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February 19, 2007

サーガ・オブ・スワガー スティーブン・ハンター 「ボブ・リー・スワガーシリーズ」

20070219174716久しぶりに海外ミステリーやってみます。蔵出しものですが。スティーブン・ハンターの手による冒険小説の金字塔、「ボブ・リー・スワガー」4部作。まずは第一作『極大射程』のあらすじから。

かつてベトナムで名を馳せ、今は片田舎でハンターをやっているすご腕のスナイパー、ボブ。ある日彼の家にその腕を見こんで、新開発された銃の試射を頼みたい、という男がやって来る。なんとなく引き受けてしまったボブだったが、それは彼を陰謀に引きずり込むべく準備された、巧妙な罠の入り口であった。全米からテロリストとして指名手配されてしまうボブ。しかし巨悪たちは知らなかった。彼らがアメリカで最も危険な男を敵に回したということを。

その印象を一言でいうならば、スナイパー版「ランボー」という感じ。ただ肉体で押しまくるランボーと違い、ボブはなかなかの頭脳派でもあります。よく練られた構成と伏線。その背後に流れる男の誇りと友情。そして圧倒的に不利な状況をひとつ、またひとつと覆していく爽快感。まさしくエンターテイメントのお手本のような小説です。

続けて行きます。第二作は『ダーティ・ホワイト・ボーイズ』。こちらは雪山を舞台に、ファンキーな脱獄囚ラマー・パイと、不倫に悩む中年保安官バドの息詰まる追跡劇が描かれます。ラマーとその仲間たちはまるで名画『俺たちに明日はない』の、ボニー&クライドのよう。かなり明るいですけど(笑)。入り組んだ作りの前作に比べ、筆力のみでぐいぐいと押し流していくような、直球タイプのお話です。こちらはこちらで面白いんですが、これだけだと『極大射程』とどういう関わりがあるのかさっぱりわかりません。しかしその疑問は第三作『ブラック・ライト』を読むと解けます。

『ブラック・ライト』はこんな始まり。『極大』でのごたごたを片付けたボブのところへ、またしても風変わりな客がやってくる。彼の名はラス。実は『ダーティ~』の主人公の片割れ、バドの息子。ジャーナリストを志すラスは、自分の父が関ったラマーと、その父を殺したボブの父アール(ああ、ややこしい)に深い関心を抱いており、アールの話を聞かせてほしいとボブに頼む。最初はそっけなく断ったボブだったが、ラスの純粋さに心を動かされ、一緒に父の謎について調べることに。するとまたしても(笑)、巨大な陰謀に巻き込まれていき・・・
こちらは第一作と同じスタイル。緻密なプロットと胸のすくアクション。三組の親子を巡る錯綜した運命。そして物語の最後にはタイトルを越えたどんでん返しと感動が待っています。

シリーズはさらに完結編『狩りのとき』へと続きますが、「すご腕とはいえ一兵卒にすぎないボブさんが、なんでこうも色々な陰謀に関ってしまうのか」という金田一少年的な疑問もあり、個人的に「これは別になくても良かったんじゃないかなあ」と思ってます。ただ『極大~』でうやむやに終ったベトナム時代のライバルとの決着も描かれており、ボブさんのその後が気になる方は読んでおいて損はないかも。

ハンター氏はその後ボブ父・アールを主人公にした作品も三篇書いておられます。いまのところ邦訳はここまで止まってるようで、その後どうなってるのかは英語苦手なワタクシにはよくわかりません。すいません。
『極大射程』のみ新潮文庫、他は扶桑社ミステリー文庫より出てます。『ダーティ~』のみ一冊で他はすべて上下本。さきほどアマゾンで調べてみたらまだ普通に取り扱ってました。

20070219174644さて、かれこれ8年ほど前わたしが手にした『極大射程』の帯には「キアヌ・リーブス主演で映画化!」とデカデカと書かれてました。この話は一度流れてしまったようですが(笑)、この度違う企画スタッフで、『Shooter』というタイトルで夏ごろに公開されるとのこと。ずいぶんかかりましたね・・・・ キアヌもウォルバーグもボブにはまだ若いとは思いますけど、とりあえず楽しみに待ちたいと思います。

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Comments

“サーガ of SGA”
こんばんは、SGAさん♪
映画の方は、実は以前に読ませていただいていましたが、私はベタ褒めしてしまったので、申し訳なく思ってTBせずにモジmojiしてましたっ。
こちらの方、今年の2月にすでにUPされてたんですね~!
ボブ・リー・スワガーシリーズは、こんなにたくさんある人気シリーズだったのですね!
これ読む限りだと、続編もどんどん面白くなりそうですね~!
色々な事件の陰謀に巻き込まれていくのは不思議ですが(笑)、
ちゃんと一人の物語としても、整合性が取れているのっていいですね。
キアヌが主演と帯に書かれていた、ってとこで笑ってしまいました!
ハハっ★随分と時間かかっちゃったんですね、これ。
監督やキャスティングなんかも二転三転したのでしょうか^^
キアヌは好きじゃないので(おおっと、ハッキリ言ってしまいました!)、彼が主役にならず、良かったです~♪

Posted by: とらねこ | July 12, 2007 at 04:58 PM

>とらねこ様

実は映画記事、一生懸命クサさないように書いたつもりだったんですが・・・ 読み返してみると、文章の端々にイヤミっぽいものが感じられますね(笑) モジmojiさせてしまってすいません

このシリーズは特に三作目(というか、二作目ではボブの名前ってたった一行しか出てこないんですが)のラストシーンがとにかく感慨深くって、映画を見た人たちにもぜひそれを味わってほしいんですよねー
そのために文庫本五冊読まなきゃならないというのが、チトしんどいとは思いますが
基本的に深いテーマとかはない、「娯楽小説」の王道をいくシリーズです

>キアヌは好きじゃないので

なぜ? あまりにも顔が青白いから? 『スピード2』に出なかったから?
あと彼の名前、うっかり「毛穴リーブス」って言っちゃったりしません?(←しねーよ)

Posted by: SGA屋伍一 | July 13, 2007 at 08:29 AM

こんばんは!
本の方にもTB&コメント頂きありがとうございました。

全然関係ないのですが、今『処刑者たち』という本の感想を書いているのですが、イマイチだったのですが、根性で読んだのですが・・・・・
『キアヌ・リーブスで映画化予定』と書いてあったんです!!!
何でいつもキアヌなの~~~?(笑)
もしかして、この話も8年くらいかかるかもねぇ~

私はまず『狩りのとき』を読もうとそばに置いてあったのですが、順番が違ったようですね。
いつになるか分かりませんが、順番に読もうっと!

Posted by: 由香 | September 21, 2007 at 11:57 PM

>由香さま

素早いお返しありがとうございます

>何でいつもキアヌなの~~~?(笑)

なんででしょう(笑) フィルモグラフィーを見てみましたけど、そんなにリアルな「殺し屋」役やってないですよね。多いのはむしろ別世界からお誘いが来るような役(^^;)

>順番に読もうっと!

それがいいです! 邦訳は2→3→1→4という順番で出たため、怒っていた読者がけっこういました

Posted by: SGA屋伍一 | September 22, 2007 at 07:40 AM

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Tracked on September 21, 2007 at 11:51 PM

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