カントリー道路 ジョン・ラセター 『カーズ』
本日はCGアニメの権威「ピクサー」の最新作をご紹介いたします。
レース界にさっそうと登場した新星、ライトニング・マックイーン。デビュー一年目にして優勝争いに食い込むほどのレーサーだが、その強引な走りや傲慢な性格は、クルーを怒らせることもしょっちゅう。そんな彼を予期せぬハプニングが襲った。王座決定戦のためカリフォルニアに向っている途中、道に迷い「ラジエーター・スプリングス」なるさびれた街に迷い込んでしまったのだ。
気が動転して街のあちこちを壊してしまった彼に、判事ドクは罰として道の修繕を命じる。やってられるかとは思ったものの、刑に服さねばこの街からは出られそうもない。しかし工事にいそしむうちに、街の住民たちと触れ合うようになったマックイーンは、次第に「速さより大切な何か」に気づき始めていく。
こうやって書くと普通の「青春サーキットロマン」って感じですが、そこはピクサー、一筋縄ではいきません。この世界では、人も家畜も虫も、全てがクルマの形をしています。ま、強いて言うなら飛行機だけが飛行機の形をしています。つっこみたいところは山ほどありますが、そういう世界なんだから仕方ありません。まずこの世界を受け入れることが、作品を楽しむカギです。まあピクサーファンならそんなにむずかしくはないと思いますが。
ではピクサー作品の三つの特徴から、この『カーズ』を考えてみましょう。
①主人公に与えられた試練
ピクサー作品では、主人公に必ずと言っていいほど無理難題が襲い掛かります。その壁を乗り越えたとき、主人公は新たな絆を見出したり、これまでの絆をより強くしたりします。
で、今回我らが主人公に与えられた命題は、なんと「道路作り」。なんて地味な! と思いますが、見ていると道路工事もけっこう大変だということがわかってきます
②味のある脇役たち
今回も個性的で可愛らしいキャラクターが続々登場します。特に印象に残ったのは医者(修理工)でありながら裁判官であり、秘密めいた過去を持つドック・ハドソンや、そうとうなポンコツの上大変うざったいキャラなんだけど、どこか憎めないメーター。ヒロインはツンデレで弁護士資格を持つサリー。CVが戸田恵子というのには、すこしがっかりしました。いま朝ドラできつい役やってるので。
③超絶アクション
まず冒頭で『ワイルドスピード」も顔負けの、大迫力カーレースが展開されます。が、それが終るとクライマックスまでとてもゆるーいテンポが続くことに。打ち上げを二、三発ぶっぱなしたあと、「このあとはしばらく手持ち花火でたのしみましょう」というような感じです。ベテランのラセター氏だけあって手持ち花火でも十分面白がらせてくれますが、この辺小さなお子さんにはきついかもしれません(飽きてた子がいた)
難点もあるものの、ピクサーの名に恥じない傑作であることは確かです。
「居眠り運転は危険」「道に迷ったら恥ずかしがらずに人に聞こう」といった、ドライヴに役立つ教訓も多数含まれています。夏休みクルマでご旅行に行かれるならば、ぜひその前にご鑑賞ください。
Comments
久しぶりにお邪魔したら、何だか雰囲気が大きく変わっていてびっくりしました(^ ^ゞ
TBありがとうございますv 遅ればせながら、こちらからもTBさせていただきました。
『カーズ』、観る前はストーリーが読めるし…と思っていたのですが、観始めると一気に引き込まれてしまいました。PIXARの作りの巧さなのでしょうね。いい大人だからか、手持ち花火も心ゆくまで楽しめました。
そう、虫までクルマでびっくりしましたよー!そんな小さな遊び心までも、この映画の魅力でしょうね♪
Posted by: angelparte | August 08, 2006 08:41 AM
お返事ありがとうございます
>何だか雰囲気が大きく変わっていてびっくりしました(^ ^ゞ
はは。へっぽこな落書きが幾つかついてますね。あとPCが代替わりしたときにテンプレも変えてみたんです
>いい大人だからか、手持ち花火も心ゆくまで楽しめました。
そうですね。かえって大人の方がしんみりしてしまうかも
特にドックやサリーが過去を語るくだりはしんみりしました
>小さな遊び心
ピクサーのお家芸ですね。EDでは自社の作品を丸々パロっていて「余裕だなあ」と思いました
Posted by: SGA屋伍一 | August 08, 2006 11:02 PM