兵士ビンビン物語 サム・メンデス 『ジャーヘッド』
なんとなく海兵隊に入ったのんきな青年、スオフォード。幸か不幸か、彼が入隊してまもなくフセインがクェートに侵攻。湾岸戦争が勃発する。中東に派遣され、激戦を覚悟していた彼らを待っていたのは、演習と暇つぶしばかりの毎日。そんな状態が半年も経ったころ、とうとう実戦に参加せよとの命令が彼らに下る。
タイトルはカリカリに刈り上げた海兵さんの頭がビン(ジャー)に似ていることから来ています。ジャーって炊飯器のことだとばかり思ってました。最近のアメリカさんの戦い方は、高性能のレーダーで敵の拠点を探り、しかる後にピンポイントで空爆というのが主流のようです(誤爆もけっこうあると聞きますが)。そんな戦闘において、歩兵さんたちのやることはほとんどありません。
"戦争映画なのに戦闘シーンはごくわずか。あとは兵士たちが行き場の無いエネルギーをもてあます描写がほとんど。そんな映画が面白いのか? これが面白いんである”と、某紙の映画評にはありました。なるほど、予告編とかみるとなかなか独特の絵が映されていて、確かに面白そう。そんなわけで観にいったわけですが。
はっきり言って騙されました(笑)。大体冷静に考えて、退屈に参っている人々の様子をえんえんとみせられて、面白いと思いますか? 面 白 い わ け が な い。主人公に感情移入すればするほど、「おれ、こんなところで映画みてていいのかなあ。もっと他でやらなきゃいけないことがあるんじゃないのかなあ」という気分にさせられます。体育会系特有の下ネタ百連発にも、いいかげん辟易しました。
ただ、「実際の湾岸戦争がどんなものだったのか?」ということを勉強するうえでは、大変優れた教材だと思います。あと、むさくるしいやろうどもを、暑苦しい場所にずーっとかためて置いておくとどんな風になるか・・・ということもよくわかる作品になっております。
ワタシがうっかりこの映画を観に行ってしまった他の理由としては、次の二作品がなかなか面白かった、ということもあります。
『スリー・キングス』 湾岸戦争終了直前、このまま帰っても生活はジリ貧ということに気づいた三人の兵士。フセインの隠し財産をかすめとろうと砂漠を探索しているうちに、いつの間にか難民たちを守る立ち場になってしまう。舞台は同じ湾岸戦争でありますが、こちらは『ジャー』よりも物語の起伏があり、テンポもいい。社会派っぽいテーマも盛り込んであります。ジョージ・クルーニー主演。
『ロード・トゥ・パーディション』 『ジャー』のサム・メンデス監督がこれより前に手がけた作品。一ことで言うと『ゴッドファーザー』+『子連れ狼』。全ての長男にささげられるべき映画。「静かな狂気」という点では共通しているものの、方向性のかなり違うお話。
同じ日にもう一本観た映画が『ミュンヘン』だったため、わたしのハートはさらにげんなりしてしまったのでした。いや、こちらは別に駄作だったというわけではないのですが。近日レビューする予定。
Comments
みのもんた。
本業はスナイパー。
人に保険金をかけて、銃でターゲットを殺す。
最近、事情により(後藤組)いい銃が手に入らず困っている。
Posted by: 起伏大行進 | May 27, 2006 10:17 PM
(^^;)?
Posted by: SGA屋伍一 | May 28, 2006 07:58 PM
あ。
Posted by: 細木数子 | August 11, 2006 09:48 PM
ズバリ言ってよ!
Posted by: SGA屋伍一 | August 11, 2006 10:08 PM
こんにちは!
この映画は退屈に思われた方が多いようですね~
『退屈に参っている人々の様子をえんえんとみせられて、面白いと思いますか?』―何故か面白かった私です(笑)
だいたいジェイクの演技が好きなんですよ。
別に好みというわけではないのですが、あの追いつめられた目がいいの♪
あの目がゲイの方々にもウケルんだと思うわ(笑)
Posted by: 由香 | November 08, 2007 10:18 AM
>由香さま
こちらにもコメント&TBありがとうございます
気に入った映画に文句言うような形になってしまってすいません
この作品に関しては「面白がろう」という気持ちで観に行ったわたしが間違っていたんだと思います
「何かを学ぼう」あるいは「ジェイク萌え」という姿勢で観なければいけなかったのでしょう
ジェイクさんは「世界で最もセクシーな50人」にも選ばれたり、ゲイ以外にも大人気のようですね。ただわたしは彼を『ジャーヘッド』と『ゾディアック』でしか見てないので、どうも「すっとぼけたヤツ」というイメージがぬぐえません
Posted by: SGA屋伍一 | November 09, 2007 07:41 AM