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September 07, 2005

NINPO CHA-CHA-CHA! 村山知義 『忍びの者』 

だーれも覚えちゃいないと思いますけど、二月に掲示板で予告した『忍びの者』、ようやっと登板となりました。うっうっう・・・・・ どちらかと言えば市川雷蔵主演の映画のほうが有名かもしれません。

忍者ものには「バカ系」と「リアル系」の作品があります。忍者を超人としてとらえ、チャンバラやドロンドロンをメインにしたものが「バカ系」。対して忍者をスパイとみなし、歴史の裏面を描いたものが「リアル系」。前者の代表が山風忍法帖や『伊賀の影丸』とするならば、後者の代表が『忍者武芸帖』、そしてこの『忍びの者』というところでしょう。

時は戦国時代(ん?)、織田信長が台頭してきたころの話。伊賀に生きる忍者・カシイは、首領百地三太夫のもと、日々謀略と暗殺に励んでいた。彼の楽しみは近所に住む少女タモの面倒をみてやることだったが、そのタモを大名朝倉義景のもとに、“くの一”として差し出せという命がくだる。可愛がっているタモが「あんなことやこんなことになってしまうのでは」と想像すると、胸がチヂに乱れるカシイだったが、上の命令は絶対で従うほかなかった。このカシイの物語と平行して、己の野心を百地に利用され、蟻地獄のように罠にはめられていく忍者兼泥棒の石川五右衛門の話が語られます。

本作品が浮き彫りにしているのは「忍者」の特異性。忍者というのは極めてシビアな職場にありながら、それに見合った報いはほとんどありません。出世も財産も上限はたかがしれています。名声はといえば、敵に名が知れ渡った時点でそいつは「使えない」やつということになるので、これもアウト。せいぜい仲間ウチで「あいつスゴイよな」と噂されるくらいです。
でも忍者だって人間です。やっぱり何かそれだけじゃない、生きる目的がほしい。カシイのように愛する女にそれを求める者もいれば、一向宗への信仰にそれを見出そうとするものもいます。そんな忍者たちの激しくも儚い青春群像を描きつつ、物語は伊賀最大の災厄である「天正伊賀の乱」へとなだれ込んでいきます。

もう一点際立っているのは、伊賀の首領百地の底知れぬ恐ろしさ。あくまで領地を守るためにあの手この手で策謀を巡らしているのか思いきや、どうもこの男は人を「騙す」こと自体を面白がっているとしか思えません。その徹底振りはまさに「ここまでやるか」という感じで、最後にはミステリファンも驚くようなオチが待っています。
この作品が発表された当時、米ソはまだ水面下でビシバシと冷たいバトルを繰り広げていました。村山先生はもしかしたら、そういう対立の中、孤独な戦いを強いられるCIAやKGBの名もなきスパイたちのことを念頭に置いていたのかもしれません。

『忍びの者』はその後二作目、三作目と書かれていき、最終的には全五作が発表されました。作者はもっと続けたかったそうですが、そこで亡くなられました。ちなみに司馬遼太郎先生の『梟の城』は天正伊賀の乱から始まり、『忍びの者』にも出て来るある人物が重要なモチーフとなっています。

現在は岩波現代文庫版と理論社のOD版が手に入りやすいようですが、理論社の方はけっこう高い・・・・・ 古本屋で光文社文庫版もよくみかけますので、興味を持たれた方は探してみてください。ニンニン。

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Comments

 ややとうとうですね。
次来た時に書きます。
ゴエゴエ。
 

Posted by: 犬塚志乃 | September 08, 2005 at 12:40 AM

いつでもどうぞ~
でれんでれん

Posted by: SGA屋伍一 | September 08, 2005 at 07:55 AM

 いかんがな遅れてもうたです。

 主人公はカシイとゴエモンですが、群像劇
でかなり大勢の人が出てきますね。
戦国時代だから出せるのでしょう。
メジャーだけど実像がよくわからないゴエモン
がこの本だいたいわかりました。
 カシイに注目するあたりはスガ様らしいです
ホント逆境にあってその後の人生の選択が
ひとそれぞれですよね。 

お気に入りのシーンは忍者が加藤清正に
飛びかかりなんなく逃れるところです。
 まだこの時は虎之助ですが。秀吉も藤吉郎
と名乗っているのが大河小説っぽいです。
 トモが政略結婚する相手がよりによって
あの戦国大名なんですよね。
 先がなさそうですがな。ああトモ。
 
 映画の方はゴエモンが雷蔵で、百地の命で
京に行きますがマモ-(西村晃)と戦うシーン
や、ジジィなのに敏捷な百地は映画でも
不気味ですw
  
黄門さまは藤林の命で動いているのですが
最後のトリックを知っていると
「意味ねぇじゃん」な感じですな。
 しかしあの戦国武将の死に忍者が影が
あったりのIFの世界です。
 二巻冒頭は魔王織田信長の最後からはじま
りますが、死に方がエグくて「ゴ、ゴエモン」
と思う事必死です。
 
 リアル系ですがこの小説から忍者が顔を
知られたら顔の皮をはぐ、という伝統が生まれ
たとか。忍者にしてみれば
「余計な事を」って思ったりして。
 実際は抜け抜けと主を変えたり裏切ったり
するのは当たり前だったんじゃあ。そこまで
秘密は守らなかったのでは?
 
 あと潜水艦みたいな竜宮船がおかしかった
りw後の三巻朝鮮出兵編で再登場しますがな

 忍者の先祖は役の小角だ、聖徳太子だ、
孫氏だ、みたいなマメ知識がたっぷりつまっ
てるので、これがあれば簡単に忍者小説が
書ける程です。
 
 
 目標は高野さまにもすすめよう、ですw
どうですか?

Posted by: 犬塚志乃 | September 15, 2005 at 09:54 PM

くわしい解説ありがとうございます。
> カシイに注目するあたり
うん。やっぱり第1巻の主人公は、このカシイくんだと思うのですよ。本のあらすじを読むと五右衛門みたいだけど。
>お気に入りのシーン
なるほど。自分が気に入った、というか印象に残ったのは、自分をきつく縛り上げたのはいいが、そのまま・・・・・となってしまった忍者のはなし。忍者の哀しさと滑稽さが良く表れています。
>あの戦国大名なんですよね。
 先がなさそうですがな。
いまヤンマガでやっている『センゴク』によくでてきます。そろそろ退場しそう。
> 映画の方
こちらも五部作ですが、流れが原作と違うとか。いずれ見てみたいものです。市川雷蔵はみなもと先生のご近所さんだったんですよね。
>マメ知識がたっぷりつまっ
てる
ですね。「伊賀・甲賀にこれほど忍者が栄えた理由」など、勉強になりました。どれほど信じていいのかはともかく(笑)。
>目標は高野さまにもすすめよう、ですw
どうですか?
いいんじゃないでしょうか。ただこの作家サンは、山風に比べ乾いている、とうかサッパリした作風ですね。

Posted by: SGA屋伍一 | September 16, 2005 at 09:41 PM

>自分が気に入った、というか印象に残ったのは、自分をきつく縛り上げたのはいいが、そのまま・・・・・となってしまった忍者のはなし。
 あの、、ですね。いくら大手柄を立てても
あんな死に方はしたくないですよね。
 この毒を義経が五条で使って弁慶をしびれさせて倒したと書いてありますがホンマかいなw
 >市川雷蔵はみなもと先生のご近所さんだったんですよね。
 そうでした。ひんそうな小男とありますが、
雷蔵動きや外見はかなりいいですよ。
音楽は渡辺宙明でした。
 宇宙刑事ギャ~バンw

>どれほど信じていいのかはともかく
 義経のくだりとかねw
 デブのエテギくんは、うすうす気づいてるかも
しれませんが後の佐助です。
 死んだんじゃあ?いえデブの鳥丸くんと抱き
合いデブ同士なので230キロあり崖を転がり落ちて助かりましたw
 修行風景が、重力に挑んでる と比喩された
り、楽しみの少ないろう城生活では二人の
デブくんの姿は微笑ましいとか二人は立派な
癒し系になってますw
 現在ふたり併せて300キロ有りますが人一倍努力して身軽になりました。
 それはいいんですがなんで痩せないんでしょうか?

Posted by: 犬塚志乃 | September 26, 2005 at 11:11 PM

>いくら大手柄を立てても
あんな死に方はしたくないですよね。

ですね。まさに死して屍拾う者なし。

>雷蔵動きや外見はかなりいいですよ。

動きはちゃんと見たことありませんが、外見はスチールか何かで見たことあります。男のわたしでも「あん、素敵」って思えました。

> デブのエテギくんは、うすうす気づいてるかも
しれませんが後の佐助です。

やはり。してみると3巻以降は彼がメインとなるのかな? 司馬御大も十勇士をメインにした『風神の門』って話を書いてますけど、「もしかしてこういうふうに考えれば真田十勇士も実在したかも!」みたいなこじ付けがほほえましいです。

> 現在ふたり併せて300キロ有りますが人一倍努力して身軽になりました。

なんか『さすがの猿飛』みたい。♪恋の呪文は スキトキメトキス

Posted by: SGA屋伍一 | September 27, 2005 at 09:57 PM

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