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October 31, 2005

平成ライダーの六年間を振り返る クウガ編④

というわけでクウガ編のテーマについて考えます。いまさらですけど、ネタバレしてるのでご了承のほど。

『クウガ』のテーマとは何ぞや。それは「絆」というか、「相互理解」というか、「ヒトとヒトはわかりあえるか?」というか、そんなところだと考えます。
この作品には入れ代わり立ち代わり、ふとしたことでコミュニーケーションがうまくいかなくなってしまった人々が登場します。親と子、教師と生徒、幼児と幼児などなど。世間とうまく関わりをもてない青年も出てきます。
しかしまあ大抵は五代とその仲間たちががんばるおかげで、こじれた関係は改善されます。クウガ自身、最初は怪物とみなされ警官たちの一斉射撃を受けます(ひでえ)が、彼自身と朋友・一条の努力で、最後には警察組織全体の協力を取り付けるまでにいたります。いや、お見事。

ところが、「こりゃどーしても和解できんなあ」という方たちもおられます。それが戦闘種族たるグロンギさんたち。彼らはハナから人間たちと理解しあおうなどと思ってませんし、自分たちの間ですら信頼や強調を持とうとしません。我々とはまったく別の生き物と考えればあきらめもつきますが、作品上で「ホモ・サピエンスとあんまり変わらない」ことが明らかにされます。五代たちが「がんばればわかりあえる」ことを訴えている一方で、このグロンギさんたちの存在は作品に一抹の影を落としています。

クライマックスで五代は泣きながら、ダグバ(グロンギの長)は笑いながら、どつきあいます。暴力を忌み嫌うものと、暴力に快感を覚えるもの。それは人類が歴史上ずっと繰り広げてきた反目であり、到底理解しあうことなどできないようにも思えます。けれどもこれは誰かと誰かの間だけでなく、一個人の心の中でも行われる葛藤です。まあ、「暴力大好き!」な人に共感を抱いてしまうのもアレですけど、人にはそういう暗部があることを認めるなら、お互い理解することも可能かもしれません。
とりあえず作品では、いつか人もグロンギとわかりあえるかも、という希望をそこはかとなく残して終わります。それがいいことなのか、悪いことなのかは別として。

さて、この『クウガ』は五代と一条という、立場も性格も異なる二人の青年が、お互い信頼を深めていく物語でもありました。一条という男は、あまり器用ではない人物として描かれています。相手に悪いと思っていても、役にも立たん謝罪を言うよりは、行動でそれを証明するようなタイプ。
しかしいよいよこれが最後かもしれない、という段になって、一条はようやく五代に「ずっと済まないと思っていた」と吐き出します。それに対し「おれ、良かったと思ってます。一条さんに会えて」と答える五代。そんなことはとうの昔にわかっていたのでしょう。わたしが『クウガ』で一番心に残ったシーンです。

『クウガ』編は今回で終了。次回より『アギト』編に移ります。

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October 30, 2005

愛しちゃったら命がけ フランク・ミラー ロバート・ロドリゲス 『シン・シティ』

えーと、これはまだギリギリ間に合うみたいですね。あんまり気乗りしてない感じだったゼンザイ先生に付き合ってもらって観に行ってきました。微妙にネタバレよろしくOK?

力だけがものを言う背徳の都“シン・シティ”。その町では愛さえも戦いです。
マーヴはぬくもりを与えてくれた娼婦のため、ドワイトは昔愛した女のため、ハーディガンは鬼畜の手に落ちた少女のため、己の命など屁とも思わず、巨悪に敢然と立ち向かいます。
時系列の違う三つの短編が順々に語られる構成。その辺を把握してないと、死んだはずの人間が生きているように見えたりして混乱します。

愛する女を守るためなら全てを投げ出す。そこまではいいんです。でもそこから先が、なんとなくやり過ぎ。善良なる市民のみなさんは、「何もそんなとこ引きちぎらなくても!」「何もそんなものワンちゃんにたべさせなくっても!」と悲鳴を上げられるにちがいありません。
そんなわけで観終わった直後はその過剰な描写に辟易するのですが、冷静に振り返ってみると、彼らがくだす裁きはけっこう公平です。要するに、加害者に被害者の苦しみを忠実に再現しているだけのことですから。そういえば原作者兼監督のミラー先生は、「公平な裁き」というものを、作品を通じてずっと追求している方でした。

悪と同様の結末がヒーローたちに臨むことが、公平ではないように思えるかもしれません。しかし悪にとって罰であるそれは、命の焼却所を求めてさまよう主人公らにとってむしろ栄誉なのではと考えます。この辺にはミラー先生が敬愛してやまない『子連れ狼』の影響も見え隠れしております。
ここまで書いて気づいたんですが、これらの法則、第2パートにはあんまり当てはまってないかも。でもまた一から書きなおすのは非常に面倒なので、どうか勘弁してください。

「原作の雰囲気を忠実に再現したい」というロドリーの意向のため、本作品はいまどき珍しい全編モノクロとなっております。ただ原作と違って、時々ある物・・・・あどけない娼婦の瞳や、不気味な怪人など・・・・にだけ色が付いていて、鮮烈な印象を残します。ココアに入れるお塩のような手法ですね。
第1パートの原作『ハード・グッドバイ』も入手いたしま。した近日中にレビュー予定。

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October 29, 2005

仮面らいだーチビ鬼 百分の一の巻 「小さな叫び」 

見逃してくれや 東○

tbk1-1おっす。おれ、ヒビキ
よいこのみんな、いつも応援ありがとう! シュ!

え? いつもと何か違うって?
それはだな・・・・


tbk1-2実はマカモウ「一寸法師」の術中にはまっちまって、こんな姿に変えられてしまったんだ。油断したぜ、チクショウ!
えーい。いったいどうしたもんか・・・・
「ヒビキさーん」
お、あの声はイブキにトドロキ! 助かったぞ!


tbk1-3atbk1-3b「ヒビキさんどこですかー!」(ここだよー!)
「ヒビキさーん!」(ここだってばー!)
「どうやらこの辺にはいないみたいですね。他を探してみましょう」
(おーい!)


tbk1-4まるで 透明になったみたい
全部自分を すり抜けていく

・・・・って歌ってる場合じゃねー!
そうだ、お供のタカやんを呼ぼう!
レッドホーク、カモーン!

tbk1-5「キュオンキュオーン」おっ 来た来た!
さすがタカやん、たよりになるね! こっちでーい!
「キュオーン」
おう! こっちこっち!
 こ


tbk1-6atbk1-6b「キュオン?」
「・・・・ムギュ」

果たしてヒビキは元の姿に戻れるのか
君の苦難は始まったばかり


つづくかどうか微妙


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October 28, 2005

極めてかもし系 石川雅之 『もやしもん』

今日の朝日夕刊とネタがかぶってしまったのはしゃくだけど、淳庵堂のご主人がおすすめする、この漫画について。

みなさんは○○の存在を信じますか? ○○は我々の目にはなかなか見えないけれど、いつもそばにいて、我々の生活に多大な影響を及ぼしているのです。
ちなみに○○の中に入る言葉は、「霊魂」ではなく、「細菌」です。以前「バクテリア」という語を辞書で調べたら、「単細胞植物のひとつ。うんたらかんたら。細菌」と出ていました。「なら、最初から『細菌』と書けや」と思いましたが、そういえば細菌の定義もちゃんとわかっていなかったりして。
これは生まれながらにして、細菌が肉眼で見えてしまうという能力を持った、沢木直保青年の物語。ただ細菌のそのままの姿が見えるわけではなく、彼の目には菌がこんな風に「moyasimon4.bmp」をダウンロード一風変わったコロボックルのように映ります(左は酒造に使われるオリゼー菌 右は大腸菌)。この個性豊かで可愛い菌たちがこの漫画の魅力のひとつ。さて、そんな直保くんが菌のウジャウジャいる農大に行って、面白くないわけがない。さらにそこには菌に負けず劣らず面白い人間もたくさんいます。

こう書くと『動物のお医者さん』を連想する方もいるかも。確かに雰囲気似ています。ただ、佐々木倫子先生のあのサラサラとしたタッチでは、生き物系の大学の独特な匂いは伝わってきませんでした(だからこそ成功したとも言えますが)。その点こちらはなんせ「発酵」がテーマのひとつですから、画面の端々からいい香りがプ~ンと漂ってくるような、濃い画風になっています(キャラはみんな可愛いのになあ)。
また、役に立つのか立たんのかわからんようなトリヴィアが満載。特に「常時バトルロイヤル状態の細菌たちが、唯一共存していける場所」や、「発酵と腐敗の違い」の答えなんかは、目からウロコがボロボロこぼれおちることうけあいです。

先日めでたく第二巻が発酵、じゃなくて発行されました。菌の出番は多少減りましたが、学校内を騎馬武者や黒い三連星が駆け回っていて、あいかわらずハチャメチャでした。
町の本屋さんじゃなかなか見かけないものの、ひっそりとマスコミの注目を集めるこの漫画、大変オススメです。『イブニング』連載中。今年の流行語大賞は「かもす」で決まり!

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October 26, 2005

Dはドリフ(ト)のD アンドリュー・ラウ アラン・マック 『頭文字D』(劇場版)

あ、また公開終わっちゃってる・・・・・ ま、いっか
『D』はそんなにみたい映画でもなかったんだけど、いつもつき合わせてるヤツが「みたい」って言うからさ・・・・ 原作もそいつに借りて大体読んだ・・・・ 

(『頭文字(イニシャル)D』は、しげの秀一原作で週間ヤングマガジンに好評連載中の、公道レースコミックである! 群馬県のとある豆腐屋の息子、藤原拓海は父の配達の仕事を手伝う内に、驚異的なレーシングテクニックを身につけた! 拓海はただ豆腐を配達しているだけだった。しかし秋名峠を愛車ハチロクで豪快にかっ飛ばしていく拓海の姿は、否が応でも周辺の“走り屋”の注目を集めるようになり、彼のもとには多くの挑戦状が舞い込んでくるようになる! 最初は気乗りしなかった拓海だったが、バトルを受けるうちに“走り”の面白さに目覚め、その才能をさらに開花させていくのだった!)

この映画、なにがすごいって原作・舞台・登場人物は全部日本なのに、製作会社もスタッフもオール香港(キャストには一部邦人あり)なんだよね・・・・ 背景はもろ日本なのに、人は吹き替えでしゃべってる・・・・ アナーキーだけど、原作の熱心なファンはその時点でアウトだよね・・・・
原作ではストイックで朴訥な拓海の父も、女好きの飲んだくれみたいになっちゃってて、かなりキャラが違ってる・・・・ ここも原作ファンに噴飯ものだろうな・・・・ おれはそんなに思い入れないから、映画での親父もそれなりにイイと思ったけどさ・・・・
でも、やっぱり実写の力ってスゴイよね・・・・ 今回はCG一切なしのオールスタントだったみたいなんだけど、レースシーンは大した迫力で、思わず手に汗握ったしさ・・・・ 漫画ではわからなかった榛名、じゃなくて秋名峠の道が、実際にどんな風になってるのかも、よくわかったよ・・・・(ロケ地には違う場所も混じってるみたいだけど・・・・)

おれが気になったのはさ、主役の少年がとてもハンサム顔には見えないんだよね・・・・ て言うか、まえいっしょに働いてた少年にそっくりでびっくりしたよ・・・・ ボーッとしてるから「ボーちゃん」ってあだ名でさ・・・・(そういう意味でなら、拓海らしいけど・・・・) 香港ではいま、ああいうのが流行りなのかな・・・・
あと家の中とかいまだに黒電話とかあって、ちょっと古めかしかったな・・・・ でも群○ではいまだにああいうのが普通なのかもね・・・・(あ、群○の人、気を悪くしないで・・・・)

終わり方がすっごいあっさりしててさ・・・・ これが香港テイストかな、みたいな・・・・ たぶんまた続編できるんだろうな・・・・
それにしてもこの文体、イラつくよね・・・・   なんか・・・・燃えてきたぜ! 
こ、の、野郎ッ!!!!(ギュギュギュギュイーン!!)  

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October 25, 2005

適当掲示板16&茨城はずっと雨だった

毎度です。みなさまのご意見、ご感想、その他受け付けております。

先の記事にも書きましたが、先週末はパソコンの復旧に苦労しておりました。メーカーさんに聞いてみたら「じゃあLANボードひっこぬいて」と言う。なにせド素人なんで「・・・・どうやって」と悩みましたが、『クロ校』のネット番長さんがやっていたことを思いだし、無事なんとかすることができました。たったこれだけのことに、「おれってスゴイじゃん♪」とご満悦のボクちん。

bbs16-1bbs16-2さて、その前の週末は、姉や友人たちを訪ねに茨城県は龍ヶ崎市に行ってまいりました。いやあ龍ヶ崎って、田んぼの多いところですね。自分の生まれ育ったところは田んぼがほとんど無いところなので、なおさらそう感じられたのかもしれません(代わりにミカン畑ばかりあちこちにある)
この空のどこかに淳庵さまが息をしていると思うと、ちょっぴり胸がときめくSGA屋伍一32歳の秋でした。
上は龍ヶ崎市の朝景と夜景。左画像でたたずんでいる男は、わたしではありません。

bbs16-3bbs16-4bbs16-5bbs16-6

その翌日はなぜか東京方面を案内してもらい、羽田空港やら、夜景の見える埠頭などをぶらつき、月島でもんじゃやきなど食べてドラゴンヶ崎に戻りました。
↓こんな店もありました。
bbs16-7bbs16-8最後の日は帰路の途中また江戸により、お台場はビーナスフォートというお洒落なショッピングモールを散策。ただこのナスビーうんたらという建物、自分にとってはおおよそ場違いなところでして、すれ違うレディたちの視線がチクチクと痛かったざます。

ずっと雨に降られ、途中軽めの地震にまで見舞われましたけど、まあ楽しい三日間でございました。

※『闘猫伝説 HARD PUNCHER モン吉』、完結記念?で加筆修正いたしました。興味のある方は右サイドバー、カテゴリ欄「ペット」の項をクリックしてみてください。

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October 24, 2005

福田己津央 『機動戦士ガンダムSEED』を軽くかばってみる 運命編

先週末、OSがウイルスにやられたようで復旧に手間取ってました。今度からはもっと対策まめにやろう・・・・
で、『ガンダムSEED』二回目。今回は正編よりさらに評判の悪い『DESTINY』について、いっちゃいましょうか。

『DESTINY』の簡単なあらすじを。主人公は前大戦で家族を失った少年シン・アスカ。「守るためには力がなきゃ駄目だ」と考えた彼はザフト軍に入隊。おりしも過激派による大規模なテロ事件により、地球と宇宙(コーディネイター)の関係は悪化。平和を望むシンは、ザフト指導者デュランダルの提唱する、「生まれながらにして将来を決めてしまう『デスティ二ープラン』」に賛同。自由を求める前作の主人公・キラやアスランと激しく対立する。

今回なにがたたかれてたかというと、本来主人公であるはずのシンくんがさっぱり成長せず、出番もキラやアスランに食われまくりで、「だれが主役やらさっぱりわからん」というところでした。加えてこのシンくんが大変可愛げのない性格で、なんだか名作劇場屈指の問題作『わたしのアンネット』を思い出したちゃったりして(笑)。
わたしはたぶん途中でシンくんが「力に頼ることのむなしさ」に気づいて、前作の主人公らと手を組む展開になるんだろうと予想してたんですが、いつまで経っても和解する様子はなく、結局最後まで対立したまま終了。なんでまた福田氏はこんな展開にしたんでしょうか。

好意的に解釈するならば、福田さんはガンダムをはじめとするロボアニメのお約束・・・・・「主人公側が正義」という構図から脱却したかったんでは、と考えます。ロボアニメに人間ドラマを持ち込んだ、といわれる初代ガンダムですが、コロニー落としとかやってる時点で、ジオン軍ってどうしても「悪」なんですよね。OPでも「正義の怒りをぶつけろ」とか歌ってますし。続く作品でもその決まりを免れたものはほとんどありません(例外といえば『0080』くらい?)。

で、今回そのタブーに挑戦した福田監督。序盤はシンくんの不幸をこれでもかというくらい強調し、視聴者に彼を同情させる。次いでそのアンチテーゼとして、いかにも「正義」っぽい前作の主人公を持ってくると。我々としてはキラの方に理があるように思えるわけですが、シンの不幸な過去を思うと、彼にも肩入れしてやりたくなる。「お互い気持ちはわかるんだが」という。いままでにも同種の試みはありましたが、ここまで徹底したものはあまりなかったのでは。
こうして『DESTINY』を観終えて思うのは、やはり現実には「正義対悪」の戦争など存在しないんだな、ということ。広い世界を見ますと、いかにも「悪の枢軸」みたいな国家もありますが、それは我々の視点から見てそう思えるということです。彼らは自分たちのことを「悪」だなんて思っていません。むしろ自分らこそが正義だと主張するでしょう。
『DESTINY』で申しますと、民主主義のもと平和に育った我々には、キラの「戦争が生じるとしても個々の人間の自由まで奪うべきではない」という主張の方が「正義」のように思えますが、戦争で身内を失ったシンのような人にしてみれば、「どんな強引な手段を使っても、平和を実現させたい」と考えるかもしれません(もっとも議長のいう「デスティニー」プランとやらも、人間の作ったものである以上、どこまで長持ちしたか怪しいもんですが・・・・)。
と、まあそんなわけで「相手の立場でものを考えてみましょう」という点ではなかなかよかったと思います。まあそりゃコマッタチャンなところも色々あります(総集編多すぎとか)が、それはよそさまでやってくれてますので。

『DESTINY』は前作よりもさらに煮え切らない終わり方でしたが、これも現実的といえるかもしれません。ひとつの戦いが終わっても、それで問題全部が片付くわけではありませんから。解決どころか悪化していることすらあります。
ただ、DVDでは追加映像としてさらに40分が足されるとのこと。そちらではもう少しスカッとしたエンドになるのか。わたしはこのままでもいいと思いますけどね。

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October 19, 2005

青年探偵の起・承・転・結 ドン・ウィンズロウ 『ニール・ケアリー・シリーズ』

今日は先日第4作が刊行されたこのシリーズを。
本シリーズは創元推理文庫より
①ストリートキッズ
②仏陀の鏡への道
③高く孤独な道を行け
④ウォータースライドをのぼれ
が出されています。思い切り前後関係があるシリーズなので、「これから読もうかな」という方は、この順番を間違えないでください。

あらすじを。麻薬中毒の母親に育てられた少年ニール。いよいよ母がだめになってしまった時、彼を引き取ったのは米国の大手銀行の支援組織「朋友会」だった。その一員であるグレアムに探偵術、スパイ術を叩き込まれたニールは、長じて銀行の重要な顧客のトラブルを処理する仕事をおおせつかる。第1作ではパンク草創期のイギリスへ。第2作では文革まっさかりの中国へ。さらには大西部や、ベガス、ディズニーランドもどきへと、飛ばされるニール。仕事を重ねるほどに辞職の念を募らせる彼に、安住の時は訪れるのか。

このシリーズの特色は、主人公がナイーヴな青年であるという点。ハードボイルドの主人公というのは、大抵精神的プレッシャーにめっぽう強いものと相場が決まっています。対してこのニールは人をだますことに罪の意識を感じ、嘘がばれてなじられると、深く傷つく。それでも哀しみを減らず口でごまかして、誰かのために必死に励むニールに、何度も男泣きを誘発させられました。また、若いに似合わず文学をこよなく愛しているところなども、本好きには感情移入しやすかったです。ちなみに彼はディケンズを愛読しているのですが、彼の出自もディケンズ作品の登場人物と似通ったところがあります。

身もふたもないですけど、このシリーズ1作目が一番感動します。そして2作、3作と進むにつれ、だんだんバカの度合いが高くなり、こないだの4作目にかんしちゃユーモア小説といっていい内容になってました。だからといって2~4作目がつまんないかというとそんなことはなく、それはそれで十分に楽しめます。なぜこのような流れになってしまったのかは、4作目巻末で杉江松恋さんが面白い説明を述べておられました。

さて『ウォータースライド~』でニール君の「旅」はひとまずの区切りが着き、一応完結したとみることもできます。ただこの後に後日談的な第五作もあるそうで、そちらも気長に待ちたいと思います。なんせ今回の刊行、「6年ぶり」だったもんですから、次は果たしていつになるやら・・・・・
角川文庫で出ている同作者のノン・シリーズ、『ボビーZの優雅な人生』もお薦めです。愉快でハラハラさせられるお話。
第1作は映画化進行中とのことですが、わたし、もうだまされませんから(この手のはなしはよく流れるので・笑)

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October 17, 2005

闘猫伝説 HARD PUNCHER モン吉 最終話

最終話 伝説よ永遠に

hpmf-1「スリー、フォー」
カウントの声に、モン吉は意識を取り戻した。
(そうか、おれは・・・・・)
屈辱の初ダウンを喫した彼(女)に、スポットライトが容赦なく降り注ぐ。

hpmf-2しかしモン吉は、胸の奥に湧き上がる不思議な感情を、抑えきれないでいた。
(そうだ・・・・ このギリギリの緊張感。強大な敵。これこそが、おれの求めていたものだ!)
再び瞳の奥に宿る野生の炎。モン吉は四肢に力をこめ、マットの上に身を起こした。

hpmf-3その瞬間、リングに巨大な旋風が巻き起こった。
炎と燃えるモン吉の肉球。
そしていま、必殺のコークスクリューブローが、唸りをあげて解き放たれる。

シュパ


hpmf-4「ふ、ふおお!」

その猛烈な勢いに、リング外にまでフッ飛ばされるSGA。
(光が・・・・ 光が見える・・・・)
薄れていくSGAの意識。
カウントが数えられるまでもなかった。

hpmf-5「見事だ・・・・ やはり、お前はわたしの見込んだとおりのヤツだった。ゆけ、どこまでも、遠く、高く・・・・・」

そうつぶやくと、SGAはそっとまぶたを閉じた。
静まりかえるスタジアム。


hpmf-6動かなくなったSGAを見下ろして、モン吉は叫んだ。
「おれは誰にも負けない。誰にも奪われない!」
この物語はここで終る。だが、戦いと伝説は永遠に終らない。
Thank you,our hero.Farewell.


          END


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October 14, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑨ 斉藤一の巻

今回は組随一のヒットマン、斉藤一さんに御登板ねがいます。
ブーム以前にも斉藤さんは色々な作品に顔を出していまして、味のある名脇役として活躍されていました。例を挙げるなら『るろうに剣心』『警視庁草子』『壬生義士伝』など。この中で特に強い印象を残すのが『壬生義士伝』。聞き手の学生に「いい? 人を斬るのって、それはそれはキモチいいんだよん。ぐふふ、ぐふぐふ」と語る。 ・・・・ってこれじゃあモロ変態じゃねえか(汗)。
まあ多少の差こそあれ、斉藤さんはこんな風に斬殺愛好家、みたいに書かれることが多かったようです。土方の命のもと、幾つもの汚れ仕事を行ってきた経歴がそんなイメージを抱かせるのでしょうね。
今回はこの斉藤像を幾らか踏まえつつ、ごく普通の若者としての彼も描写されていました。
最初彼はヤクザとほとんど変りのないような男として、我々の前に登場します。腕に覚えはあるものの、どう用いたらいいかわからず、鬱屈した日々を送っていたのでは。おまけに人斬りという危険な快楽にちょっと目覚めちゃったりもしています。
そんな彼を変えたのは、近藤勇から受けた恩であり、組の仲間たちからの友情と信頼でした。「彼らのために」と思う心が、斉藤さんの剣にポリシーを与えたのです。まあやってることは同じ人斬りなわけですけど、当初観られた危険な光は、もうその目にはやどっていません。これは「成長」とよんでいい・・・・んだろうか。

ご存知の方も多かろうと思われますが、この方、斉藤の前は山口二郎を、後は藤田五郎を名乗っておられました。どれも「その場で適当に思いつきました」みたいな名前ですよね。時代の影に生きた彼らしいネーミングセンスです。

演じるは若手人気俳優でもトップの位置にいるオダギリ・ジョー。いうまでもなくデビュー作は『仮面ライダークウガ』です。その後ドラマに映画にと引っ張りだことなりました。現在も『SHINOBI』『メゾン・ド・ヒミコ』が公開中です。なんだか年中暗い顔してる役ばっかり回ってきてるようで。ただ、『パッチギ!』では久々ににこやかなヒッピー学生を好演しておられました。
これから公開される三谷さんの映画『THE 有頂天ホテル』にも出演されるようです。三谷さんは初代ライダーが大好きなようですが、やっぱり『クウガ』も観てたんだろうか?

名シーンを
・第1話序章。作戦の説明がなされてる側で後ろを向いていて、土方に「聞いてんのか!」と言われる。明らかに聞いてません。
・第5話。あつかましい債務者にキレて、彼を斬ってしまう。瞳孔がおっぴろがっていてキモチよさそうです。
・第16話。無礼な久坂玄随にキレて、「こいつ、斬っていいですよね」 ♪ナイフみたいに尖っては
・第17話か18話。近藤さんを侮辱した平山に「こんどやったらゆるさん」と鼻筋をピッ(イタソー)。このころはまだ狂犬ですね。
・第18話。親睦相撲でみんなから応援されて、初めてニンマリ笑う。「頼られるっていいなあ」と感じた瞬間。
・第19話。前にも書いたお線香のエピソード。悪い友達との付き合いがやめられず、悩むハジメちゃん。
・第25話。芹沢粛清に向かう面々を、体を張って止めようとする。わずかでも、受けた恩は忘れないというあたり、「本当はいい子なのね」と思わせるシーン。
・第30話。土方に頼まれて潜入したはいいけど、それがもとで謹慎させられるハメに。それでも誰にもぶーたれないのは偉い。
・第33話。実はもともとのホンには、斉藤が沖田に介錯を教授するシーンがあったとか。「山南さんのためだ」
・第34話。やっとこ近藤夫人に借りを返しはいいものの、うっかりいらんことまで言ってしまい、落ち込むシーン。ここだけキャラが違う。
・第39話。結婚を決めた原田に、「やる!」と謎の木彫りを進呈。「なんか知らんが、もらったぞ」
・第45話。源さんの死に怒り心頭。官軍をバッサバッサと斬りまくる。錦の御旗も眼中に無し。
・第47話。「この旗が、オレを救ってくれた!」 斉藤くん、渾身のシャウト。翌週えらく照れていました。

新選組には生き残りもちょこちょこいますが、その後も一番激動の人生を送ったのは、たぶん彼でしょう。女子校に勤務したこともあったとか・・・・・ 永倉さんや島田くんと違ってなんの覚書ものこしていないところも、また彼らしいですね。

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October 12, 2005

ここ最近の(9/18-10/9)『義経!』

第37回(9/18放送分)
資盛です。みなさん、わたしのこと覚えていらっしゃるでしょうか。惟盛兄さんの後ろに背景みたくくっついていた、あいつです。まあそんなわたしですけど、先回は華々しい最期を遂げまして、ようやく存在をアピールできた気がした・・・・んですけど、急な時間変更のため、それすらも観てない方も大勢いるとか。くくく、あんまりだ! 誰だ、こんな時期に選挙やるとか言い出したアホは!
あ、この回の『義経!』くんですが、
・電車男玉砕
・怒る! お兄さん
・髪を下ろした 君の子供が 生きているようで 胸が騒ぐよ
・蒸し返すのは 終わりにしよう いつまでも大切に 安徳陛下君のもの
の4本でした。人生いろいろ、二世もいろいろ

第38回(9/25放送分)
弁慶です! ただいま、鎌倉殿のお心を和めるため、われら余興を準備している最中にてございます。カニのやつと千鳥はコントをやるとか申しておりました。それがしは以前に覚えたことのあるブラジル舞踊、「さんば」でも踊ろうかと思案しておったのですが、鎌倉殿は派手なものはあまり好きではないとの情報が。ふーん。やっぱり『暴○ん坊将軍』でもやるか。あ、それじゃ政道批判か。
で、この回の『義経!』くんですが
・生きのこるのも楽じゃない
・鬼嫁の目にも涙
・神器ゆえの戦い 代理戦争
・ストップ! くろうくん
の4本でした。ビバ! アミーゴ!

第39回(10/2放送分)
政子じゃ。・・・・・その方ら、何をそんなにびくついておる。そんなにわらわが怖いか。わらわとて、好きでこのような性格になったのではないぞ。夫は浮気ばかりする、子供はわがままばかり言う、義弟はこちらの都合などおかまいなしと、こんな状況だからこそ鬼にならざるをえなかったのじゃ。なんと可哀相なわらわ。よよよ。
いま「最初っからそうだったじゃねえか」と言ったヤツ、打ち首じゃ!
む、この回の『義経!』くんじゃが
・助けてクレヨンしんごちゃん
・マサゴン怒りの逆上
・主従ゲンカはカニも食えない
・兄に書いたラブレター
の4本じゃ! 氷たっぷりプリーズ♪

第40回(10/9放送分)
やあ、みんな! KAMAKURAミリオン・ナイツの時間だよ! DJはぼく、源頼朝がお送りします! さっそく今日最初のおはがき。現在腰越に逗留中の源義経くんからだ。えー「兄上はなぜ“スケどの”と呼ばれているのですか? やっぱスケベだからですか?」 ・・・・・こいつ、官位剥奪のうえ、追放処分な。
おっと、この回の『義経!』くんだが
・待つわ いつまでも 松尾
・北条一族の陰謀
・読むんじゃなかった腰越状
・来るんじゃなかった鎌倉旅行
の4本だ!  曲いきましょう。『愛しのエリー』、続けて『埴生の宿』

とうとうというか、やっとというか、残り10回を切りました。去年と一緒で終盤はかなりまいていくらしいです。

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October 11, 2005

平成ライダーの六年間を振り返る クウガ編③

今回は予定をやや変更いたしまして、『クウガ』のタイトルの意味について考察したいと思います。

『クウガ』の名前の由来・・・・・それはぶっちゃけ「クワガタ」だから、なんですけど、最終回いっこ手前でもうひとつの意味があることが明らかになります。その回のサブタイトルは「空我」というものでした。
「空の我」・・・・ってなんでしょうね。そういえばEDテーマでは「ぼくは青空になる」と歌われていましたが、それが何の意味かなんてことはその時まで考えもしませんでした。
単純に語感が一番近いのは「無我」でしょうか。欲や感情の一切を捨て、一個の目的のためにただ突き進む、みたいな。この意味だと、「クウガ」のもともとの存在意義・・・・「ひたすら戦うだけの戦闘マシン」・・・・にもあてはめることができます。しかしその意味だと先の歌詞にあった「青空」とはなんか違う気がします。「そら」というより「から」という感じですよね。では主人公・五代雄介の目指した「空」とは一体なんだったのでしょうか。

自分を捨て去る、というところは先の意味と一緒です。違うのはその目的が「相手を滅ぼすこと」ではなく、「皆を守ること」にある点じゃないかと。その意味でいくならば、「空我」は「則天去私」にちかいものかもしれません。自分の命も本心も、すべて人々のために犠牲とする。そうすることで青空のごとく恵みをもたらし、みなに笑顔を取り戻させる。それが五代くんの望みだったのでしょう。しかしそれは彼に多大な苦痛をもたらしてもいました。

肉体面に関しては言わずもがなです。クウガは話が進むにつれどんどんパワーアップを重ねていきますが、パワーアップの前には決まってコテンコテンにやられる描写がありました。いくら超古代のパワーといえど、やっぱ殴られりゃ痛いだろうし、体が完璧に修復されるという保証もありません。しかしそれよりももっと大きな負担がかかっていたのは、精神面の方でした。
実をいうと、当初わたしの五代くんに対する印象はそれほどよいものではありませんでした。前項でも述べたように、ライダー=ダークなイメージがあったもんですから、先輩らに比べると、こいつは軽いなあ、と。
けれど後半に入ると、五代くんの軽さというか明るさは、他の人を心配させまいとする彼のポーズであったことがわかってきます。ずっと彼につきあってきた医師・椿は「誰かを殴ると拳が痛いだろ? あいつはそれをずっとやってきたんだ」と語ります。あのライダー独特のマスクの下で、彼が戦いの最中どんな顔をしていたのかは、先述した「空我」の回で初めて明らかになります。恐らく彼は今までずっと泣きじゃくりながら、拳を振るっていたにちがいありません。たとえ弱者を守るためでも、拳を振るうということは、本人に多大な苦痛と犠牲をもたらす―『クウガ』はそのことを久々に強調した作品でもありました。

最終回で「五代だからできたんだ」というセリフがあります。そう、五代くんは確かにえらい。でも、全ての者が彼と同じようにできるわけじゃない。次作以降では、その辺も語られます。
で、次回こそ『クウガ』のテーマについてやりますです。

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October 09, 2005

闘猫伝説 HARD PUNCHER モン吉 第10話

第10話 最大の敵 最大の死闘

hpm10-1人間VS猫― 前代未聞の異種格闘に、沸き立つ観客席。その裏でモン吉は、ひとり悲愴な覚悟を固めていた。
(SGAがやるというなら、迎えうつまでだ)

そして、宿命のゴングが鳴った


hpm10-2迷いを断ち切るように、開始早々ボディへ連打を叩き込むモン吉。だが・・・・・

(なんだ!? 手ごたえがない!!)
自慢のパンチはポヨンポヨンとはじき返されるばかり


hpm10-3「ふふふ。どうだ、おれの鍛え上げられた体脂・・・・腹筋は」

高らかに笑うSGA。
最近、マジで腹周りがダブついてきたらしい。
(わが師ながら恐ろしいヤツ)
モン吉の背に戦慄が走った。

hpm10-4それでも攻撃を続けるモン吉だったが、はやくも動きが鈍り始めた。日頃の不摂生がたたったのだ。緩慢になっていくモン吉を、容赦なくSGAの拳がおいつめる!
(ヤ・バ・イ!)


hpm10-5ガッ

乾いた音と共に、モン吉のテンプルにSGAのストレートが突き刺さった。

瞬間、モン吉の意識が弾け飛んだ。

hpm10-6どう、という地響きが会場に響き渡る。
倒れざる戦士が、ついにマットにその背をつけた。
果たしてモン吉は再び立ち上がることができるのか!?

次回、感動の最終回。 刮 目 し て 待 て。

※撮影中、動物が傷つけられることはありませんでした。ただ、カメラマンは少々ひっかかれました。


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October 08, 2005

劇場版・宇宙忍者ゴームズ ティム・ストーリー 『ファンタスティック・フォー』

ブログ開始まもなくの時、『Mr.インクレディブル』の項に書いたこの作品が、ようやく先日公開となりました。『Mr~』より面白くなるか・・・・みたいなことを書きましたが、すいません! 大体同じくらい面白かったです。
“学者バカ一代”のリード・リチャーズは、未知の放射線の研究のため、旧友や元カノを語らって宇宙へと飛び立つ。ところが不測の事態がおき、リードら五人はその宇宙線をモロに全身に浴びてしまう。その影響で彼らの体にはそれぞれ奇妙な超能力・・・・ゴム化、岩石化、ガラス化など・・・・が発症。皆が変化に戸惑う中、野心家のヴィクターの胸には、不敵な野望が育ち始めていた。

原作は米国で40年以上続いているコミック。『XーMEN』『スパイダーマン』で知られるMARVEL社が、発足当時社運をかけて発表した、言わば「第1号」的な作品です。
MARVELのヒーローの特長、それは「悩む事」。特殊能力のもたらす変化にまどい、また、我々と同様に恋愛や将来のことに対し悩む。本編では怪物化してしまったベンが自分の容姿のことで苦しむ傍ら、学者バカのリードはもと恋人のスーに本心を言えずにうめいていたりします。かといって決して重苦しい内容ではなく、しょうもないおふざけや、「苦しい事も見方次第で楽になる」というメッセージももりこまれていて、笑って泣けてスカッとする娯楽映画にしあがっています。
また、『ファンタ』独自の特長はといいますと、彼らが全員素顔丸出しであること。活躍を重ねるたびに注目を集めてしまう彼らを世間が放っておくはずもなく、外に出れば群集に追いまわされる「ビートルズ状態」に。先のベンやスーがそんな環境にイライラを募らせる一方で、歳若いジョニーは「セレブになった!」とはしゃぎまくる。リードはどこ吹く風と研究に没頭。そんな彼らの個性のちがいが、面白い作品です。

ただ、ファンには「ファンタ」の宿敵であるDr.ドームの扱いに不満があった模様。原作では気高い貴族なのに、本作では単なる横恋慕男に堕してしまったきらいが。しかしこの辺の設定の変化により、「正義の超人が誕生すると、なぜか偶然時を同じくして悪の超人が誕生する」というアメコミ映画にありがちな「都合のよさ」が解消されており、その点はまあよかったと思います。

今年はアメコミ映画はさらに『SIN CITY』(公開中)、『V FOR VENDETTA』(待機中)などもあります。しかし『ファンタ』と並んで紹介した『ウォッチメン』は、またしても流れた模様。次に企画があがんのは、また10年後くらいでしょうか。

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October 05, 2005

山田風太郎に関しては色々言わせてもらいたい 番外編 下山天 『SHINOBI』

それでは予告した『甲賀忍法帖』初の映画化作品、『SHINOBI』の感想をば。

印象ですが、非常によくまとめてあるなあ、と。時間にしろ、内容にしろ。でも山風作品って、とっちらかってるようなところが魅力のひとつでもあるんですよね。まとめりゃいいというもんでもないかと。
そんなわけで、原作のバカっぽい要素・・・・・わたしの好きな「ナメクジになれる忍者の最期」とか「地虫十兵衛」とか・・・・・は、まとめてカット。ま、地虫さんは差別表現にひっかかりそうなんで仕方ないかもしれませんが。

宣伝の仕方がまたうまい。主演二人をアップにして、あんまりバカ時代劇の匂いを感じさせませんし、タイトルも横文字にしてかっこよく『SHINOBI』ときたもんだ。こんなやり方、去年もありました。たしか『キャ・・・・・ン』とか言ったかもしれません(笑)。これならデートの時でも普通に観られそうですよね。『甲賀忍法帖』というまんまのタイトルだったら、いくらオダジョが主人公でも、女性側が拒否反応を示す確率は高いでしょう。

こんな風にすねたこと書いておいて、じゃあなんでお前は観にいったんだ、と言われると非常に答えづらい(笑)。えー、あのですね、予告映像がなかなかキマッてたんです。それだけ。ファンとか言っときながら、自分のポリシーなんかその程度だったりして。ますます山田○紀先生に怒られそうです。
そのビジュアル面ですが、期待にたがわぬ出来でした。雄大な自然風景があるかと思えば、斬新なCG映像もあり、スタイリッシュなアクションもあり。特に主役二人の絵にしづらい能力・・・・弦さんの方は原作と微妙に異なるのですが・・・・を、視覚的に面白い形で表現していたのは高ポイント。山風定番の「卍谷」「鍔隠れの里」も、けっこう「らしい」形で再現してありました。

役者さんたちもなかなかハマッていたと思います。虎牙光輝演じる戦いの権化・筑摩小四郎、沢尻エリカ演じる優しい少女・蛍火は、原作とはまた違った魅力を放ってました。逆に原作の雰囲気をよく出していたのが椎名桔平演じるヴィラン・薬師寺天膳と、黒谷友香演じるヴァンプ・陽炎。ただ、これら魅力的なキャラが退場していくあたりがどれもまことにあっけなく、まるで淡々と表の予定に従っているよう。せっかくいいキャスティングしてるんだから、最期の場面ももっと華々しく撮ってあげればいいのに・・・・と思ってしまいました。監督としては彼らの死をあっさり撮ることで、戦いの無常感を強調したかったんでしょうかねえ。

代わりに一人注目を集めるのがナカマ嬢演じる朧さま。クライマックスでの彼女の行動も、映画オリジナルの展開です。コアな山風ファンなら頭にくるでしょうけど、自分は不覚にもついホロリときちゃいました。本当、作り手の計算に乗せられてばっかりだよなあ、オレ。便利なやつだ(笑)

で、自分としてはトータル評価70点くらい(半端・・・・)。山風作品てえのは誰がやっても不思議と原作どおりにならないもんですが、先輩方に比べれば、よく頑張った方だと思います。はやくもハリウッド版の製作も進行中という話もありますが、ショー・コスギはやっぱり出るのでしょうか。ちょっと心配。

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October 02, 2005

適当掲示板15&エジプト展報告

egpt-preご覧頂いているみなさま、いつもありがとうございます。ご意見ご感想その他なんでもお寄せください。
さて、先日また江戸へ上って参りました。目的は左のそれです。
古代エジプト文明の発祥は今を遡る事5000年前。・・・・やたら古いということはわかりますが、いかんせん古すぎて時間の感覚がつかめません。
そんなどえりゃー昔の方たちも、21世紀のわたしたちと変らない所もあり、少々微笑ましい気分にさせられます。当時にも集合住宅があって、間取りが現代のそれと大体一緒だったり。食文化を楽しんだり、家族を大切にしたり。ぐっと古代の人々が身近に感じられました。
逆に古代エジプトならではの特色というと、やはり死を非常に恐れたということでしょうか。死後の世界のための多種多様な副葬品が見つかっていることが、それを証明しています。彼らは神々への崇敬の念が篤かったことでも知られています。恐らくはそれも、死への強い恐れから来ていると思われます。

そういうわけで、これがその画像でーい! と言いたいんですが、この手の展示は化石と違って撮影禁止。仕方が無いので小生秘蔵の食玩コレクションを代わりにお楽しみください。まあ、大体こんなものがありましたよ、ということで。
egpt-1egpt-2egpt-3左:耕作する男性の模型

中:魚形ガラス容器

右:ミイラの臓器を納める壷


egpt-4egpt-5egpt-6左:ラムセス二世神殿の王名表

中:トトメス三世頭部像&ネコの聖像
右:ネコのミイラ


egpt-7egpt-8egpt-9左:ヘヌトメヒトの金貼り外棺

中:スフィンクス リアル仕様とファンタジー仕様

右:ホルス神&アヌビス神


egpt-10そしてトリはオシリス神像です。

反省点:1 やはり小物を携帯カメラで撮るのは限界が。デジカメ欲しい。
反省点:2 上記コレクションの多くは、実は大英博物館所蔵。今回はルーヴル美術館の所蔵品が展示されていた。
反省点:3 だから実物は是非ご自分の目で・・・・と言いたかったが、展示今日まででした。

役に立たないうえに二重パチモンの報告でえらいすんませーん!

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October 01, 2005

福田己津央 『機動戦士ガンダムSEED』を軽くかばってみる 無印編

本日続編が終了する『ガンダムSEED』。色々キズも批判も多い作品ですが、当ブログの「なるたけいい所を見つける」という趣旨のもと、まずは正編について語ってみたいと思います。
この『SEED』、オリジナルとなにが違うというと、セリフがとてもわかりやすい(笑)。富野作品のセリフまわしって、意味があるようなないような、つながってるようなつながってないような、そんな感じですからね。それがかえってリアリティを増したり作品に深みを与えたりしていました。ですから古くからの一部のファンには、その『SEED』の明快さが、どうやらお気に召さなかった模様です。

けれどもわたしとしては『SEED』のある要素が、原点に非常近いと感じました。主人公キラ・ヤマトは友人を助けるためにとっさにガンダムに乗りますが、彼しか扱える人間がいない多め、なしくずしに正式なパイロットにさせられてしまいます。それまで学生にすぎなかった彼は、戦闘を重ねるたびに、相当なプレッシャーに苦しめられます。でも仲間を守るためには戦うしかない・・・・というのが前半の主なストーリーです。
『Z』以降の続編もそれなりに楽しんで観ていたわたしですが、それらはオリジナルと「何かがちがう」と感じていました。何が違っていたのか、『SEED』を観ていてやっと気づきました。
キラやアムロは好きで戦ってるわけではありません。やらなきゃやられる状況だから仕方なくやっている。それに対し『Z』や他の続編では、主人公たちはむしろ自ら進んで戦闘に加わっていきます。だからそれなりの緊迫感はありますが、命を奪い、奪われることに対する恐怖はあまり感じられませんでした。対してそんな状況が十代の少年にどれほどの苦しみをもたらすのか、原点や『SEED』はアニメなりにしっかりと描いていました。

また、シンプルであるがゆえに、作品の持つメッセージも大変はっきりしていました。繰り消しますが、キラは「友人たちを守るため」と自分に言い聞かせて戦いつづけます。しかし、途中で「それではいつまでたってもキリがない」ことに気が付きます。多くの物語では大抵敵を倒してめでたしめでたしとなります。世界の多くの指導者も「やられたらやりかえして」解決するという論理で動いています。でも現実はそれでは解決せず、敵を倒すたびに、さらに憎しみが深まり、また新たな争いの火種が産まれる。作中人物の言を借りるなら「どちらかが死に絶えるまで続けるしか」ないわけです。じゃあどうすれば争いを止められるのか。見ていた青少年諸君がそのことについて少しでも考えてくれるなら、この作品には価値があったと思います。

次は続編『SEED DESTENY』をかばってみる予定。いけるかッ!?(笑)

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