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November 06, 2006

山田風太郎に関しては色々言わせてもらいたい⑯ 隆慶一郎氏との関連について

20061105214905突然ですが、みなさんは「隆慶一郎」という作家をご存知でしょうか。もともと映画やテレビドラマの脚本で長く活躍されていた方ですが、1984年『吉原御免状』で小説家デビュー。以後『影武者徳川家康』『一夢庵風流記』など「こんな題材・切り口があったのか」というような作品を次々と発表。時代小説に新風を吹き起こします。けれど小説家としてはわずかに5年ほど活動された後、惜しまれつつ他界。世間的にもっともよく知られてるのは、恐らく漫画『花の慶次』原作者としてでしょうか。

で、前置きが長くなりましたが、この隆先生、山風を参考にしてたんじゃないかな~というフシが多々ありまして。それは隆作品によく出てくるモチーフが、山風が好んで用いていたものと共通しているからなんです。たとえば隆氏の『吉原御免状』ほか幾つかの作品には山の民・サンカが登場しますが、山風も『いだてん百里』『忍法封印』ほかでこの一族を登場させています。最近このサンカをテーマとした作品もあまり珍しくなくなってきましたが、それも隆作品がメジャ-になって以降からのような気がします。また隆氏(と原哲夫)が一躍有名にした“前田慶次郎”にしても、山風が『叛旗兵』で先駆けて題材としていますし、さらに大久保長安、柳生一族、吉原といった要素も、二人はよく好んで使っていました。
時代設定という点でも二人には通ずるものがあります。けっこう時代がバラけているように思える忍法帖ですが、全27作品中11作品が徳川幕府草創期(家康~家光のあたり)に集中しています。隆作品に至っては全体の8、9割がこの時代を舞台としています。
単なる偶然ということもありえますが、こんだけ色々重なっていると疑りたくなるのが人情ですよね。

とはいっても別人ですから、もちろん違うところもたくさんあります。山風では「男の中の男」である柳生十兵衛が、隆作品ではなかなかしょぼい役回りであるとか。また、全体として山風がシニカルで悲劇的な作風なのに対し、隆さんのほうはもう少し体育会系よりというか、カラッと明るいムードに包まれています。その辺は戦時中戦う機会も与えられず「列外」とされた山ちゃんと、戦地で堂々と上官に逆らってボコボコにされたという隆さんのキャラの違いからくるもんでないでしょうか。ただ、体育会系といっても隆さんにはロマンチックなところもあり、ランボーの詩集を没収されないよう『葉隠』に差し込んで戦地に持っていった、なんていい話が某作品の巻頭に書かれていました。

20061105190449実は一昨日の4日が命日だった隆慶一郎氏。その辺の書店でもまだ普通に手に入りますので、山風と読み比べてみるのも面白いんではないでしょうか。マイベストは『死ぬことと見つけたり』(新潮文庫)と『花と火の帝』(講談社文庫)。ただこの二作品、両方とも未完なのよね・・・(それでも十分面白いけど)。あとウィキぺディアに書かれていましたが、「峰隆一郎」という似た名前の作家さんと間違われる方も多いとか。ご注意を。


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Comments

すみません「隆慶一郎」は読んだことないのですが、「峰隆一郎」は読んだことあります…(笑)
柳生物ですが、ええ、隆氏と間違われたら隆氏が可哀相ってレベルで(以下略)
あとこれは、ちょっとエッチ系ではありますが、滝沢ひろゆき『問題ないね!?ヒデユキ君』という漫画で、どうも作者が隆氏のファンらしく、出てくる背景に「隆慶一郎球場」とか「隆慶一郎映画館」とか書き込んであります。謎です。
『花の慶次』の原作…読もうと思ってン年…。読んでみようかしら。丁度本も途切れていることだし。

Posted by: 高野正宗 | November 07, 2006 at 10:46 PM

>隆氏が可哀相ってレベルで
そうですか・・・ そういや最近書店であまり見ないです

>滝沢ひろゆき
初めて聞く名です。隆さんがよっぽどお好きなんでしょうね

で>『花の慶次』の原作…
実はわたしも読んでません(爆) マンガの方も8巻くらいまで。よくもまあしれっとこんな記事書けるもんです。この際だから言っちゃうと実は『影武者徳川家康』も(略)
『一夢庵風流記』は全一巻なんで、たぶん『花の慶次』はかなーりオリジナルのエピソードが肉付けされてるものと思われます

Posted by: SGA屋伍一 | November 08, 2006 at 07:51 PM

オハヨウございます。
>隆慶一郎
『花の慶次』、何気に全巻読んでます。
>かなーりオリジナルのエピソードが
いくらなんでもかの地までは行くまい・・・・・(笑)。
『大ぶへんもの』が出た回がお気に入り・・・・読めば判るヨ。
>『影武者徳川家康』
実はこれも全部読みました。
マンガでは『左近』というスピンアウトしたのもありましたね。
>パンダの眼帯
何がなにやら・・・・・(笑)。ではでは。

Posted by: まさとし | November 11, 2006 at 09:33 AM

こんばんは(←ずれてる)
>『花の慶次』、何気に全巻読んでます。
けっこう我々の世代のマンガ好きには「基本的」な作品のようですね。いまさらながらちゃんと読んでおけばよかったな、と
なんで途中で切れちゃったのか思い出しました。友人から借りて読んでたからです。受験で忙しくなって、いつの間にかつづきを借りそびれてしまったんですね。ちなみにそいつにはお返しに『風雲児たち』を貸してやってました。いい話だ

>>『影武者徳川家康』
なにげに立ち読みしたFR誌の「時代劇特集」で、「『慶次』の時と家康の顔が全然ちがうと・・・なぜ誰もつっこまん!」という鋭いつっこみがありました。まあ、そういうもんですよね。主役変ればデザイン変る

>何がなにやら・・・・・(笑)。
まいどしょうもなくてすいません。またよろしく

Posted by: SGA屋伍一 | November 11, 2006 at 06:51 PM

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