萌えよドラゴン 宮崎吾朗 『ゲド戦記』
夏休みも中盤ですね。今日はサマームービーのの目玉とも言えるこの作品を紹介します。原作の(頼りない)レビューは、コチラ
かつて竜と人が共に暮らしていた異世界アースシー。竜が共に争い、人は薬物におぼれ、世界全体が形容しがたい異変に覆われていた。ある大国の王子アレンは、自分を脅かす「影」におびえ、あてどもなくさまよっていた。放浪の最中、彼はハイタカと名乗るたくましい男と、顔に傷のあるテルーという少女と出会う。アレンは果たして「影」を克服することができるのだろうか
異世界を舞台にしていますが、これは紛れもなく我々と同じ世界の物語です。子は親を殺し、親は子を傷つける。今まで確固としていた法則が、崩れ始めている社会。
主人公の少年は自らに沸きあがる狂おしい衝動に駆られ、凶行に走ります。「自分でもなぜそんなことをしたのかわからない」。自身が信じられず自暴自棄になっていた少年を、もう一人の主人公ゲドは、なんとか光に導こうとします。大賢人と呼ばれながら、愛する人のそばにいることもできないゲド。彼は果たしてその願いをかなえることができるでしょうか。
もうひとつ重ねあわせるのは、監督宮崎吾朗氏の父に対する思いです。父を殺めておきながら、同時に「立派な人だ」と語るアレン。
宮崎駿の息子でいるというのは、どんな感じなんでしょうか。名優アンソニー・ホプキンスは、「未だに父は私の中で大きな存在である」というようなことを語っていました。田舎のパン屋さんだか肉屋さんでさえそうなんですから、まして「世界のミヤザキ」の存在感というのは、息子にとって途方もなく大きなものであったことでしょう。恐らくどこにいっても、なにをやっても、その影がつきまとったことと思います。尊敬し、愛しながらも、きっとどこかで憎悪に似た感情もあったはず。そのプレッシャーを乗り越えさせたものは? わたしは作品に出てくる「導き手」、そして「竜」の力だと考えています。
煮詰まっているときは、とにかく外に出よう。そしてわけがわからなくてもいいからとにかく体を動かして働こう。そうすれば元気が出るように、人間の体は作られている。そうしたメッセージも感じられます。
とにかく地味です。欠点もある。そんなわけで現在いろんなところで叩かれておりますが、こういうのわたしは好みなんで、ひとつ生暖かい目で見守っていこうと思います(見守るだけ)
Comments
まぁとにかくネット上の評判は散々ですが、少なくともハシにもボーにもかからん失敗作でないことは確かのようですね。
知人がブログでこの映画を大絶賛しているのですが、その人は直接の知人の中で私が一番尊敬する先生なんですよ。
きっと何かがあるんだと思うんです。
だから自分も・・・地上波初放送を心待ちにしております(笑)
ちなみにハイタカというタカは実在します。
ハトくらいのサイズで、日本にも分布する猛禽です。
鷹狩りに使われてきたので昔からよく知られ、「鷂」という難しい漢字名まであります。
意味は「灰鷹」らしいです。
Posted by: 秦太 | August 13, 2006 10:15 PM
よかった・・・。絶賛派のひとほかにもいたんだ。マジで自分だけかと思ってました(笑)
>地上波初放送を心待ちにしております(笑)
そういうオチですか(笑)。まあレンタル料金分くらいの価値はありますよ。
>ハイタカ
解説ありがとうございます。日本にもいるんですね。ただこの名称、本当に原作くらいでしか目にしたことがありません
>、「鷂」という難しい漢字名まであります。
意味は「灰鷹」らしいです。
OH,.ジャパニーズ・カンジ、ベリー・ムズカシイアルヨ
ちなみに広辞苑には「はいねこ」という言葉も出てます。もちろん「灰色の猫」の意味です
Posted by: SGA屋伍一 | August 15, 2006 09:45 PM