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March 04, 2006

ヤング遠山金四郎 市川森一 『夢暦長崎奉行』

去年のいまごろ予告に出して、今年の正月に読了した本をいまごろレビュー。マイペースにもほどがあるってもんです。はい。

あらすじ。文化九年、かつてロシア大使を相手に一歩も退かぬ見事な交渉を見せたことで名をはせた遠山左衛門尉景晋(かげみち)は、今度は奉行として長崎の地に足を踏み入れる。景晋はひそかに供の者として、息子の金四郎を同行させていた。ある事情で家を出て、無頼の生活を送っていた金四郎に、別の環境で「人生のやり直しをさせてやりたい」という思いからであった。しかし景晋には密貿易で私腹を肥やす大名・島津重豪など政敵も多く、彼らは遠山父子を罠にかけんと陰謀をめぐらす。

みなさんは遠山の金さんが実在の人物だって知ってました? わたしはマンガ『風雲児たち』を読むまで架空の人だとばかり思ってました。お白州で毎回脱いでたというのはさすがにウソでしょうけど、人情味溢れる名奉行だったことは確かなようです。で、金さんの親父、この方がまた面白い人でして、役人の登用試験でトップ合格してたりとか、探検家間宮林蔵の上司だったりとか、トリビア満載な人物でございます。このキャラ立ちまくりな二人が、さらに長崎という個性的な土地を舞台に大活躍するのですから、これは期待するなという方が無理。日本であって日本でない長崎の独特な風物に加え、すれ違いが続いていた父子の不器用なコミュニケーションやなども読みどころの一つです。
作品の前半はいわゆる連作形式。遠山親子が長崎の地で遭遇する幾つかの風変わりな事件が描かれます。二通りの説がある金さんの入れ墨について、その異なる説を見事に融合させたエピソードなどが心憎い。後半は異国船を巡る知られざる騒動「シャルロッテ事件」を題材に、長崎の地を守らんと奔走する二人の活躍が描かれます。

原作は脚本家の市川森一さん。代表作は「ウルトラセブン」・・・って他にもあんだろ・・・ まあ特撮から文芸作品、大河ドラマまで、幅広くしかも独自なカラーで手がけておられる方ですね。じつはこの作品、かれこれ十年ほど前にNHKで放映されたドラマの原作でもあるのです(主に前半)。セガレの方はジョーの相棒だった葛山信吾さんが、オヤジの方は「キケロのジョー」こと小林稔侍さんが演じておられました。
ドラマでは罠にはまった金さんが泣く泣く長崎を去るというちょっと納得のいかない結末でしたが、こちらはもう少しさっぱりした終わり方となっています。ただもう少し親子の絆をどーんと深めるような盛り上がりがほしかったなあ・・・というのは無いものねだりか。

この作品、光文社よりハードカバー(二分冊)、文庫本(一冊)で出版されていたのですが、ここのところ絶版状態でした。ところがタイムリーなことに昨年11月に長崎歴史博物館より復刊。7&Yなんかで扱っているので、ご興味おありの方はそちらで検索してみてください。

「その方怠慢に加え投げやりな仕事振り、まことにもって不届きゆえ、市中引き回しの上獄門磔申し渡す」
お奉行、そいつはあんまりだ!

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Comments

えー…TBさせて頂きやしたよ旦那。
えー…そういえば私がレビューしてコメントを頂いたのは2004年8月。おお、うちのブログを始めてまだ1ヶ月だ。
…ま、そんなことはどうでもいいとして(笑)
…ジョーの相棒のことを考えるだけでもう頭の中が鼻血で一杯で(げふげふ)とてもまともなことが書けません(じゃ書くなよ)。(あ、この方、「信吾」ね)
流石長崎出身の市川さん。うちには長崎出身者は無条件に応援するという家訓があるし、この作品で「ついていくよ」と決意したものです。(ただ長崎出身とは言っても最近大仁○厚はどうかと)
代表作は…「快獣ブースカ」ですよね!?
ほりもんに説が2つある~なんてこと知りませんでしたよ。だってあのシーンがジョーの相棒だと(げふげふ)
私があの方を知ったのがこのドラマで、しっかりクレジットで名前を憶えて、実はそもそも「NHK俳優」なんですよね。「元禄繚乱」とか。でもその後は、何かブレイクしたのが「真珠夫人」と「ジョーの相棒」というのは納得がいかん…と思っているうちに、「イマイチトレンドでない俳優を救済する」という意味での「NHK俳優」に…トホホ。
演技も、あと、やたら歌もうまいのになぁ。
ドラマ版のラスト、結局その前の回でいいとこまで行っていながら桜井淳子(近所のスーパーで目撃、脚が身体の半分あった)とくっつかなかったというのが残念。桜井さんの方はすっかり売れっ子になりましたね~。
このドラマだと、P.バラカンがズーフだったり、高橋恵子おかみが美人だったり色々あります。
今NHKがバンバンDVD出してるので、これもBOXが出ないものでしょうか。
しかし!やっぱり原作が面白かった。本当に、長崎が魅力的だった。父ちゃんが魅力的だった。事件が興味深かった。シーボルト前夜の長崎。これは私の中で宝物的な1冊ですね。
ちなみに市川さん、勤め先の宴会場で目撃。
男の有名人っていうのは、TVとおんなじですね(笑)

Posted by: 高野正宗 | March 04, 2006 at 10:09 PM

TBありがとうございます。昨年夏ですか。時の経つのは早いことです。ご指摘もありがとうございます。修正いたしました。小林さんの方も間違ってたよ・・・

>ジョーの相棒
今度マイナー系のホスト映画に出るようです
前に書いたかもしれませんが「ラッパじゃねえよ」とか言ってたCMが初見 このころは(当たり前ですが)若かったですねえ


>市川森一
あ、長崎出身だったんですか
あまり拝見してるわけではないのですが、幻想的な作風だそうで
西田敏行主演のあるドラマ(タイトル忘れた)は、三谷さんが脚本家を志すきっかけとなったそうです

他に出演者で覚えてるのは嶋田久作演じる薩摩の隠密とか、石倉三郎演じる幕府の小悪党とか

>シーボルト前夜の長崎
フェートン号事件の顛末なんかも興味深いですね
ちらりと出ていた美馬順三は確かご先祖の高弟になるんでしたっけ(でもコレラであっけなく死亡・・・)
シーボルト来日まで金さんが長崎にいて・・・という発想で面白い話が書けそうな

>男の有名人っていうのは、TVとおんなじですね(笑)
ええと、それは、ワイン飲みながら毒を吐きまくってたということでしょうか(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | March 05, 2006 at 08:01 PM

 偶然手に入りました。このレビューを読んですぐにですよ。
 という訳で読んでいます。

Posted by: 犬塚志乃 | March 07, 2006 at 07:59 PM

そいつはすごい偶然。光文社文庫版かな?
ごゆっくり楽しまれてください

Posted by: SGA屋伍一 | March 07, 2006 at 09:26 PM

TBに関して。すみません、こっちにもコピーしておきますね(^^;)
***
いやいや。
私の方は、っていうのは、私の方からSGA851様の方には「TB返し」をしませんよ~ということです。
何故かというと、TBっていうのは、「自分のこの記事を見て下さい」という意味で相手のサイトに自分の記事のリンクを張ることです。つまり、今回の場合ちゃんとその漫画をレビューしているSGA様の方から、その漫画に言及しているだけのこちらへリンクが張られるのは正しいのですが、逆に、ちゃんとレビューしているSGA様の記事に、私のこの記事を「見て見て」とはできないだろう、そういうことでございます(^^)

Posted by: 高野正宗 | March 14, 2006 at 10:35 PM

こちらの方にもわざわざありがとうございます。

自分も頓珍漢なところがありますので、なにとぞご容赦のほど。

Posted by: SGA屋伍一 | March 15, 2006 at 10:15 PM

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» 泰平と白日夢~市川森一『夢暦長崎奉行』(光文社文庫)(読書日記) [興味と妄想]
やや酔ッパですがこれもUPしておきましょう。 1996年放映のNHK金曜時代劇「夢暦長崎奉行」原作です。正確に言うと、同じく光文社の単行本『夢暦長崎奉行 秋冬篇』と『同 春夏篇』を一緒にしたのがこの文庫(2000年)で、前者がドラマ原作となります。偽オランダ船入港事件..... [Read More]

Tracked on March 04, 2006 at 10:00 PM

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