リベンジレンジ マーク・スティーヴン・ジョンソン 『ゴーストライダー』
♪魔界の闇は 恋の地獄なの
どうだ! 若い人たちは元歌わからんだろ!
マーヴェルヒーロー映画最新作、初日の初回に行ってきました。そんなに早く行くなんてバカ!
原作のレビューはこちら
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2007/02/post_3bbd.html
父とコンビを組んで人気を博す曲芸ライダー、ジョニー・ブレイズ。ある日ジョニ-は父が病魔に侵されていることを知り、苦悩する。そんなジョニーの前に現れたのは、なんとモノホンの悪魔だった。契約と引き換えに、魂を売り渡してしまうジョニー。それから年月が流れ、今や大スターとなったジョニーの前に、再びメフィストが現れた。反逆を企てる息子ブラックハートを倒せと命じるメフィスト。そして、燃えるドクロの黒い騎士が、この地上に舞い降りた。
まずこの発想がすごいですね。幽霊という古式ゆかしい存在と、バイクという近代的発明の融合。なぜバイクなのか? それはバイクが現代の「馬」のだからでしょう。確かアメリカに残る古い怪談の中に、馬を駆る幽霊の話がありました(ブルースブラザーズが歌ってた)。恐らく『ゴーストライダー』の元ネタはそのあたりかと思われます。そういえば『スリーピー・ホロウ(の伝説)』というものもありましたっけ。ただしこちらは首なし騎士ではなく、燃えるガイコツ。そんなぶっとんだアイデアに、ただただ感心するばかりです。
作品から浮かび上がるキーワードは「父と子」および「悪魔との契約」。
アメコミヒーローの誕生には、多くの場合「父親」が深く関っています。この『ゴーストライダー』も例外ではありません。そしてこの映画は「父を救おうとした者」と「父を殺そうとする者」の対決を描いた作品でもあります。そうした構図がなかなかに興味深いですね。
もう一つのキーワード「悪魔との契約」。悪魔の名がメフィストであることから露骨に示されていますが、これが『ファウスト』をモチーフとした作品であることがわかります。最近でも『デスノート』がありましたし、手塚先生も『ファウスト』を三度も書いておりますが、この題材は時を越えて多くの作家を魅了するようです。恐らくこれからどれほど文明が進歩したとしても、この手の怪異譚は手を変え品を変え、ずっと書き続けられていくでしょう。
監督はマーク・スティーヴン・ジョンソン。『デアデビル』の監督でもあったということを聞いたとき、わたしはほぼ確信しました。たぶんこの映画はヴィジュアルではそこそこ頑張るけだろうど、ドラマ部分は薄味だろうと。その通りでした(笑) そんなわけでダメだしをしようとすれば幾らでも出てくるんですが、でもいいんです。十年前出版物として来日し、あっという間に去ってしまったゴーちゃん。そのゴーちゃんが、映画になって帰ってきた! これだけでわたしはおなかいっぱい大満足でした。炎をえんえんと垂れ流して疾走する姿は、脳天がしびれるほどのかっこ良さでしたし。
そして主演はごぞんじ二コラス・ケイジ。芸名もアメコミヒーローから取ったと言われるほどのマンガ好きだそうです。これまでアメコミ映画主演の話が出ては流れ、出ては流れという状況でしたが、ようやく念願かなってヒーローの座を射止めた彼。しかしわたしは劇中のケイジを観て驚愕いたしました。
「け、慶次の髪がフサフサになってる!?」
まず間違いなく「ヅラ」かと思われます。恐らくヅラをつけなければ、変身後と区別がつかなくなってしまうからでしょう。彼の頭頂のテカり具合も、なかなか大したものですから(笑)。しかし『スーパーマン』ではヅラを付けろと言われて拒否し、役を降ろされた(噂)ほどに、ありのままの自分を大切にするケイジ。一体何が彼のヅライド、じゃなくてプライドを捨てさせたのか? 『スーパーマン』のためなら付けられないけど、ゴーちゃんのためなら付けられると? そこまでゴーちゃんのことを愛してたなんて・・・・ ケイジ! おまえってやつは!
でもごめん。やっぱりキミにヒーローは似合わないよ。だってキミ、くどすぎるんだもの。
この画像は先にも話題に出した「幻」の『ゴーストライダー』日本語版3冊。ちょっと前にアマ○ンを観てみたら、一冊5000円の値がついてました。でも誰にもあげないよ~んだ(笑)
Comments
こんばんわ。
≫恐らくヅラをつけなければ、変身後と区別がつかなくなってしまうからでしょう。
プププ・・・大ウケしました。どうやらリアルにかつららしいです。
そういえば、さっきスマスマにニコちゃんが出演してました。
ゴーストライダーもプロモでモト冬樹と会ったそうなんですが、
「ぜひ彼と共演してみたいよ!」「ヅラ刑事という映画に出てみたいよ」
といったことを発言していて、思わず失笑してしまいました。
彼は自分のハゲを自覚しているふしがあります。
Posted by: 睦月 | March 06, 2007 12:11 AM
うは。そちらからお出でいただき恐縮です
>さっきスマスマにニコちゃんが出演してました
しまった・・・・ 観ておくべきでした・・・・
映画でのキレっぷりとは対照的に、なかなか出来た御仁のようで
>彼は自分のハゲを自覚しているふしがあります
「光あるところにハゲがある」という有名な言葉があります
大スターというものは、自分のウィークポイントでさえ、チャームポイントに変えてしまうほどの力があるということでしょうね
ユル・ブリナー、ブルース・ウィリス、ジャン・レノ、竹中直人、西村雅彦、モト冬樹・・・・・ あれ?
Posted by: SGA屋伍一 | March 06, 2007 07:21 AM
トラバさせて頂こうと思いつつ遅くなっちゃいました。
>♪魔界の闇は 恋の地獄なの
フツーに分かりますけど、それが何か?
明快なアメコミヒーローモノのハズなのに、こんなにもお話について行けないなんてバカ!・・・って感じだったんですけど、そんなのどーでもよくなるくらいに、案の定、ゴーちゃんに惚れました。
スリーピー・ホロウの、クリストファー・ウォーケン演じる首なし騎士もかなりステキだったなぁ♪
>ありのままの自分を大切にするケイジ
うん。すっごくイイことだと思う。
先日のプリオさんに引き続き、今回もまたワケもなく嫌ってた俳優さんのカブがグンと上がりました。
しかし、いくらアメコミオタクだからって、『スーパーマン』まで演じたがるのはあまりにあんまりだと思います。
当時の慶次さんがヅライドを捨て切れなくてホント良かった。。。
>誰にもあげないよ~んだ
ちょっとムカつきました(笑)チクショー読みてー
Posted by: kenko | March 06, 2007 02:18 PM
おばんです
>フツーに分かりますけど、それが何か?
いや、その、お若いのに博識ですね!
>スリーピー・ホロウの、クリストファー・ウォーケン演じる首なし騎士もかなりステキだったなぁ♪
そうですか・・・・ ま、好みはひとそれぞれですけど、あの人、首のあるシーンってほんのちょっとでしたよね(笑)
>>ありのままの自分を大切にするケイジ
>うん。すっごくイイことだと思う。
そうですね。薄くても引け目を感じること理由などなにもないんですよね。とはいいながら、自分もバーコード化におびえる今日この頃
ちなみにケイジさん、『アイアンマン』という作品の主演の話もありました。流れたけど。こちらは主人公がパワードスーツを着たチョビヒゲ社長でして、これなんかけっこうケイジはまりそうだなーと思ったんですが
>ちょっとムカつきました(笑)チクショー読みてー
おっと失礼(ニヤリ) ご近所なら持ってって貸して差し上げることもできるんですけど、kenkoさんたしか広島の方でしたよね。きびしいなあ
やはりここは小プロに再販希望のお手紙を!
Posted by: SGA屋伍一 | March 06, 2007 09:22 PM
こちらにも~♪
あーしまったあ!ここに書いてあるのと、同じことを言ってしまいました。
>ヅラの理由
>これだけでわたしはおなかいっぱい大満足でした。炎をえんえんと垂れ流して疾走する姿は、脳天がしびれるほどのかっこ良さでしたし
本当ですよね!私もです!もう、いたるところで、とにかくカッコ良かった。(敵キャラの弱さ以外に)文句のつけようがないほど、私には満足できました。
>父子関係
ジョニー・ブレイズの親子、それから、メフィストの方も親子でしたね。対照的でした。
警察の取調室での出来事が、結構好きでした。
「これが、TVでよくやってる、good cop,bad copか?だけど、キミタチは二人とも、いい人達だ・・・
社会の悪のために、日々頑張っている・・
俺には分かる」
こういう台詞がいいんですよね。
Posted by: とらねこ | August 25, 2007 02:03 AM
>とらねこさま
>ここに書いてあるのと、同じことを言ってしまいました
ふふ、オレ様の読みの方が上だったようだな! っていうか、こっちの方にまでコメントありがとうございます・・・・
>もう、いたるところで、とにかくカッコ良かった
実はそちらの日常日記の方もちょくちょく見させてもらってるんですが(睦月さんのところで見つけました)、あちらのバックは大型バイクにまたがってる、いなせなにーちゃんとねーちゃんでしたね
でかいバイクで「オラオラ!」とぶっとばす野郎にしびれるのかな?
>警察の取調室での出来事
>こういう台詞がいいんですよね
すいません。いま思い出しました(笑) あー、でも確かにいいセリフですよね。警官たちにしてみりゃ「なめんなコラ」と思うだろうけど
そういやケイジの容疑って結局晴れたんだっけ・・・ ま、「そんな細かいこたどうだっていい」というところがアメコミ映画の醍醐味です
Posted by: SGA屋伍一 | August 25, 2007 12:52 PM