アニメの七人 滝沢敏文 『SAMURAI7』
黒澤明の腐朽の名作を、大胆にもSFアニメでリメイク。まずBSで、次いで地上波で放映されました。
銀河を真っ二つに割った大戦が終わり、「商い」が世を支配している時代。機械化したサムライ・野伏せりたちは行き場を失い、村々を襲って農民たち苦しめていた。長年蹂躙に耐えていたカンナ村の長は、そのくびきを断つべく別のサムライたちを雇うことを決意する。
SFアニメと聞いていたわりにはごくごくまっとうに始まるストーリー。野伏せりたちが巨大ロボであることを除けば(笑)。では対抗するサムライたちもロボを駆るのかと思いきや、こちらは生身で鋼鉄を切り裂いたりするのでたまげます。この辺で引く人は引いてしまうかも。たぶんこの世界のサムライとは『ファイブスター物語』でいうところの「騎士(ヘッドライナー)」のようなものなのでしょう(遺伝子レベルで戦闘用に徹底改造され、超人的な筋力・感覚を有した存在)。こういう風に勝手に解釈していけば、血湧き肉踊り胸のスカッとする一大娯楽活劇として楽しめることでしょう。
キャラにせよシーンにせよ、おおむね原典にならっていますが、変更点も色々あります。たとえば物語を引っ張っていくカンベエ・キクチヨ・カツシロウの三人を例に取ってみましょう。
まずリーダーのカンベエ。原典では「悟りきった軍師」という風情でしたが、こちらではやや感情の起伏のある武人として描かれています。髪もフサフサ。
次いで孫悟空タイプのキクチヨは、等身大ながら機械のボディで登場。性格は三船氏のそれをもっとコミカルにした感じ。「村の子供代表」であるコマチちゃんとのやりとりは、涙無くしては見られません。
そしてマスコットキャラ的なカツシロウ。他のメンバーと比べ能力的に劣るため、一番苦労しておりました。それだけに、見ていてもっともハラハラさせられるキャラクター。木村功氏よりはやや美形(笑)。
このほかにも、ニヒルなムード満載のキュウゾウなどが特に目立っております。
原典では野伏せりたちを倒して大団円となりますが、こちらでは「その背後にさらに巨大な敵がいた!」ことが明らかになり、オリジナルの展開に突入いたします。余計な付けたしをして無残な結果になってしまうリメイクが多い中で、『SAMURAI7』はSFアニメならではの破天荒さを生かし、もう一段物語を盛り上げることに成功しています。
それにしても黒澤さんが存命中だったら、絶対に通らない企画だったろうなあ(笑)。大抵のTUTAYAには置いてあると思うので、興味を持った方はまず原典を観てから、ご覧になってみてください。
Comments
あははははなんてシンプルなw
置いときまして戦艦を生身で切る(!)カンベェは
てらそまさんを意識したキャラですし高橋良輔がいる
からか最初はウドの町っぽいなとか思ってみていましたw
後はカンクロウでしょうか?
孫悟空といえば菊千代役の三船さんは孫悟空を
演じたかったとブラック師匠が言っていましたね。
要するにキララに萌えろということでしょうかw
そしてキャラデザの草薙琢人さんが初めてTVアニメで
メジャーデビューした作品(ですよね?)ということで
印象深いです。
ソードワールドからファン。
Posted by: 犬塚志乃 | January 19, 2007 10:38 PM
あんまり手抜きだったもんで、も少し手を加えてみましたが・・・・ あまり変らんなあ
>高橋良輔がいるからか
気づかなかった・・・ ファンなのに。高橋氏で「7」というと「デロイア7」など思い出しますが(『ダグラム』)
ウドの街はバカボンパパ(ア太郎?)やボヤッキーのような顔が見えて
楽しかったです
>キララに萌えろということでしょうかw
いや・・・ あの娘は恐ろしいヤツですよ
Posted by: SGA屋伍一 | January 20, 2007 09:26 PM