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July 19, 2006

ほのぼのゴンほのぼのドレイク 仮面ライダーカブトを語る③

「ざびー」のつぎに「ぜくと」がおくりこんだしかくは、「まほうのとんぼ」をもつおとこ「どれいく」でした
けれど「どれいく」はおはなやちょうちょおいかけるばっかりで、かぶととあまりたたかおうとしません
しまいにさいあいのようじょにふられた「どれいく」は、しついのうちにどこかへさってしまいます
それでもまだだとう「かぶと」をあきらめられない「ぜくと」は、「まほうのさそり」をもつおぼっちゃまくん、「さそーど」をおくりこみます。ですが「さそーど」は「さそーど」で、じぶんがなんなんだかはっきりわかっていないようす
こんなふうにつぎからつぎへとへんなむしたちがやってきて、しぶやのもりはきょうもおおさわぎです

そんなわけで24話までを消化し、劇場版公開も迫っている『カブト』の最近の印象について書きます。
前回わたくしドレイクの立ち位置について、「報酬をもらって組織のためにはたらく」ようになるんじゃないか・・・なんてことを書きましたが、ご存知のように大はずれでした。こういうことがあるからリアルタイムで番組をおっかけていくのは楽しいですね(苦笑)。
で、ドレイクについてですが、彼と他の二者の違いを図るには、「組織」ではなく「正義」という物差しが必要だったんじゃないかと考えます。たとえばカブト=天道は国や時代を超えた、普遍的な正義のために戦っています。ザビー=影山はまず組織の正義のために。そしてドレイクは、一個人の正義・・・自分を頼っている少女のために戦っているというわけです。だからその少女を守りきった・・・本来の保護者のもとに返した時点で、彼が戦う目的はひとまずなくなります。彼がまた戦場に立つのは、その少女が再び危険にさらされた時か、新たにだれか守るべき存在をみつけたときでしょう・・・・と思ったら来週また出てくるみたい。またしても大はずれの予感です。

で、代わりといってはなんですが、ドレイクと交代するように出てきたサソリ型ライダー、サソード。「報酬をもらって・・・」の立場はこちらだったよう・・・なんですが、その設定もたった四話で変更されてしまいました。おまけに彼の正体は怪人(宇宙人?)だったという驚愕の真実(ただし本人は自分が人間だと思ってる)も明かされ、「カブト」ワールドはますます混沌を深めていっています。自分だって「怪人」(ワーム)のくせに、「すべてのワームはオレが倒す!」と息巻くサソード。それはあえてワームを敵視することで、「自分が人間ではない」という疑念を振り払っているようにも見えます。ですからドレイクが自分の庇護する少女のために戦っているとすれば、サソードは自分のアイデンティティのために戦っているんじゃないかなあ、と考えてみたりします。

えー、ただ正直申しますとドレイク登場の辺り(11話くらい)から、どうもそれまでのがんがんかとばすような勢いが若干緩くなったように感じていました。で、このあたり脚本をそれまでの米村正二氏に代わり、ほとんどミスター平成ライダーの井上敏樹氏がてがけてるんですね。そんで、公式サイト(東映)を見ると「今回のメインライターは米村氏」と書いてあります。メインの人がえんえん十話近く休めば、そりゃ話の進行も止まるでしょうよ(正確に言うと途中二話のみ米村氏が担当)。
今回なぜこうした編成になったのか? ぶっちゃけ米村さんが劇場版の脚本を書くのに忙しかったからでは、と考えております。で、彼が本格復帰した21話からまた話が動き出していくわけですが。
ここにいたってわたしは確信しました。『仮面ライダーカブト』の主人公はカブト=天道ではなく、副主人公だと思われた加賀美くんであると。なんでかってえと米村氏が担当している回は、ほとんどが加賀美くん主体のエピソードだからです。対してサブの井上氏のパートではもっぱらその他のキャラ・・・ドレイク・サソード等が主体となっています。
白倉プロデューサーのてがけた他のライダー作品・・・『アギト』『龍騎』『555』は、いずれも主人公が悩み、葛藤しながら成長していく物語でした。ですからカブトの「今回の主人公は絶対的に強い」というコンセプトを聞いたとき、わたしはなんか違和感を感じたのでした。でも今では白倉氏の狙いがわかったような気がします。つまり『カブト』というタイトルなんですけど、実質的な主人公は加賀美でいこうと。『天才バカボン』みたいなもんでしょうか。
だからこのレビューの一回目に「主人公(天道)もこれから迷ったり自信喪失したりするのでは」みたいなことを書きましたが、そういう方向にはたぶん行かないと思います。悩むのは加賀美くんに任せて、天道はこれまでと同様、絶対的な存在として君臨し続けるでしょう。
新たなライダー、ガタックとして生まれ変った加賀美新はどう変っていくのか? それに対してカブト=天道はどう動いていくのか? 劇場版ともども、これからも注目していきたいと思います。
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