悪い子の学習帳 完結編 大場つぐみ 小畑健 『デスノート』
最終巻が出てちょっと経つし、読後感など書いてみましょうか。かなりネタバレしてますので、「これから読もうかな」という方はお控えください。
前回のレビューはこちら
http://sga851.cocolog-izu.com/sga/2005/09/post_71e0.html
最大のライバル「L」を倒した夜神月(ライト)。日本警察の中枢にまで入り込み、彼はさらに野望の階を上っていった。だがライト=殺戮者キラに対し、なおも敢然と戦いを挑む者たちがいた。「Lの継承者」を名乗る二人の少年「二ア」と「メロ」である。やや優勢にたちながらも、彼らに翻弄されるライト。さらに自分のデスノートを探し現世に現れた第3の死神シドウも登場し、物語はさらに混乱を増していく。
『デスノート』の魅力・・・・それは一つや二つではありません。奇抜な着想、緻密に作り上げられた論理、繊細で美しい画風、先の読めないストーリー展開、強烈な毒気、etc
しかしわたしが一番惹かれたところは、ライトとL という二大ダークヒーローの息詰まる攻防にありました。この二人の緊張感溢れる対決は、古の武蔵VS小次郎、ジョーVS力石と比べても遜色ないものだと思っております。
で、あるがゆえに。
Lが退場して以降の『デスノート』に、わたしはいささか「物足りない」という思いを禁じえませんでした。先ほども述べたように、その後Lのポジションには二アとメロという二人の少年が据えられます。けれど二アはLに比べてアクの強さが足りないし、メロにいたってはキレやすい粗暴な少年にしか見えません。能力だけでなくキャラクターの魅力においてもLの方が断然優れていた。作中何度かライトが「Lじゃないとものたんねーよなー」とつぶやきますが、そりゃまったく同感。つーか、お前がやっつけちゃうからそうなっちゃったんじゃねーか! ハアハア
そしてこの「第2部」の結末もまた、第1部ほどには盛り上がらなかったように思えます。先の記事で『ヒカルの碁』との共通点を幾つかあげましたが、「片方の主人公が途中退場」「それでも話は続くが、パッとしないうちに早々に終了」こんなところまで似てしまうとは思いませんでした。
しかし「なるたけ好意的に見る」がモットーのこのブログ、なぜ第2部が書かれることになったのか、その理由を考えてみることにします。
第一部ラストで、ライトは絶体絶命のピンチをかわし、ついでに宿命のライバルをブチ倒します。ほぼ完璧な勝利といっていいでしょう。物語は一回ここで終っています。
もはや敵うものなどいないように思えるライト。しかし彼は罪を犯した代償を身に受けなければならない。。もし彼が敗れ去るとしたら、一体誰に? そしてどんな形が一番自然か・・・・それを描くために、この第2部は必要だったのだと思います。
でも個人的にはやっぱりLに復活してほしかった。そしてもう一度ライトに勝負を挑む・・・・ そんな展開の方が燃えるんですがねえ。Lの復活をどうやってこじつけるのか、そこが難しいところでありますが。
『デスノート』は全12巻で集英社より発売されています。
現在映画第2部やアニメもスタンバイ中。西尾維新による外伝的な小説も発売中。もうけてるよなー。
Comments
ごめんちゃいボクちん成長の物語が好きなので
実はニアとメロのコンビは意外に好きだったりします。
SGA様がヒカルの碁なのでこちらはラッキーマン
を比較してウケを狙いました。
SGA様はL派なんですね。復活するのかな、と
思わせておいてなしでしたからね。
Posted by: 犬塚志乃 | August 26, 2006 08:18 PM
犬塚さまの「デスノート」論、楽しく読ませていただきました。近いうちにこちらからもTB&コメントお返しします
>ニアとメロのコンビは意外に好きだったりします。
わたしも別に嫌いではないんですけどね。やはりLのキャラが強烈すぎました。それにしてもメロくんの最後はアレでしたねえ
>復活するのかな、と
思わせておいてなしでしたからね。
「Lの密葬から・・・」
この「密葬」という言葉に「絶対何かある!」と期待したんですが、ハズレでした(泣)。最初の方に出てきたナオミさんもはっきり死んだシーンなかったんで、「絶対また出てくる」と踏んだんですが・・・(^^;)
Posted by: SGA屋伍一 | August 26, 2006 09:35 PM