平成ライダーの六年間を振り返る 555編②
555編二回目です。
平成版仮面ライダーシリーズを象徴するような人を一人挙げるとしたら? たぶん、多くの人は脚本家の井上敏樹先生を思い浮かべるのではないでしょうか。『クウガ』から最新作『カブト』まで、全ての脚本に参加しているのはこの人だけですから。1981年、『DR.スランプ アラレちゃん』で華々しくデビュー。以降「この道一筋」とばかりにアニメ・特撮オンリーで脚本を書きつづけます。平成ライダー以前の特撮の仕事としては、『鳥人戦隊ジェットマン』『超光戦士シャンゼリオン』などが有名。他はここに↓本当~に詳しく書いてあります
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%95%E4%B8%8A%E6%95%8F%E6%A8%B9
『555』は平成ライダーの中でも、特に井上氏のカラーが強く出た作品でした。なんせ第一話から最終話まで、全部一人で書いてますし(『アギト』も実質そうですけど)。さらには劇場版や本編終了後に出されたノベライズも、すべて自分で執筆したという気合いの入れよう。
で、その井上氏、人によってかなり好き嫌いの分かれる作家でもあります。セリフをプリントしたTシャツが出るほどの人気作家でありながら、一方では「なにもそこまで」というくらい熱心なアンチもいる。最近じゃライダーで彼が脚本を書くたびに、ネットのそこかしこで小紛争が勃発する始末。特撮系のみならず、一般のドラマ畑でさえ、これほど賛美両論大激突な作家はいないのではないでしょうか。
わたし個人の印象は、なんと言うか「ムラッ気の多い人だなあ」というところです。アブラが乗ったときは特撮史上屈指の名作をお書きになるけど、乗らないと勢いが空回りしたり、つっこみどころがやたら目に付いたりする。かといってアブラが乗りすぎると、ギャグが暴走して視聴者が「ぽかーん」としたまま終ってしまったりとか。
まったくもって評価の難しいお人でございます。
その井上氏の仕事の中で、特に評価の高いエピソードというと、『アギト』の「木野編」、『龍騎』の「インペラー編」、そしてこの『555』の第8話などが挙げられます(新聞発表タイトルは「夢の守り人」)。
正直この『555』も、最初はあまり好きではありませんでした(毎回同じこと書いてるなー)。前作『龍騎』の思い入れも強かったし、メインの登場人物が誰も好きになれない。主人公・乾巧は無礼なその辺の若者みたいだし、ヒロイン・真理は押しが強すぎる。木場勇治とその友人の結花は言ってみれば殺人犯だし、巧の大家である啓太郎は、言ってることは五代雄介と一緒なんだけど、実力が伴っていないとこうもうざったいものかと思いました(笑)。
ところがその各人の印象ががらっと変ってしまうのが、この第8話であります。
現代のメディアは若者たちに、しきりに「夢の素晴らしさ」を説きます。しかし事情ゆえに、あるいは持って生まれた性向ゆえに、どうしても夢を持てない者たちもいる。この第8話は、そんな若者たちの物語です。
巧は真理の、夢に向かってがんばる姿勢に苛立ちを覚えながらも、その姿に安らぎを覚えます。勇治は新しい友人・海堂の夢がこころない嫉妬により奪われたことに、激しい怒りを感じます。
真理を狙う魔物の前に立ちはだかる巧。海堂を襲った犯人を待ち受ける勇治。場所を隔てながら時を同じくして、二人は似た言葉を呟きます。
「なあ、知ってるか」「夢を持っていると、時々すっごく切なくなるが、すっごく熱くなる」「夢は呪いと同じなんだ。夢に敗れたものは、それに囚われたまま一生生きていかなければならない」「らしい」「おれには夢がない」「でも夢を守ることはできる」「あなたの罪は重い・・・・」
『555』は多少荒っぽいところもありますが、そんな井上氏の「情念」がもっともあふれ出ているゆえか、根強いファンを持つ作品となりました。
最後にひとつトリビア。主人公ライダー・ファイズは、当代切っての女流漫画家である西原理恵子&安野モヨコの両方にイラストを描かれたことのある、いまのところ(たぶん)唯一の平成ライダーです。覚えて友達に自慢しましょう!
Comments
今見てますが、たっくんがツンデレということは
わかりましたw
Posted by: 犬塚志乃 | February 11, 2008 06:46 PM
>犬塚志乃さま
たっくんもそうですが、ヒロインの真里ちゃんも相当ツンデレです
Posted by: SGA屋伍一 | February 12, 2008 07:06 PM
また少し見ましたが変な人ばっかですね








あと説明不足すぎてライダーバトルがかなり浮いて見えます
いきなり剣やビームを使ったりあとバイクメカが登場するのが
「?」です
せめて、啓太郎が「たっくん、特訓しようよ」と言って
「うるせえよ」と言いながらこっそり隠れて(笑)マニュアルを
読んでいた、くらいのシーンは欲しかったです
井上敏樹さんは映像に力を入れているみたいですが、
映像のインパクトを求める人って説明不足な人が多い気がします
やたら良い人だと思ったら悪人だった、な話が多いですが
オルフェノクになる必然な演出と思っていますが、
それでもありえないくらい多い気が
善の中の悪、悪の中の善、みたいな演出として受けておきます。
でもキラ☆星☆のように輝いているのは変な人Sですね。
ツンデレたっくん、や真理ちゃん。
受けと思ったら(?)攻めっぽい木場くん。
木場くんがキバっています。彼は人を守る、と言っていますが
何かに寄りかからないとぽっきり、行っちゃいそうな弱さがありますね。
自分に言い聞かせているところもありそうです。
こういう人が一番危なそうですが。
海棠は最初見た時変人と思いましたが、だんだんその奇行を
見るのが楽しみになりました。
でも8話のEPは「悪人が犬をひろってイメージUP」な感じで
少しがっかりしました。
木場くん、や結花さんは復讐を果たしましたが彼はやっていませんが
まさか特別な何かがあるんでしょうかね?
あと村上社長さんも変ですね
本人はマジメなのでしょうが、マジにやればやるほど笑えてしまい
そうです
それではオギャンナラ
Posted by: 犬塚志乃 | February 16, 2008 10:38 PM
>犬塚志乃さま
>井上敏樹さんは映像に力を入れているみたいですが
井上先生は絵作りは現場にまかせっきりの人です。脚本を見るとアクションシーンはそれこそ「戦う」くらいのことしか書いてません(笑)
まあ、説明不足は確かに感じられますね。一人で一年書いてるので、細部にまで注意がいきわたらなかったのでしょう
あと特撮は様々な事情がからんで当初の予定とはかけはなれてしまうことも、その点で脚本・設定とずれができてしまうこともあります
>何かに寄りかからないとぽっきり、行っちゃいそうな弱さがありますね
ま、お坊ちゃまですからね。あと主要メンバーの中で一番最初に人間にぶちきれたのは彼です
8話のENDは素直に感動したクチです。海道メインのお話はここで大体終わりですね。あとは脇で必然性もなくはっちゃけまくり、シリアスなストーリーに水をさしまくります
Posted by: SGA屋伍一 | February 17, 2008 10:47 PM
>いきなり剣やビームを使ったりあとバイクメカが登場するのが
2話目の初キックで説明してる上にツールはすべて使用手順が同じですからねえ。何度も説明するのは野暮だと思ったのかな(笑)
というか平成ライダーは大体どれもそんな感じですね(笑)
Posted by: 通りすがりでごめんなさい | May 13, 2009 03:11 PM
>通りすがりの方
はじめまして
そういえばキックの際は説明してましたっけ
もういかんせん五年以上前の作品なので、だいぶ忘れてるなあ
はっきり覚えてるシーンもいろいろありますけどね
>平成ライダーは大体どれもそんな感じですね(笑)
そんな感じですね(笑) 比較的まともにマニュアル読んでそうなのはG3(アギト)くらいでしょうか
まあ家電も大半は説明書読まなくても使いこなせるものですよ
Posted by: SGA屋伍一 | May 13, 2009 08:30 PM