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January 16, 2006

武器よ、こんにちは アンドリュー・ニコル 『ロード・オブ・ウォー』

今年最初に観た映画は、えらいキツめの作品でした。兵器売買の実態を赤裸々に描いた問題作です。そろそろ終わりそうなのでご興味おありの方はお早めにどうぞ。

ロシア移民二世のユーリー・オロノフ(仮)くんは、NYのうらぶれた一角に家族と住む平凡な青年。地元出身のあるモデルの姿を見る度に、「ビッグになりてえなあ」と願うけれども、どうしたらそうなれるのかわからず、悶々とした日々を送っていた。ところがある日近所のドンパチに居合わせたユーリーは、自分のうちにある才能が眠っていることに気づく。その才能とは「武器の密売」。お上やライバルの目をすりぬけて、徐々に地歩を固めていくユーリー。そして冷戦が崩壊するに至り、彼はあらゆる方面に武器を売りさばき、「戦争の支配者」の名を欲しいままにしていく。

ニコラス・ケイジ演じるこのユーリーなる男、実在の五名の武器商人をモデルにスタッフが作り上げた「架空であって架空でない」人物です。同様に、取り上げられるエピソードなどもほとんどが事実を元にしたもの。作品のメッセージがある方面にとってあまりに痛烈であるため、映画会社はどこも製作をしぶったとか。
主人公は大変いいわけが上手です。彼曰く「おれがやらなくても誰かがやる。どうせ変わらないのであれば儲けにゃ損損」。実際、彼がピンチを脱する幾つかの場面はルパン三世顔負けで、いかんいかんと思いつつもちょっと痛快だったりします。しかし言い訳を繰り返すということは、彼自身己の行為に良心のとがめを覚えているということ。周囲の人物は彼の実態を知る知らずに関わらず、ユーリーの心をチクチク締め上げていきます。

「知っている」側に興味深いキャラが二人登場します。一人は武器商人ワイズ。彼は自分の目的は儲けることではなく、国々のパワーバランスを保つためだと主張します。ですから彼は米国の利益になるようにしか商売をしません。もう一人はICPO捜査官ヴァレンタイン。武器の密売を心から憎み、ユーリーをブタ箱にぶち込むことを悲願としています。でも主人公にとって何よりも心を刺すのは、他人からの攻撃ではなく、身内からの冷たいまなざし。いい加減ノイローゼ気味になりながらも、ユーリーは商売をやめることができません。それは呪われた才能に駆り立てられるからであり、いつの間にか自身があるシステムの一つの歯車になってしまったためでもあります。

彼のやっていることはどうみても「悪」であり、許されざる罪です。しかしそれを裁くことは誰にもできません。なぜなら今の世界そのものが、彼のような人間を欲しているからです。映画のラストで本当の巨悪とは何なのか、我々は知らされることになります。その事実に、「できることは何もしないことだけなのか」と思わされます。とはいえ、スタッフは事態を変えるための一石を投じました。微力ながら、「できることを」探して行きたいと思います。

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Comments

 何か延長戦に突入したとかしないとか。
ぺーさんやシーさん、プーさんもそうですが
武器商人も苦悩が多いのでハ○るのでしょうね。
 え、違います?

Posted by: 犬塚志乃 | January 21, 2006 at 02:59 PM

遅くなりました。
>武器商人も苦悩が多いのでハ○るのでしょうね。
うまいところに着目されますね。
外国の俳優さんは頭髪があれでも様になる方(ブルース・ウィリス、ジャン・レノなど)が多いですけど、武器商人の刑事さんは微妙です。

Posted by: SGA屋伍一 | January 23, 2006 at 12:16 PM

おはようございます♪
この映画は面白いって言ったら変なような気もしますが、やっぱり面白い映画でした。
ニコラスの持ち味が120%活かされていましたね~ハマリ役でした。
ともすると、主役の武器商人に怒りの目が向きそうですが、あのニコちゃんの情けない顔を見ると・・・「いや待て、個人に怒ってもしょうがない。これは《今の世界そのものが、彼のような人間を欲している》んだ~~~」っと思わされ、冷静に現実を受け止めさせてくれたのです。ああ~ニコちゃん凄い。

今週末ナショナル~が公開ですね。観ますか?
私は鑑賞しますが・・・今回のニコちゃんの髪型って極端に変ですね(汗)そこだけ見つめそうで怖いです。

Posted by: 由香 | December 18, 2007 at 09:53 AM

>由香さま

毎度すばやいお返しまことにありがとうございます~

>ニコラスの持ち味が120%活かされていましたね~

やはりニコラス氏には「切れた役」か「しょんぼりした役」がよく似合いますね。『フェイス・オフ』でのしょぼくれぶりには特に涙を誘われました

>「いや待て、個人に怒ってもしょうがない。これは《今の世界そのものが、彼のような人間を欲している》んだ~~~」っと思わされ、冷静に現実を受け止めさせてくれたのです

おしつけがましく問題を提起するよりも、こういうのらくらしてるようで最後にズバッと斬りつけてくるような、そういう訴え方のほうが心にのこりますね・・・ 『キングダム』にも似たものを感じました。あれは別に「のらくら」はしてなかったけど
特にこれから殺されるであろう難民たちを前に商談をすすめているくだりは、観てから二年たった今でも胸にやきついております

>今週末ナショナル~が公開ですね。観ますか?

微妙っす。友人が前作に大激怒していたので(笑)。とりあえずテレビで一作目をみないことには
いま一番待ちどおしいのは『AVP2』。あとがんばって遠出して『ペルセポリス』というアニメ映画を観たいな、と思ってます
それにしてもニコちゃん、『ゴーストライダー』といい、最近髪の毛で試行錯誤してるようですね・・・・

Posted by: SGA屋伍一 | December 18, 2007 at 10:03 PM

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