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August 08, 2005

在日挑戦人オリジナル 金城一紀 『GO』

二月にレビューした映画の原作。123回直木賞受賞作でもあります。映画が気に入っていたので、原作はそれほど読みたいと思っていなかったのですが、古本市で100円で売っていたので買っちゃいました。金城氏、すまん。
在日韓国人で日本の高校に通うごく平凡な?高校生、杉原の日常、友人、家族、恋愛、ケンカを描いた作品。読んでみると、映画版は実に原作に忠実に作られていることがわかります。
それでも不思議な事に、読んでいると役者さんたちとは違う顔がうかんでくるんですね。杉原はチリチリヘアの窪塚くんではなく、もっと短髪で鋭い目つきの少年がイメージされます。

映画もそうでしたが、この作品の一人称は「僕」。ヒロインの桜井から「似合わない」と言われ、「俺」というようになってしまいますが、心の中、地の文では一貫して「僕」と言いつづけます。二十何戦ケンカ連勝の不良が自分を「僕」というのはなんだか笑えますけど、この一人称がよくあるヤンキーマンガとは異なっている点です。周囲に対し突っ張ってはいるものの、杉原はまだ純粋な少年なんです。無意味な事にバカみたいにはしゃぐし、悲しいことがあれば深く傷つく。少々前、ロックバンド「ブルーハーツ」が人気を博したのも、かれらが「僕」という言い方で少年の心を言い表し続けたからだと思います。

また、原作を読むと映画では書ききれなかった背景を知ることもできます。例えば、作中で起きるある悲劇に関して、加害者の側にはなんの悪意もなく、それがさらに悲劇をふかめてしまうこと。さらに、映画ではやな感じだった杉原の朝鮮学校時代の同級生、元秀も本当は仲間思いのいい奴であること。それゆえに、彼は杉原のように自由な選択ができません。
 
 「行けよ、ぶん殴るぞ。俺はお前の生き方が気に入らねえんだ」
 ―なあ、教えてくれよ。俺はいま、どんな顔をしてる? 自分じゃわかんねえんだ・・・・・・・。

自分の決めた道を歩むためには、友と袂を分かたねばならないこともある。ぬるい生き方をしている自分としては心にイタいシーンです。

もっとも、この作品は基本的に元気な小説です。登場人物たちのバカにゲラゲラと笑い、そして少し泣ける。基本的に人は差別をする生き物です。そうしたくない、と思う自分の中にも、幾らかの差別的な見方があることを認めざるをえません。けれど努力するなら、きっとお互い笑って話し合えるはず。作中に出てくるやくざの息子・加藤や、名も無き若い警官、タクシーの運ちゃんは、そう教えてくれます。

前にも書きましたけど、杉原の友人でジョンイルという少年が出てきます。彼の名前を漢字で書くと、わたしのそれと同じになります。
ジョンイルの母が杉原にこんな風に言うシーンがあります。

 「○○は、本当にあなたのことが好きだったのよ。これまで○○につきあってくれて、本当にありがとね」

わたしも君が大好きです。たぶん君は顔をしかめて「気持ちワリィよ」と言うだろうけど。

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Comments

本も映画も見たのですが、どっちかっていうと映画のほうが好きですね。
若い時に『自分は何者?』と考えるテーマを、疲れて嫌になっても一生懸命考えざるおえないなんて、ただただ凄いっていうか、めっちゃパワーが必要なんだなぁ、と思ったような気がします。
窪塚クンは苦手ですが、この作品の彼を思い出すと、今でも涙が出てきちゃいます。

Posted by: ハル | August 12, 2005 03:23 PM

『とべ、オッサン、とべ』をレイトショーで鑑賞し、ただいま帰宅したところです。
これは観る人を走りたくさせる作品でした。
雷雨の深夜だというのに、ガンガン走って帰ってしまいました。
我ながら感化されやすいことです。
そういえば『GO』でもクボヅカ君がことあるごとに疾走してました。
原作小説の方はどちらも未読ですが、金城さんは走る話がオハコなんでしょうか。
あと殴る話と飛ぶ話もお得意のようですね。

Posted by: 秦太 | August 13, 2005 01:33 AM

お返事遅くなってすいません。

>ハルさま
>どっちかっていうと映画のほうが好きですね。
自分は両方好きです。どちらかというと映画の方がバカっぷりに磨きがかかっていますね。
>若い時に『自分は何者?』と考える
とくに「在日」と呼ばれてしまう若者たちは大変なんでしょうね。日本VS北朝鮮の試合をこちらでやった時、テレビに映った北朝鮮の少年達の笑顔はごく普通の若者のそれと変らず、なんだか少し切なくなったのでした。
窪塚くんはその後回復したでせうか。


>秦太さま
>『とべ、オッサン、とべ』
う~ん、興味はあったのですが迷っているうちに近所では終ってしまったようで。無念。
>我ながら感化されやすいことです
自分もアクションものを観た後は、ついパトカーと勝負したくなります。もちろん思うだけです。
>走る・撃つ・飛ぶ
ボテボテの内野安打、みたいですね
そういえば主人公の名前は秦太さまのごひいきの作家さんと一緒ですね。前作『レヴォリューションNO.3』と合わせてそのうち読みたいものです。文庫まだかな。

Posted by: SGA屋伍一 | August 15, 2005 09:15 AM

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