戦国鬼嫁日記 ~大河ドラマ『功名が辻』より⑥
ハアハア、フンガ、あ、みなさんこんばんは。チヨです。
え? 息が荒いって? うん、ちょっとね。んふふ。
おらぁ! 逃げるんじゃない! このあとまだパワーボムと四の字固めとウェスタンラリアットが残ってるんだかんね!
あ、失礼。今回の鬼嫁日記だけど、姉川の戦いの前後にあった家庭の事情について語らしてもらうわ。
金ヶ崎で深手を負いながらも、なんとか命を拾った宿六。相手幹部のタマを取って、組での地位も給料もぐーんとアップすることが決まったの。この時ばかりは、さしものアタシも、あつーい抱擁とキッスで迎えてやろうと思ったわ。ところが、連中の様子がなんかおかしい。わけもなくそわそわしてるっつーか、びくびくしてるっつーか。
ふしんに思ったアタシは、三人まとめて拷問部屋でちょいと一時間ばかりしめあげてやったの。そしたらゲロしたわ。なんでも地元のクラブかなんかでホステスともりあがって、そのあと各自どっかへしけこんだって言うじゃない。そんなこったろうと思ったわ。
さてこのあとどうやって折檻してやろうかと考えていたら、タイミングの悪いことに電話が鳴った。
「ハイ! ボスですか! え? これから浅井んとこへお礼参り? かしこまりました!!(ぷち) つーわけで、オレ行かなくちゃ!」
その時の宿六のうれしそうな顔っていったらないわ。まあボスの命令じゃ仕方ない。断腸の思いで縄をほどいてやったわよ。
この時の戦いが後に姉川の戦いとよばれるようになったんだけど、まあそんなことはどーでもよくて。
その後やり場の無い怒りをサンドバックにたたきつけていたら、真夜中過ぎにシンの字とキチ公が帰ってきた。ところが宿六の姿がないじゃない。
「実は出入りの最中に姿が見えなくなって・・・」
「もしかして敵の組に捕まってしまったのかも・・・」
二人はおろおろしてたけど、アタシにはピーンと来たわよ。あんにゃろう、ほとぼりがさめるまでどっかに隠れてようって腹なのよ。
案の定、数日経ってあいつはひょっこり帰ってきた
「いやー、死ぬかとおも」
しょっぱなにドロップキックをたたきこんだのは覚えている。そっからあとはもう、無我夢中だったわ。気がつくと宿六がアタシの下でボロ雑巾みたいになってた。
「もう、しましぇ~ん」
まだやり足りなかったけど、それくらいで勘弁してやったわ。なんて心の広いアタシ。
でもねえ、アタシだって人間よ? たまに思い出したりして、腹が立つことだってあるわけよ。
そういうときは宿六に責任とってもらうわ。当然のむくいよね。
「こ、このへんで今日はもう・・・」
まだまだァ!! あとパロ・スペシャルとアキレス腱固めと、パイルドライバーと、それから・・・
Comments