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November 20, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑪ 桂小五郎の巻

ピッチャー、ここで一球外しました。取り上げるライバルが竜馬一人では少々さびしいので、桂さんにもご登場願います。

桂小五郎というと、ドラマ・映画では決まって新選組に追いまわされる人、というイメージがあります。けれど本作では「京に上がる前はそれなりに仲良しだった」という設定になっていました。たぶんこれ、『燃えよ剣』あたりからの影響ではないでしょうか。実際、試衛館がたまに近所の道場から助っ人を呼んでいたというのは本当らしく、お互いの顔くらいは前々から知っていたかもしれませんね。
明治の元勲というのは、それはもう軒並みド貧乏な人たちばかりだったようですが、そのなかにあって桂さんは中々に羽振りのいいお家で育たれたようです。さらに桂さんは学問・剣術においても並々ならぬ才能をお持ちでした。そういう背景を意識したのか、本作でも最初は自信満々の、ちょっと嫌味な感じで登場されます。しかしやはりいま一人のイヤミ・インテリである伊東甲子太郎と比べると、彼にはなにかしら男気というか、温かみを感じられます(本当にチラッチラッとですがね)。
それぞれに運命の変転があった『新選組!』ですが、桂さんも例外ではなく、一時はホームレスに身をやっすほどにおちぶれることになります。確か司馬先生がこんなことをおっしゃっていました。「この男は神道無念流の塾頭を務めるほどの剣の才能を持ちながら、ただひたすら逃げることに徹した」。本来の武士ならそんなことをするくらいなら、と腹を切ったことでしょう。けれど桂さんはそれまでとは180度違うような境遇にじっと耐え、ついには奇跡の大逆転をも成功させます。維新の三傑と言われるだけあって、やはり、そんじょそこらのボンボンとは違っていたのでしょうね。

演じるは、いまはすっかり中堅どころの石黒賢氏。後半西郷・大久保に出番を食われてしまったのは残念ですが、奇をてらうことなく、自然に桂小五郎を自分のものにしてたあたり、高ポイントでした。
この人も色々出演作ありすぎてどれが代表作やら・・・・・ 一番息が長かったのは、『ショムニ』のエリートサラリーマンの役ですかね。考えてみたらこの役、桂さんとけっこうかぶってるなあ(笑)
三谷作品では医療サスペンス『振り返れば奴がいる』で、『白い巨塔』のサトミ先生みたいな役をやっておられました。『古畑任三郎』第1シーズンでも、インチキエスパーの犯人で登場してます。なにかにつけ真面目ぶるキャラクターが似合う方でありますね。

名・迷シーンです。
・1話 「こっちのソバは食えたもんじゃない」と食い物にケチをつける。しかもそのソバを残す。「桂=悪」の構図が頭に浮かんでしまうシーン
・同じく1話 ラストで怒り、おびえる近藤。はしゃぐ竜馬。そして静かに将来を憂う桂。興味深い対比図です。
・5話 勇の結婚式で「ついにわれら長州も立つ日がやってきましたあ!」と吼える。珍しくホットな桂さん。よほど興奮してたのでしょう。
・11話 勇が京に向かうと聞き、「死にに行くようなものだ」と危惧する。遠からぬ対立を予期して、ということもあったかもしれない。
・20話 前日久坂を言い負かして調子に乗る芹沢を、舌戦で完膚なきまでに叩き潰すくだり。そこまで言うことないんじゃない? と思いつつ、扇子一本で芹沢を受け流すところにみとれる。
・28話 池田屋事件に際し、助けを求めにきた亀さんを黙殺。桂さん、苦渋の決断。
・29話 久坂の遺品を届けに来た捨助を、切れ者と勝手に勘違い。生涯で最大の失態では。
・34話 「桂さんでしょ?」とおみつさんに聞かれて「知りません」と焦る。正体がばれた腹いせに最後っ屁を残していくあたりが彼らしい。
・37話 薩長同盟締結。宇梶剛史との頬擦りを強要されて、石黒氏の脳裏に「三谷殺す」の思いが走ったかどうかは定かではない。
・最終話くらい しみじみと近藤について「わたしはあの男が好きでね」と語るシーン。桂さんは、やはりどこまでもまっすぐで、若くして散った師と近藤を重ね合わせていたのでしょうか。

徳川幕府を打ち倒し、この世の栄華を味わったのかと思いきや、その後も苦労を重ねた末、病気で死んでしまいます。ついでに言うなら同じ年に西郷は自決,大久保は翌年暗殺。そのことを考えると、彼らも新選組と同様、見えざる手によって躍らされた者たちだったのかもしれません。

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Comments

三谷幸喜の桂小五郎は、可愛かったですね!
確かに同じ系統のイヤミ・インテリの(笑)伊東甲子太郎より
どこか人としての温かみを感じました。
よく解んないんですけど、甲子太郎みたいな変な上昇志向が無かったのでは?!
なんて思ってます。

そっか・・・西郷と同じ年に亡くなってるんですね。
なんだか不思議な運命というか、ある意味一つの時代の終わり
みたいのを感じちゃいます。

Posted by: もも | November 22, 2005 12:21 AM

どうもです
>よく解んないんですけど、甲子太郎みたいな変な上昇志向が無かったのでは?!
わたしもそう思います。『組!』での彼は自分のことよりも、まず長州のことを考えているように見えたので。
過激な若手を懸命になだめていたシーンなども思い出されます

>なんだか不思議な運命というか、ある意味一つの時代の終わり
みたいのを感じちゃいます。
ですね。彼らはいわゆる「勝ち組」になるのでしょうが、人生ひっくるめて「勝った」かというと、微妙な気がします。そう言う意味で真に「勝った」人って、勝海舟くらいだったんじゃないでしょうか。シャレじゃなくて。

Posted by: SGA屋伍一 | November 22, 2005 09:25 PM

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