グエムルヌイユ 嗅覚の怪物 トム・ティクバ 『パフューム ある人殺しの物語』
この『パフューム』というタイトルですけど、なんか空気が抜けていくみたいですよね。ぱふゅ~~~~ん・・・・・
なんか、やる気無くなっちゃったなあ・・・ 今日はもう寝ます。おやすみなさい。
・・・・すいません。やっぱ書きます(←煮え切らない)
まず予告編のコピーが奮ってますね。「18世紀のパリは、臭かった!!」
ああ、こないだ『マリー・アントワネット』やったばかりだというのに・・・ ベルサイユのゴージャスなイメージが、バラバラと崩れ落ちていきます(笑)。
そういや聞いた事あったなあ。かの宮殿には最初トイレっつーもんがなく、みんな催してくるとその辺の植え込みに隠れて好きにぶっ放してたとか。貴族でさえそんなですから、庶民にいたっては推して知るべし。その強烈な悪臭をごまかすために、さらに強力な香水がもてはやされたってんですから・・・・ 「世界一オシャレとか気取ってるわりに、あんたらの感覚ってどっかおかしいよ!」と言ってやりたくもなります。
これはそんな「匂い地獄」の中で、とりわけ優れた嗅覚を持った(うわあ)ある男の物語。
生れ落ちてすぐ魚のアラと一緒に捨てられてしまったその男、ジャン=バティスト・グルヌイユ。彼は長じて世の中が無限の「匂い」に満ちていることを知る。そしてある晩、とうとう彼は至高の「匂い」にめぐり合った。その源は、パリで果物を売る一人のうら若き乙女であった。この出会いをきっかけに、彼は人の「匂い」を香水として保存することに、異常なまでの情熱を傾け始める。
原作は1987年にドイツで出版された幻想小説。この5年ほど前にサイコ・スリラーの草分けとも言える『レッド・ドラゴン』が世に出ているんですが、映画からはその手の小説にありがちなギトギトした雰囲気は感じられません。グルヌイユが凶行に走るのは匂いが欲しいからであって、ほかにもっといい方法があれば、彼は故意に人を殺したりはしなかったでしょう。たぶん。そういうフェティッシュで十分に変態的なんだけど、どこが上品なカラーは、江戸川乱歩のそれを想起させます。また主人公が目標に向かって試行錯誤しながら邁進していく様子や、笑っちゃうくらい大げさな匂いに関する描写は、思い切りブラックな『ミスター味っ子』みたいだったりして。
原作に関しましては十年来のファンという高野正宗様が、下記URLに実に懇切丁寧な記事をお書きになってらっしゃるのですが
http://masamunet.seesaa.net/article/23391128.html
それによりますと、「ぐるぬいゆ」という名にはもともと「カエル」という意味があるんだそうで。
そう、これはお姫様のキスにそっぽを向き続けた哀れなカエルのお話とも言えるかもしれません。
昨今の純愛ブームで、「愛こそ全て」「愛があればなんでもできる」なんてことが色んな映画で叫ばれてますが、このグルヌイユという男、「愛」のつけいる余地が全くありません。この物語だって感動巨編に仕立て上げようと思えば幾らでもそうできると思うんです。ですが、シリアスになったかと思えば要所要所でおバカなギャグが入ったりして、実に当惑させられますし、人を食っております。先の「臭かった!」というコピーを作った方はこの精神がよくわかってらっしゃる。一方でその滑稽さが同時に哀れでもあったり。喜劇と悲劇は紙一重なのかもしれませんね。
終盤にはものごっつい問題シーンもあり。ご家族で観にいくのは絶対におやめください。確実にきまずい雰囲気になります。
ま、あえてこの映画を一言で表すなら、「ええじゃないか」でしょうか。
♪体が臭くて ええじゃないか ええじゃないか
娘を殺めて ええじゃないか ええじゃないか
香りのためなら ええじゃないか ええじゃないか
良くねええええええええ!!
・・・・失礼。
ちなみにわたしがいままでに経験した最も強烈な「匂い」の記憶は、ヘトヘトに疲れきったある時、たまたま通りがかったウナギ屋から漂ってきた、なんともいえない蒲焼の香り。
あれは本当に、一瞬意識を失いかけました。マジで。
そんなわけで一週間くらい絶食してみれば、グルヌイユくんの気持ちがわかるかもしれません。食い物限定ですが。


Comments
グエムルは観てないんですよねぇ~
それにしてもまたまたTB反映されず・・・後でもう一回トライしてみます!
『ミスター味っ子』大好きでした。
味っ子で初めて知ったお料理に関するトリビアとか結構あります。
究極の香りを嗅いだ瞬間、民衆全員が鼻から火を噴いたり怪光線を出したりするのもアリかもしれません。
グルヌイユはカエル・・・そうか!だから最期、ああなっちゃったのか。
おフランス料理の食材では珍しくないですもんね。
それにしてもまさかこの映画が「ええじゃないか」の一言で表すことができるとは、思いもよりませんでした。
さすが!SGAさま!
追伸:お昼前でハラペコなため、うなぎの蒲焼が食べたくなっちゃいました(笑)
Posted by: kenko | March 14, 2007 11:41 AM
こんにちは。
あはは、私のは丁寧というかいつものように長いだけ(笑)
私にとってこれまでで一番強烈だった臭いは…
前の晩にチンして忘れていたほうれん草
「ほうれん草のおひたしって、作るのめんどくさい」(茹でた後、搾るのが)と言ったら、「チンするといいよ」と言われ、早速ビニールに入れて…
そのまま忘れたんです
翌日に開けた時の…
私はその時初めて、「臭いで吐き気をおぼえる」ということが現実にあるのだと知りました。
密閉空間にあったかいものをほっとくと、1日で腐敗臭が…
まそれはともかく。
あの原作をちゃんと映像化したこの映画はすげえと思います(まだ観てないけど)。交渉に時間がかかっただけはあります。
原作はもっと軽妙さの方が強いようなジェットコースター物語なんですが、映画も馬鹿っぽさを残してるんならいいことですね。
ちなみに、ヴェルサイユ宮殿にも居住者用のトイレはありました。
王様のトイレは超豪華な広い部屋で、王様は家臣に見守られて用を足しながら仕事なんかしてました。
大体が、やんごとなき身分の方というのはトイレだろーが着替えだろーが、つまり恥ずかしい姿だろうが裸だろうが、身分の低い人間に見られる分には「恥ずかしい」という感覚がちーともないのだそうです。何故かというと、彼らを人間とはみなしていないから。
このへんのことは鹿島茂さんが、トイレの臭いも絡めてたっぷり書いてくれてます。
椅子型トイレなんてのはヴェルサイユと名のついた展覧会では大抵出てますので、私も見ました。
川越に移築された春日局の屋敷の家光用トイレ(だっけ)も広くて落ち着かないぐらい素敵です(笑)
山田風太郎でもそんな描写ありましたね。育ちのいい姫君というのはお風呂まで人に世話をしてもらうのが当たり前なので裸でいて恥ずかしいという感覚がないと。
私は庶民なんでお見せできません。イヤン(誰も見たくない)
みんなで臭けりゃこわくない。
Posted by: 高野正宗 | March 14, 2007 12:45 PM
てなわけで久々にTB送らせて頂きました。本文中でわざわざご紹介頂きまして有難うございます。最近ブログは放置してるんですけど、そのうち日記からめぼしいもんでも再掲したいと思います。
Posted by: 高野正宗 | March 14, 2007 12:48 PM
こんにちわ。
マリーアントワネットは、あの時代の人では珍しくお風呂に入るお姫様
だったようです。フランスにはそういう習慣がなかったため、花嫁道具
として、彼女は母国からバスタブを持ち込んだんだとか・・・・。
私にとって強烈な匂い・・・・あちらのお返事にも書きましたが、
人の体臭は耐えられません。ワキガ・加齢臭・不潔臭などなど・・。
私はヨーロッパひいきで、海外旅行でもよく行くのですが・・・失礼です
が、あちらの方々の体臭はすごいです。夏なんかは耐えられません。
普通に「オエ・・」っとしてしまいます。
ぶっちゃけてしまえば・・・その人間を材料に作った究極の香水とも
なれば、一体どんな香りがするのだろう?とにわかに顔がひきつって
しまいそうですが・・・・。
ある意味、人間がもっとも惹き付けられる匂いは、人間に他ならない
ということを裏付けているのでしょうかね?
Posted by: 睦月 | March 14, 2007 03:54 PM
>kenkoさま
>それにしてもまたまたTB反映されず・・・
毎度すいません・・・ どうも時間帯によって入りやすいときとそうでないときがあるみたいです。申し訳ありませんです
「彼女を虜にするキス、教えます!」なんてのは入るのにねえ(大きなお世話だよ!) ま、面白いから残しておくか
>『ミスター味っ子』大好きでした。
ぶっとび具合ではアニメの方が上でしたが、料理は漫画の方がうまそうでした
グルヌイユがあちこちから香料をかき集めて我流で作ろうとするところや、ホフマンの背景が一変して美女がキスをするところなんか、まんま『味っ子』の世界でありました
>おフランス料理の食材では珍しくないですもんね。
そうなんだ・・・ わたし食べたことあるけど、なんかパサついた鶏肉みたいでしたねえ(その後ハラ壊した)
>それにしてもまさかこの映画が「ええじゃないか」の一言で表すことができるとは
いや、強引でしたが(汗)、例の問題シーンに限っては本当に「ええじゃないか」を体現していたと思います
Posted by: SGA屋伍一 | March 14, 2007 05:42 PM
>高野正宗さま
記事本当に参考になりました。重ねて御礼申し上げます
>ほうれん草
そんなに匂いそうなものとは思えないんですけどねえ・・・(しかも一日で) とりあえず「油断大敵」ってことですかね
トイレのフォロー(と書くとなんか変な感じだな)ありがとうございます。お勉強になります
>王様のトイレは超豪華な広い部屋
それはちょっと気持ち良さそうだ・・・ 誰も見ていなければ。つーか見てる方も大概きついですよね(^^;)
>山田風太郎でもそんな描写ありましたね
たしか『柳生忍法帖』。こないだ『Y十M』でそこやってたんで覚えてました
>私は庶民なんでお見せできません。イヤン(誰も見たくない)
・・・・どう答えてもセクハラもしくは失礼になりそうな。スルー(じゃコピーすんな!)
できれば今日中にでも『興味と妄想』の方に伺いますんで、よろしく
Posted by: SGA屋伍一 | March 14, 2007 05:57 PM
>睦月様
こんばんはです
>フランスにはそういう習慣がなかった
ますます「フランス=世界一オシャレ」の定説が怪しくなってまいりました・・・・ ま、日本ほど頻繁にお風呂に入る国ってのも、珍しいようですが
ちなみに当時のロシアでも焼き石を利用したサウナが専らで、湯壷に入ることはほとんどなかったそうです
>人の体臭は耐えられません。ワキガ・加齢臭・不潔臭などなど・・。
ですか。わたしカレー臭は大好きですけど(自爆)
>あちらの方々の体臭はすごいです
してみると、例の問題シーンの撮影現場なんか相当すごいことになってたんじゃないでしょうか・・・・
日本人の体臭が薄いのか? それともよく風呂に入るから匂わないのか? 肉食なんかも大いに関係ありそうな気がします
>その人間を材料に作った究極の香水とも
なれば、一体どんな香りがするのだろう?とにわかに顔がひきつって
しまいそうですが・・・・。
むむむ(笑) きれいなお姉さんってのは大抵いい香りがするので、映画の発想はわたしにとっては大変納得のいくものだったんですけど(幻想か?)
そういえばこないだ抱っこした三歳のチビスケくんからは、ほんわか落ち着くような、いい匂いがしましたよ
>人間がもっとも惹き付けられる匂いは、人間に他ならない
それがこの物語の主題でしょうね。なぜ自分がその「匂い」を追い求め続けたのか・・・・ その理由に気づいたとき、グルヌイユは絶望しちゃったんだと思います
Posted by: SGA屋伍一 | March 14, 2007 06:18 PM
TB&コメントありがとうございました。
送れませんよ、こちらから。何度やっても上手くいきません。ココログ同士なのに。24時間メンテナンスの意味が丸でないではないかいな。
私は、もっともっと《嫌悪感》に満ち満ちた香りが漂う作品かと思っていたのですが。意外と無臭な印象を受けました。
余り好きにはなれなかったのですが、先週見た『ナイト・ミュージアム』よりは鮮明に記憶に残っております。記憶にも残らない作品って、あるんですね。
Posted by: 隣の評論家 | April 04, 2007 11:57 PM
>隣の評論家さま
TBの件すいません。うちは特に規制とかしてないんですが、なぜなんでしょうねえ。しょうもない広告のTBとはスルッと届くのになあ
>意外と無臭な印象を受けました。
ま、主人公が無臭の人ですし(笑) やはり画面にいくら近づいても、匂いは漂ってきませんので、その辺想像力が求められますね。普段香水を使ってる女性の方々なら、もっと具体的に色々考えられると思うんですが。自分が一番「ピーン!」と来たのはやっぱ冒頭の魚河岸のあたりかなあ
>記憶にも残らない作品
自分は骨格標本とか博物館とか好きなので『ナイトミュージアム』も楽しめましたが
まあ基本的に予定調和で「めでたしめでたし」という話は、「スカッ」と忘れられやすいですかね。最近で言うと『どろろ』とか
Posted by: SGA屋伍一 | April 05, 2007 08:15 AM
SGA屋伍一さん、こんばんは^^
うーんmm・・・おかしいな、TBが反映されないのですが・・
ま、気を取り直して。
ウナギ食べたくなってしまいましたよ~(+_+)
ところで、そうですね、確かに、18世紀のパリの臭かった、という話。
お風呂に入れないから、モーツァルトのような、白いカツラをつけていたんだとか、それにさらに、フケを誤魔化すために、白い粉を頭にかけていたんだそうです。
でもここでもどなたかが言ってましたっけ?この当時に香水が大流行したらしいですよね。
まあ、どこでも日本でも、昔はそれほど皆がお風呂にしょっちゅう入っていなかったにしろ、体臭を誤魔化すための香水って、本当、臭そうですよね・・・オエエ。
Posted by: とらねこ | April 14, 2007 12:56 AM
おはようございます
TB、どうなってるのでしょう。管理画面見ても届いてないみたいだし・・・
まことに申し訳ございません
>ウナギ食べたくなってしまいましたよ~(+_+)
シンパシー(笑) 食べ物の匂いもいろいろありますけど、わたしはやっぱりこれが一番脳髄にキますね
>フケを誤魔化すために、白い粉を頭にかけていたんだそうです
涙ぐましいカモフラージュだ・・・ 何かで「誤魔化す」ってむしろ日本的な発想のような気がするんですが。匂いにしてもなんにしてもその場しのぎではなく、元から断たないといかんですよね
わたしがやってることといえば、「なるべく腐らせない・食べ残さない」→「生ゴミ減少」くらいですけんど
>体臭を誤魔化すための香水って、本当、臭そうですよね・・
実際あんな匂い地獄のなかでグルヌイユ君のような超人的嗅覚を持っていたら、それこそ「嗅ぎ死に」してしまうんでは、と思います
Posted by: SGA屋伍一 | April 14, 2007 10:57 AM
…というわけで(何がだ)。
映画の方、やっとレビューしましたんで、TB送らせて頂きます。
うまくいってなかったら再送します。
ちなみに我が家の台所はまだ、昨夜のカレーの匂いがちょっとします。
Posted by: 高野正宗 | May 11, 2007 10:50 AM
復活おめでとうございます(笑)
TBなぜか非公開の状態で届いてたので解除しときました
なんだかんだで、「インパクト」という点ではすげえ映画だったと思います(もちろん原作の力あってのことでしょうけど)。二ヶ月以上たった今でも、重要シーンは鮮明に覚えてますし(あそこだけじゃなくて)
Posted by: SGA屋伍一 | May 11, 2007 07:44 PM
こんばんはー☆
コメントありがとうございました。
気を失いかけた蒲焼きの香りっていうのは『香り』っていうだけあって
良い香りだったわけですよね(笑)
いい香りならいいけど、世の中臭いニオイが多いですぅ。
(鼻良いわたし談 笑)
この映画観てから、原作も読みましたけど映画の方が好きでした☆
Posted by: mig | September 05, 2007 11:24 PM
>migさま
migさんは絶対嗅覚の持ち主なんですね。それじゃ夏場はきつかったかもしれませんね・・・
でもそれだけ鼻が鋭ければ、「うっかり腐ったものを食べて食中毒」なんてことはまずないんじゃないでしょうか
>世の中臭いニオイが多いですぅ
言われてみれば。夏場の運動部の部室なんて、それはもう、素敵な匂いがするそうですけど・・・
自分もなるたけギャッツビーやマンダムを切らさないようにしたいものです
Posted by: SGA屋伍一 | September 06, 2007 07:58 AM