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November 30, 2005

お母さんは心配性 楳図かずお 『洗礼』

某ファンサイトで話題を振っておいて恐縮ですけど、わたし楳図作品は苦手です。理由は簡単、怖いから(笑)
そんなわけで今まで読んだ作品というと、『漂流教室』(大傑作!)に『まことちゃん』くらい。で、なぜにこの『洗礼』を手に取ったかと申しますと、ミステリー作家の綾辻行人氏が何かで誉めておられたので。夜中にトイレに行けなくなったらどうしよう、と悩みつつ鑑賞いたしました。

子役の頃からスター街道を歩んできた名女優・若草いずみは、日々自分の容貌が衰えていくことに、病的な恐れを抱いていた。もう一度若さを取り戻すことはできないのか? 悩むいずみに、幼い頃から彼女が頼りにしていた医師は、「女の子をこさえて、その子の体にあなたの脳を入れてしまえばいいんですよ」といらんことを言ってしまう。そしてその考えを実行すべく、本当に子供をこさえてしまういずみ。果たしてこの「若返り」は成功するのか? また、生贄として用意された、いたいけな少女の運命は?

タイトルは、おそらく洗礼が本来持つ意義……「一度死んでよみがえる」からきているのでしょう。まあ、色々な意味であぶない話です。どこがどうやばいのかはここでは少し言いはばかられるので、ご自分でお確かめください。いくら規制が今よりも緩やかな時代だったとはいえ、こんなマンガを少女誌にのせて、よく問題にならなかったものです。
中盤ではヒロインが望みをかなえるべく、邪魔者をあの手この手で罠に落とし入れる描写がえんえんと続きます。これだけ悪の限りを尽くしておいて、「わたしはただ、平凡な女の幸せが欲しいの!」なんて言ったりするから笑えます。
そして待ち受ける驚愕の結末に、あなたは泣くか? 怒るか? 爆笑するか? 子供というのはか弱く、かつ純真な存在です。しかしだからこそ恐ろしい存在とも言える。そんなことを教えられました。

『洗礼』は最近コンビニで上下にまとめた廉価版が出ていましたが、もう見かけなくなりました。たぶん、ブッ○オフの方にぼちぼち出回るころかと思います。そして次はやはり名作の誉れ高い『おろち』がスタンバイ。『洗礼』では大丈夫でしたが、今度こそおしっこをもらしてしまいそうな気がします。

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November 28, 2005

本当にヤバいグリム兄弟 テリー・ギリアム 『ブラザーズ・グリム』

先日の草野球の後遺症で腹筋が痛いです。んなことはさておき、本日はテリー・ギリアムの最新作『ブラザーズ・グリム』を紹介します。

19世紀ドイツ。ウィルとジェイコブの兄弟は、インチキなお化けを使ったお芝居で、善良な人々からお金を騙しとっていた。しかし悪事は長く続かないもので、二人は当時優勢だったフランス軍部からお縄をちょうだいする。ギロチンとひきかえに出された特赦の条件は、ある村におきている怪異を暴け、というもの。その村では、すでに何人もの少女が森の中へ連れ去られたということだった。どうせ同業者の仕業とタカをくくっていたグリムくんたちだったが、なんとびっくり、そこには本物の魔女が住んでいたのだ。まともに立ち向かっていっても勝ち目はない。さりとて逃げ出せばギロチンが待っている。グリム兄弟の明日はどっちだ、という話。

お調子者の兄と堅物の弟。喧嘩もするけど、その実お互いをとても大事に思っている。このシチュエーション、『鋼の錬金術師』みたいですね。ルックス全然違いますけど。
数年前出されたベストセラー『本当は怖いグリム童話』により、グリム童話というのは彼らが採取した民話集であり、あまーくあまーくアレンジされたものであった、ということが広く知られるようになりました。ところが今回は、これらの童話が「実際に彼らが体験した」ことを題材に作られた、という風にされています。いくら「真実に基づく話」が流行りだとしても、さすがにこれはちょっと無理があるんじゃないでしょうか(笑)

ただ、ギリアムさんという方はずーと前から、こういう風はなしばかり作っていたんですよね。「妄想と現実の区別がつかなくなる」「そんなんホラもいいとこ、という話が実は本当だった」というような。もしかしたら頓挫に終った『ドン・キホーテ』もそういう話にするつもりだったのかもしれません。そして、さめない夢をいつまでも観続けていたいゆえに、ギリアムさんは映画を作り続けるのでしょう。

童話原作で閉鎖的環境となると、ついこないだ紹介した『チャーリーとチョコレート工場』を思い出します。しかしこの『グリム』は『チャリチョコ』と比べ、いまひとつ弾けッぷりが足らないような気がしました。ただ、色々出てくる愉快なお化けたちは、そういうのが好きな人にはたまらないと思います。印象的だったのは、悪の女王役のモニカ・ベルッチ。ぶっちゃけミイラなんですけど、鏡に映る姿は絶世の美女。この姿に男たちはコロコロコロコロコロ手玉に捕られます。
「わかっている。この女は危険だ。でも体が言うことを聞いてくれない(泣)」という煩悶は、なんだかとても良くわかりました。

続編のうわさは聞きませんけど、もしやるのであれば今度は『グリムVSアンデルセン』でいってほしいですね。双方人気キャラによる、5対5のデスマッチもありで。前と似たようなネタですいません。

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November 26, 2005

適当掲示板18&小さな旅五連発

最近先細り傾向にある掲示板です(笑)。皆様のご意見、ご感想、おすすめの品、ネタ、その他よろず受け付けております。

さて、ここのところ色々パタパタと出かけております。
bbs18-1-1bbs18-1-2まず先週水曜に、同じ市にある初島という島に、所用で行って参りました。かの「笑点の黄色い男」林家喜久蔵師匠が当市を訪れた際、「初島や ああ初島や 初島や」と詠んだことで知られていません。画像は船上より眺む我が郷里と、島の港です。
こないだ秦太さまがご紹介してくださった硫黄島とくらべると、まったくといっていいくらい面白みの無い、ごく普通の島です。特産品はたくあんと寒天。あと、カモメとネコがうじゃうじゃいました。
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その二日後、今度は長野県飯田市に友人の結婚式へ。片道五時間、往復十時間日帰りで行ってまいりました。半分運転してもらったものの、さすがにきつかったです。ま、幸せになるがいいさ。はん!
リンゴがたくさんなっていまして画像を撮ってくればよかったのですが、うっかり撮り損ねました(バカ!)
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そのさらに二日後の月曜、『仮面ライダー THE FIRST』を観にわざわざ横浜へ(バカ・・・・)。みなとみらいというところの劇場で観ました。
bbs18-4-1bbs18-4-2ついでに本その他を物色しに首都はお茶の水、秋葉原にも足を伸ばしてきました。
海側はあの辺かな、と大体見当をつけ
「高野さん、ショッカーはおれが必ず・・・・」
と固く心に誓った次第です。


え~、さらに今週の水曜となり町の函南に、知り合いの方を連れて『酪農王国オラッチェ』という牧場?のようなところへ、牛やらヤギを観に、そしてさらに今日はやはり隣りの市の伊東へ草野球をしに行ってきました。
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なんかわたしがさぞかし遊び歩いているような感じですけど、自分の楽しみで行ったのは「ライダー」だけで、あとは全部所用と付き合いです。ふうゥ
ただまあ、それほど疲れは感じていません。むしろほどほどに元気です。もうじき死んじゃうのかも。死して屍拾ってくれる人募集中。

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November 25, 2005

六本木は燃えているか? 杉島邦久 『スピードグラファー』

かれこれ二月ほど前に放送が終了した深夜アニメ。「ショータイム」(http://www.showtime.jp/animation/ad.html)ほかで映像配信中です。

かつて戦場カメラマンとして名を馳せた雑賀辰巳は、政界・財界の大物が集う秘密パーティーを潜入取材中、謎の美少女からくちづけを受ける。その直後、雑賀は「ユーフォリア」と呼ばれる超能力者として覚醒。カメラによる爆殺能力・・・・・対象に向けてシャッターを切ると、その対象を爆発させられる・・・・・を得る。ここから逃がして欲しいと懇願する少女、神楽。その真摯な思いに動かされた雑賀は彼女を会場から連れ出すが、財閥天王洲グループの総帥で神楽の母である天王洲神仙と、その懐刀・水天宮の放った追っ手が二人に追いすがる。
カメラを使った超能力とは面白いことを考え付きます。どう科学的にこじつけるのか期待してたのですが、きれいにスルーされました(笑)

まあ、趣味の悪い作品です。デブで禿げた裸のオヤジが、札束をピラピラさせながらおねーちゃんとからみあうような絵が結構出てくるので。そいつをずっと見てた自分も趣味が悪いということになるのでしょうけど。そうした醜い大人の社会の描写が、かえって主役二人の純粋さを際立たせる手法となっています。なんとなく菊地秀行か平井和正、あるいは現代を舞台にした忍法帖、などのイメージを想起させます。

最初は「自分の体の謎を解き明かすために連れて来た」と、己に言い聞かせる雑賀ですが、次第に神楽を愛するようになっていきます(中年なのに)。どちらかというと前半のそういう思慕が見え隠れするような雑賀が気に入っていたんですけど、後半になるとかなり神楽ちゃんにメロメロになってしまっていて、少しがっかりしました(笑)。
その代わり、俄然存在感をましてくるのが宿敵・水天宮。金と出世が目当ての人間と思わせながら、その壮絶な過去と彼の真の目的が明らかになるとき、わたしたちはスタッフがなんであんなに悪趣味な描写にこだわっていたのか、知ることができます。つまり、「今の日本は金と欲に溺れたどうしょうもない国。一遍すべてをぶち壊すしかない」というもの。けれど監督は一方で「こんな社会でも自分たちは生きていかねばならないし、希望を捨てちゃいけない」というメッセージを、雑賀に託しています。このあたりは福井晴敏と似ています。

おしむらくはスケジュールがきつかったのか、絵があれているところが目だった点。副主題化「ひなげしの歌」に合わせて映し出されるEDは、ため息がでるほど美しかったですけど。現在のブロードバンド版ではたぶん修正はいっているはず。
それにしてもGONZOさんは『岩窟王』、本作、『ソルティー・レイ』と、すっかりオヤジアニメ路線をひた走っています。萌え系に押されないよう、がんばっていってほしいものです。

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November 23, 2005

少年は王者を目指す 田中芳樹 『アルスラーン戦記』

中高生のころはどっぷりと田中芳樹にはまっていました。当時3,40冊はあった著書を、少ない小遣いで全部買い集めていたくらい。『銀河英雄伝説』『創竜伝』『アップフェルラント物語』『夏の魔術』etc
いつのまにやらあんまり読まなくなっちゃったけど、それでも続きを心待ちにしている作品がひとつあります。それがこの『アルスラーン戦記』

中原の大国パルスの安寧は、異民族ルシタニアと一人の男の裏切りにより、もろくも崩れ去る。王は捕らえられ首都は陥落。パルスの民は侵略者たちの横暴に、ただじっと耐えるほかなかった。
辛くも難を逃れた王子アルスラーンは、パルス再興のため、忠臣ダリューンとともに、同志を集めるべく中原を奔走する。最初はごくわずかだったが、次第に増え広がっていく仲間たち。アルスラーンと仲間たちは、果たして王都を奪還できるのか・・・・ というのが第1部のあらすじ。
パルスはササン朝ペルシャがモデルということなので、大体西暦6世紀前後の中東をイメージして読めばいいようです。
田中氏の「架空歴史小説」の特徴は、良くも悪くも「人多すぎ」なところ。普通のファンタジーなら「四天王」か「七人衆」でとどめておくところを、この小説では「十六翼将」もいたりします(ただ、現在まだ二名は未登場)。まあ実際の覇王さんたちも大抵はそのくらい有能な家臣を持っておられますから、「群雄なくして制覇無し」というところでしょうか。それぞれモデルがいるのでしょうけど、こんだけうじゃうじゃキャラクターを考え出すところに、まず感心します。
また、こういう架空世界の物語というと、魔法や怪物がバンバン出て来たりするものですが、この作品ではそれらは第1部ではあくまで「添え物」とされています。中心の柱となっているのは飽くまで「歴史」であり、「群像」なんですね。
田中作品のキャラは大抵登場時にすでに人格ができあがっていて、それ以上成長したり変化したりしないことがほとんどなのですが、本編の主人公アルスラーンくんはちょっと違っています。この少年、当初はたまに気の利いたことをいうこと以外、まことに頼りなく、「こんな坊ちゃんが王様になって大丈夫なんか」と思わせます。しかしストーリーが進むにつれ、怪物のようなお父さんにも胸を張って対峙するほどに成長し、「よくがんばったな。先生うれしいぞ」というような感動を呼びます。

第1巻が出たのが、かれこれ十五年以上前。始めは半年に一巻のペースででていたのに、その間隔が段々長くなり、そのうち版元も変わってしまい、「・・・・終るんだろうか」と気を揉んでいたところ、先日最新巻『魔軍襲来』がウン年ぶりに刊行されて、胸を撫で下ろしました。物語はこれからかつてパルスを恐怖のどん底に叩き落した魔王ザッハークとの本格決戦へとなだれ込んでいきます。予告を信じるなら残りはあと3巻。たのむからわたしが(作者も)生きている間に、なんとか完結にこぎつけていただきたいものです。

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November 21, 2005

死が二人を分かつけど ティム・バートン 『コープス・ブライド』

バートン二連発。こちらもそんなに鑑賞意欲があったわけじゃありませんが、たまたま時間が空いたので、フラフラっと行って来ました。

成金の魚屋の息子ヴィクターと没落貴族の娘ヴィクトリアは、親の都合で強引に結婚させられることに。決められた結婚ではあったがお互い惹かれるものを感じた二人。しかしアガリ性のヴィクターは式のリハーサルでミスを連発し、縁談も危うくなりかける。式前夜に、墓場で必死に練習に励むヴィクター。それを草葉の影で聞いていたゾンビの美女が、自分へのものと勘違いしたからさあ大変。あの世へと連れ去られてしまったヴィクターは、果たして無事式を迎えられるのか?

『チャリチョコ』と違いこちらには原作がありませんが、時代背景やたくさんのカラス、「よみがえる美女」といった要素は、バートンが愛するエドガー・アラン・ポーの世界から借りてきたものと思われます。あと黒猫と黄金虫が出てくれば完璧でした。ですからこの作品はバートンの手によるポーのパスティーシュといって言いでしょう。それにしては少しやかましいですけど。

ヒロインのエミリーは美女と言えど文字どおり“腐女子”なので、最初見たときは「なんじゃあ、こりゃあ!」と思います。けれどその哀れな境遇が明らかになるにつれ、だんだん愛らしく思えてくる。ETのような王蟲のような仮面ライダー龍騎のような、そんな存在。ピチピチの乙女と腐りかけた美女と、あなたならどちらを取りますか? まあ、普通は考えるまでもないことでしょうけど、日本でも『牡丹灯篭』とかありますし、東西を問わず「死体萌え」な方というのは、それなりにおられるようです。あの肌の白さにグーッとくるんですかね。

中盤を過ぎても状況は悪化するばかりで、右往左往するヴィクター。このこんがらがった事態をさらっときれいに解決してみせたのは見事。多少男に都合のいい結末ではありますが。
結婚制度のスバラシサを高らかに歌い上げた作品でもあります。でもたしかバートンさんってバツイチだったよなあ、といらんことを思い出してしまったSGAでした。

(この項に限って、なぜか謎の英文コメントがくるので、しばらくコメント不可にいたします。ご意見おありのかたは「適当掲示板」に送っていただければ幸いです)


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November 20, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑪ 桂小五郎の巻

ピッチャー、ここで一球外しました。取り上げるライバルが竜馬一人では少々さびしいので、桂さんにもご登場願います。

桂小五郎というと、ドラマ・映画では決まって新選組に追いまわされる人、というイメージがあります。けれど本作では「京に上がる前はそれなりに仲良しだった」という設定になっていました。たぶんこれ、『燃えよ剣』あたりからの影響ではないでしょうか。実際、試衛館がたまに近所の道場から助っ人を呼んでいたというのは本当らしく、お互いの顔くらいは前々から知っていたかもしれませんね。
明治の元勲というのは、それはもう軒並みド貧乏な人たちばかりだったようですが、そのなかにあって桂さんは中々に羽振りのいいお家で育たれたようです。さらに桂さんは学問・剣術においても並々ならぬ才能をお持ちでした。そういう背景を意識したのか、本作でも最初は自信満々の、ちょっと嫌味な感じで登場されます。しかしやはりいま一人のイヤミ・インテリである伊東甲子太郎と比べると、彼にはなにかしら男気というか、温かみを感じられます(本当にチラッチラッとですがね)。
それぞれに運命の変転があった『新選組!』ですが、桂さんも例外ではなく、一時はホームレスに身をやっすほどにおちぶれることになります。確か司馬先生がこんなことをおっしゃっていました。「この男は神道無念流の塾頭を務めるほどの剣の才能を持ちながら、ただひたすら逃げることに徹した」。本来の武士ならそんなことをするくらいなら、と腹を切ったことでしょう。けれど桂さんはそれまでとは180度違うような境遇にじっと耐え、ついには奇跡の大逆転をも成功させます。維新の三傑と言われるだけあって、やはり、そんじょそこらのボンボンとは違っていたのでしょうね。

演じるは、いまはすっかり中堅どころの石黒賢氏。後半西郷・大久保に出番を食われてしまったのは残念ですが、奇をてらうことなく、自然に桂小五郎を自分のものにしてたあたり、高ポイントでした。
この人も色々出演作ありすぎてどれが代表作やら・・・・・ 一番息が長かったのは、『ショムニ』のエリートサラリーマンの役ですかね。考えてみたらこの役、桂さんとけっこうかぶってるなあ(笑)
三谷作品では医療サスペンス『振り返れば奴がいる』で、『白い巨塔』のサトミ先生みたいな役をやっておられました。『古畑任三郎』第1シーズンでも、インチキエスパーの犯人で登場してます。なにかにつけ真面目ぶるキャラクターが似合う方でありますね。

名・迷シーンです。
・1話 「こっちのソバは食えたもんじゃない」と食い物にケチをつける。しかもそのソバを残す。「桂=悪」の構図が頭に浮かんでしまうシーン
・同じく1話 ラストで怒り、おびえる近藤。はしゃぐ竜馬。そして静かに将来を憂う桂。興味深い対比図です。
・5話 勇の結婚式で「ついにわれら長州も立つ日がやってきましたあ!」と吼える。珍しくホットな桂さん。よほど興奮してたのでしょう。
・11話 勇が京に向かうと聞き、「死にに行くようなものだ」と危惧する。遠からぬ対立を予期して、ということもあったかもしれない。
・20話 前日久坂を言い負かして調子に乗る芹沢を、舌戦で完膚なきまでに叩き潰すくだり。そこまで言うことないんじゃない? と思いつつ、扇子一本で芹沢を受け流すところにみとれる。
・28話 池田屋事件に際し、助けを求めにきた亀さんを黙殺。桂さん、苦渋の決断。
・29話 久坂の遺品を届けに来た捨助を、切れ者と勝手に勘違い。生涯で最大の失態では。
・34話 「桂さんでしょ?」とおみつさんに聞かれて「知りません」と焦る。正体がばれた腹いせに最後っ屁を残していくあたりが彼らしい。
・37話 薩長同盟締結。宇梶剛史との頬擦りを強要されて、石黒氏の脳裏に「三谷殺す」の思いが走ったかどうかは定かではない。
・最終話くらい しみじみと近藤について「わたしはあの男が好きでね」と語るシーン。桂さんは、やはりどこまでもまっすぐで、若くして散った師と近藤を重ね合わせていたのでしょうか。

徳川幕府を打ち倒し、この世の栄華を味わったのかと思いきや、その後も苦労を重ねた末、病気で死んでしまいます。ついでに言うなら同じ年に西郷は自決,大久保は翌年暗殺。そのことを考えると、彼らも新選組と同様、見えざる手によって躍らされた者たちだったのかもしれません。

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November 18, 2005

仮面らいだーチビ鬼 百分の三の巻 「落ちる雷」 

このネタのために『フィ○ュア王』93号買いました

tbk1-3b色々あって、なんとかザンキさんにコンタクトを取ることに成功したヒビキ

「これこれこういうわけなんです。
ザンキさんどうしたらいいっすかねえ?」


tbk3-2「決まってるだろうが。鍛えに鍛えて鍛えまくるんだ! 
そうすればきっと本来の自分を取り戻せるはずだ。
及ばずながら俺も力になろうじゃないか」

「ありがとうございます、ザンキさん! 
よろしくお願いします!」

tbk3-3「おらァ! これしきの物も持ち上げられないでどうする! お前はそれでも鬼か!」

(やけに厳しいなザンキさん・・・・ ひょっとしてまだあの時のこと根に持ってんのかな)


tbk3-4atbk3-4b(ここより回想)
「大変だ、イブキ!
トドロキが二人いるぞ!」

「・・・・・どっちが本物なんでしょうね」


tbk3-5「なに簡単だ。右の地味な方が本物で、左の妙に派手な方が魔化魍が化けてるほうだ!
食らえ! 音撃棒!」

「ま、まて! ヒビキ! 俺を忘れたのか!」


tbk3-6(軽いジョークだったんだがな・・・・)

「おら、もうへばったのかあ!」

     つづく


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November 16, 2005

平成ライダーの六年間を振り返る アギト編①

本コーナーもやっとこ第二作目に突入しました。まずは制作の白倉伸一郎氏と石ノ森章太郎先生の関係についてダベります。

わたくし特撮はそれなりに好きなほうですが、大体気がつくとあまり見なくなっているということの方が多いです。そんなわたしが十代に入ってから、『クウガ』以前に熱心に観た特撮作品と言うと
・仮面ライダーBlack
・五星戦隊ダイレンジャー
・超光戦士シャンゼリオン
・ウルトラマンガイア
と、こんなもんでしょうか。当時はスタッフのことなど気にも留めていなかったのですが、後にこの内の二本が白倉氏によるものであると聞き、なにか因縁めいたものを感じたのでした(←おおげさ)。

さて、それまでの伝統をぶっこわすかのような作風で知られる氏ですが、実はかなり石ノ森章太郎作品をリスペクトしておられるようです。ところでみなさん石ノ森章太郎のヒーロー漫画って読んだことあります? スゴイです(笑)。子供が泣き出すようなひどい展開やオチがてんこもり。例をあげるなら十一人の仮面ライダーによってたかってなぶり殺しにされる本郷猛とか、○○たちを○○してしまうキカイダーとか。
石ノ森先生はテレビでヒーローものの明るいテーマを語る一方、「でも、それだけじゃないんだよね」ということを連載漫画の中で訴えておられました。「悪は怪獣や宇宙人ではなく、人の内から生まれるもの」「たとえそれが正義の裁きだとしても、殺しは罪であり、業である」ヒーローのかっこいい表紙に魅せられ手に取った漫画本から、少年たちはそういうシビアな真実を知らされていったのでした。
『クウガ』は石ノ森作品の明るい面を再現するのに成功しました。しかしもう一方のシビアな面については、誰も語るものがいない。先生はすでにこの世に無く、少年週刊誌では、もはやヒーローものは絶滅状態。それで白倉氏は「自分がやろう」と思ったのではないでしょうか。

もっとも、この石ノ森ダークサイドが全開になるのはむしろ『龍騎』『555』になってからで、それに比べると『アギト』ではまだ幾分柔らかめかもしれません。その代わり、この作品は石ノ森先生が繰り返し挑んでいたあるテーマを柱としています。そのテーマとは「進化」。我々はどこから来て、どこへ行くのか・・・・・ 先生は『サイボーグ009』『ミュータント・サブ』『イナズマン』『リュウ三部作』『ギルガメッシュ』など、多くの作品を通じてその疑問の答えを追求し続けました。『アギト』はその石ノ森作品の定番中の定番とも言えるテーマを、『仮面ライダー』でやってみよう、という試みのもと作られたと言っていいでしょう。たとえばこの『アギト』という名前、クウガの延長でクワガタ=「アゴ」から取られたのでしょうが、毎週のラストカット時に出る文字はもうひとつの意味があることを示唆しています。その文字とはA、G、T、Ω・・・・・ 人間のDNAの配列と同じようで、微妙に違います。つまりアギトとは「進化した人間。もしくは人間以上の存在」を指しているのではないかと。

これはあることから異常な力を手にしてしまった人々の物語です。ある者はその力を制し、ある者はそれに飲み込まれる。また、その力を持たない者たちは、彼らを羨み、かつ恐れます。さらに、その両者の相克を上から見下ろす存在・・・・・
石ノ森作品のひとつ、『アガルタ』にはこんなセリフがあります。
「オマエたち(略)に分不相応の・・・表面だけの不自然な力をもたらした!」「・・・わかるか 赤ンぼうにカミソリを持たせたら自分の指を切る・・・!!」「・・・だからこそ―カレラの種は根絶やしにせねばならん・・・!!」
つまるところ、『アギト』とはそういう話です・・・って全然わからないですね!(ゴラアッ!!)
次回はもう少しわかりやすく、『アギト』のストーリー・コンセプトを解説します。させてください。

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November 14, 2005

キツイお別れ フランク・ミラー 『シン・シティ:ハード・グッドバイ』

先日公開された映画『シン・シティ』の、第1パートの原作にあたるコミックです。

その怪物のような容貌のため、生まれてこのかた女に縁の無かった男、マーヴ。力だけが物を言う町“シン・シティ”でゴロつく彼に、ある日謎の美女が接近してくる。いぶかしがりながらも、女を受け入れるマーヴ。しかしその翌日、女は彼の隣りで死体となっていた。女殺しの犯人と目され、警察に追われながらも、マーヴは女の仇を討つことを固く誓う。

昔からおおよそハンサムとはいえないような主人公を、すごいカワイコちゃんが勝手に好きになってくれるという話はよくあります。古くはチャップリンやキートン、新しくは『電車男』など。で、そういう「モテナイ君」が持っている唯一の武器が、日本では“やさしさ”だったりするわけですが、米国ではそれが「腕っ節」であったり「闘魂」だったりします。
死んだヒロインのために全てを捧げて巨悪に立ち向かうマーヴ。彼女だって本当は打算があってマーヴに近づいていったわけですが、その事を知っても彼は「俺に何かを与えてくれた。存在さえ知らなかった何かをな」と姿勢を変えません。そのあまりの純情バカぶりに、目頭が熱くなる作品です。

絵について。以前ミラー先生の『バットマン:イヤーワン』について語ったとき、「アメコミのいいところは色がついているところ」と述べましたが、困ったことにこの作品、全編モノクロです。基本的にオールカラーのアメコミで、なぜあえてこのようなスタイルをとったのか。それはやはり小島剛夕をはじめとする日本の劇画・マンガの影響に負うところが大きいかと思われます。ただミラー先生が言われるには「日本のマンガはヒトコマに含められている情報・時間の量が少ない。対してアメコミは詰め込みすぎな傾向にある。それでこの作品はその中間をねらった」とのこと。あんましそうは思えませんでした(笑)が、マンガ好きな方はその辺注目してよまれると面白いかもしれません。

結論は「青年よ、闘志を抱け」。もしくは「ブサとオタこそ、筋肉を持て!」。わたしもまた筋トレ始めよっかな。とりあえず三日くらい。
こうなるとやはり他のパートの原作も読んでみたいものですが、どうやらJIVEさんにアメコミから撤退の気配が。いや! まだわたし別れたくない!

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November 13, 2005

金なら1枚 全部で5枚 ティム・バートン 『チャーリーとチョコレート工場の秘密』

よそのお宅で「あんまり見る気ない」と言ってたくせに、やけに評判がいいので興味がムクムク。そこで知人の婦女子たちにカマをかけてみたら「見たい」とのことなので、行ってきました。節操? ええ、ありませんよ。

業界にさっそうと現れた菓子職人ウォリー・ウォンカ。彼は次から次へと独創的なお菓子を作りだし、天才の名を欲しいままにしていた。ある時雇い人の裏切りから彼は人間不信に陥り、全ての従業員を解雇してしまう。だが、ウォンカの巨大な工場からは変わることなく、膨大な量のお菓子が生産され続けていた・・・・
それから幾星霜、ウォンカはどういう風の吹き回しか、チョコに仕込まれた当たり券を引き当てた子供を、自分の工場に招待すると予告。そして当日、さまざまなテクニックで当たりを引き当てた5人の猛者の中に、貧乏と愛情に包まれて育った少年・チャーリーの姿もあった。工場の秘密が次々と明らかにされていく中、ただ一人に与えられる特別賞の座を巡り、チョコまみれチョコみどろの死闘が始まる。

ティム・バートンという人は、基本的に「閉じられた世界」を描く人です。『マーズ・アタック!』が面白く感じられなかったのは、彼にしては珍しいワールドワイドな作品だったからじゃないかと。でも、どうせ劇場に行くならスケールのでかい話が見たい。それが最初行く気にならかった理由です。
でも、鑑賞してわかりました。「閉じた世界」を舞台にしたとしても、アイデアと馬鹿さ加減でいくらでもスケールは大きくできるんです。これほどのかっとびぶりは、『クロ高』以来・・・・ってそんなに前じゃないけど。
どのくらい馬鹿かというと、ちっちゃい武蔵丸が群れを成してサンバだかルンバだかを踊りまくるくらいバカ。作品からは「家族愛」というテーマも見出せますが、このバカパワーのせいであまり強く伝わってきません(笑)。たぶんこれがバートンのオリジナルだったら、さらにバカが暴走して収拾がつかなくなっていたことでしょう。ですが、そこはたぶん映画より品のいいオリジナルが、ギリギリのところでブレーキをかけています。
その原作は短編の名手としても知られるロアルド・ダールの名作童話。聞き分けの悪いお子さんたちの調教、もとい教育のために著したとのことですが、果たして効き目はあったのやら。

最近ふっきれた役の多いジョニー・デップがウォンカを好演。チャ-リーをはじめとする子役5人衆もなかなかに芸達者です。また、幼少期のウォンカに「チョコは毒だー!」とトラウマを刻み込む歯科医の父親が、クリストファー・リー。ドラキュラだけに歯を大事にしてるんですね・・・・ってこれは『映画○宝』からのパクリネタ。

「父」「毒」で思い出しました。今朝用事で実家に行った折り、父がスタミナドリンクのラベルを神妙に見つめながら、言った言葉。
「タウリンというのは・・・・体によくないんじゃないのか?」
お父さん・・・・・ それは「タウリン」じゃなくて「タリウム」です・・・・・
不謹慎ネタどうかご容赦。

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November 12, 2005

ここ最近(10/16~11/7)の『義経!』

第41回(10/16放送分)
オッス! 重衡だ! リクエストに付き再登場だ。よろしくな! シュッ
いや、参ったよ。坊さんたちまるで聞く耳無くってさ。話して丸く収めるつもりだったんだけど、明日死刑だってさ。
困ったよなあ。そこでこういうのに慣れてる知り合いのニ○キってやつに相談したらさ、「刀が振り下ろされる瞬間に口で受け止めろ」だって。できるかっつーの。でも他にいい手も浮かばないし、やるしかないか。
で、この回の『義経!』くんだがな、
・怒る坊主
・悟る宗盛
・すがる妻女
・絶たれる血筋
の四本だ! 仮名ラ○ダーシゲキは、ごらんのスポンサーでお送りします

第42回(10/23放送分)
静です。もう、のび経さんたら鎌倉から戻って以来、メソメソしているばっかり。本当、頼りないの。
ムサちゃんはでかい図体でウロウロするばっかりで、まるで役に立たないし。もう!
今年はウン十周年のイベントもあるのに、こんなんじゃ「やっぱり今年のキャストはだめだった」って言われそう。本当に二人ともしっかりしてくれないかしら。それとも出来杉さんにのりかえちゃおうかしら?
あ、この回の『義経!』くんだけど、
・不幸の似合う女
・コウモリ男リターンズ
・開運! カジワラ鑑定団!
・残る妻 煽る妻
の四本でした。あなたもわたしもポッキー♪

第43回(10/30放送分)
萌です。「萌なんて名前のくせに、仏頂面ばっかりで全然萌えない」というあなた。大きなお世話です。わたしとて好きでこのような名前になったわけではありません。大体最近の日本語は乱れまくりで嘆かわしいかぎりです。こないだも喜三太どのが「キター!」とか「アキバ」とかわけのわからないことを申しておりました。まあわたしの夫もオタッキーというか、タッキーですけど。
ええ、この回の『義経!』さまですね?
・京都堀川殺人未遂事件
・主人にはナ・イ・ショ♪
・全ては、お母様のすまいのために
・幻の市街戦
の四本です。おにいちゃ~ん! ピュアピュア♪

第44回(11/6放送分)
オホホホホホホホホホ! 鬼一法眼よ(2回目)! 全ての美青年たち、あたしの足元にひれふしなさい!
ところでみんな観た? 『ハ○ルの動く城』。もう~、キムタク最高だったわ。あの映画じゃ千恵子にゆずったことになってるけど、わたしは絶対にあきらめないんだから! 
え? この回の『義経!』くんだけど、
・そうだ 京都出よう2005
・ドンと来い! 超常現象!
・吉野の鬼登場
・もう何度目かの「最後の別れ」
の四本ね! で、誰がもののけですって?(殺気)

いよいよ大詰めです。このコーナーもあと二回くらいでしょうか。

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November 11, 2005

適当掲示板17&水曜SP 幻の珍鳥を追って

急に冷え込んできた今日この頃ですが、みなさまいかがお過しでしょうか。
当ブログに関してのご意見ご感想、その他諸々受け付けます。

先日『飛蝗の農場』を紹介した折り「J・ドロンフィールド第二作の邦訳、流れたんかな」と書きましたが、その記事の直後に出やがりました。グッドタイミングです。

さて、話は変わりますけど、これ↓、いったいなんだと思います?
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うん、やっぱりこれ、クジャクですよね。メスなので例の「小林幸子形態」はできませんが。
この画像、動物園で撮ったわけではありません。実はわたしが仕事で毎日行っているフツ~の分譲地で、ちょくちょく見かけるヤツなんです。なんでまたそんなところにクジャクがぶらついてんだ、とお思いでしょう。実はわたしもよくわかりません。考えられるのは、「どこぞのお大臣の屋敷から逃げ出してきた」か、「どこぞの成金が飼いきれなくなって捨てた」か・・・・・
いずれにしても今までいい暮らしをしていたのは間違い無いかと。どうも警戒心が足りないようで、あるときなどはうっかりバイクで轢きそうになりました。
それでもミミズやらムカデやら、自分で見つけて食べていましたし、カラスと喧嘩しておっぱらったりしていましたので、それなりのたくましさ、適応能力はあるようです。また、近所の誰かが餌をやっているようでもありました。ただ、このあたりでも冬はけっこう寒くなりますので、果たしてこれから無事に過ごせるのかな~、と気を揉んでいた矢先、急に姿を見なくなりました。山の中に逃げたのか、保護されたのか、はたまたどっかでくたばってるのか?
元気でやってくれてればいいんですけどね。


水曜スペシャル:今後のラインナップ
bbs17-5S県のとある民家で、あの幻のUMA
「ツチノコ」
に酷似した生物を発見!?

ついに謎のベールが解き明かされるのか!?


bbs17-6某県のとある山中で、
謎の怪獣と戦う謎の怪人を目撃!?

これが古来よりその存在を伝えられている
「鬼」と「魔○魍」の正体なのか!?


bbs17-7K県の某書店の一角で、
繁殖する謎の菌を激写!?

いま人類に対して宣戦布告がなされようとしている!?


      つづく 
 わ  け  が  な  い

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November 09, 2005

山田風太郎に関しては色々言わせてもらいたい④ 明治もの編

まだ続いてますこのコーナー。今回は山風の作品で「明治もの」と言われるカテゴリーについて、少々だべります。
忍法帖でヒットを飛ばした山田先生ですが、そうなると忍法帖の注文ばかり来るようになり、さすがに最後の方では飽きがきていたようです。そしてブームが一段落した1970年代半ば、先生は満を持して一編の長編を世に送り出します。そのタイトルは『警視庁草紙』。以後山田先生は明治時代を舞台にした作品をしばらく書きつづけます。

徳川300年の治世が終り、文明開化の波が押し寄せていたころ。町並みは変わっていくものの、江戸の影が急に消え去るわけではない。そんな雑然とした時代に生きた、個性豊かな人々の数奇な運命が語られていきます。名もなき人もいれば、名のある人もいる。実話もあれば、ファンタジーもある。どこまでが本当でどこまでが虚構なのか、つつみくらます山風節は、忍法帖以上に冴え渡っています。

そして「負け組」にいながらも誇り高く生きる人々を、山風は愛情豊かに書き上げます。この時代でいうなら、旧幕府軍の生き残りや自由党の壮士たちがそれにあたります。懸命に奮闘するものの敗れる宿命にある彼らの姿は、こっけいであり哀切でもあり。面白うて、やがて悲しきのこのスタイルは忍法帖とも共通しています。ただ、あからさまな悲劇の多い忍法帖にくらべ、こちらはしみじみとさみしくなるような話が多いです。

「明治もの」にあたる作品は次のとおり。『警視庁草紙』『幻灯辻馬車』『地の果ての獄』『明治波涛歌』『明冶断頭台』『エドの舞踏会』『ラスプーチンが来た』『明治十字架』。この他に中・短編がいくつかあります。
この明治ものは山ちゃんの自己評価も高く、『地の果て』『ラスプーチン』がBランクである他は、全てをAランクとしています。
しかしながら忍法帖よりもメジャーになることはなく、その点が山ちゃんには不満だったようです。
なぜ「明治もの」は忍法帖ほどヒットしなかったのか(熱心なファンもいましたが)、その理由を考えてみました。

ひとつは明治というあまりにも個性的な時代のためかと。この時代が好きなかたにはたまらないでしょうけど、江戸・戦国に比べるとあまり人気のない時代かもしれません。
もうひとつは忍法帖にくらべて、いささか現実よりな点。幻想的な要素もありますが、あくまでアクセント程度におさえられています。
しかし騙されたと思って、いっぺん手にとってみてもらえれば、面白さの点で忍法帖と変わりがないことに、きっと気づかれると思います。幸い「明治もの」はちくま文庫から全作品が読めるようになっています。興味を持たれた方はア○ゾンか大型書店でお探しください。
マイベストは『幻灯辻馬車』『エドの舞踏会』『地の果ての獄』あたり。入門編としてはやはり『幻灯辻馬車』か『警視庁草紙』を推します。

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November 07, 2005

パパは何でかシンデレラ ロン・ハワード 『シンデレラマン』

これは完璧に公開終っちゃってますね・・・・ 先日ヴィー○ス・フォートで盛んに宣伝していた映画。ビデオで出たらどうぞ。「ボクシング史上、最も数奇な人生を送った」と言われるジム・ブラドックの物語です。

世界恐慌により失業者が町にあふれかえった時代。かつて王者にも挑戦したことのあるボクサー、ジム・ブラドックも、株で全てを失い、懸命に仕事を探す毎日を送っていた。かろうじて続けていたボクシングも怪我のためにライセンスを奪われ、子供たちをよそに預けなければならないところまで追い詰められる。物乞いのような真似をして当座をしのいだブラドックだったが、いつまた金が尽きないともかぎらない。そんなところへ、かつてのマネージャー・ジョーが、トップランカーの対戦相手の代役を務める話を持ってくる。

先に紹介した『ミリオンダラー・ベイビー』がボクシングの「闇」を見つめた作品だとすれば、こちらは「光」を見つめた作品。監督ロン・ハワードは『アポロ13』『ビューティフル・マインド』と、だれもが「だめだこりゃ」と思うような逆境を奇跡的に克服した人たちを題材にしていますが、これもそういう話です。
どん底にまで落ちたとしても、ガッツひとつで栄光を手にできることをジムさんは教えてくれます。しかし彼にとって「栄光」はむしろオマケのようなものでした。彼が本当に欲していたのは、単に「家族が食うに困らないだけの金」だった、というところがなんとも慎ましやかです。
この作品、その辺を強調するためか、貧乏パートがすごく長いように感じられます。しかしその貧乏を体感すればするほど、ジムが金を手に出来たときの喜びも共感できるようになっています。だからか、わたしは終盤の大決戦より、中ほどのジムがカムバックを果たした試合の方が感動しました。更なる奇跡が続くなどとは夢にも思っていないジョーは、「最高の別れ方だな」と言います。ボクシングってえのは一人で戦っているようで、本当はセコンドと二人でやってるんだな、ということも強く感じました。

主演は苦労人を演じることにかけては定評のあるラッセル・クロウ。奥さんは地味で芯の強い女の代表格・レニー・ゼルウィガーがやっています。子役たちがまた上手で、里子に出されることを心配した長男がハムを盗むくだりなども涙がちょちょぎれます。だからそういうのは反則でしょー!

怪我した利き手をかばって働いていたら反対の手も強くなったって、まるきり『はじめの一歩』みたいなエピソードもあり。
世界恐慌の時代にあって庶民に勇気を与えつづけた、という点では『シービスケット』も連想させます。ですから続編ができるなら、ぜひ『シンデレラマン対シービスケット』でお願いしたいです。

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November 05, 2005

仮面らいだーチビ鬼 百分のニの巻 「届かぬ思い」 

あと、石○森プロさんも見逃してください

tbk2-1「・・・・・そういうわけでとても困っています。早く助けに来てください。
大きなリンゴの木の下にいます。

いま、欲しいんだよね。君の力が」

・・・・と、こんなもんかな。

tbk2-2atbk2-2b「じゃあ、しっかり伝言伝えてくれよ。
あてにしてるからな」
「キュオーン」
バサバサ
「・・・・大丈夫かなあ」

tbk1-3atbk2-3b「ん? トドロキさん、ディスクアニマルが何か撮ってきたみたいです」
キュルキュルキュル
「なんだこれ? えらい小っこいなあ」
「ノイズも多いですね・・・・」

tbk2-4「あっ! これヒビキさんの指人形ですよ! よくできてるなあ」

「・・・・本当だ。可愛いですね。いったい誰が作ったんでしょう?」

「さあ?」


tbk2-5「・・・・さてと
“本物”の方を探すとしますか」

「そうですね。じゃあ、俺はこっちの方をあたってみることにします」
「じゃあ、ぼくはこっちを」


tbk2-6「考えたら
あいつに乗っかっていけばよかったんじゃないか?」

果たしてヒビキはもとの姿に戻ることができるのか

つづく

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November 02, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑩ 井上源三郎の巻

だらだら続いている当コーナーも、気がつけばリニューアルして10回目。
今回は新選組のおやっさん、井上源三郎氏に思いを馳せてみます。

序盤は庭師というか、寺男というか、使用人みたいなイメージで登場した源さん。その姿はまるで、いかにも我々の身近にいそうな、「普通のおじさん」。ま、この方だって幼い頃から修行に明け暮れてたり、鳥羽伏見で戦果を挙げてたりと、なみなみならぬ剣客だったことは確かです。でも、わたしとしてはこの「どこにでもいるおじさん」みたいなところが親しみやすくて良かった。他の面々も親しみやすいことには変わりないですけど、身近にいるかといえば・・・・?というタイプがほとんどですから。そのひょうひょうとした立ち振る舞いは、暗殺やら討ち入りといった暗い場面でも、なにかしらほっとさせてくれるものがありました。
みな若い新選組にあって源さんの経験と人徳は、大いに頼りにされたに違いありません。逆に言うと、そういうポジションの人が源さんくらいしかいなかったことが、新選組の限界だったのかも。
鳥羽伏見以降、新選組は急速に結束力を失います。一番の原因は「時勢が変わった」からでしょうけど、源さんという影のまとめ役がいなくなってしまったことも、大きな要因のひとつではないでしょうか。

演じるのは、三谷さんの古くからの朋友、小林隆さん。お二人とも、やはり大河ドラマである『黄金の日々』の大ファンだそうです。わたしは見たことないんですけど。
今回大河という大仕事をやるにあたり、三谷さんかなり頼りにしてたんじゃ・・・・と思いますけど、小林さんはよくテンパッて洒落にならない失敗もするとのこと(『ありふれた生活』より)なので、信頼半分、心配半分というとこでしょうか。
みなさんは『古畑任三郎』で第二シーズンあたりから目立ちはじめた“向島巡査”がなじみ深いのでは。わたしは教育テレビで放送してくれた舞台『ショウ・マスト・ゴー・オン』の「佐渡島くんのお父さん」役が記憶に強く残っています。具合の悪い息子の代わりに、喪服を来て舞台の裏方を手伝うおやっさんの役で、気を利かせてパタパタ走るものの、かえってとてもうざったいという、これまたいかにも周りにいそうなキャラ。
『竜馬におまかせ』ではゲストで吉田松陰(ゾンビ)もやってました。

名場面集です。
・第1話 沖田に墨を塗りたくられるシーン。いきなりこれですからw
・第5話 婚姻の宴に忍びこんできた斉藤をかる~く取り押さえるシーン。「下男だとばかり」と山南さん。無理もありません。
・第7話 襲名披露パーティから帰ってきたところ、野際に白粉の匂いをかぎつけられてどつかれるシーン。“やることはやってるんだな”と思わせます。
・第11話 旅立ちを前に親戚の子供たちが訪ねてきて、いっしょに遊びに出かける場面。源さんの人柄がしのばれます。
・第12話 「わたしの名前がないんです~」と組み分け表の前でウロウロ。グループわけの時、よくこういう人いますよね。・・・・おれだよ。
・第27話 平助を問い詰める局長の隣りで、「言いなさい」とピシャリ。あなたはおかあさんですか。
・第34話 愛人を隠そうとする近藤につきあって、下手な芝居をしたり、まんじゅうをたらふく食べさせられたり。まあ優香とくっつけたんだから、いいんじゃないの。
・何話か忘れましたが、嫁を娶った永倉が「おまえらも身を固めたらどうだ。源さんは別として」という言葉にしょげる。永倉め、イヤなやつだ。
・第39話 切腹に追い込まれそうになった周平のために、渾身の土下座を見せる。何度でも言いますけど、いい話です。
・第45話 またも周平をかばい、鉄砲の前に仁王立ち。そして壮絶な最後。
 その後局長にあいさつにきて、照れくさげに笑い、「できればみんなと一緒に帰りたかった」というところは、涙、涙でございました。

こうしてみると、かっこいいシーンは片手で数えられるくらいですね。そんなところがまた親近感です。

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