ふりだしに戻れる 筒井康隆・細田守 『時をかける少女』
昨年夏に好評を博したミニシアター系アニメ。暮れに遅れてこっちに回ってきたので、ようやく見ることが出来ました。
紺野真琴は、概ね平均的で元気だけは人一倍の女子高生。放課後親友の千昭(ガキっぽい)と功介(オヤジっぽい)と三人で野球をするのが楽しみのひとつ。ある日理科室で奇妙な物体と衝突した真琴は、自由に時間を巻き戻せる能力・・・タイムリープを身に付けてしまう。妹に取られたプリンを確保したり、カラオケ百曲歌ったりしてタイムリープの特権を堪能する真琴。しかし彼女はやがてその能力をもってしてもどうにもならない事態に直面してしまう。
原作は筒井康隆のジュブナイル。あのエログロハチャメチャの筒井先生が、なんか悪いもんでも食ったのかと思うくらい、まっとうでさわやかな青春小説となっていました。今回の映画はこのオリジナルの後日談兼カバーヴァージョンのような位置づけ。原点の主人公である芳山和子も、主人公の叔母役で登場。劇中でちらりと映る昔の写真を見ますと、原田知世ではなくNHKのSFドラマシリーズを参考にしたのでは・・・と思いますが、両方未見なんで確かなことは言えません。
昨年夏、色んなところで「これにくらべれば、『ゲド戦記』なんて××××」という意見をよく目にしました。『ゲド』びいきのわたしは「そんなにいいもんですかねええええ」とアラ探しをするつもりで劇場に行ったんですが、ううむ、聞きしに勝る傑作でした。
大人への途上にある少女が経験する、ひと夏のまぶしい思い出・・・ こういう話ってつらいですね。なんでかってえと、出来が良ければ良いほど、切なくなったり、羨ましくなったり、淋しくなったりするからです。最近の例で言うと大友版『メトロポリス』とか。三十越したオッサンが情けない話ではありますが。
ふと思ったことを一つ。マコちんが時間を移動する際、イメージだろうと思われますが、フィルムが背景を川のようにうねって流れていくシーンがあります。考えてみればわたしたちは既にヴィデオの中だけなら、ある程度時間を捜査することができるわけです。これをうまく発展させることが出来れば、時間旅行もあながち不可能ではない・・・かな? 無理・・・かな?
あと時折インサートされる学校の何気ない情景・・・図書館や、誰もいない教室など・・・がなんでか印象に残りました。学校の記憶というのは、多くのひとにとってそれこそ「時の止まった場所」なのかもしれませんね。
恐らく偶然かぶってしまったんでしょうけど、昨年放送していたテレビアニメ『ゼーガペイン』と共通する要素もちらほらあります。もしかすると『ゼーガ』の主人公の名が「ソゴルくん」なのはそういう事情だからなんでしょうか。 『時かけ』ファンの人は気が向いたら『ゼーガ』の方も是非見てみてください。
いつにも増してまとまりの無いレビューとなりました。最後にも一つどうでもいいことを。「人気を博した」と聞いていた割に、わたしが行ったときは客は他に一人だけ(地方・・・)。てっきり同類のオタクくんかと思っていたら、上映終了後うら若い女性であることがわかり、わけもなく動揺しました。ついそそくさと小屋を出てきてしまったのですが、今にして思えば勇気出してお茶にでも誘えばよかったかなあ。でもやっぱり声をかけなくて正解だったんだろうな。うん。
こういう時タイムリープできれば便利なのになあ(意気地なし!)
Comments
声かけちゃえばよかったのにぃぃぃ
『時かけ』観たかったなぁ!
そういや先日『パプリカ』を観に行った時、観終わって立ち上がってみると、一人で観にきている男性数名の中女子は私一人だったのでした。
人妻でごめんなさい・・・ってSGAさんに誤ってもしょうがないか。うら若くもないし?
Posted by: kenko | January 10, 2007 12:07 PM
>声かけちゃえばよかったのにぃぃぃ
そうですね。惜しいことをしました
せめてもう少し心の準備が出来ていれば・・・・
>『時かけ』『パプリカ』
同じ筒井原作でありながら、かなりかけ離れているような・・ そこはかとない共通点でも探してみようかと思ってます
>一人で観にきている男性数名の中女子は私一人だったのでした。
もしかすっと何人かは「声かけようかなあ」と思ってたかもしれませんよ。まあオタク男子は総じてシャイなんで、大抵「思うだけ」止まりですが。意気地なし!
Posted by: SGA屋伍一 | January 10, 2007 01:38 PM
こんばんは!
TB&コメントありがとうございました^^・
今日もこちらのTBの調子が悪く・・・ヤケを起こしてシュレック3にもTBチャレンジしましたら・・・何と同時に送れたようです!!
何だか嬉しい♪やってやったぞ~~~気分です。
この後、先日失敗したハリポタにもお邪魔してみます。ふふふ・・・
真琴の親友が一人はガキっぽく、一人はオヤジっぽい・・・これって女性の憧れなんですね~
二人足して二で割ったような男性が理想なんですよん。でもそれじゃーツマラナイ。二人いるからこそ『どっちにしよう・・・』と鑑賞しながら悩む!!それがこの映画の楽しみの一つです(笑)
その際、自分の年令、容姿は全く無視で・爆
Posted by: 由香 | July 27, 2007 11:24 PM
>由香さま
いやー、何度も手間かけさせちゃってすいません(^^;)
業者のしょうもないトラックバックはすんなり入ってきたりするんですが・・・
>一人はガキっぽく、一人はオヤジっぽい・・・これって女性の憧れなんですね~
あーなんかわかる気がしますね。男が主人公のラブコメでも、対照的な二人の女性の間でゆーらゆーらしてる話多いですから(例:『みゆき』『気まぐれオレンジロード』)
>『どっちにしよう・・・』と鑑賞しながら悩む!!
まあマコちんの場合は、途中からオヤジくんはどうでもよくなってしまったようですが(笑) 将来性でも包容力でもコースケの方が上だと思うんだがなあ
Posted by: SGA屋伍一 | July 28, 2007 07:30 AM
SGAさんこんばんわ♪TB&コメント有難うございました♪
そいえばこの頃もう1つの劇場大作アニメとしてゲドもありましたね~。比べるのもおこがましい限りではありますけど、そのゲドじゃなく本作を観てれば良かったと今更ながらの後悔です(^^;)
それにしても勿体無いです・・。出会いと言うのはどこで起きるか分からないので、2人だけだったのなら『時かけ面白かったですね~♪あ、もしかして今お暇ですか?どこかでお茶でもしながらこの映画について・・・』とか無茶ぶりしてでも声を掛けた方が良かったのでは?(笑
自分も『トランスフォーマー』観てた時に、暗転した劇場で必死に席を探してた女性へ席場所を教えてあげて、そんでもって上映が終了した時にその女性の方が『さっきは有難うございました♪』ってわざわざ向こうからお礼を言いに来た時に『いえいえっ』なんて言わず、『いえいえ♪あ、そうだ。この後お暇ですか?』なんて出会いフラグを立てて置けば良かったとすんげー後悔してますからww
※映画館での忘れられないエピソードその1
Posted by: メビウス | January 28, 2009 08:23 PM
>メビウスさま
こんばんは! お返しありがとうございます
>比べるのもおこがましい限りではありますけど、そのゲドじゃなく本作を観てれば良かったと今更ながらの後悔です(^^;)
あなたはたったいま、ゲドびいきのわたしを敵に回した(笑)
糸井重里さんくらう?
いやー、わたしはあれもそれなりにいい映画だと思うんですけどねー
そう言う人、かなり少ないですけど
実はこの話をその後二人の女性に話したのですが、二人とも
「そういうシチュエーションで声かけられたら、絶対にひく」
と言ってました
声かけなくて正解でした! あぶねえあぶねえ
ただメビウスさんの場合は向こうから声かけてきたんだから、十分脈があったと思うよ~ もったいなかったですねえ
まあ急にチャンスがめぐってくる時って、大概心の準備が出来てなかったりするもんですよね(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | January 28, 2009 09:06 PM