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February 05, 2006

ロード・オブ・ザ・コング 完全ネタバレ編 ピーター・ジャクソン 『キングコング』

そろそろ公開終了しそうです。まだの方はお早めに。
それでは「完全ネタバレ編」参ります。

まず序盤のヒロインの背景や船中の描写、これは言わば「前菜」ですね。この辺は「ネタ抜き編」で概ね書いたので飛ばします。
ただ一点気づいたことを。自分の未完成の作品が売却されることを知ったデナムが、フィルムをもって会社からトンズラするくだり。ここは「この映画、会社が考えるほど儲からないだろうけど、おれはやりたいようにやるだけだから」というピーちゃんの決意表明でないかと思われます。

前菜の味も悪かないのですが、「そろそろ肉が、油が欲しいよね」というころ、ようやく一行は主舞台である「髑髏島」に到着します。ここでまず最初に出てくる品は、「謎の古代遺跡に住む謎の蛮族」。なんか書くと差別問題にひっかかりそうな気がしますので、これも飛ばします。
不幸な出会いがあった後、蛮族の神に生贄にささげられることになったヒロイン。ここでやっとこ主役であるコング君の登場です。このコング君、ゴジラやガメラと比べますと、けっこう小さい印象。その分スピーディーで多彩なアクションを演じさせよう、という狙いでしょう。
「映画○宝」に先に書かれてしまいましたが、はしゃいでヒロインをぶんぶん振り回すコング君は、レアものフィギュアをゲットして狂喜するマニアのようにしか見えませんでした。そう、これはフィギュアに恋してしまった哀れなオタク(体育会系)の物語なのかもしれません。

さて、映画スタッフはヒロインを救出すべく、島の奥へ奥へと潜入。そこでうっかり出くわしてしまったのが、「ブロントサウルスのマラソン大会」。賞品がない代わりに、ドベは肉食恐竜に食われるという恐ろしい罰ゲームが待っています。おまけにコースは片側が断崖絶壁でガードレールもなし。チャージを食らった不幸なブロンソンが、何体も谷底へ落下。自分たちがそんなですから、当然下をチョロチョロする人間たちなどおかまいなしです。ちなみにブロントサウルスって、いまは「ブロントサウルス」って言ってはいけないらしいです。これも差別表現にひっかかるみたいで。

そのころヒロインはコング君の目をすり抜けて脱出に成功、したかと思いきや、こちらはこちらでV-REXの三人組、もとい三頭組に出くわします。V-REXとは何か? これはT.rexが特殊な生態系の中で独自に進化したという代物のようです。ハッタリ利いたネーミングセンスは、モビルスーツのそれを連想させます。
三方を塞がれヒロインが絶体絶命の危機に陥った時、やって来るのはわれらがヒーロー。もちろん怪獣の方です。肉を食わせて顎を裂く! まさに究極のピットファイティング。戦いに没頭するあまり、またしても谷底に落下してますが(好きですねえ)、都合よく生えていたツタにからめられてセーフ。

わたしとしてはこの恐竜大サービスなあたりが一番燃えました。もうおなかはすっかり一杯になり、「ごちそうさん」と言おうと思ったのに、さらに料理をどんどん持ってくるピーちゃん。その料理が特大ヒルと巨大ムシの盛り合わせだったりするので、いい加減ナミダ目にもなります。
それでも必死に平らげていると、いつの間にかコングくんがぶっ倒れていて、ヒロインと恋人は危地を脱したりしています。この二人、どう考えても各々50回ずつくらい死んでるはずなんですが、超人的な体さばきと強運で難関を次々突破。まるで最初から最後まで一回も死なないドンキーコング、もといスーパーマリオみたいです。

のびてるコングを「持って帰ろう」というデナム。どうやって、と思いますが、次のシーンではすでにNYに到着。旅の途中問題はなかったのか、という疑問が沸きますが、ここは黙ってスルーするのが大人のマナー。
このNY編はデザートに相当します。先ほどまでの脂っこさは幾分抑えられ、お菓子の甘みと上品なさわやかさが主体となっています。捕らえられて劇場の見世物となっているコングは、聖書の「士師記」に登場するサムソンを思わせます。サムソンとは・・・説明は面倒くさいのでこちらをどうぞ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%82%BD%E3%83%B3

怒りが頂点に達したコングは街を暴走。破壊の限りを尽くしつつ、ヒロインを捜索。ほどなくして、二人?は運命の再開を果たします。その時なの、もしもし君たち離れなさいと~、ペッパー警部ならぬペッパー大佐が登場。悲運のカップルは(なぜか)、ラストバトルの舞台であるエンパイアステートビルの頂上へ向かいます。
最終ステージはコング対戦闘機チーム。時代ゆえ戦闘機は複葉式なもんで、いかにも頼り無さげですが、コング君の足場も最悪なんで、お互いハンデを背負っての激闘となります。
劣勢ながらも一個小隊くらいを撃墜したコングくんですが、そこで力尽き、この映画最大最後の落下シーンへ。
ペシャンコになったコングを見下ろしてデナムが「美女が野獣を殺した」と呟きますが、原因を作ったのはオメーだろ!というツッコミを入れたところで一巻の終わりとなります。

PJはこの作品を壮大な三部作の第1部と構想している模様。第2部は現代を舞台に、遺伝子操作によって生まれた二頭のコングが激闘を繰り広げる『ふたつのコング』、第3部は近未来、世界制覇を果たしたコングが髑髏島へ凱旋するまでを描く『コングの帰還』となる予定だそうです。
さて、この文章、どっからどこまでがガセでしょう! 正解のわかった方は奮ってご応募しないでください。

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Comments

・某誌の2005年ベスト作品選定、オメデトウございます。
 まあでも、あすこで褒められるってことは、時代の斜め上に突き抜けちゃった証拠ですから、作った人たちはともかく配給会社の人たちは嬉しくないでしょう。


・(カルロスゴーン+飯野賢治)×ベニョヴスキー…てな感じのデナム監督。
 P監督はオーソン・ウェルズがモデルって言ってますが、自分自身も投影してますよね、確実に。「運と実力と常識がちょっと足りなきゃ自分もこうだったかも」とか思ってるんじゃないかなぁ。


・今度の『キング・コング』は、「怪獣映画」というより「ゴリラ映画」なんだ思うんです。
 本作のコングは、「デカイ」というただ一点を除いてゴリラそのもの。肉食わない、立って歩かない、無意味に暴れない。製作者には強いこだわりがあったようで、本物のゴリラがしないことは極力やらせないようにしてますね(おうちは夜叉猿ハウスだけど)。
 特に感服したのは、アンに冷たくされて苛立ったコングが、八つ当たりみたいにまわりの樹とか岩をタコ殴りにするシーンです。あれ、テレビで観たチンパンジーのケンカにソックリでした。負傷のリスクを避けるため、ああいう間接的な闘争をすると考えられています。
 別に科学映画じゃないんだから荒唐無稽でもいいんでしょうが、実在する生き物の習性には合理性がありますから、やはり説得力が違います。
 1976年版のコングの場合、ふつーに直立二足歩行していて着ぐるみ感ありありです。いまや世界一の「中の人」アンディー・サーキスさんは、そんなヌルい仕事はせずゴリラ道を邁進しておられました。動物園でのゴリラ観察じゃ満足できなくて、ルワンダのジャングルでゴリラに会ってきましたよハハハって、あんた「ガラスの仮面」か?


・たぶん世界中で1万回くらい言われているでしょうが、「大きなスクリーンで観るべき映画」ですね、これは。観てきてよかった。

Posted by: 秦太 | February 09, 2006 at 01:09 AM

>某誌の2005年ベスト作品

ははは。やっちゃいましたね
歴代を振り返ると『LOTR 王の帰還』『KILL BILL Vol.1』『少林サッカー』『クレヨンしんちゃん オトナ帝国』・・・
見事に突き抜けてますね 昨年(あ、二冠w)以外はまずここじゃないと選ばれないような。ある意味「伝説」は確定したと言っていいでしょう

>P監督はオーソン・ウェルズがモデルって言ってますが

そうなんですか。オーソンさんってもっと人格者かと思ってました。作品に対する情熱が並大抵でない、という点は似てますね。無論PJも。
『エド・ウッド』に出てくるオーソンさん(他のひとがやってます)はいかにも大物、という感じでした

>本物のゴリラがしないことは極力やらせないようにしてますね

これ意外でした。例の八つ当たりシーンなんか、「ちょっと擬人化しすぎてやしないか」と感じたものですから。ふーん、本当にああいうことするんだ。猿類は。
オリジナルではコング君は「好色」「野蛮」というイメージで描かれているそうですが、『愛は霧の彼方に』(原題メチャ違う)という映画など観ますと、ゴリラってかなり感情の細やかな生き物であることがわかりますね。

>動物園でのゴリラ観察じゃ満足できなくて、ルワンダのジャングルでゴリラに会ってきましたよ

脱帽。よく無事に戻ってきましたね・・・ それはともかくこのギラーミン版ってあまり振り返られることのない作品ですね。

>「大きなスクリーンで観るべき映画」ですね

激しく同意です。だからこそかかっているうちに、もう一度見ておきたいんですが・・・ 厳しい・・・

Posted by: SGA屋伍一 | February 10, 2006 at 07:18 PM

 
 あの映画のスピード感と同じくらい勢いと笑いのある感想です。

Posted by: 犬塚志乃 | February 13, 2006 at 11:07 PM

 >ブロントサウルスのマラソン
 わははははwです。確かにガードレールもないし、ドベは大変です。
勢いのギャグその1です。
 >ギラーミン・コング
 藤子先生が好きかもです。コングのパロデイや開拓史に出てきた、
悪漢ガンマンの名がギラーミンでしたねw
 ギラー・コングはカルロ・ランバルティってクリエイターが創りました
が、その後ETや日本でT-REXを創りました。
何か言いたいのですがやめておきます。

>まるで最初から最後まで一回も死なないドンキーコング、もといスーパーマリオみたいです。
 うまいです。かなり受けました。運の値が100でMAXでしょうねw
>サムソン
 神話を持ってくると格調が高くなりますね。あのままデリラに
デレデレしてれば幸せだったろうに。
> 「美女が野獣を殺した」
 「Beauty killed beast!!」

>本物のゴリラ
 そうなんですか?次に見たら絶対意識してしまいます。
>『ふたつのコング』
 ギラーミン・コング2は似てると聞くんですが?
 クライマックスは一万のドイツ兵とヘルメット峡谷でバトルです。
「チャ-ジ!!」ブロントサウルスの大群ドドドドド度度お度度どどおっ
すっぱいかりんも食べてしまえ。
>『コングの帰還』
 アンを連れて帰るんですねwドイツ軍20万と連合軍が戦います。

>ルワンダのジャングルでゴリラに会ってきました
 役者魂ですね。
宿泊するホテルの支配人がドン・チードルで名前が「ホテルルワンダ」
だったら困りますが。
 大変な映画みたいですが。
>デナム
 この人オリバー・プラットに似ています。
エグゼクティブ・デジションでストローをくわえている人ですw


 
 

Posted by: 犬塚志乃 | February 14, 2006 at 09:45 PM

お褒めにあずかり恐縮ですが、今回のこの記事、竹熊健太郎氏のレビューといささかかぶっております。先に読んでいたのでなるたけそうならないようにしたつもりだったのですが・・・無念
というわけで、よかったらこちらもご覧ください

ttp://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/12/post_a2a4.html

>悪漢ガンマンの名がギラーミンでしたねw

ああ! そういわれてみればそうだった。こんないかにも悪役みたいな名前、本当にあるんですね(笑)
原点もギラ版も「2」があるようですが、今回はどうなりますことやら

>あのままデリラに
>デレデレしてれば幸せだったろうに。

さすがご存知でしたか。豪華な建物に鎖でつながれてるところはまんまですよね。アン=デリラと考えると、やはり彼女は罪が重い

>「Beauty killed beast!!」

ディ○ニーから抗議こないのかな(笑)

>クライマックスは一万のドイツ兵とヘルメット峡谷でバトルです

戦車部隊をちぎっては投げちぎっては投げ・・・ 見たいですな、それ

>「ホテルルワンダ」

ルワンダといい、コンゴといい、ゴリラの生息しているあたりは極めて政情が不安定のようです。このままだとマジで絶滅してしまう恐れがあるそうですね。
映画の方も是非観たい・・・というか、観ねばならんかな、と思ってます

>デナム

先日アホラブコメ『愛しのローズマリー』を見ていたら、中の人が主演で出てました。近作では『スクール・オブ・ロック』などが有名ですね。

Posted by: SGA屋伍一 | February 14, 2006 at 10:06 PM

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