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June 17, 2006

おモチは何から出来るのか 是枝裕和 『花よりもなほ』

『誰も知らない』で国際的な評価を得た是枝裕和監督の最新作。現在絶賛公開中であります。

時は元禄年間。父の仇を追って江戸へ出てきた若き侍、青木宗左衛門が主人公。敵を探さにゃなんないんだけど、あんまり熱心ではない。理由は簡単。腕に覚えがまるきりないから。
裏長屋の連中と戯れたり、若い後家さんにほれたりしてるうちに、ますますやる気をなくす宗左衛門。ところが不幸なことに、目指す仇を見つけてしまったからさあ大変。勝負を挑もうにも、足がすくんで近づくのもままならない。
一方そのころ長屋の一角では、播磨から出てきた怪しい浪人の一団が集まり、不穏な計画を進めていた・・・

映画評なんかでは「時代劇の形をとった現代劇」とよく書かれてました。でもこれ、どこをどう見ても時代劇ですよ。だって今の日本に侍とかあだ討ちとか存在しないし。強いて当時の武士に近い存在といえば、自衛隊のみなさんとかですかねえ。一応有事に備えて訓練してるけど、本当に有事があったら困る。そんなところがよく似てます。
観ていて思ったのは「日本人ってあだ討ち話が好きだよな~」ということ。曽我兄弟しかり、鍵屋の辻しかり。
いまわが国は隣国と緊張した関係にあるわけですが、「やられたらやりかえせ」という声が強くなってきてるのも、そういう気質から来てるのかな、と思ったりします。
ただ実際に「やりかえして」すかっと解決するかといえば、とてもそうは言えません。「復讐はあくまでフィクションの中で楽しむだけにしておきましょう」というメッセージを、作品から感じました。

もう一点目をひくのは、長屋のばばっちい描写。画面の中から「ぷ~ん」とにおい立つようです。とくに排泄にかんする部分を、これほどまで強調した作品は近年まれでしょう。監督がなぜこれほどまでに「う○こ」を前面に出したのかは正直よくわかりません。「人間はきれいなだけでは生きていけない。ばっちいところ、俗な部分も全部ひっくるめてこそ人間なんだ」ということなんでしょうか。

主演はV6は岡田准一くん。『木更津キャッツアイ』『タイガー&ドラゴン』など、にぎやかな役が印象深い彼ですが、今回は落ち着いた演技を見せてくれます。って言うか、今回あんまりしゃべりません。
また、ダメ人間ぞろいの裏長屋の連中を、古田新太、上島竜平らがそのまんまに(失礼)巧みに演じてました。なんでかガラの悪い赤○浪士の方たち(遠藤憲一、寺島進など)も印象的です。その中に某鬼平と同じ名前の人がいるんですが、まさかあの人だったとは・・・ やられました。

そういうわけでなかなか好感のもてる映画でした。ただテンポはかなり緩め。眠くなりそうなときはコーヒー片手に鑑賞されてください。
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