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February 22, 2006

風と雲とギャグと 『風雲児たち』を語ってみたい②

第二回はこの漫画の作者であられるみなもと太郎先生について解説(できんのか?)します。

1970年、『あしたのジョー』『巨人の星』で絶頂期を迎えていた少年マガジンに、ひとつの風変わりなギャグマンガが登場します。タイトルは『ホモホモセブン』(今はブッキングより刊)。連載されるやその奇抜なスタイルは、当時少年でいま第一線にある三谷幸喜、大塚英志、ゆうきまさみ・・・など、多くの作家に大きな影響を与えます。手塚眞氏はアトムそっちのけで『ホモホモ』の似顔絵描きに夢中になり、親父を泣かせた、という話もあります。
それまでギャグマンガはこういうタッチで、こういう絵柄で・・・という風に「暗黙の了解で決められてた」みたいなところがありました。ところが『ホモホモ』の1ページはいかにも劇画調、といった感じで始まります。さらにページをめくると、アレさっきのマンガはどこへいったみたいな、これ以上ないくらい簡略化された絵柄に早変わり。その後も時々劇画調になったり、ヒロインは少女漫画風であったりと、いろんなジャンルのパロディが詰め込まれたギャグマンガとなっていたのでした。自身書き手でありながら、メシより漫画を読むのが好きな(メシもけっこうお好きなようですが)みなもと先生だからこそできたマンガといえるでしょう。
また、基本的には『007』のパロディでありながら、ノワール調になったり任侠ものになったり、果ては古代ローマや大宇宙にまで舞台が及びます。いまでこそこういうの珍しくないかもしれませんが、ここまで貪欲にパロディ精神を貫いた作品は、当時極めて斬新だったようです。
しかし読者の喜びようがいまひとつ編集部に伝わらなかったらしく、『ホモホモ』は1年ほどで連載を終了。その後みなもと先生は『三国志』を看板にしていた『希望の友』という雑誌に、『ハムレット』『シラノ・ド・ベルジュラック』などを発表します。もちろんギャグマンガで。西洋の文芸作品を題材に選んだのは、私見ですが、先生が敬愛しておられたあすなひろし氏の『嵐が丘』『赤と黒』などの影響があるかと思われます。

さてそれを見たマガジン編集部は、こっちでもこういうのをと、みなもと先生に依頼。その第1弾が『モンテ・クリスト伯』でした。ただ『ハムレット』『シラノ』が戯曲でそれほど長くない話であるのに対し、『モンテ・クリスト』は単行本数冊に及ぶ大長編。しかし与えられたのは約70ページ。普通は「無理」と思うでしょう。しかし「たった67ページで全部完結させてしまうのはどうだろうか」「不可能なら・・・・やってみたい」とファイトを燃やしてしまった先生。素敵! そして『モンテ・クリスト』に続く「名作駆け足劇場」シリーズ第二弾が、『風雲児たち』の原型になった(とわたしは考えている)『冗談新撰組』(現在イーストプレス刊)だったのです。

この『冗談新撰組』、クレジットこそされてませんが、ぶっちゃけ原作は司馬○太郎の『燃え○剣』です(しかもテレビドラマの方)。『モンクリ』ほどでないにせよ、こっちだってそこそこの長編。それを緩急つけて74ページに収めてしまうんですから、その力技には感嘆するほかありません。そしてこの作品は、幼き日の三谷幸喜氏の頭に、「新選組」という集団を強烈に焼き付ける役割を果たしたのでした。
血なまぐさい話のはずなのにからっとしているスタイル、冒頭の厳しい食糧事情、そしてラストシーン、これらは一昨年の大河ドラマがいかに『冗談新撰組』の影響を受けているかを物語っています。また、冒頭のナレーション「ややこしい時代をもっとややこしくした男たち」・・・このフレーズは三谷さんがNHKに『新選組!』のコンセプトを説明する際にも用いられたということです。

さて、この路線はさらに『日本武尊』『姿三四郎』と続きましたが、どうも周りの反応がいまひとつ。そこでみなもと先生はこれまでの集大成たるべき作品をてがけて、この路線に区切りをつけます。それが以前第1部まで描かれていた『レ・ミゼラブル』(現在ブッキング刊)。400ページというパロディとしては最大ボリュームの作品となりました。それでもやはり原作をはしょらざるを得ず、心残りもあったそうですが、とにもかくにもひとつの到達点に至った先生は、いよいよ『風雲児たち』に取り組むことになります。それついてはまた次回。

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Comments

まいどです。
こちらのレビューは一巻ごとに書いてます・・・・・。
では・・・。
>ホモホモ7
すみません、まだ読んでません(汗)。
あの表紙(裏表紙?)で買うのは勇気が・・・・(笑)。
>『冗談新撰組』
『大河』は有名ですがこの話は今でも「割と有名」以上には
ならなかった気が・・・・・・。この前久しぶりに読んだ。
>三谷幸喜氏
本年大河ではまずまずの演技振りですね、義昭役。
ただ、信長がなあ~(え
レビューはあまり筆が進みませんが
巻を重ねるうちに濃くします(というかなるな)。
とくないとかちょうえいとかイネとかぞうろくとか・・・・・・・。
ではでは。

Posted by: まさとし | February 25, 2006 at 12:13 PM

おばんです

>あの表紙(裏表紙?)で買うのは勇気が・・・・(笑)。

バーンと描いてありましたね。ボンテージのお姉さまが。
まさとし様もシャイな方ですな(笑)

>この話は今でも「割と有名」以上には
>ならなかった気が・・・・・・。

たしかにあの時書店には大量の「組」関連書籍が積まれてましたが、この本はめったにみかけませんでしたねえ。大河の原点(笑)だというのに。でもまあ新装版が出たことは素直に喜びたいです。

>本年大河ではまずまずの演技振りですね、義昭役。

一応役者もやってただけのことはあります。板に付いた小物ぶり(失礼)で。わたしは舘さんも見慣れてきました。

近々またお邪魔します。どうぞよろしゅう。

Posted by: SGA屋伍一 | February 25, 2006 at 09:50 PM

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