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September 30, 2006

戦国鬼嫁日記 ~大河ドラマ『功名が辻』より⑮

ちょっと涼しくなってきたかしら? ンばんわっす! 千代ざんす!
本当にめでたいわよねー、秋篠宮さま。赤ちゃんのお名前、「ゆうじん」くんっていったかしら? きっとハンカチ王子のゆうちゃんにちなんだのね。間違いないわ。ぜひとも彼みたいなイケメンプリンスに育ってほしいもんね!

イケメンで思い出した。今日の『鬼嫁日記』は薄幸のイケメン、ヒデジについて
みんなあたしが結婚したばっかりのころ、兄貴から甥っ子のカテ教頼まれたこと覚えてるかしら? ヒデジつって、これがもの覚えの悪いガキでねー。結局スパルタ方式でびしばししごきまくって、無理矢理成績あげさせたんだっけ

それから月日は流れ、兄貴はいつのまにか全国の極道の頂点に。これも前に話したけど、あのひと精力絶倫なわりには子供ができない。で、万が一ぽっくり逝く前に後継者を、ってんで選ばれたのがあのヒデジだったわけ。ところが久しぶりに再会してたまげたわ。あの青っパナ垂らした貧相なガキんちょが、ジャニーズ顔負けのイケメン青年に大変身してたんだから。あたしゃ年甲斐もなくときめいちゃったわよ
でもねー、話してみてすぐわかったけんど、頭の中はあんまり変ってなかった。つまりバカのまんまってこと。ちょっと学校の勉強できるようになっても、バカはバカ。人間の本質ってそう簡単に変るもんじゃなくってよ。ちなみにアニキのもうひとりの跡継ぎ候補も、絵に描いたようなアホ面。たしかヒデアキとか言ったような。兄貴って家系の中じゃ突然変異だったのかもね。猿の惑星っつーか、X-MENっつーか

それはともかくあたしら夫婦はそんな経緯もあって、ヒデジの側近みたいな役職に付けられた。当然給料も地位もUP。このままあいつが跡目を継いだらどうなっちゃうのかしら? がはははは・・・と希望に胸膨らましてたんだけどね。やっぱ世の中そう簡単にはいかんわ。
ヒデジにとって不幸だったのは、みんなあきらめてたころにようやくアニキに子が授かったこと。まあこれ本当のところ親父が誰なのかは「?」なんだけどねー。ともかくそれでヒデジが二代目になる線はほぼ消えた。
もう一個不幸だったのは、このころアニキが年とロリの魔性のせいで完全にボケボケだったこと。そのボケがある日炸裂しちゃって、「今度は海外制覇だ!」とニューヨーク・マフィアに宣戦布告。まあウチだってそれなりにでかいけど、やっぱ海外はいろいろレベルが違うわけよ。でも兄貴の命令は絶対。ほんとにたくさんの組員が、マフィアとの戦いで死神の餌食になったって話。そうなったら当然人望だってなくなるわよねー。そこでアニキに見切りをつけた連中は、ヒデジを中心にクーデターを計画。でもさあ、ちょっと考えてみてわかんないのかしら? あのヒデジが兄貴に勝てるわけないっ、つーことを。頼む方も頼まれる方も、それくらい気づけよ! ほんっとーにバカばっかり

で、案の上計画は失敗。そういう事に関しちゃアニキは鋭いから。まったく目もあてられないとはこのことだわ
ヒデジ一派はあっという間に大阪湾に沈められた。ちょっと! 貴重なイケメンになんてことしてくれんのよ!
アニキもねえ、若いころはこんなんじゃなかった。それこそ面はサルみたいだけど、かえって組員たちは親しみがわいたみたいだったし、義理人情にもけっこう理解ある人だったのにねえ。本当、年は美しくとりたいもんだわ
そんなアニキも次回はとうとう? ・・・えーこれはお楽しみってことにしときませう
じゃあ今日はEDテーマと一緒におわかれ。みんなまた見てねー
♪せんごくじだいがー ゆーめーなーんてー
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September 27, 2006

誰がためのボイン 大橋誉志光 『ウィッチブレイド』

20060927211258
今回はややひんしゅく買いそうなタイトルですなー。先日放映が終了したばかりの深夜アニメ。アメコミ原作+『仮面ライダー龍騎』の小林靖子女史が脚本ということでチェックしておりました。

大震災に見舞われた近未来の東京。娘の梨穂子と仲むつまじく暮らしていた天羽雅音は、ひょんなことから古代から連綿と受け継がれてきた謎の武具“ウィッチブレイド”の装着者に選ばれてしまう。ウィッチブレイドは女性にしか装着できず、それを手にした者に莫大な力を与えるという。雅音はウィッチブレイドを研究していた大企業導示重工の依頼により、様々な事件に立ち向かうことになるのだった。

このヒロインの雅音さん、顔立ちはボーイッシュながら、胸のサイズは超ド級。変身後の姿もなんとなく「キューティーハニー」をほうふつさせるとあらば、お色気うっふん大サービスな作品のように受け取られても仕方ありません。ところが実際に見てみますと、あまりあざといその手の描写は少なめで、むしろ母と娘の深い絆を描くことのほうがメインとなっております。さらに雅音さんが敵対する重要なキャラもまた「母」だったり、あるいは「母」に関してトラウマを抱えていたりと、作品のそこかしこに「母性」が強調されています。ですから雅音さんのあの巨大なバストは、お色気のためというよりか、「子供を抱きしめるためのクッション」の役割を果たしていることがわかります。

このアニメでは、お互いの絆を確認するために雅音さんと梨穂子ちゃんが全速力で駆け寄って、ひし、と抱き合うシーンが頻繁にあります。もしこの時雅音さんのバストが大きくなかったらどうなるか? まずまちがいなくどちらかがケガをします。わたしは実際にそういう例を聞いたことがありますが、ダッシュしている子供の頭というものは、時として凶器となることがあります。肋の二三本は確実にもっていかれることでしょう。また肋に頭を強打した里穂子ちゃんも、いささかバカになることは免れません。しかし豊満なバストのおかげで、そうした不幸な事態は避けられます。かつて歌にもありましたが、ボインはお父さんのためのものではないのです。

雅音さんをそれぞれ公と私で支える鷹山と斗沢というキャラクターもよかったです。タイプはまるで異なるものの、自分なりのスタイルを貫くかっこいい男として描かれていました。惜しむらくはせっかくアメコミが原作なのに、そっち方面との関連がほとんど見られなかったこと。東映版スパイダーマンみたいなもんでしょうか。一応設定上は「原作のその後」ということになっているようですけど。

互いに強く惹かれあう雅音さんと梨穂子ちゃん。その姿に、「真の親子とはどうあるべきか」ということを教えられた気がします・・・・と最後に畏まってみましたが、やはり無理があったでしょうか。
20060927211239アニメ版『ウィッチブレイド』は現在二巻までDVDが発売中。オンラインでの放映も継続中だか予定中だか

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September 25, 2006

小さきモノから ベルナール・ウェルベル 『蟻』

20060925195240ようやく涼しくなってきた先日、たべかけをテーブルに置きっぱなしにしていたら、いつの間にやらアリの行列がぞろぞろ。夏の間は見かけなかったのに、さてはてめえら今までサボってやがったなーっ!!
だからというわけではありませんが、本日はおフランスの人が書いた一風変ったミステリー兼ファンタジー小説『蟻』を紹介いたします。たぶん当ブログ始まって以来の最短タイトル。

フォンテーヌブローの森にある赤アリの都市ベル・オ・カン。そこに属する若き雄アリの327号はエサを求めて遠征にでかけた折、奇怪な事件に遭遇する。ふと寄り道したほんのわずかなときの間に、一緒に来た仲間たちが全滅してしまったのだ。それを未知の部族の攻撃と考えた327号は、都市の女王に報告する。しかしその時から327号は「岩の匂いのする」謎のアリに命を狙われるようになる。
一方同じ森に住む人間の家でも不可思議な事件が起きていた。奇矯な科学者エドモン・ウエルズから一軒の家を相続した甥のジョナサンが、地下室を調査に行ったきり出てこなくなってしまったのだ。ジョナサンを探しに妻や警察が地下室へ下っていくが、誰一人として戻ってこない。一体地下室には何があるのか?
このアリの物語と人間の物語が平行して語られていき、最後にはそれがなんと一つに重なり合うというとんでもないお話。そんなアホな、と思われるかもしれませんが、それは実際に読んでみればわかるこってす。

みなさんはアリについてじっくり考えたことはアリますか? ・・・うん、普通はないですよね。昆虫マニアだって「アリが好き」という人は恐らく少数派だと思います。しかしよくよく考えてみればすごいですよ、アリは。一度ミニ四駆でもゾイドでも作ったことのある人はわかると思うんですけど、「動くもの」を人間が作ると、大体あのくらいのサイズになっちゃうわけです。まあもっとつきつめてチョロQくらいには小さくできますか。ところがアリはもっともっとちっちゃいのに自分で考えて複雑に動く。しかもエネルギーは自分で補給し、他と連携しながら組織的な活動までやってのける。くりかえしますけど、あんなにちっちゃいのに。
そしてこれほど高度な社会性を持つ生き物は、人間を除けばそれこそアリくらいしかいないわけです。その形態も、種類によってまことに様々。
そんなアリの特異性に関し、とりわけ印象に残ったのが次のエピソード。ある巣の女王アリが、川の向うを探ってみたいと考えます。何度も試行錯誤し、無数の働きアリを溺死させますが、女王はその計画を続けます。作者の言によれば「アリは絶対にあきらめない」のだそうです。そして遂にはその目的を遂げるわけですが、いったいどうやって? 「六本のマッチ棒を折ったり交差させたりしないで4つの正三角形を作る」ことができれば、おのずとその答えは明らかとなるでしょう。

こんな風に膨大なアリとムシのウンチクが語られますが、冒頭でも述べたようにちゃんと物語としての面白さも失われてはいません。勇気溢れる青年327号、好奇心旺盛な若き女王56号、実直で経験豊かな103683号といったキャラクターはアリながら大変魅力的ですし、彼らの冒険にはきっと手に汗握ることでしょう。

そんなわけで読了後はアリに親しみと敬意が湧く一編。でもやはり楽しみにしていたオヤツにたかられたりすると、そうした思いは一瞬にして消え去ってしまうのでした。
20060922202920わたしは左画像にあるジャンニ・コミュニケーションというあんまり聞かない出版者の版で入手しましたが、現在は角川文庫(全一冊)が手に入りやすいようです。続編『蟻の時代』、完結編『蟻の革命』も同文庫より刊行されています。

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September 24, 2006

グルメなグエムル ポン・ジュノ 『グエムル 漢江の怪物』

20060924201128ブームのためここのとこ頻繁に公開される韓国映画。とうとう怪獣映画まで飛び出しました。社会派映画『殺人の追憶』などで知られるポン・ジュノ監督の作品です。

韓国のデートスポットで知られる漢江。そこに突然巨大な怪物が出現。川原の人々を片っ端から食べ始める。漢江で売店を営んでいたカンドゥの愛娘・ヒョンソもその怪物に飲まれてしまう。悲嘆にくれるカンドゥとその家族だったが、なんと死んだはずのヒョンソから、助けを求める電話がかかってきた。娘が生きていることを確信したカンドゥは、政府があてにならないことを知り、自分たちだけでヒョンソを助けだすことを決意する。

冒頭で「怪獣映画」と書きましたが、これ正確には「怪物映画」です。どう違うのかというとでかいのが「怪獣映画」、比較的小さいのが「怪物映画」ですね。前者はゴジラやガメラ、後者はジョーズやエイリアンなんか。そもそも「グエムル」ってハングルで「怪物」という意味らしいです。
怪物映画というのはなかなか「そいつ」の全身を見せず、一部一部をチラッと映して恐怖感をあおるのがセオリー。ところがこのグエムルくん、しょっぱなから全身丸出しで現れます。たぶん「ごく平凡な日常が、一瞬にして殺戮の場に変る恐怖」を描きたかったからではないでしょうか。その辺はなかなか効果的でした。

そんなわけで怖いところは怖いんですが、合間合間にやけにユーモラスだったり、シュールな場面が入ったりして面食らいます。ヒーローであるはずのカンドゥ父さんにしてからが、明らかに頭のネジがゆるんでいるような人物で、しょっぱなからずーっとヘマばかり。ハリウッドに影響を受けているところもありますが、その辺実に独特な味わいでした。味わいといえばこの映画、怪物も人間もやけにモノを食っている場面が目立ちます。

政府や某大国への強烈な反感も感じられました。向うの人って、けっこうア○リカのこと嫌いなんですねえ。ニッ○ンほどじゃないでしょうけど。ただ匂わす程度ならいいんですけど、今回それを強調したいがためか目に余るような展開があり、自分にしては珍しくアタマに来ました。監督は怪獣映画をやりたいのか? それとも社会批判をやりたいのか? 「二兎を追うもの一兎も得ず」だ!・・・・と言いたいところですが本国では超ヒットだそうです。韓国のみなさん! それでいいんですか!!
えー、ただこの「目に余る所業」、見ようによっては無理矢理ソフトに解釈できないこともありません。その辺本国でもちょっとした議論になったそうです(モロネタバレなので要注意)
http://www.asahi.com/culture/korea/TKY200608310244.html
自分ですか? もちろんぬるく解釈しました(笑)
どういうことなのか興味を持たれた方は劇場へどうぞ。ただし責任は持ちません。『グエムル 漢江の怪物』は現在それなりにヒット公開中。あと2週間というとこかなー
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September 22, 2006

適当掲示板35&ペルシャ文明展報告

毎度どうもっす。当ブログへのご意見その他受け付けております

20060920131957先日すこし時間があいたので、新幹線に飛び乗って上野の東京都美術館で開催されている「ペルシャ文明展」に行ってまいりました。お年寄りサ-ビスデーとかちあってしまったので「混んでるかな?」と思いましたが、そこそこ空いておりました。ペルシャ文明ってエジプトの「ミイラ」、ナスカの「地上絵」みたいな、「これ!」っていう必殺技?がないですからねえ。強いて言うなら・・・絨緞か? まあとりあえず順を追って説明いたします

20060922201922まずは土器のステージから。一番初めに置かれてるブツは物自体は地味なんですけど、今から約7千年前に作られたと知ると、さすがに畏まらずにはいられません。他に左の図にあるようなデフォルメの利いたヤギのモチーフがよく見られました。ヤギに見えないという方も、気合いを入れて見ればヤギに見えてくるはずです。他に同スタイルの雄羊、牛も幾つかありました。あの角の緩いカーブに古代の人は萌えたのでしょうか

20060922201939
さらに進むと今度は青銅器のステージに進みます。こちらでは武器、王侯の装飾品、貨幣などが目立ち、「国家」「政府」と関わりのある展示品が多くなっていきます。
貨幣そのほかには、これまた左の図にあるようなヒゲモジャのおっさんのレリーフがよく刻まれていました。


20060922124033そして金銀財宝の集められたステージへとつながります。中東諸国を統一したアケメネス王朝が、権力にものをいわせ作らせた金細工が多数展示されていました。こんなに一箇所にゴールドが集められているのを見たのは久しぶり、というか初めてかもしれません。マジでルパンかキャッツアイに警戒したほうがいいと思います。
目玉は画像(しょぼい食玩ですが)の「黄金のリュトン(杯)」。こいつで冷えた生ビールとか飲んだら、一体どんな味がするのでしょうか。

さらにその先には西暦5世紀ごろ栄えた「ササン朝」のブツも並んでいました。『アルスラーン戦記』の舞台のモデルとなったとこですね。シルクロードによってつながれた日本との関係についても説明がありました。
さて、会場の出口付近ではイランの民芸品などが売られていて、ちょっと面食らうのですが、そこでようやく思い出しました。「そうか、ペルシャって今のイランなんだよね」 その中に絵画としかいいようがないような見事な絨緞も売られていて、こちらも目の保養となりました。
会期は10月1日まで。あと十日もないので興味を持たれた方はお早めにどうぞ。

今回は写真撮影禁止のため、かなりしょぼい報告となりました。それで上と関係ないですけど先日の花火大会の画像を貼ってお別れします。♪どーんどーんどーん どどんがどーん 
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September 19, 2006

風と雲とギャグと 『風雲児たち』を語ってみたい⑬

20060919212808『風雲児たち』コーナー13回目。今回はいわゆる『蛮社の獄』について少々。潮版で18巻から22巻中ほどまで、ワイド版で13巻から15巻までのお話です。

シーボルトが去った後も、日本の蘭学は着々と進歩を遂げていきます。その原因のひとつは「尚歯会」なる画期的なグループが発足したことにありました。身分も専門もバラバラでありながら、真に国を憂い、その道の学問を究めた多くの学者たちは、こぞってこの集団に参加します。その中心となったのが、高野長英と渡辺華山でした。
高野長英は岩手の殿様の主治医の家に生まれましたが、田舎に縛られるのを嫌い、家出同然の形で故郷を飛び出します。その後いろんな経緯を経てシーボルトが起こした「鳴滝塾」に入門。以後天才の名をほしいままにします。
渡辺華山(本名は登)は渥美半島に位置する田原藩の出身。家老を務める家柄の生まれでしたが、田原藩は領民はもちろん殿様までもがド貧乏というとんでもない藩だったため、華山と家族も当然貧乏に苦しめられます。家系を支えるため、あちこちで学問・絵を学ぶ華山。いつしかその苦労が多くの才人たちとの交流につながっていきます。
尚歯会の活躍は目を見張るものがあり、幕府の要人たちですら、その存在を無視できなくなっていきます。もし彼らがそのまま幕政に参加できたとしたら、明治維新はもっと違ったものになっていたことでしょう。ところがそんな状態を苦々しく思う一人の男がいました。男の名は幕府目付・鳥居耀蔵。複雑な家庭事情のゆえか出世欲に取り付かれた彼は、邪魔者たちを巧みに排除していきます。そして尚歯会の人々にも、その毒牙が向けられることになります。

「蛮社の獄」とは幕政を批判した蘭学者たちが、怒った幕府によって処罰された事件、という風に認識されています。ところがこのマンガを読むと、そういったイメージと実像はやや異なるものであったことがわかります。まず幕政批判とされた長英の『夢物語』、これについて時の将軍は「なかなか面白かった」なんて評していたり。また「蛮社」こと尚歯会全体が弾圧されたような印象がありますが、処罰されたのはごく三、四名。ではいったいどうして先に述べたようなイメージが出来てしまったのか? 現代社会と対比しながらみにゃもと先生はその原因にせまります。

長英についてはまたいずれやらせてもらうとして、少し渡辺華山さんについて。貧乏話にはことかかない『風雲児たち』ですが、彼の貧乏はその中でもとくにすごい。ひとりで一年暮らすのに20両必要だった時代に、渡辺家(11名)は年間約十両しかもらえなかったというから気が遠くなります。
その後華山の努力のおかげで藩も家もちょっとずつ上向いてくるのですが、その幸せは長くは続かず・・・
このマンガに登場する風雲児たちには、壮絶な死を遂げるものも数多くいます。それでもむなしくならないのは、例え彼らが非業の最期を遂げたとしても、その仕事は着実に後の世代へと受け継がれていっているから。けれど華山さんに関しては、どうにも納得できないものが残ります。これほどひたむきにがんばっている人が、どうしてあれほど辛い目に遭わなければいけないのか。またその業績も他の主人公たちと比べ、それほど目立つものではありません。しかし何事にも真摯なその姿勢は、後に対外交渉において大きな役割を果たす同志・江川太郎佐衛門の心に、きっと深い影響を与えたことでしょう。そう考えて自分を慰めることにします。

またまた暗くなってしまいましたが、華山氏には洒脱なエピソードも色々あります。クソマジメなようでいて、お酒と女子が大好きだったり。興味を持たれた方は調べてみるか、このマンガを読むかしてみてください。次回は「天保の改革」と「遠山の金さん」についてやらせていただきます。
20060919213107※左の絵、“ワタナベ先生の絵”とありますが、まちがいでした。本当は広重先生の絵でした。
両先生ならびに皆様、大変失礼いたしました。勘弁してつかあさい

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September 18, 2006

ある劣等生の主張 山田詠美 『ぼくは勉強ができない』

20060918115009せわしい接待の合間を縫って更新中。こちらによくコメントをくださるほーりぃさまオススメの一冊。山田エイミーさんは「過激な恋愛もの」を書かれるという印象があったので、これまでノータッチでしたが、「金城一紀の“ゾンビーズ”シリーズを思わせる」と聞いて読んでみました。

時田秀美くんは17歳の高校生。勉強はできない(というかやる気がない)が、イケメンなので女の子にはよくもてる。ただいま年上の桃子さんと熱烈恋愛中。そんな彼なりの青春が、一風変った家族や友人たちのエピソードなども交えて、軽快に、時に突き刺すように描かれます。

いきなりなんですけど、この時田くんという主人公に「ぼくは好感がもてない」。なぜかといえば彼がもてるからです。そして「ぼくは女性にもてない」からです。もてるやつにロクなやつはいないと思います。わたしは学生時代、もちろん彼のような少年ではなく、この小説に出てくるガリ勉の「脇山」と理屈屋の「植草」を足して割ったようなタイプでした。
「でもまちがってももてたいよな・・・」(『すごいよ! マサルさん』より)
じゃあ彼を参考にして、もてるようになればいいじゃない!? つーわけでどういう男がもてるのか、この本を参考にわたしなりに分析してみました

もてるやつ
・聞き上手
・誉め上手
・あまり物事に深くこだわらない
・自然体
・イケメン

もてないやつ
・ガリ勉
・理屈っぽい
・油っこい
・口がぽかんと開いてる

よし! これでおれも明日からモテモテ一直線だぜ! と言いたいところですが、「もてる」方の最後の一項目だけはどうにもならんかなあ。

も少しマジメに語りますと、個人的に痛かったのは「賢者の皮むき」という一編。青春というのは基本的に「格好をつける」時代です。ただその「格好の付け方」も人によって様々。格好をつけてることを全然隠さないひともいれば、「おれは全然自然体」という風を装って格好つけてるひともいます。わたしも毎度こんなオチャラケた文を書いていることで、たぶん「格好つけてる」のでしょう。そんな自分の薄っぺらな「カッコつけ」を見透かされてるようで、ちょっとズキンときました。
ほーりぃ様が言うように、この小説は「ゾンビーズ」シリーズと同様、明るく楽しい少年たちの物語です。ただ違う点があるとするなら、それはたぶんエイミー先生のこの冷徹な視点。彼女はどのキャラクターに対しても冷静で、ときに辛辣です。「好きなタイプ」であろう時田くんに対してですらそういう姿勢なので、自分が嫌いなタイプの人間に対してはさらに情け容赦ありません。
時田くんの一人称でもってお話は語られますが、最後の一編だけは「番外編」と銘打ち、彼の子ども時代を三人称で語ったエピソード。「時田秀美」という人間を内と外の両方で語ることにより、彼の存在感を強める構成となっています。
好きな場面をひとつ。悲しいことがあってつい反対方向の電車に乗ってしまった時田くん。やるせない思いに苦しんでいると
「『おにいさん、大丈夫かね』
眠っていた筈のおばあちゃんが、いつのまにか心配そうに、ぼくを覗き込んでいた。」

「冷徹」「辛辣」と書きましたが、こんな優しいシーンもあります。

この本、この夏の「新潮文庫の100冊」に選ばれていて、ふと目に付いたので新刊で買いました(400円)。ところがその数日後ブックオフで100円で売っているのを見て、「失敗した・・・」と、その場でorzとなってしまいました。
こういうケチなとこももてない一要因なのでしょう。
20060918114913

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September 13, 2006

平成ライダーの六年間を振り返る 555編③

555編第三回。今回は主人公・乾巧の合せ鏡となる二人のキャラクターについて語ります。

ひとりは木場勇治。怪人ホースオルフェノクへと変身する能力を有しています。オルフェノクとはもともと人間だったものが、「死」というショックを経て、突然変異を遂げたという設定になっています。大半のオルフェノクはそのあまりある力のため、己を見失い、精神まで怪物化していきます。しかし勇治はもともと良家のお坊ちゃんだったせいか、オルフェノクとなった後も、暴力に溺れるわけでもなく、その力を世のために役立てようとします。すなわち、凶暴なオルフェノクから人間を守ると共に、「狩るもの」であるライダーの手からオルフェノクを守ることによって。勇治は人間と敵対するオルフェノクの集団・スマートブレインとも袂を分かち、二人の友人、結花・海堂とともに、自分たちの生き方を模索します。
ある意味主人公ライダー・ファイズよりも立派な姿勢と言えるかもしれませんが、その行動はもとはと言えば自分の犯した罪に対する罪悪感から来ているものと思われます。温厚な勇治といえど、オルフェノクになり立ての時は自らを制しきれず、自分を裏切った二人の人間を殺めてしまったことがありました。このことは彼にとってトラウマとなり、番組中で何度かそうした罪の意識に苦しめられていました。そんなところからもわかるように、勇治は心にやや危うい部分を持ち合わせています。そんな心が絶望で砕け散ったとき、彼は果たしてどうなってしまうのか・・・ 終盤ではその辺も描かれます。
また主人公の巧とは素顔ではお互い好感を抱いているものの、仮面をかぶった状態では敵同士であるため、激しい戦いを繰り広げることになります。考えてみれば『555』という物語は、この二人の若者の和解と相克の繰り返しのドラマとも言うこともできると思います。

もうひとりの重要人物は仮面ライダーカイザこと草加雅人。義父から託されたベルトを手にし、ファイズと同様オルフェノクを狩る道を選びます。しかしこの草加氏、たぶんにヒーローとは言いがたい部分がありまして。
最初に巧に会ったときにはにこやかに握手を求めてきたくせに、彼が打ち解けないのを見極めるやいなや、「おれを好きにならないヤツはいらない!」と恫喝する。また思いを寄せるヒロイン真理の心が別の男にあるのを知ると、そいつの周りに姑息な罠をしかけたりする・・・・ すさまじいまでの性格のゆがみっぷりです。いつのまにやら50名を超えてしまった平成ライダーの中でも、ここまで強烈な毒気を放つライダーはちょっと思い当たりません。一応結果的には人々の安全も守ってるわけですけど、その動機もみんなのためというよりかオルフェノクに対する私怨だったりして、ある意味悪役以上に悪役らしいキャラでありました。姿かたちがかっこいいからといって、必ずしも正義の味方とは限らない。そんなことを草加くんは教えてくれます。一応可愛そうな過去もあるんですけど、そんな強烈な性格のためか、同情的意見は極めて少なかったような。本来の怪人が正義の味方だったり、本来のヒーローがデーモ二ッシュだったり・・・ 平成ライダー特有のチャレンジ精神が、そんな二人の設定に表れております。

『555』には他にも多数印象的なキャラクターが登場します。勇治と行動を共にするものの、人間への恨みを忘れられない結花。そのエキセントリックな行動ぶりで周囲を煙に巻く海堂。戦うことへの恐怖心に悩まされる第三のライダー、デルタこと三原修二。人間性を完全に失い、嗜虐に取り付かれた最強のオルフェノク・北崎、などなど。『龍騎』に比べて登場するライダーは3名と少ないですが、レギュラーメンバーの数はどっこいどっこい、というよりむしろ多いかもしれません。

さて、草加役の村上幸平氏は、本編での役柄とはうってかわって、なかなかシャレのわかるかたです。9月13日を勝手に「カイザの日」と定めてしまったり。あ、そういえば今日は・・・(白々しい)
そいじゃひとつやりますか。皆さん、どうぞご一緒に
9・1・3・ENTER! 変身!!
20060913201334

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September 11, 2006

帰ってきたスーパーマン ブライアン・シンガー 『スーパーマン・リターンズ』

20060911200640♪轟く叫びを耳にして 帰ってきたぞ 帰ってきたぞ

本日は久々の映画化となった『スーパーマン・リターンズ』について一席。
事情で長い間宇宙を旅していたスーパーマン。久しぶりに地球へ戻ってみると、戦争・犯罪は増加し、最愛の女性ロイスは別の男と同棲していて、おまけに子供までもうけていた。かなりショックを受けたスーパーマン=ケントだったが、気を取り直してヒーロー業を再開。世間も英雄の帰還を歓迎する。それに呼応するように、宿敵・レックス・ルーサーも復活。スーパーマンの基地で得た異星のテクノロジーを使い、壮大な野望を実現すべく奔走する。

スーパーマンの誕生は1938年。戦前です。以後多少の浮き沈みはありますが、もっとも偉大なアメコミヒーローとして君臨しつづけております。1978年には本格的な映画化が実現。大ヒットとなり、4作品が作られました。ただ最後の「4」は質的にも興業的にも悲惨な結果に終わり、シリーズは長いお休みに入ることになります。その後『バットマン』のヒットを受け再映画化の機運が高まりますが、監督その他がなかなか定まらず、企画は難航。結局企画が出てから約十年もの月日を経て、やっとこ公開となりました。ただちょっとややこしいのは「これは旧作の『2』の後の作品。前の3、4は忘れてくれ」というアナウンスが出ていること。別にそんなことわざわざ言わずとも、みんなすっかり忘れてますから!(オタク以外)

はっきしいってスーパーマンって日本人には萌えにくいキャラだと思うんですよ。日本人って素顔が一部でも露出しているヒーローには、どうもひいてしまうようなので。スーパーさんなんて一部どころか丸出しですから。あのど派手でムチムチのコスチュームも、なんかかっこいいというよりか、笑いを誘ってくれたりします。
しかしまあ、ここはそういう些細な違和感は忘れましょう。「いかにスーパーマンになりきるか」がこの映画を楽しむポイントです。
うわ! すげー! オレ、空飛んじゃってるよ! げげ! 鉄砲玉喰らった! でも全然平気じゃん! あら! あんなとこに人が! ダッシュで助けなきゃ! うーん、こんなもの持ち上がるかな・・・・ まあ、何とかなるだろ! そいやー!!(ぐきっ)
  ・・・・まあ、こんな感じで。この映画、「超人の能力を体感できる」という点では、かなり良く出来ています。スーパーマンはそれこそ何でもできちゃうわけですが、もはや映像の中ではお金さえかければ出来ないことはないのだな~、ということを今更ながら実感いたしました。
そしてさんざん楽しませてくれたあとには、「そろそろお前ら、大人としての責任を持てよ」みたいなことを、「大きなおともだち」に教えてくれたりします。そうだなあ、おれもそろそろ嫁探さなきゃなァ・・・ う! つい心の声が!

さてこの作品、現在公開中の『X-MEN  ファイナル・デシジョン』とは色々ややこしい関係があります。当初は監督が逆になる予定だったりとか。そして『X-MEN』シリーズにも出ているジェームズ・マッデンがこちらにも出演。『X-MEN』では報われない扱いでしたが、こちらでも報われません(笑)。また『ユージュアル・サスペクツ』でブライアンに出世させてもらったケビン・スペイシーが、恩返しのように敵役を熱演しています。
その『X-MEN 』最新作のほかにも、現在『スパイダーマン3』やバットマンの新作、さらに多くの続編・マイナー作品が準備中とのこと。しばらくはアメコミ映画ブームが続きそうです。この調子でも翻訳の方もよろしく。
20060911200707


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September 09, 2006

仮面らいだー カブトくんヒビキさん 08の巻

ていうか、これまだ続いてたんですね

20060909194322やあ! ぼくの名前はガタック!
いま渋谷で売り出し中の、カリスマ理容師さ!

経験はまだ浅いけど、腕には自信あるんだぜ!

(カランコロ~ン)
おっ さっそくお客さんだ!


20060909194455「へい、らっしゃい!
どんな髪形にいたしやしょう!」

「ん~と、そうだなあ・・・・
夏らしく、さっぱりとやってくれる?」

「へい! かしこまりました!」


20060909195050とは言ったものの・・・・
こんな変な頭のひと、いったいどうやって刈ればいいんだ・・・・

え~い、なにを迷っている!
男なら、自分を信じてガタック!
ちがう、アタックあるのみだ!


20060909194832
「・・・・
えー、こんなもんでいかがでしょう」

「おお!
なかなかいいじゃない!」


そのころ別の場所では
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「あのー、すいません

ここ、“たちばな”って店ですよね?

そこの電柱に貼ってあった
“鬼、募集”って張り紙みて来たんですけどー」


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「あー、はいはい。

紙にも書いてあったと思うけど
うちは楽器が扱えないと困るんだよね

きみ、何か弾けるの?」


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「楽器ですか・・・・

えーと、えーと

あ! そうそう
“鼻歌”とか」


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「悪いことは言わん

か え れ 」


当然のように次回未定

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September 08, 2006

戦国鬼嫁日記 ~大河ドラマ『功名が辻』より⑭

おうおうおうおうおう! チヨでい!
今年の甲子園は萌えた、いや燃えたわね~! あたしもう、ユウちゃんにぞっこん!
こないだ宿六に「ユウちゃんってかっこいいわよね~!」っていったら、「おう、なんたって『嵐を呼ぶ男』だからな。オイラは♪ドラマー」だって。バカには付き合いきれんわ・・・・

ほいじゃ『鬼嫁日記』参ります。
柴田一家をぶちたおし、徳川さんを丸め込んで一息ついた兄貴が何を始めたかというと、これが「女漁り」。いままで戦つづきで溜め込んだもんが、一気にふきでちゃったんでしょうねー。ほんとにあっちの方も猿なみっていいうか。青筋立ててるネネねえさんのそばにいる、こっちの身にもなってほしいもんだわ。
で、勢いの止まらない兄貴が次に定めたターゲットが、死んだイッチーの娘のチャチャちゃん。これにはさすがにみんな呆れた。だってこの娘アニキの30くらい下なのよ!? その上さらに十くらい下の顔に見えるし。幾らストライクゾーンが広いからって、ロリもありだったとわね・・・・
でもアニキの気持ちもわからないでもない。要するにイチ母さんからもらえなかった「デレ」の部分を、娘から頂こうって腹なのよ。男って本当に諦めが悪いっていうか。

でもこのチャチャちゃんも、ロリ顔のわりにすんげえ大したタマ。大体サル兄貴って言ってみればお母さんのカタキよ? いくら大金持ちだからって、普通そんなとこへ妾にいくもんかしら? ほんでやりたい放題だったわりにはひとりも孕ませられなかった兄貴の子を、この娘が初めて授かったつーから当たり運も並じゃない。
ただねえ、これにはちょっとやばい噂が。(声を低めて)このチャチャちゃんの子、実はアニキの子じゃないんじゃないかって言う。じゃあ誰の子かっていうと、急浮上してきたのが最近アニキが取り立ててやってる石田三成とかいうヤツ。相当頭が切れるらしいんだけど、使いすぎたせいか、年の割には髪の後退が著しい。で、こいつ戦や折衝にはとっても使えるやつなんだけど、チャチャちゃんの前では一向にしまりがないというか。あれやれこれやれと言われて、ただなすがままにされてるという話。二十なるやならずやでオヤジとカタブツを手玉に取るとは、化け物としか言いようがないわね。まったく最近の学校はナニ教えてんのかしら?
子供を産んだことでさらに勢いを増すチャチャ。それに対していい加減ブチ切れ寸前のネネ。このまま行くといつか必ず血を見ることになるでしょーねー。二人ともなんだかふざけた名前だけど。

んで、このころ姑が亡くなりました。もういい年だったし。嫁と姑って仲悪くて当然、みたいなこと言われてるけど、うちはそんなんでもなかったわよ。それはもちろんあたしの人格がチョウよく出来てるから!なんだけど。
もうひとりアニキの妹のアサヒさんもお亡くなりに。たしかに気の毒だったけど、あのルックスで三回も結婚できりゃ上等な人生だったかも。ちなみに本当のダンナは一昨年のの仮面ライダーでクジャク怪人をやってたって話。

で、今回気づいたんだけど、ここんとこずっと話がアニキ主体で進んでるのはなぜ? これじゃまるで『サルと女と愉快な仲間』じゃない! 主役はあたしたちじゃないの!? 全然納得いかねーよ!! 大○静!
・・・・いけない、つい取り乱しちゃった。でも今度からはその辺ちゃんとしてほしいもんだわよ。っんとに。
え? そろそろ予告? えー(カンペ見ながら)次回はサル兄貴の家庭の事情について・・・ってまたじゃねえか!! そんじゃ今日はこの辺で。グッバイ青春!
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September 06, 2006

にゃんこが大将 そにしけんじ 『猫ラーメン』

20060901194954最近マンガに関してはけっこう紹介したいものがたまってるんですが、先日とてもすばらしい作品に出会ってしまったので、それを先に紹介します。
そのタイトルは・・・・ 『猫ラーメン』!
あの、そこのあなた、へたりこまないでください・・・

ある会社に勤める営業マンの田中くんは、ふと立ち寄った中華料理店で驚愕すべき光景を目にした。
(ネ、ネコがラーメンを作ってる!?)

「みんな言うんだよ、『ネコがラーメン作ってる!?』って! ネコがラーメン作ってるのがそんなに珍しいかー!!」
(珍しいよ・・・ 大将・・・)

主人公はこのラーメン屋の主「大将」。ラーメン作れるくらいなので、当然人語も解します。種類はアメリカンショートヘアーだそうですが、全然そう見えないのは、大将がやけにオヤジっぽいせいなのか、作者がどうでもいいと思ってるせいなのか。
実はこの大将、ラーメン屋として一人前になるまでに、それなりに壮絶で辛い経験もしているのです。ではさぞかし見事なもんをつくるのかと思えば・・・(笑) 

「コーヒーは一緒? 食後?」「一緒で」「よくこんなもん食べるなあ」(とコーヒーを丼にぶち込む)
「冷やし中華お願い」「ヘイ!」(とラーメンに氷をぶち込む)

大体猫舌の猫がラーメン屋をやるということ自体、無理があるって思いません?
このマンガのもうひとりのレギュラーが、冒頭で出てきた田中くん。明るくさわやかな、いまどき珍しいくらいの好青年。何度もすごいもの食わされてるのに、それでもいつもこの店にやってくる。よっぽど近所にお店がないのか。会社に食堂はないのか。もし大将のことが心配で毎日のように顔を見せているのだとしたら、ほとんど聖人のレベルです。
こんな調子で一巻まるまる脱力系のギャグが続きます。たまに泣かせる話もあるんですが、どうしても涙がひっこんでしまうのはなぜでしょう。
『猫ラーメン』は「コミックブレイド」のマッグガーデンより一巻が発売中。「一巻」ということは二巻もあるのか!? チョウ楽しみ!
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September 05, 2006

山田風太郎に関しては色々言わせてもらいたい⑭ 『幻燈辻馬車』

20060904182744夏ですしお化けの話でもしましょうか。・・・ってもう遅いか。
今回は『警視庁草紙』につづく「明治もの」第二作、『幻燈辻馬車』について語らせてもらいます。これもいままで度々『幻灯』と書いていたかもしれませんが、正しくは『幻燈』でした。熱心な山風ファンのみなさん、どうも申し訳ありません。こんな間違いしといてなんですが、この題名、山風作品の中で一番好きかもしれません。

時は明治15年、もと会津藩士の干潟干兵衛は、孫娘のお雛を隣にのせて、辻馬車で生計を立てていた。お雛とふたり平穏に暮らしたいと思う干兵衛だが、自由民権運動が激化するにしたがい、度々危機に見舞われる。そんな時お雛が「父(とと)!」と叫ぶと何たる不思議、西南の役で戦死した息子の蔵太郎が、馬車の中から忽然と姿を現す・・・・

この作品の特徴はなんといっても、「娘が呼ぶと馬車から出てくる亡霊」という独創的なアイデアでしょう。怪談話は数あれど、これに類する発想はちょっとよそでお目にかかった記憶がありません。いわば蔵太郎は呼べば現れる正義の味方なわけですが、死んだ時のままの血まみれ状態で現われるため、ちょっとヒーローとは言いがたいものがあります(笑)。
前作『警視庁草紙』もすばらしい作品ですが、ひとつ物足りない点をあげるなら、山風作品の特徴である「幻想味」が乏しかった。その点、『幻燈辻馬車』のファンタスティックなムードは、忍法帖と比べてもひけをとりません。与太話が成立しにくい「明治」という時代にあって、見事にひとつの「伝説」をこしらえることに成功しています。『警視庁』と第一話の題材が同じなのに、解釈がまったく違うというのも面白い点ですね。

もう一点目をひくモチーフは、あまり小説でとりあげられることもない「自由民権運動」。「自由の名の下に権力に戦いを挑む」といえば聞こえはいいですけど、ようするに中央から弾かれた士族たちの不満のやりどころだったというのが実像だったようです。『警視庁』での西郷派・神風連とほぼ同じポジションですね。
その自由党の面々に、主人公干潟干兵衛は奇妙な親近感を抱きます。傍から見ればいずれ敗れるの明らかなのだけれど、当人たちは熱意のあまり周りが目に見えなくなっている・・・ そんな姿が維新直前の会津の様子と重なるゆえに。山田先生はその干兵衛の思いをさらに「戦中派が赤軍派をみるようなもの」と例えます。この作品が書かれたのは1976年で日本赤軍がもっとも活発だった時代。この年いわゆる「戦中派」の先生は54歳で干兵衛(50なるやならずや)にかなり近い年齢。つまり干兵衛の思いはまんま当時の先生の思いだったということです。
はじめは高い理想のもとに始められた活動だった。欲と金にまみれていく社会にあって、それは先生の目に軍国青年だったころの自分を思い出させ、まぶしく、あるいはもどかしく映ったことでしょう。しかしやがて「目的のためには手段を選ばない」陰惨な暴力へと転じていく。それをただ見ることしかできない悲しみ。そんなところで干兵衛と先生はシンクロしています。
おおむね若い男性が主人公となる山風作品にあって、こうした初老の男が主人公という点でも、この作品は独特です。

とまあ紹介してみましたが、この『幻燈辻馬車』、現在どこへいっても品切れ状態という極めて残念な状態にあります(もっとも最近の刊行は、ちくま文庫より二分冊で)。少し前に亡くなられた映画監督・岡本喜八氏は晩年この作品の映画化を考えていたそうですが、それが実現すれば、きっとドカーンと増刷かかったろうに。この企画って、やっぱ流れちゃったんでしょうか。古本屋でみかけたら速攻ゲットをおすすめします。
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左はわたしが持ってる文春文庫版(古本・1980年刊)。他に河出文庫からも出てたことがあります。
右は蔵太郎さん。オチャラケご容赦。

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September 02, 2006

MAX SPEED DREAM 『仮面ライダーカブト劇場版 GOD SPEED LOVE』

20060901184655_120060901184739_1仮面ライダー生誕35周年記念作品。おおむね公開終了しましたが、もう少しやってるところもあるようです。

七年前飛来した隕石の落下のため、海を失ってしまった地球。水資源の不足と、隕石と共にやってきた怪生物「ワーム」ため人類は深刻な危機に瀕していた。ワームに対抗するために作られた組織「ゼクト」は、人間の戦闘能力を強化する「マスクドライダーシステム」を開発。効果を上げるものの、システムの被験者の中から、ゼクトに叛旗を翻すものが出始める。世界が混沌を増していく中、圧倒的な強さを持つ一人の男がライダーたちの前に現れた。彼の名は天道総司。そして彼もまた仮面ライダーの一人だった。

いままで一生懸命『カブト』を応援していた当ブログですが、今回はちょっとむずかしいです(笑)。温かい目で見ても、色々フォローしきれないところがあったので。
まず「35周年記念」というわりに全然お金がかかってない。この画面の端々から漂ってくる濃ゆーいチープさはいったいなんなんでしょう。さらに、科学考証がおもいっきりぶっとんでいます。いくらお子様がメインの映画とはいえ、「水星を地球に衝突させて海を再生させる」というのは無理ありすぎではないでしょうか。
あと一時間の間につめこみすぎ。まあつめこみすぎは毎年のことなんですけど、今年は特にそう感じました。『用心棒』『セカチュー』『アルマゲドン』と、まったく違うタイプの作品を「立て続け」&「早回し」で観させられたせいかもしれません。
大変なスケジュールの中作っていることは重々承知しています。でも『アギト』~『555』のときはそれなりに凄いものを作ってくれたので、こちらもついつい期待してしまうのですよ。

こういうとき、「オレならこうするのに」と考えてしまうのがオタクの悪いクセです。以下は「そんなんどーでもいいよ」という方はどうぞスルーしてください。あとネタバレ全開です。ご承知ください。

隕石落下の影響とワームの脅威にさらされる人類。しかもさらにワームの母船らしき隕石が接近という報告が入る。そこへ現れた謎の男・天道総司(カブト)。「オレを宇宙を飛ばせ。そうすれば全て丸く収まる。何しろオレは・・・」 なぜかゼクト長官は彼の言葉を信じ、ロケット打ち上げの計画を進める。ガタック=加賀美は天道に不審を抱くものの、バイト先で触れ合ううちに、次第に彼に対して友情を抱きはじめる。
そして迎えた打ち上げの日。ライダーたちの中に裏切り者がいたことにより、発射基地はワームに取り囲まれる。しかし仲間たちの尊い犠牲により、カブトとガタックは何とか宇宙へ飛び立つ。最強のライダー・ケタロスに苦戦したり、タイムトラベルに苦労したりしながら、二人はなんとか過去と現在の隕石を爆破することに成功。だがその爆破に巻き込まれ、天道・加々美は地球へ落下する。ガタックはカブトの盾となって、次第に燃え尽きていく。
「天道、どこに落ちたい? お前には確かめなきゃならないことがあるんだろ?」
「すまない、加々美・・・ いつかまた別の時代で、必ず会おう」
そのころ、地上では瓦礫の下で一人の少年が流れ星を見ていた
「願い事・・・・」(以下、映画のラストへ続く)

大変失礼いたしました。
けっこう文句垂れましたが、ラストシーンはそれら全てを許せるくらい素晴らしかったです。近年「ヒーローの継承」ということがテーマにされることが多いですけど、その中でもベストに近い出来でした。あとわたし、子供ががんばっている姿に弱いもので。
もう一つ救いだったのは、どこぞのお子さんが見終わったあと「あー、面白かった」と言っていたこと。この一言さえあれば、大人の繰言なんざどうでもいいのかもしれません。第4クールに向けてダッシュを始めた『カブト』テレビシリーズに、引き続き期待します。
20060901185541

(この項に限って、なぜか謎の英文コメントがくるので、しばらくコメント不可にいたします。ご意見おありのかたは「適当掲示板」に送っていただければ幸いです)


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