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January 17, 2007

サムライの1%は誇りで出来ています 山田洋次 『武士の一分』

20070117174318藤沢周平の小説を山田洋次がアレンジした「がんす」三部作(あるいは「ありましめえ」三部作)の完結編。現在続映中でがんす。主人公は東北のある藩に勤める三村新之丞なる下級武士。殿の毒見役という無意味としか思えない役職に嫌気がさしてはいるが、美しい妻と幸せな家庭を営んでいた。しかしある日、新之丞はお役目で大当たりというか大ハズレをひいてしまい、生死の境をさまようことに。なんとか一命は取り留めたものの、失明してしまう。落胆する新之丞。だが、本当の地獄はその先に待っていた。

主演はご存知SMAPの木村兄貴ことキム兄(同い年だが)。ファンの方には申し訳ないけれど、清兵衛、マイク(役名忘れた)と比べると、若いせいもあって一番弱そう。そんな彼に三作品中もっとも苛酷な試練が降りかかります。そういうわけで『清兵衛』『隠し剣』よりもやや重苦しいムード。しかしそこは山田洋次作品なので、息抜きのようなユーモアも随所にあります。特に桃井かおり。この人も一回寅さんのマドンナやってますね(第23作 翔んでる寅次郎)。時の流れは悲しいでがんす。

まず「がんす」三部作の共通点を。これは「寅さん」にも言えることですが、男どもがそろって愛情表現が不器用というところ。彼らは逆立ちしたって「愛してる!」「好きだ!」なんて言わないでしょう。せいぜい思い切りがんばって「嫁コさ来てくんろー」くらい。新之丞も家庭が壊れそうというとき、「お前なしでは生きて行けないでがんす!」とか言えばいいのに、言わない(言えない)。
ただ、直接言わないからこそ、愛情が誠実に相手に伝わる場合もあります。それは優しい気遣いの言葉だったり、何気ない配慮だったり、心をこめて作った何かだったり。世は純愛ブームの花盛りですが、「愛してる!」の言葉よりも、もっと大事なことがあるんでないでがんすか? そういうことを教えられた気がします。

一方、『武士の一分』で特に印象に残ったのは、「ごはん」というものの奥深さ。たまたま例のウィルスが大流行したせいで世間とシンクロしてしまいましたが、ごはんは時として人の命をも縮めかねません。しかし人を救うのも、やはりごはんなわけです。ご覧になった方にはわかっていただけると思うのでがんすが。

さて、主演のキム兄、当初はあの「ギロッ」とした目で盲人を演じられるのかと不安に思ってましたが、素人目にはなかなか危なっかしい、いい演技をしているように見えました。対する悪代官(違)は坂東三津五郎氏。この方は昨年大河ドラマでとても気の毒な役を演じておられたので、憎めなくて困りました。
脇で光ったのは中間役のおじさん。前二作では中間はその他大勢というか、あんまり大したポジションではありませんが、今回は作品の中でかなり重要なウエイトを占めています。キム兄との遠慮のないやりとりが笑えます。

『清兵衛』『隠し剣』と同様、素朴な東北の江戸人を通して、慎ましやかな愛の形を描いた良作。でもやっぱりビシッと決めるときにはビシッと言った方がいいんでがんすかねえ。どうでがんしょ?20070117174418

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Comments

きゃあ♪狼男なつかしー
そういや彼も「がんす」でしたねぇ!
SGAさんキム兄と同い年なのね。たぶん同世代・・・とはうすうす思ってましたがちょっとだけお兄さんだった☆

「嫁コさ来てくんろー」は、あまりに突拍子もなくてズッコけた記憶がありますw
でもそれもこれも、愛すべき寅さん的ハッピーエンドって感じ♪

悪代官さんは当たり前ですけど腹から声が出ててさすが!の貫禄でした。
「くるくる~あーれー」はなかったけど、カヨさんなかなかに色っぽかったでがんしょ?

慎ましやかな愛の形は理想だけど、ワタシ調べではやっぱ現代の女性はビシっと言って欲しいのです。なのでビシっとキメて下さい。

Posted by: kenko | January 18, 2007 at 11:39 AM

こんばんわ!
TB&コメントありがとうございました。
『カリスマ映画論』の睦月です。

いきなりネコにメイビー?の画で大爆笑してしまい、
連続使用される「がんす」と「がんしょ」に、
心の中でカミカミになりながらも一生懸命記事を読ませて
いただきました。
・・・とっても面白くて、2007年の初笑いだったかも
しれません(苦)。・・・・笑わぬ寂しい女・睦月。

十数年も前から浮気もせずに拓哉くんが大好きな私にとっては
満点を付けざる負えない良作だったと思いました。
彼は「メイビー?」だなんてカッコつけるよりも、逆立ちしたって
「愛してる~」とは言えないブキッチョさんのほうがお似合いです。

個人的にはビシっと言ってくれる方、大募集ですけれど・・・・(爆笑)

では今後ともよろしくお願いいたします!

Posted by: 睦月 | January 18, 2007 at 07:16 PM

まずおわびから。正確には「ありましめえ」じゃなくて「ありましねえ」みたいです。面目ない・・・・


>kenkoさま
わかってくれましたか、『怪物くん』(笑)。カットの彼は狼男なのに東北弁で料理が得意というわけわかんない設定でした

>SGAさんキム兄と同い年なのね
へい。以前彼がなんかの特番で何人かのタメ年の人物と対談するというのがあって、そこで知りました。同年代にも本当に色々いるというか。わたしはかなり底辺のほうですね。ふうう

>愛すべき寅さん的ハッピーエンドって感じ♪
そうですね。しかし寅さんの恋が40回以上みのらなっかたのに対し、「がんす」ボーイズはみんな成功させてますね。やっぱルックスの差か

>「くるくる~あーれー」はなかったけど
そう、これが一番の楽しみだったのになんで・・・・(←アホ)

>ビシっとキメて下さい。
う・・・ 自分、不器用でがんすから・・・ (そういう問題じゃありましね)

Posted by: SGA屋伍一 | January 19, 2007 at 08:26 AM

>睦月さま
またまたさっそくお返事ありがとうございます。しょうもないネタにうけてくださりうれしゅうございます
>・・・・笑わぬ寂しい女・睦月。
今度素敵な笑顔をプロフにのっけてください(笑)

わたしにとって色男というのは基本的に全て敵でして(←救いがたい)、その線でいくならばキムタクなどは最も生かしておいてはいけないタイプなんでがんす。でも今回あまりにひどい目にあっている新之丞をみていてつい涙ぐんでしまい、「オレもまだまだ甘いな」と思わざるをえませんでした

でもやっぱり二枚目っていいなあ。どんなにかっこ悪い役をやってもそれなりにかっこよく見えるから(嫉妬)

わけわかんないレスで大変申し訳ありません。またよろしくお願いします


Posted by: SGA屋伍一 | January 19, 2007 at 08:36 AM

こんばんは!いつもありがとうございます!
あぁぁ、、、オオカミ男、怪物くんですね。なるほどねぇ、、、
いぁ、手込めのストーリーさえなかったら、良かったんですがね。
手込めの事実に触れないように生きていく2人は、この先どうなるのかと、、

Posted by: 猫姫少佐現品限り | January 24, 2007 at 11:49 PM

>猫姫さま
いやいや、こちらこそどうもでがんす

>オオカミ男
このネタどれほど通じるかとおもったのでがんすが、けっこうみなさんわかってくださったみたいで。メジャーだったんだなあ、『怪物くん』

>手込め
あれはいい加減なアドバイスをする親戚のおじさん・おばさんたちにも責任があると思います。もちろん一番悪いのは悪代官ですが

>2人は、この先どうなるのかと、、
とりあえず「ごはん」で乗り越えていくんじゃないでしょうかねえ。わたしはそう信じます

Posted by: SGA屋伍一 | January 25, 2007 at 07:29 AM

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