ハチミツとゼクトルーパー 仮面ライダーカブトを語る②
「でんせつのかぶとむし」をてにいれた「てんどうそうじ」に、ひみつそしき「ぜくと」はしかくをはなちます。しかくのなは「やぐるまそう」。「まほうのはち」のちからでちょうじん「ざびー」にへんしんした「やぐるま」は、「てんどう」にもうこうげきをしかけてきます。しかしたべものをそまつにしたばちがあたったのか、「やぐるま」は「まほうのはち」からみかぎられてしまいます。そのつぎに「はち」がえらんだのはあの「かがみくん」でしたが、「かがみくん」は『「てんどう」はおともだちだもん!』と、「かぶと」とたたかうことをきょぜつ。「ったくどいつもこいつも」ともんくをいいながら、「はち」はどこかへいってしまいます。
そんなわけで現在までに14話までを消化した『カブト』。今回は『仮面ライダー』の重要なファクターである「組織」について、少々。
番組が始まる前に白倉Pは「『仮面ライダー』は組織と個人の物語」とおっしゃってました。たしかに第1作仮面ライダーは、個人・本郷猛と、組織・ショッカーの対立の物語です。で、このショッカーですが、原作最終回において「じつは我々がお手本にしてたのは日本政府だよ~ん」とシャレにならない告白をかましてくれたりします。
こんなところからわかるように、どうも全盛期の石ノ森先生は「組織」「政府」といったものに根深い不信感を抱いておられた模様。たくさんある石ノ森ヒーロー漫画のなかで、組織を肯定的に描いているものはほとんど無かったように記憶しています。強いていうなら『ゴレンジャー』くらいでしょうか。もっともこの作品も後半は完全にスラップスティックものになってしまい、やっぱり「正義の」組織を書くのに抵抗があったんかなあ、と思ったりします。
けれど現代社会に生きていくうえで我々は何らかのかたちで「組織」に属さねばやっていけないわけであり、晩年先生も『HOTEL』『日本経済学入門』なんかでやや見方を和らげておられたご様子です。
で、『カブト』における組織の描写ですが、この作品に登場する「ゼクト」なる組織は一応人々の安全を守るために作られています。しかし「多少の犠牲もやむをえない」という方針や、人々の安全よりも異分子であるカブトの排除を優先させているところなど、「正義の組織」とは言いがたい部分も多々見られます。
考えてみると、現実の警察機構もここまで露骨でないにせよ、似たり寄ったりなところはあります。決して正義ではない。でも無ければもっと困る。多少誇張しているところはありますが、『カブト』ではそんな風に組織を描写することで、「組織」「政府」との付き合い方を模索しているように思えます。
主人公「カブト」=天道総司は組織とはっきり道を分かち、唯我独尊の道を行っています。こうできれば一番いいのでしょうけど、現実にそこまでできる人間はほとんどいません。だからこそ彼はヒーローなのでしょう。
二番手のライダー「ザビー」は組織に完全な忠実を誓っています。組織のためならどんな犠牲をもいとわない。これまた一般人には厳しい生き方です。また、一歩間違えれば当初の目的・・・人々の安全を守る・・・が見失われる恐れもあります。
最近登場した三人目のライダー「ドレイク」=風間大介は、まだどんな立場かはっきりしませんが、先回の様子から察するに、両者の中間のような立場になるのではないかと思います。つまり、報酬をもらって組織のために働くスタンスかと。だから状況次第では組織を離れることもある。その場合、カブトと同様「敵」とみなされることもありうるわけですが。
そして我々に一番ちかいところにいるのは、どのライダーでもない(いっぺん変身したけれど)加々美新という青年。
基本的に組織に属してはいますが、そのやり方全てに賛同しているわけではないし、時には激しい怒りを覚えることもあります。しかし天道のような超人ではない加々美は、組織の力を借りなければ目的をかなえることは難しい。そこで彼はどうやって多勢の中で「個」を貫くことができるか、戦いを強いられるわけです。
同様のテーマは平成版第二作『アギト』でも扱われましたが、今回はゼクトの暗部を強調することで、より鮮明になっている気がします。
さて、前回述べた「なぜ主人公はあんなにサバにこだわるのか?」という疑問ですが、公式サイトにて一応回答が出されました。こういうことのようです↓
http://www.toei.co.jp/tv/kabuto/index.asp?action=category&key=key(の「友情と鯖」という項目をご覧ください)
・・・納得いくようないかんような。
次は是非「ザビーと豆腐の関係」についてご解答願いたいと思います。
「豆腐を愚弄する者は国を滅ぼす」BY大村益次郎
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