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May 05, 2006

頭文字V ウォシャウスキー兄弟 『V・フォーヴェンデッタ』

『マトリックス』で名をはせたウォシャウスキー兄弟が、アメコミの名作を完全映画化。現在絶賛・・・か知らんけど公開中です。
パラレルワールドの英国が舞台。第三次世界大戦の影響で環境や人心は荒廃し、イギリスでは独裁者が猛威を振るっていた。圧政に苦しみつつも支配者に逆らうものなど誰もいない、そんな時代に一人のヒーローが現れる。彼の名は「V」。手始めにテレビ局を占拠した「V」は独裁者の欺瞞を暴露し、その後も彼の側近を一人一人始末していく。「V」を追う刑事ダスコムは、その秘められた過去を知るうちに、「V」に不思議な共感を抱くようになる。また、「V」に助けられたことから官憲にマークされることになった少女・イヴィーにも、苛酷な運命が待ち受ける。

こう書くと極めてオーソドックスな英雄譚を想像されるかもしれませんが、この映画はちょっと一筋縄ではいかないタイプの作品です。普通ならここで「V」がいかにもかっこよく、頼もしいヒーローとして描かれるのでしょうけど、この「V」がどう考えてもイカレている。おかめとひょっとこを足してわったようなマスク(ガイ・フォークスという人物に由来する)をかぶり、常軌を逸したような言葉をまくしたて、悪党たちを執拗にいたぶる。だけならまだしも、ヒロインにあんなことやそんなことまでしてしまう。これには開いた口が塞がりませんでした。「だってぼくはあいつらの手で怪物にさせられちゃったんだもん。だから仕方ないんだもん」と必死に言い訳する「V」ですが、だからといってなんでも許されるわけじゃねえ! この変態!!

えー、そんなわけでとても評価の難しい作品です。娯楽としてはアジテーションが強すぎるし(マトリックスみたいなの期待してた人はがっかりだろうな)、文芸作品としてはあまりにもバカっぽいし、さほど本筋と関係ないようなエピソードがえんえんと語られたりもしますし、ほかにもあれやこれやあります。
でもどっちかって言うと、自分はこういうの好きなほうだったりします(あちゃー)。
その魅力を説明するのは難しいですけど、強いて言うならいわゆる「滅びの美学」みたいなものでしょうか。「V」はハナから生き延びることなど考えちゃいません。彼にとって死と勝利はワンセットになっているわけです。たしかに多少付いていき難いところはありますが、燃え尽きる前にひときわ明るく輝く花火のように、その姿には目をひきつけられるものがあります。一見無敵のようでいて、反面とてももろい部分を持ち合わせている、そんなところも他のヒーローものにはない独特の味わいと言えるでしょう。

前作、マトリックスとの共通点を挙げるとするなら、早い話が「権力は敵だ!」というところですね。今回もおまわりさんは制服を着ている時点で容赦なく敵とみなされます。ウォシャウスキー兄弟はおまわりさんや官僚に、何か嫌な目に遭わされたことでもあるのでしょうか。たしか「マトリックス」の時に「青少年に与える影響があーたらこーたら」とかいろいろ批判されていたように記憶していますが、兄も弟もまったくといっていいくらい反省してない様子。ある意味あっぱれですが、この「毒」は確かにヤバイ。彼らが望むのはただ「アナーキー」、そういうことなのでしょう。

そんなわけで『コナン』『クレしん』に遅れを取っているものの、現在「中」ヒット公開中です。ていうか、こんな映画が大ヒットしたら問題だと思います。冒頭で述べたように、この映画には原作となるコミックがあるのですが、偏屈もので知られる作者は脚本を読むなり「おれの名前はクレジットに出すな」と絶縁を宣言。本当に出てませんでした(笑)。現時点でまだ読み終わってませんが、近日中にこの原作の方もレビューいたします。

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Comments

>ヒロインにあんなことやそんなことまでしてしまう
 V「すまない、私はこんなことはしたくなかった。
しかし君に強くなって欲しかったんだ!!」
 ああ、そうだったんですか、って許せるわけねぇだろ!!

>何か嫌な目に遭わされたことでもあるのでしょうか
 魚シャスキー「おまわりさんはみんな優しくていい人です。
でも○○署の○○だけは許せねぇ!!あの野郎!!」

 

 ナタリーのアリスみたいなドレス姿が可愛かったですよね。
あれではVも萌えちゃいますよね。

 

 ♀×♀の同性愛者のシーンでじ~んときました。
はぁ、女の子同士の恋愛はピュアで美しくて大好きです♪
(実際ではなく頭内で)
 これウォシャスキー兄の体験なんんでしょうね。
 ある女の人がスキで兄さん、男→女へと変身したわけですから。
 
 

 なんか最後の方は独裁者と直接対決して欲しかったですね。
 ブッシュと戦うと思ったらチェイニーと対決しちちゃった、みたいな
感じでした。
 あの独裁者、安倍さんに似ていましたね。
偏見ではなく神経質そうなところが特に。
 やはり政治家は疲れるんでしょうね。
 安倍さんにはお疲れ様でしたと言いたいです。

Posted by: 犬塚志乃 | November 26, 2007 at 11:55 PM

>犬塚志乃さま

すいません。これいかにも「ウォシャウスキーが監督した」みたいな書き方になってますけど、彼らは協力しただけで監督はまた別の人だったみたいです

ナタリーのドレス姿、女同士のラブシーン、ヒーローのくせにラチ監禁、全部原作にある部分です。ここまで忠実にリスペクトしてるのに、やっぱり微妙に違う作品となっていました。それだけ原作がややこしい話だったということなのでしょう。たしか原作では独裁者の存在がもっとあいまいだったように記憶しています

ナタリー・ポートマンはずっと「優等生」だったのに、最近いろいろブチ切れた言動が多くなってきてるみたいですね。この映画の影響じゃないといいんですけど

Posted by: SGA屋伍一 | November 27, 2007 at 07:46 AM

 ナタリーさん、はレオン、アナキンそしてVと様々な男性を
とりこにしてきました。
 最近自ら会社を設立してさらにがんばっているみたいですね。
 
 原作、はもっとちがうんでしょうね。
♀×♀が皮肉めかして書かれていたら激怒しますw

 前の返事にも書きましたが「なんで独裁者と直接対決がなかった
んだろう?」と思っていましたがノベルを読んで一応答えが見つかりまし
た。
 Vにとって復讐する相手はサトラー政権ではなく自分を生み出した
人たちなんですね。
 岩窟王+フランケンシュタインなんですね。
 だから政権の人間をターゲットにしていなかった、という
わけですね。
 ひとりひとり追っていく内にたどり着いたのがNo2だったから
対決したんですね。

Posted by: 犬塚志乃 | April 02, 2008 at 08:19 PM

>犬塚志乃さま

ナタリー・ポートマンはこないだ『ダージリン急行』の併映の短編で観ました。『V』の直後だったのか、髪がやけに短かったです

独裁者との対決がなかったのは概ねコメントに書かれているとおりだと思います
同性愛はたぶんファシズムに対する抵抗ということで持ち出してきたんじゃないかと

そういえば町山さんだかが「サトラーという名前がわかりやすすぎて恥ずかしい」みたいなことを言ってました
でもまあ、けっこう原作に敬意を払っていた作品だと思います

Posted by: SGA屋伍一 | April 03, 2008 at 07:42 AM

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Tracked on May 25, 2006 at 10:28 PM

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