知『機動戦士ガンダム』。「仮面」「復讐」「妹萌え」「ロボ乗り回し」など、ルルーシュには「シャア」を髣髴とさせるようなキーワードが幾つか散りばめられています。「復讐の対象:家臣の一族→モロ自分の家族」「イメージカラー:赤→黒」くらいの違いはありますが。ですから『コードギアス』は、ある意味シャアを主人公とした『ガンダム』ということができるかもしれません。
その場合「クロヴィス→ガルマ」「コーネリア→キシリア」「シュナイゼル→ギレン」「皇帝→公王」「C.C→ララァ」「ギアス能力→ニュータイプ能力」「スザク→アムロ」「ランスロット→ガンダム」「ガウェイン→ジオング」と置き換えることができるでしょう。「偶然再会した旧友が、仇敵となる」という流れは『SEED』からの流用かと思われます。

三つ目。「英国が日本を征服する」という無茶な設定の故、本作には『アーサー王伝説』から取られた名前が、いたるところに出てきます。しかしむしろその世界感は、ギリシャ神話に近いような気がしてなりません。
絶大な力を持ち、人間臭く多様性のあるブリタニア貴族はオリンポスの神々と、彼らにおびえ振り回される無力な「イレブン」たちはギリシャ神話における「人間たち」と重なります。
貴族でありながら(表向きは)イレブンに恩恵を施そうとするルルーシュは、さながら人類に火をもたらして罰せられたプロメテウスがごとき存在。一方ブリタニアとイレブンの中間に位置するスザクは、半神半人であるヘラクレス、あるいはアキレスのような存在と言えるかもしれません。
「父親殺し」が重要なモチーフとされているところも、ギリシャ神話の幾つかのエピソードを想起させます。

さて、「娯楽作品の王道」を突っ走っていたかのような『コードギアス』ですが、先回の記事を書いた直後に、エンターティメントにあるまじきとんでもないことをやらかしてくれました。そして残り二話を残して、ひとまずの放映終了。腹立たしいながらも、続きが非常に気になるところであります。
20070403082707そんなわけでこの物語がこれからどう転がっていくのか、もう一回別記事で考えてみたいと思います。近日公開予定の「未来予定図編(仮)」に、どうぞ期待しないでください。

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April 02, 2007

タイガー&ライオン うしおそうじ・大根仁ほか 『ライオン丸G』

20070402100255今日は深夜に咲いた特撮界の徒花、『ライオン丸G』をご紹介いたします。もう放映終了から三月は経ってるんですけど・・・・

時は近未来。舞台はますます退廃した(ネオ)歌舞伎町。万年最下位のダメダメホスト獅子丸ちゃんは、ある日小汚いホームレスのじいさんから、「キンサチ」という謎の小太刀を授かる。その後ある事情でジャンキーどもに襲われた獅子丸ちゃんは、苦し紛れにその小太刀を抜いた。瞬間、彼は獣頭の超人ライオン丸へと変身。その活躍はいま一人の超人タイガージョーを呼び寄せ、二人は運命に操られるように激闘を繰り返す。

みなさん『怪傑ライオン丸』ってご存知でしょうか? 第二次特撮ブームに製作されたヒーロー時代劇。けっこう人気を博し、『風雲ライオン丸』なる続編も作られました。わたしも再放送で観たことがあります。
で、この『ライオン丸』、舞台を現代に置き換えて普通にリメイクするものかと思いきや、かなり「変」なアレンジがなされておりました。先にも書きましたが、ヒーローがダメホスト、ヒロインがキャバ嬢、ライバルはヤクザの用心棒で、敵はジャンキーとかチンピラそんなのばっかし。そんで主人公の獅子丸ちゃんは正義感というものがかけらもなく、それと知らぬとはいえ悪の組織にパシられてる有様。おまけにいっつも股間をぼりぼり掻いてる・・・・ ライオン丸ってもっとそれなりにマジメな話だったような気がするんですけど・・・・。

どうして『ライオン丸』がなぜこんなハチャメチャコメディにされてしまったのでしょう。たぶん作り手は正面から正義を振りかざすヒーローが、あまり好きではないんじゃないかと →むしろそういうヒーローをおちょくりたい。できればメジャーなやつを →しかしライダーやウルトラではまず間違いなく許可がおりない →そこで権利問題とかうやむやになっていそうな『ライオン丸』に白羽の矢が立った・・・・ こんなとこじゃないでしょうか。一方でみんな忘れてるようなサブキャラの名前を、丁寧に流用しているところなどからは、作り手の『ライオン丸』に対する歪んだ愛情がうかがえます。
あと全体的に70年代リスペクト(全然敬ってないぞ!)的な演出がちらほら。特に『探偵物語』と『傷だらけの天使』。それまで徹底してお気楽だったお話が、終盤来ていきなり・・・・という流れなんか、いかにもそんな感じです。またお話はC調ながら、殺陣のほうはCGを添え物程度にとどめて、非常に迫力のあるアクションを作り出していました。

主演に浪岡一喜くん。涼やかな顔と、『パッチギ!』でのはっちゃけた演技が印象的な俳優です。そういえば彼は『パッチギ!』でも股間のことに悩んでいたなあ。せっかく彼らに親しみが湧いていたのに、わずか十三話で終了してしまったのはまことに残念でした。惜しまれるうちに終っとくというのも、またかっこいいことではありますが。

20061229175749_1そんな『ライオン丸G』は現在DVDがリリース中。『ウルトラ』『ライダー』に関しては新番組が始まるたびに「こんなの○○じゃない!」と言われたりされますが、『ライオン丸G』に関してはあまりそういう声を聞きませんでした。むしろ「これはこれで面白い」という意見がほとんど。この辺にこの「ライオン丸」というキャラの地位が表れている気がいたします(笑)。


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