ライセンスはマーダー? マーティン・キャンベル 『007 カジノ・ロワイヤル』
我らのヒーロー、007が帰ってきた! あれ? でも顔違くない?な『カジノ・ロワイヤル』です。
実力はあるけど無茶も多い若きスパイ、ジェームス・ボンド。晴れて?殺しの称号「ダブルオー」を授けられた彼の最初の任務は、謎多き商人、ル・シッフルの調査。シッフルが多くのテロ組織を援助していることを知った英国情報部は、カジノでメッタメタに負けさせることによって彼を破産させることを計画。007はその刺客として選ばれ、盤上でシッフルと激しく火花を散らす。
最近は原作が尽きてしまったため、ずっと他の人が書いた話を映画化してましたが、今回は久々にイアン・フレミング作品を映画化。この作品、かなり前にも一度映画になってまして、深夜にチラッとみかけたことありますけど、なんかやけにバカっぽそうな印象でした。
ところが今回の007はバカ的要素がかなり排されています。以前別の記事で「スパイがあんなに目だっていいものか」と書きましたけど、しょっぱなからボンドが「目だちすぎだ! バカ!」と怒られたりしてます。主人公の007はまだ「若い」ということで、「紳士」というより「熱血刑事」という印象。ただ主演のダニエル・クレイグ氏、ブロスナンより顔が老けて見えるのはどうしたもんでしょう。
さらにこれまで「手当たり次第」だったボンドさんが、女性に接するのは必要最小限だったり、いつものオモチャみたいな珍兵器がなかったり、例のアストン・マーチンがただの立派な車だったり・・・とこれまでのボンドに馴染んでしまった方には、やや違和感あるかも。しかし『M:ⅰ』世代にはむしろウケそうな気がします。
アクションもがんばってますけど、『カジノ・ロワイヤル』のメインは心理戦。これなかなかに大胆な構成です。どうやったらカードで相手に勝てるのか? どうやったら相手の心を読むことが出来るのか? どこまで役に立つかは謎ですが、ボンドとシッフルの対決を通してギャンブルの極意を教えてくれます。銃弾も血しぶきも飛びませんけど、なかなかに手に汗握られました。
難点を二つ。「アクションもがんばってる」と書きました。確かに冒頭のそれはすんごい。まるでリアル・スーパーマリオです。ただそれらが前半に片寄りすぎてまして。もうちょっと全体に配分した方が良かったんでは?と思いました。もう一つは終盤で各勢力の動向が錯綜しすぎてよくわからなくなってしまう点。単にあっしの集中力が足りなかったんだろうか?
なかなか楽しませていただきました新生007。ただここまで変えてしまうのであれば、いっそのこと「003」とか「006」の話でも良かったのでは? ほんで続編でこれまで通りの「007」と共演したりさせれば面白い気がします。ずーっと疑問に思ってるんですよ。他の「ダブルオー」ナンバーって何やってんだろ?というのが(『ゴールデン・アイ』では一名出てきましたが)。たまには協力しあってもいいんじゃないの? あるいは連中はすごく仲が悪いのかもしれませんが。
Comments
イエーイってwwwやだもう
バカっぽい方のカジノロワイヤルも最近観てみました。
ストーリーとか正直どうでもいいんだけど、音楽や美術やキュートなボンドガール達やらがステキでけっこう楽しめました♪
そういや私も終盤よく分かんなくなってたかも。しかしそれもこれも、ラストのボンドの決めゼリフで帳消しになっちゃった。終わり良ければすべて良し?
確かに1~6の人及び8以降の人は何やってんでしょうね?バカっぽい方のカジノロワイヤルでは、007が何人も出てきてましたが・・・
Posted by: kenko | January 10, 2007 11:50 AM
イエーイ(←バカ)
お返事ありがとうございます
>バカっぽい方のカジノロワイヤル
これ、けっこう評判いいんですよね。映画秘宝で前にやったオールタイムベスト(マニアックw)で、いいとこに食い込んでました
ただ解説読むと「既に引退した007に・・・」 あれ?
>終わり良ければすべて良し?
まあ要するに「一つの愛が終って、007は始まる」(予告のコピー)ということですよね。予告編でラストばらしてどーすんだ、と思いましたけど
>バカっぽい方のカジノロワイヤルでは、007が何人も出てきてましたが・・・
なんか強烈に観たくなってきました(笑) また地上波でやってくれんかなー
Posted by: SGA屋伍一 | January 10, 2007 01:34 PM
こんばんは
ダニエルボンド以前の007にはまったく興味がないのですが
「バカっぽいカジノロワイヤル」は俄然観たくなってきましたよ。
同じストーリーで,バカっぽいって・・・??演出と役者でどういう風にでもなるのね~
ダニエルは確かに,007に就任したばかりのはずなのに
まるで引退後に再就職したかのような老けオーラが・・・
・・・・「まだ未熟」って感じは希薄でした。
でも,あの「オッサンが青筋立てて頑張ってる」という感じが
従来の「バカっぽい?」007に比べると新鮮だったのでしょうか?
この「カジノ」さん,私も確かに終盤は話に置いてけぼりになりかけましたが
「慰め」のわかりにくさに比べたら,まだこちらはわかりやすかったなぁ・・・・。
Posted by: なな | February 12, 2009 10:26 PM
>ななさま
こんばんは! お返しありがとうございます
ちょっとウィキペディアで調べてみたんですが、最初に作られた劇場版『カジノ・ロワイヤル』は
「原作から別次元に逸脱した奇想天外なドタバタパロディ作品として作られている。ストーリーはもはや筋の通ったものとして理解することは困難なほど破綻しており、最初から最後までギャグとジョークと人を食った展開が連発されるナンセンスものの怪作である。」
だそうです。まあこれはこれでカルト的に人気を博し、『オースティン・パワーズ』にも影響を与えたとか
ちなみに1967年の作品だそうです
で、クレイグさんはこの映画を演じた時37歳だったそうです。意外に若い(笑) ってか、わたしとそんなに変わらない(爆)
下積みの苦労がもろに外見に出ちゃったんでしょうかね~
『慰め』もいろいろわかりづらいところはありましたね。だから「とりあえずボンドは復讐したいんだな! あれもこれも全てそのための行動なんだな! そんで戦ってる相手はぜんぶ悪いヤツラなんだ!」と自分に言い聞かせながら見てましたー(バカ)
Posted by: SGA屋伍一 | February 13, 2009 06:05 PM