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March 24, 2006

風と雲とギャグと 『風雲児たち』を語ってみたい④

それではいよいよ本編の解説をば。今回は潮版1~2巻、リイド版1から2巻106Pのお話

「世界の存在を忘れ 四つの島でできた国のみを天下と信じ 三百年におよぶ長い時間を眠りつづけた国があった」「やがて-その国に目覚めが訪れる時 それまでのうめあわせをせまるかのように おびただしい数の風雲児たちが群がりいでたのである-」

『風雲児たち』はこのナレーションを持って始まります。じゃあさっそく「1853年、黒船来航!」となるのかと思うとさにあらず。「話は四百年前にさかのぼる-」 これですから(笑)
なぜ「幕末のチャンバラをやる」のが目的のこの漫画が、1600年の関ヶ原の戦いから始まらねばならないのか。それは前回挙げたクエスチョンの一つ・・・・「なぜ幕末において徳川に反旗を翻したのが、薩摩であり長州であったのか」 こいつの答えを出すためには、「関ヶ原」はどうしても避けて通れないイベントだったからなんですね。

関ヶ原の戦いに関しての一般のイメージと申しますと「徳川家康率いる東軍と、石田三成率いる西軍ががっぷり四つに組み合う。しばらく戦況は膠着していたが、西軍は小早川秀秋の突然の裏切りにより大崩。結果東軍の大勝利に終わった」とまあ、こんなところかと。確かに大筋はそうなんですが、このとき戦いに参加していた大名・武将たちには実に様々な思惑・誤算があったのでございます。
たとえば後に反幕府勢力となる長州・薩摩・土佐。この三つの藩は、そろって西軍に属していました。では戦いにおいてどんな役割を果たしたのかというと、これが何もしていない(笑) わざわざ中国・九州・四国からやってきたのに、なんでただ「ぼーっ」と戦を眺めていたのか。それぞれ複雑、あるいはアホな理由があったんですが、それに関しては本編をどうぞご覧ください。あとやはり半幕府勢力としてオマケのようにあげられる肥前鍋島藩。彼らも西軍でしたが、爆笑もんのせこい手口を使い、なんとか難を逃れました。どんな風にしてごまかしたのかは、ファンサイト『風雲児たち』長屋(http://fuunji.net/tuuhan/tuuhan2005huyu.html)で通販されている『風雲児外伝11 日本宰相伝』に書かれています。
ここで特筆しておきたいのは薩摩藩。戦いがほぼ終わりに近づいた時、彼ら(約千六百名)の帰路の前には、すでに十万余の軍勢が立ちふさがっていました。反対側に逃げれば慣れない土地で迷った挙句散りぢりになってしまうのは目に見えている。そこで彼らが選んだ方策とは- 歴史上類を見ない「○○○への○○」は、ギャグ調で描かれてはいますが、背筋を走るものがございます。

さて、戦いは終わりましたが、家康の敗者に対する制裁はなおも続きます。西軍に属していたほとんどの大名が改易、追放されました。薩摩・長州は一体どうやって取り潰しを免れたのか。そして君主の追放された土佐に望む悲劇とは。土佐に関するエピソードには、今話題の「あの人」も登場。イメージダウンまちがいなしです。そして戦後処理が終わるころには、幕府に対するぬぐってもぬぐいきれない深い怨念が、敗者たちの胸の奥にしかと宿されることになったのでした。そしてその怨念は、厚いベールに覆われたまま、長い時を越えて子孫たちに受け継がれていきます。

この部分に挿入される天皇に関する考察も、なかなか興味深いです。西洋・中国などでは、権力者が交代するとき、大抵旧体制の支配者は皆殺しにされます。それに対し、天皇家はいつの時代も権力者たちの庇護の下にあり、約二千年存在し続けてきました。天皇家が乱世を生き延びてこられたのは、いかなる理由によるものなのか。それはまことに「日本人らしい」ものの考え方のためーと先生は主張されます。


ここまで読んで「是非これらの答えが知りたい」というあなた、いますぐ大書店かAMAZON へGOです。たぶんワイド版の方が入手しやすいかと思われますが、表紙にだまされないように(笑) 次回は二代将軍秀忠の恋物語を中心にレビューいたします。


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