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January 24, 2007

名探偵は今日も寝たきり 畠中恵 『ぬしさまへ』

20070124184713またしても日本ファンタジーノベル関連ですが、病弱の若ダンナ一太郎を主人公とする『しゃばけ』シリーズ第二弾。第一弾のレビューはこちら↓
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2006/08/post_ad56.html

江戸有数の商家の若だんな・一太郎は、生まれついての虚弱体質。何かあるとすぐ眩暈をおこし、数日寝込む有様。そんな一太郎だったが、他の人間にはないある特別な力を持っていた。家や野に住む多くの妖怪変化と言葉を交わすことができるのだ。そんな若だんなの周りでは何かと事件が絶えない。なぜか慕ってくる妖怪たちの助けを借りて、一太郎は布団の中で推理を巡らせる。

一作目『しゃばけ』は長編でしたけど、こちらは六つの短編からなる構成。直球・変化球織り交ぜて収録されています。
直球タイプの短編はこんな感じ。まず一太郎の近辺で人死にが出る。関った人を助けようと何とか真相をつかもうとする一太郎ですが、万年体調不良のため、ろくろく布団からでることもままならない。そんな時役に立つのが配下の?妖怪たち。彼らを密偵代わりに寝ながらにして調査を開始します。ところがこの妖怪たちが慌てん坊の上、人間と感覚がずれてるもんだから、報告の内容がてんでばらばら(笑)。しかしそこは名探偵、ちぐはぐに思える情報を冷静に分析して、そのウラに隠された真実をズバッと見つけ出します。
こうした普通のミステリの楽しみもある一方で、「なぜ彼女はこんなに字が下手なのに、気にせず恋文を出したのか」「なぜ殺された老人は庭に毒のある植物ばかり植えていたのか」という一風変った謎も提供されていて、まことにサービスに富んでおります。

変化球タイプの方はレギュラーメンバーの過去にまつわるお話や、一太郎が誰かの夢の中?に迷い込むお話など。わたしが一番印象に残ったのが、この中の「空のビードロ」という話。
一太郎とは対照的に、幼い頃より人から冷たくされてきたある青年が主人公。彼の奉公先でおかみの飼い猫が殺されるという事件が起き、青年はその犯人ではないかと疑われる。彼の窮地を救ってくれたのは、主人の一人娘だった。思いもかけない親切に心和む青年でしたが・・・・
「猫がたくさん殺される」という猫好きとしてはちょっと許し難い内容の上、本シリーズのウリである妖怪が全く出てこないのがアレですが、最後の数ページには思わず「泣かせんじゃねえよ、バーロィ」と言わされてしまいました。

どの話にも深い人情・優しさが感じられます。しかし単なる「いい話」ではなく、人の残酷さ・運命の非情さなどについても必ず触れられています。それがかえって人情のありがたさを際立たせているんですね。まったくもって心憎い。
『しゃばけ』シリーズは現在単行本が五冊、文庫版が三冊刊行されています(新潮社より)。先日番外編となる絵本『みいつけた』も出版されました。これがまた狙いすましたような可愛らしさです。

20070124185443最後に、一つ豆知識。本シリーズの重要キャラクターに「犬神」「白沢」なる妖怪が出てまいります。犬神はともかく白沢ってあんまり聞かないので調べてみましたら・・・・ こんなんでした↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%99%BD%E6%BE%A4

イケメンの 正体見たり 牛男


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