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December 03, 2005

平成ライダーの六年間を振り返る アギト編②

『アギト』編、2回目です。

未確認生命体の一連の事件から1年後、異形の怪人「アンノウン」に人々が襲われる事件が相次ぐ。警視庁は人外の存在に対抗するために用意されたチーム「G3ユニット」をもってことにあたるが、ユニットのエース・氷川誠は怪人に対し劣勢を強いられる。そこへ突然もう一人の怪人「アギト」が出現。圧倒的な強さでアンノウンを撃退する。アギト、そしてアンノウンたちの正体は? 目的は?

『アギト』に始まる白倉三部作、および『剣』には、大きな二つの共通の特徴があります。一つは“群像劇”であること。もう一つは1年通して謎、伏線をちりばめること。今回は最初の方の特徴について語りたいと思います。
この作品にはメインとして三人の「仮面ライダー」が登場します。一説によりますと、それぞれ「すでに仮面ライダーであるもの」「仮面ライダーになろうとするもの」「仮面ライダーになってしまったもの」という位置付けだそうで。彼らはみな前作の主人公五代雄介よりも、やや弱い存在として描かれています。順を追って説明いたしましょう。

まず主人公、津上翔一。便宜上そのような名前となっていますが、彼は記憶喪失者であり、その名前は所持品であった封筒に書かれたものなので、それが本名かどうかは定かではありません。
人生を愛し、人にために体をなげだすことに、なんの疑問も抱かない青年。小学生に呼び捨てにされても、いっこうに気にすることなく、黙々と菜園を耕しているような男です。
彼は戦闘的な強さに関しては問題ありません。恐らく三人の中で最強でしょう。ただ「記憶を失っている」という背景のためか、メンタルな部分でもろいところがあります。自分の行動が本当に正しいのか悩み、戦うことを放棄してしまったこともありました。

二番手のライダーはG3こと氷川誠。我々と変わらない普通の人間で、警視庁が開発した強化スーツを装着することにより、G3となります。昔懐かしライダーマンと似たような設定ですね。彼が戦うのは正義のためというより、それが仕事だからです。
こちらは精神的にはものすごく強い。相手がどれほど圧倒的な存在だろうと、決して背中を見せることはありません。ただ第1話からさっそくピンチに陥っているように、戦力的にはいまひとつ(笑)。登場してもボコボコにやられることがほとんど。それでも健気にがんばる姿は、こちらの萌え感情を刺激します。
そうした他の二人とのギャップや、上からの意に添わぬ命令に対し、悩むこともしばしばでした。

三番手はギルスこと葦原涼。とうとう明らかにされませんでしたが、アギトと違って、変身の度に副作用?に苦しめられている様子から、ギルスとはアギトの不完全体、もしくは亜種であることが推測できます。
彼は翔一や誠と違い、その力を人を守るために使おうとはあまり考えません。突如として起きた身体の変化を受け容れることだけでいっぱいいっぱいなのです。ただすぐそばで人が襲われていれば、助けてやるくらいの良心は持っています。恩師や恋人はその正体を知るや、彼の前から姿を消してしまいます。それで彼はこの変化の原因を探ることで、気持ちを紛らわそうとします。

序盤では、三人は人間として、あるいは変身体としてちょくちょくすれ違いますが、基本的にはバラバラで行動しています。またお互いの正体を知っているわけではないので、見ている側でとしては「あー! そいつがあれなんだよー!」と猛烈に教えてやりたい衝動に駆られます。このもどかしさ、まるで『宮本武蔵』か『君の名は』みたいです。
そんな三人がようやく一同に会すのは第21話ラスト。この時も共同戦線をはるわけではなく、誤解の積み重ねから盛大などつきあいを繰り広げます。果たして最終回までに彼らは理解しあえるのか(笑)?

ヒーローでありながら、立ち位置も動機も様々。アメコミ『X-MEN』の邦訳が止まってしまって以来そういうのに飢えていたわたしは、「ようやく日本でもこういう作品が」と狂喜したのでした。
次回は冒頭で述べたもう一つの特色「ちりばめられた謎」について語ります。

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