七転びケンタッキー キャメロン・クロウ 『エリザベスタウン』
乗り遅れた話題第二弾。キャメロン・クロウ監督、オーランド・ブルーム主演の(こないだまでの)話題作。
靴メーカーに勤めるドリューは前途洋洋たるデザイナーだったが、満を持して発表した新作が大コケ。会社に天文学的規模の損害を与えてしまう。世をはかなんで今まさに天国に行こうとしたその時、一本の電話がかかってくる。「お父さんが亡くなった・・・・・・」 とりあえずまず親父を葬ってからあの世に行こうと決めたドリューは、フライドチキンの聖地ケンタッキーへと旅立つ。途中あったスッチー(とは言わんのか、今は)や父の郷里の穏やかな空気に触れるうち、次第に癒されていくドリュー。しかし死の決意はなかなか揺るがず・・・・・・
この映画を観ようと思った動機は、クロウ監督の前作『ヴァニラ・スカイ』の音楽がやたらツボにはまってしまったため。ですから半ば音楽を聴きにいく目的で鑑賞いたしました。あなたはそれを邪道と言いますか? わしはーっ! プロレスがーっ!! 大好きなんじゃーっ!!!! ……失敬。クロウ監督はロック雑誌の記者をやっていたこともあり、音楽に対するこだわりは並々ならぬものがあるようです。
予告編ではいかにも「ロードムービー」という感じで宣伝していましたが、この映画が「ロード」なのは大体三割くらいで、「ロード」というより「タウン」なムービーという方が正しい。のどかなエリザベスタウンの空気、にぎやかでやさしい人々の描写などが物語の柱となっています。あと葬式。まあ、アメリカさんのお葬式というのはかしましいものですね。みんながみんなこんな感じではないとは思いますが。伊丹監督の『お葬式』と見比べてみるのも一興かもしれません。
で、大体ここまで書くと予想つくかもしれませんが、この映画、よほど気合を入れておかないとかなりの確率で眠くなります。つまらないというわけじゃないのですが、なんせテンポが緩い。音楽の方は期待通りでしたが、その心地よさがかえって眠気に拍車をかけます。『ヴァニラ・スカイ』は一応サスペンスだったからなあ。
しかしドカンバキュンボカンみたいな作品ばかりでなく、たまにはこういう物も観ないと、心が荒むような気がします。深く感動したわけじゃありませんが、何年か経った後もふと思い出すんじゃないかな、と思わせるような映画でした。
自分の葬式もできたらしんみりなどしないで、笑って騒いでにぎやかにやってほしいですね。まだ予定はありませんけど。


Comments
この映画、中途半端だと聞いた覚えがあります。
なので、オーランド・ブルームが好きじゃないと、退屈だと。
まぁCMもそんな感じで、彼しか映ってない所を選んだから
ロードムービーっぽくなっちゃったのかしら?
Posted by: ハル | December 29, 2005 02:54 PM
>この映画、中途半端だと聞いた覚えがあります
「ロード・ムービー」としてみるならば確かにそうかもしれません。とにかくお葬式とその準備のパートばかりやたら長いので。
>オーランド・ブルーム
LOTR→トロイ→キングダム・オブ・ヘブンという流れを見ますと、だんだん神話から現実に近づいて行っているようです。今は名前を言われないと、レゴラスと同じ人だとわかりませんからねえ。
Posted by: SGA屋伍一 | December 30, 2005 12:32 PM