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June 28, 2006

山田風太郎に関しては色々言わせてもらいたい⑪ マイ風太郎原体験

こないだ山風のファンサイトである、ますいさんところ(http://moufudiary.blog24.fc2.com/)にお邪魔したとき、「そういえばわたしの山風原体験ってなんだろう」とふと思ったのでした。年バレ覚悟でいってみましょう。
つらつら思い返してみるに、やはりファーストコンタクトはテレビで見た角川映画『魔界転生』(1981)『伊賀忍法帖』(1982)の宣伝じゃなかろうかと。『伊賀』の方はくの一らしき女性の顔がずーっとアップで映っていて、瞳が徐々に怪しく輝いてくる、そんなCM。子供心になんか怖かったのを覚えています。そういえば角川映画のCMってなんかこう無意味におっかないものが多かったですね。
この二作品だいぶあとで鑑賞する機会に恵まれました。『伊賀』は序盤は概ね原作どおりなのに、終わりが近づくにつれ、どんどん逸脱していきます。『魔界』に至っては序盤からオリジナル一直線という感じでした。わたしが『SHINOBI』に寛容なのは先にこれらを観ちゃってたからかもしれません。

その後伝奇作家の菊池秀行氏のエッセイや、『このミステリーがすごい!』で名前を見たりしましたが、いまひとつ食指が動かず。角川文庫の作品一覧で「○○忍法帖」というタイトルがずらーっと並んでるのを見て、「なんかおんなじようなのばっかり書いてる人だなあ」という印象があった(無礼千万)からでしょうか。
結局最初に手にとったのは1992年に毎日新聞社より『柳生十兵衛トリロジー』と銘打って、例の三部作が統一デザインの単行本で出されたとき。広告でそれぞれのあらすじを読んで、「すっごい面白そうじゃないか!」ということにようやく気づいたのですね。それで、図書館で『柳生忍法帖』を借りて、一気に読んでしまったのでした。
しかしわたしが本格的に山風にはまったのはこのもう少しあと、講談社ノベルスより「山田風太郎傑作忍法帖」と銘打ったシリーズが発行されてから。書店の平台に横尾忠則装丁による『甲賀忍法帖』『伊賀忍法帖』『忍びの卍』がずらっと並んでいたのには、なんというか「ただものではない」インパクトがあったのでした。そしてこの三作品がまた、それぞれとても面白かった。このときからわたしは山風にハートを奪われてしまったのでした。

しかし悲しいかな、この時点で入手できる山風作品は非常に限られていました。そこで神田や高田馬場を、足を棒にして絶版本を探しまわることに。そこそこ収穫のあるときもありましたが、大概は時間も労力も無駄にすることの方が多かったです。
そうしている間に出版界では山風復刊ブームが起こり、わたしが苦労して探し出した作品は情け容赦なく次々とリバイバルされていきました。正直「あの苦労はいったいなんだったんだー!」とがっくりきました(笑)。けれどこれでさらに多くの人が容易に読めるようになったわけですから、そういうお尻の穴が小さいことを言っていてはいけません。それにこのブームのおかげで、見つけられなかったレアものも色々読めるようになったわけだし。特に廣済堂さんにはお世話になりました。

一通り読み終えて、山田先生が亡くなられると、わたしもなんだか熱が醒めはじめ、あまり古書店でもチェックしなくなっていきました。が、昨年高野正宗さまがブログで集中的にとりあげられておられるのを読んでいたら、ひさしぶりに「山風魂」が再燃。引っ張り出したり買ったりして、幾つか再読してるうちに、ふたたびそのとりこになってしまっているという次第です。
気になるのは、最近また山風作品が入手困難になりつつあるということ。本屋でもネットでも品切れが目立ちます。各出版社のみなさま、ここらでまたどかーーーーんと再販かけてみましょうよ~
20060628201406画像は講談社ノベルス版。かっこいいです。肝心の『甲賀』がみつからない・・・ こんどゆっくり探すか

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Comments

こんばんは。
えー、言及有難うございます(^^;)って、こちとらは単にこの年になってやっとまともに読んだだけで、本当はすっごく恥ずかしいんですよねー、この年でってのが。
私の山風初体験は、高校3年になる頃の春ぐらい、だから17歳でしたね(このへんもブログに書いたのですが)。『柳生忍法帖』。
これは山風だから、ではなく、柳生十兵衛だったから。当時私はこの人にハマっていたので、関係する本は読みまくりましたねー。あの頃は勿論ネットショッピングなんてないので、手書きのリストを店員に見せたら「…何かのレポート(でも書くの)ですか?」…そりゃそうだろうな。あんな苦労も懐かしい話です。
で、…すげー肉肉しい話だなと(笑)あれは柳生三部作の真ん中なんですね。全然知りませんでしたが。初作品で血と雪、赤と白のとにかく強烈なビジュアルイメージ、を感じました。
あの「ニンガリ」と笑う十兵衛はもしかしたら私の遅い初恋だったかもしれません。
その次が、三部作ラストを飾る、というより、多分山風の集大成であろう『柳生十兵衛死す』。
17歳の私は今よりもっとアホだったので、この作品の価値はわからず、そのまま山風から遠ざかってしまったのでした。
それから10年以上!
…あれ?何がきっかけだったんだっけ?多分『奇想小説集』あたりと推理物から入り直して全作いったんですね。
今から考えると、『死す』なんて、絶対最後の最後に読むべきだと思いましたよ(笑)まあ憶えてなかったんでお初みたいなもんですが。
あと、足を棒にされた、ファンの鑑のようなSGA851様には申し訳ないのですが、私は、区の図書館のHPで午前中に予約を入れると会社帰りには(!)最寄の駅前の(!)図書館に届くという夢のよーなシチュエーションで短期集中教育を受けてしまいました(笑)
まあ私なぞはこのあたりで。
P.S.先日、窪塚版『魔界転生』観ました。意外と悪くなかったです(笑)
これ、新橋演舞場でもうすぐ舞台やるんですよね。でも橋之助の十兵衛は…成宮君の四郎は大いにありです。TVで放映するのを待ちます。

Posted by: 高野正宗 | June 28, 2006 at 11:47 PM

>本当はすっごく恥ずかしいんですよねー、この年でってのが。

いやー、名前は知ってるけど、なんとなく先入観がじゃまして読んでないという人、いっぱいいると思いますよ

>柳生十兵衛だったから

17歳で柳生十兵衛とにはまるというのも渋いですね・・・ 山風以前のわたしのイメージは「宮本武蔵の引き立て役」という感じでした。お許しを

>初作品で血と雪、赤と白のとにかく強烈なビジュアルイメージ、を感じました。

たしか角川文庫の上巻の副題が「江戸花地獄」で、下巻が「会津雪地獄」だったかな。わたしは例によって会津七本槍の奇天烈なキャラと派手なやられっぷりが読んでて楽しかったです

>予約を入れると会社帰りには(!)最寄の駅前の(!)図書館に届くという夢のよーなシチュエーション

都会はようがすなあ。それにひきかえうちの図書館は・・・ 最近全然行ってないけど

>窪塚版『魔界転生』観ました。意外と悪くなかったです(笑)

そいつは意外だ(笑)。機会があったらチェックしてみます

Posted by: SGA屋伍一 | June 29, 2006 at 07:46 AM

こんにちは。
SGA屋伍一様は『柳生忍法帖』で山風をお知りになったのですね(^ ^)
やはり忍法帖は一番メジャーでもあるので忍法帖から出会いハマる方が多いようです。
私は映画『魔界』も『伊賀』も見たことがないんですが、
もし初めて『甲賀』に出会う以前に映画を見ていたら山風に対する先入観が生まれていたような気がします。

Posted by: ますい | June 29, 2006 at 03:53 PM

どもども

>やはり忍法帖は一番メジャーでもあるので忍法帖から出会いハマる方が多いようです。

確かに言われてみれば「明治ものから入った」「推理小説から」という声はほとんど聞きませんね。例外といえばミステリ評論家の新保博久氏くらいでしょうか。たしか氏は「推理小説の延長で忍法帖にも手を伸ばしたけど、最初は二、三冊読んでやめてしまった」と何かで書いておられました

>私は映画『魔界』も『伊賀』も見たことがないんですが

う~ん。見なくてもいいと思いますよ(笑) やはり小説の奇想・幻想に映像が追いついていない感じです
『伊賀』の最大の不満点は、例の「人間ブーメラン」が出てこなかったことでした

Posted by: SGA屋伍一 | June 30, 2006 at 05:55 PM

こんばんは。
あ、私、あらためてハマった最初が「奇想」と「推理」だ。
うーん。私、山風ってあのまま推理作家で行っても物凄かったと思うんですよね。元々乱歩が大リコメンドしたのだし。
「眼中の悪魔」なんか本当に凄い。医者兼推理作家って、彼以外にははっきり言って今、ろくなのいませんよ~(笑)医者社会の内幕暴露するだけで満足してる話か、物凄くつまらないか、サービスシーンに偏っているか(笑)
医学的知識と、結局は人の身体への愛着と、ロジックと驚きをあそこまで渾然一体とさせた人はいません。

Posted by: 高野正宗 | June 30, 2006 at 07:33 PM

>私、山風ってあのまま推理作家で行っても物凄かったと思うんですよね

そうですね。前にも書きましたが、現代のいろんなミステリー作品のネタを先取りしてますし。こんどお叱り覚悟で一覧書いてみようかなー

>医者兼推理作家って、彼以外にははっきり言って今、ろくなのいませんよ~(笑)

なんかこの前「医師兼ミステリー作家」な方々の記事を読んだのですが、もう名前が思い出せない(やれやれ)。最近多いみたいですね
『チーム・バチスタの栄光』とやらはかなり評判よろしいようですが

Posted by: SGA屋伍一 | June 30, 2006 at 09:48 PM

ミステリ評論家の新保博之氏と言えば、マガジンハウス『風太郎千年史』の
編集者さんですよね。
『風太郎千年史』は特にミステリ系に寄っていたので
あれはやっぱり新保さんの趣味だったんですね。


『伊賀』はレンタルで発見したことがあったんですが
親に「それって18禁だよ」と言われました。
分かってるよ原作読んでるんだから(笑)
人間ブーメランが登場しなかったとはダメですね…(笑)

Posted by: ますい | July 03, 2006 at 03:38 PM

>新保博之氏

まあその筋ではわりと知られた方です。たまに厳しいこと書いて恨まれたりもしてます(笑)
『風太郎千年史』という本面白そうですね。まだ手に入るかな?

>映画版『伊賀』
>親に「それって18禁だよ」と言われました。

まあアレな描写はありますが、一応年が幾つでも見られます。
やばいのはVシネで製作された『くの一忍法帖』シリーズ。こちらは作家の橋本治氏が激怒されてました・・・・

昔の映画でha渥見清主演の『風来忍法帖』なんてのもあるそうです。ちょっと勘弁ですね(笑)。わたしの陣内のイメージは佐藤浩市あたりなんで。

Posted by: SGA屋伍一 | July 03, 2006 at 09:50 PM

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