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February 15, 2006

SGA屋がやらねば誰かやる 紀里谷和明 『CASSHERN』

たったひとつの命を捨てて 生まれ変わった不死身の体
鉄の悪魔を叩いて砕く CASSHERNがやらねば誰がやる

先日の地上波初放映を記念して。70年代の名作アニメ『新造人間キャシャーン』を実写で大胆にリメイクした作品。ここ数年で公開された中で、『アイアン・ジャイアント』と並んで最も好きな映画です。

平行世界の近未来(ややこし)。アジアの盟主となっている日本。しかしその圧政のために、戦火は絶える事がない。自然環境はもはや取り返しのつかないところまで荒廃しきっていた。
科学者・東博士は人間の延命、そして強靭な兵士を造るのに有効な「新造細胞」なるものの開発を提唱。政府の援助をとりつけるが、研究は遅々として進まない。父親に反発して戦地に向かった博士の息子・鉄也が物言わぬ体になって戻ったその夜、奇跡は起きた。新造人間キャシャーンとブライの誕生である。二人は運命に導かれるようにぶつかりあい、その相克は「大東亜共栄圏」を終末へと誘っていく。

公開されるや否や、オタクたちの間に賛否両論の渦を巻き起こした作品。アンチのみなさんが批判するのは、ちょっと説明不足だったりとか、あまりにもご都合主義的なところとか、いくらなんでも現実ばなれしすぎとか(あああ)そういう点なんじゃないでしょうか。
はあ、どうしてわからないんでしょうかね。この映画は「ギリシャ悲劇」なんですよ! キャシャーンはヘラクレスであり、オルフェウスであり、オイディプスなんです。冒頭の稲妻は「ゼウスの雷」であり、戦争の中で残酷な運命に翻弄され、バタバタ死んでいく英雄たちは『イーリアス』のそれとまったく同じです。

と、無茶なフォローを入れてみましたが、やっぱりこの映画、イカレてます(笑)。この作品のゆんゆんとした異常な電波に同調できるのは、ごく一部の特殊なアンテナを持っているひとたちだけでしょう(ファンのみなさん、すいません)。
はっきり言ってまともな大人の見るものじゃない。同時期に公開された同傾向の作品・・・『イノセンス』『アップルシード』『キューティーハニー』なんかと見比べてみますと、いかに『CASSHERN』が稚拙で荒削りかおわかりいただけると思います。
でもわたしなんかは悟ってしまった大人が醒めた口調で語る物語より、稚拙だけれど情熱と狂気の溢れた作品のほうに惹かれてしまったりするわけです。

この作品、一応「反戦」をテーマにしております。と同時に、斬新な映像美をもこれでもか、これでもかというくらい追求しています。『終戦のローレライ』の時にも似たようなことを書きましたが、この二つってあまり相性のいいものではない気がします。その上『キャシャーン』です。なぜ『新造人間キャシャーン』のリメイクでなければならなかったのか? この映画を愛するわたしにも、いまだにその辺がよくわかりません。
早い話が、「やりたいこと、訴えたいことを全部ぶちこんじゃえ」ということだったのでしょう。いくら次の保証がないとはいえ、紀里谷監督もなかなか大胆なことをなさります。
ただ、アニメ『キャシャーン』は洋風の町並みとか、白鳥に姿を変えた母親とか、どことなく西洋の童話をイメージさせるところがありました。紀里谷監督が作ったイカレた童話― そう考えれば先の二つの要素も、違和感なく混じり合わせることができるかもしれません。

作品ほぼ全編が黄昏と夜のシーンで構成されていて、「狂気」に独特の彩を添えています。役者陣がなぜか不釣合いなほどまでに豪華で、寺尾聡、大滝秀治、三橋達也らの重厚な演技が狂気にコクを加えています。さらに唐沢寿明、宮迫博之、及川光宏らの怪演が狂気をヒートアップさせていきます。
八方やぶれなんだけど情熱のままに暴走していくこの映画は、珍妙な格好で血まみれになって迷走するキャシャーンの姿と、よく似ています。いいとこのボンボン(らしい)で、嫁は宇多田ヒカルというやたら恵まれた境遇にいながら、ここまでイカレることのできる紀里谷監督は、大した、というかとても変わった人じゃないでしょうか。

そういうわけでとても人には勧められない。でも好きなのは俺だけでもいいかも。そんな映画です。
わたし、DVDというものはちょっとしか持っていません。買ってもほとんど観ることができないからです(泣) しかし先日のCMでブツ切りになった『CASSHERN』を観ているうちに、「やはりこれは買わねばならない」と固く決意したのでした。


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最近、雑誌『Cut』やらを図書館で読んでみたりしています。 これは映像情報誌、なのかな? あまりテレビ番組に関しては取り上げていませんが、それ絡みのインタビューの際には言及してますし、いや、映画とテレビの境い目なんて私にはよーわかりませんが正直。 あと、なんだったか、対談で映画を語るみたいな本も借りました。 タイトルばっかりで会話してるので、なかなかわかりませんが、何度も繰り返し目を通しているうちになーんとなくね。 いくつか目ぼしいものをチェックしましたが、一応借りられるまで控えておきます、自意... [Read More]

Tracked on February 18, 2006 at 10:03 PM

Comments

 >東博士の愛した数式
 東博士は80分しか記憶が持たないんでしたっけ?
すいませんわざとボケてます。
>ギリシャ悲劇
 あとオデッセイであり、ボロ布をまとっているのは聖者キリス○
なのでしょう。無理やりでしょうか。あまり言いすぎるとウェイン町山氏
みたいになりそうです。氏はまだもう少し根拠とかありますが。
 >紀里谷監督
 キリヤ・リーブス。
歌だ光る「紀里谷お前これ(マトリックス)見たら泣くぞ」
紀里谷「ヒカル、この映画のキャシャ-ンとルナは、ネオとトリニティ、
そしてボクと君そのものなんだ。この映画に君への愛を込めました」
 
 なのでしょうか?
映画キャシャ-ンはライトノベルみたいな雰囲気が好きでした。
「世界は少しおかしいのかもしれない。ボク達は傷つきあいたくない
のに傷つけあってしまう」
 みたいな感じです。
 放浪していてマシーン軍団を見つけたブライたちにいつのまにか
共感していたり、しました。やば。
>ごく一部の特殊なアンテナを持っているひとたちだけでしょう
 あ、私はそうだったんですね。
 「化け物、化け物、化け物」やめろやめてくれ、どうしてどうして。
みんなボクを追い詰めるんだ。力を力を使いたくないんだ。
 こういう雰囲気の文章はクセになります。
 こういう青くさい映画は好きですw

>みんなの家
 この映画も同じ時にTVで放送しましたがブライが家、建ててましたw
>反戦をテーマ
紀里谷監督は熊本生まれですが、熊本は愛国心の強い人が多い
らしく献血は全国一だそうです。
 そんな愛国心の強い県民に生まれたから余計意識するのでしょう
か?
 ちなみに他の熊本生まれ
 田中芳○、尾田栄一○(ワンピース)、あとガンパレードマーチで
幻獣から国を守る主人公たちも熊本生まれでした。
 うーん、「絶対正義の名の元に~」「国だと?はん、そんなものは
ああだこうだ」な作風のような違うような微妙な感じです。
 
 でもキャシャ-ンをTHUTAYAで借りた時はDVDが傷だらけだった
らしく画面が停まりまくって大変でした。

 坂本竜馬「おりょう、わしも新造細胞で復活したぞ」
 ルナ「竜馬さま」

Posted by: 犬塚志乃 | March 18, 2006 at 09:10 PM

>>東博士の愛した数式

「わたしの記憶は80分しかもたない」
「だから完成しないのか・・・ 新造細胞」

>歌だ光る「紀里谷お前これ(マトリックス)見たら泣くぞ」

まあハッタリの利いた映像が好きな人なんでしょうね。ただアンチも彼の映像センスは認めているようです

>映画キャシャ-ンはライトノベルみたいな雰囲気が好きでした。

最近ラノベはすっかり読んでませんでして。戯言シリーズってこんな感じなんでしょうか。『ブギーポップ』はアニメで見ましたが、確かに「時代の閉塞感」という点では似てるような。

>熊本は愛国心の強い人が多い
らしく献血は全国一だそうです。

そうなんですか。熊本っていまひとつ印象が薄くて(失礼)。♪肥後どこさ
確か江戸時代はお供え餅の黒田藩ですよね。あんまり「愛国」って感じではないなあ。明治以降の風潮でしょうか。

慎吾「ぼくも新造細胞の力でやりなおしてみようと思うんだ」
ルナ「そうよ、その意気よ!」

Posted by: SGA屋伍一 | March 19, 2006 at 08:56 PM

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