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December 16, 2006

風と雲とギャグと 『風雲児たち』を語ってみたい⑯

20061216180014みなもと太郎先生の手による大河歴史ギャグマンガ。16回目は志士たちの「夜明け前」について語りたいと思います。潮版で21巻以降、リイド版で15巻以降のお話。

幕末のチャンバラを描く事が目的だった『風雲児たち』。何事にも丁寧な?みなもと先生の性分のためか、物語はなかなか幕末にたどりつきませんでしたが、さすがにこのあたりになると、ようやく幕末のビッグネームが次々と顔を出すようになります。勝海舟、坂本竜馬、吉田松陰、西郷隆盛、村田蔵六・・・・・ どちらかと言うと「知られざる」人物を扱うことが多かった当作品にこれらの傑物が登場してきたときには、さすがに感慨深いものがありました。
しかし彼らが生まれたばかりのころ、日本はまだ眠りの中にありました。そんな中、志士たちはどのような少年時代を送ったのか。そのあたりが暖かく、時に激しいアクションを交えつつ描かれます。
際立つのは「貧乏」というキーワード。竜馬や桂小五郎など一部を除き、明治の元勲たちはみなド貧乏な家の生まれでした。「あのー読者ももう飽きちょりますけん」というツッコミが作中で語られるほど、貧乏エピソードが続けざまに語られます。しかし不思議と暗い印象はありません。みなもと先生の筆致もありましょうが、彼が後々驚異的な打たれ強さを発揮するのは、この貧乏のドン底で鍛えられたからでは・・・・ そんなことを思わせられます。そして食べ物に関する逸話が多いのも、また偉人たちを身近な存在にしています。この辺は一昨年の大河ドラマにも、深い影響を与えているのではないでしょうか。

数ある若者たちの中でも、やはり目立っているのは吉田松陰と坂本竜馬。松蔭は他の人物より一足先に登場していますし、竜馬にいたっては、単行本第一巻において初めて顔を出すキャラが彼だったりします。このあたり、先生の愛情が一際深くの二人に注がれていいることを感じさせます。
この竜馬と松蔭の共通点について、少し考えてみました。
まず二人はすんげー厳しいスパルタ教育によって育てられています。松蔭は叔父の玉木文之進に。竜馬は姉の乙女に。ちょいと隙を見せただけでも鉄拳が飛んでくるハードな指導。今だったらさしずめ虐待とも受け取られかねないのでは・・・・ そう思うといささか複雑な思いがいたしますが、この環境が竜馬・松蔭を一角の傑物に育て上げたのはまちがいありません。また、いいか悪いかはさておいて、その指導の裏には深い愛情があったことも確かです。

もうひとつの共通点は、両人にみなもとマンガの常連キャラが割り当てられているということ。
『ホモホモ7』『冗談新撰組』『ハムレット』『レ・ミゼラブル』・・・・ わずかな例外を除き、みなもと少年マンガの主人公は、みな同じ顔。わたしは便宜上「主役くん」と呼んでおります。そして本作品の坂本竜馬は、この「主役くん」の顔に描かれています。『レ・ミゼラブル』完結から潮版21巻が出る前まで、彼は長らく休業状態でありました。しかし時代がようやく幕末に近づいたころ、「主役くん」は満を持して復活いたします。こうした点も、古くからのみなもとファンには感慨深いものがあったのではないでしょうか。
一方の松蔭先生。彼はもともと『冗談新撰組』の沖田総司として作り起こされたキャラでした。ですがそのシンプルでインパクトのあるデザインゆえか、その後も度々みなもと作品に顔を出すことになります。他の出演作品は『レ・ミゼラブル』のマリウスくんなど。いかにも脱力系の顔立ちですけど、根強いファンもけっこういるようです。
みなもと作品の常連スターには、もう一人、顔からはみ出すほどの口をもつ「大口さん」なるオヤジがいます。彼はいまのところ近藤勇として登場する予定なので、本格的な出演はもう少し先になる模様。はやく出てこないかなー

20061216175940どうやら「無印編」最後のレビューは来年に持ち越しそうです。切れの悪い・・・・ んなわけで、次は高野長英の後半生について語らせていただければと。ハイ


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