コント山本くんと武田くん③ 駿河大乱編 ~大河ドラマ『風林火山』より
武田 「ハルちゃんでーす♪」
山本 「山本勘助でがんす」
武田 「ってかカンスケ、オメくせーよ!!」
山本 「貧乏旅行の最中でござったからな。最後に風呂に入ったのは・・・・ さて、いつでごいしたか? あ、殿、これお土産のミカンと今川焼」
武田 「いらねーよ!! 匂いが染み付いてるうえに発酵してんじゃねーか!」
山本 「せっかくもってきてやったってのに、これだから現代っ子は・・・ ブツブツ。仕方ないでごいす。これは拙者が片付けましょう。ムグムグ」
武田 「うえ。食ってるよ・・・・ それはそうとカンスケ、静岡はどうじゃった?」
山本 「いいところでごいしたなあ。こちらよりも山が少ないし、暖かいし。海の幸もありましたし。あとあちらはサッカーがさかんでしてな。主婦でさえリフティングが100回はできるとか」
武田 「マジかよ!」
山本 「さらにサッカーを盛り上げるべく、領主の義元どの自ら頭をボール状に剃り上げて、『ボールは友達、怖くないよ!』とかおっしゃってましたな。しかし義元どのの母君や、軍師の雪斎どのまでツルツルだったのには正直驚き申した。なんでここまでスキンヘッドにこだわるのでござろう?」
武田 「ふーむ。体毛がなければ、望みを果たしたとてむなしいのにのう」
山本 「・・・・・・」
武田 「すまん、カンスケ。流せ」
山本 「は。それで領主の義元どの。こいつがイヤミたらたらのヤな御仁でごしてのう。ああもう、思い出すだけでも腹が立つ」
武田 「気にするなカンスケ。ああいうタイプは、たぶん才に溺れて自滅する。ちょうど二年チョイ前にそんな例があった」
山本 「は。去年の年明け早々にもありましたな。それで軍師の雪斎どの。この方も負けず劣らずイヤミな方でごしたが、大変渋い、いい声をお持ちでごいした。あるとき兄上と連れ立って歩いておりましたら、『ふっふっふ ヤマモトの諸君』と嬉しそうに挨拶されてましたっけ」
武田 「ふーん。そいで向う、さんざん派手な内部分裂がったんだって?」
山本 「は。そのことで拙者と兄上は敵味方に別れて戦うことにあいなったのでごいす。敵の総大将は、あのテリーでごいした」
武田 「テリー?」
山本 「は。『ぼくはねえ、納得いきませんよ!』と戦場でぺちゃくちゃしゃべってたら、あっという間に囲まれて、命からがら逃げ出しておいででごいした」
武田 「かっこわる」
山本 「それを見た兄上は相当がっくりくきてしまい、『もうわしリタイア』と言い、拙者にこれを(ごとん、とテーブルに置く)くれたんでごいす」
武田 「なにこれ」
山本 「は。兄上のクビでごいす」
武田 「ぶはっ ばばばバカヤロウ! そんなもんここに持ってくるんじゃねーよ!!」
山本 「ああ、そういえば紹介がまだでごいしたな(はらり)。兄上、こちらが武田の若君でごいす」
貞久 「これはこれは武田の若君様。お初にお目にかかります」
武田 「ひいいいいい!! クククククビがしゃべったああああ!!」
貞久 「カンスケ、お前のとこの殿サンは、ちょいと神経が細すぎやせんか?」
山本 「まったくでごいす。ま、お坊ちゃん育ちでごいすからな」
武田 「そういう問題じゃねーだろ! なんで生首が平気な顔してペラペラしゃべってんだよ! お前らおかしいと思わんのか!」
貞久 「いやいや、昔はこういうこと、たまにあったそうですよ」
山本 「そうそう、『雨月物語』なんかに出てるんじゃないでごいすか?」
武田 「へえ、そうなんだ・・・・ ってんなわけあるか!」
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