スリとサスペンス C・ディケンズ R・ポランスキー 『オリバー・ツイスト』
昼下がりの授業。周囲が沈没している中、なんとなく起きていたわたしと他数名のために、I先生は一生懸命英国文学について教えてくださいました。先生がディケンズに関して言うことには
・深いテーマとかはない
・キャラクターは類型的
・でも面白い
こんなとこだったかと。あれから10年くらい経ちましたが、すいません、まだ一冊も読んでません。
そんなうしろめたさも手伝って、行って参りました。『オリバー・ツイスト』です。
人にはめられやすい星の元に生まれたオリバー少年は、そういう体質のためにまず救貧院を追い出され、次いで奉公先を家出することになります。大都会ロンドンに行けば、なんとかなるかもしれない― そう考えたオリバーくんは、ひもじい思いをしながらテクテクとロンドンへ向かいます。19世紀ロンドン、そこは様々な人が暮らし、行きかう場所。スリ、置き引き、ひったくり、かっぱらい、強盗、ペテン師、詐欺師、イカサマ師、エッチマン・・・・ そんなところに田舎育ちのオリバーくんが行って、無事に済むはずも無く、さっそく少年スリチームのリーダーにスカウトされてしまいます。少年はこのまま悪の道に引き込まれてしまうのでしょうか。嗚呼。
この作品にはごくごく一部を除いて、ろくな大人が登場しません。みな、子供を食い物にすることばかり考えています。そんな大人たちの思惑の前に、オリバーくんはただオロオロと流されるばかり。どんどん悪い方へ向かっていくオリバーくんの道筋は、ヘタなアクションものよかよっぽどハラハラさせられます。名作劇場の主人公であれば元気と機転でなんとかするのでしょうけど、実際たった9才の少年にそれを期待するのは酷というものです。しかしオリバー君は最後の最後で、この残酷な運命に抵抗します。その勇気とわずかな人々の善意が、彼と周囲の境遇を大きく変えることになります。
けれど結末はめでたしめでたしというよりも、ややほろ苦い感じ。そういうまとめ方とか、運命のいたずらに翻弄される群像、「悪いことをしながらいいことをする」人々を描いているところは、池波正太郎の時代小説となんか似ています。一見名作劇場のようで、そういうのには向かない作家みたいですね。ディケンズは。実はディケンズ作品、過去一度だけ長編アニメになったことがありますが、その作品も結末は・・・・でした。
知ってる方は知ってると思いますが、監督のロマン・ポランスキー、この方も相当壮絶な人生送ってるんですよね・・・ ご興味おありの方はこちら↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9D%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC
をどうぞ
さて、冒頭に述べたI先生、病気がちだったのでその後のご様子など心配だったのですが、先日新聞で新著を発表されたことを知りました。まだお元気みたいでなによりです。ちなみにこの方、さる有名な文学者の息子さんなんですけど・・・・

