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July 02, 2005

おれの噺を聞いてよ 宮藤官九朗 『タイガー&ドラゴン』後編

というわけで続きです。
自分は今まで古典落語ってえと、それこそ『寿限無』『饅頭怖い』他2,3本しか知りませんでしたが、このドラマのおかげで色々勉強させて頂きました。いやあ、古典落語って、九割方が「ウソをつく話」か「見栄をはる話」なんですねえ。まあ、今回のクドカンのチョイスが、たまたまそんな話ばっかしになっちゃっただけなのかもしんないですけど。人間ってえのは「あとあとまずくなる」のが十分に解っているのに、ついつい見栄をはってしまったり、下手なウソをついてしまったりするものです。そういった人情の機微がまるで理解できない朴念仁の虎児が、一生懸命それを理解しようと悪戦苦闘する、そういう過程が面白かったような気がします。

このドラマのウリのひとつに、前編でも述べた「古典の再現映像」があります。あれ、考えてみると、ひごろ話芸だけで何とか頭に絵を描いてもらうことに腐心している噺家のみなさんは、「それはずるいよ」と思われたかもしれない。けれど、これや『頭山』のアニメなどがきっかけになって、若い世代にも落語が知られるようになるのであれば、落語会にとって決して悪い事ではないと思う。

クドカン×落語というと、金城一紀原作の映画『GO』でも、けっこう重要なところで使われていたりします。この作品でどっちかに興味を持たれたかたは、どうぞそちらもごらんください。

では後半を
#6 明烏
林家亭の出世頭、どん吉がマザコンを卒業する話。どん吉を演じるはモノホンの落語家春風亭昇太師匠。合コンシーンで「あんなレベルの低い人たち相手に・・・・」というのは、噺家ならだれでも一度は通る道なのかもしれない。あと冒頭で「『さびしんぼう』見るんだ」と言っていたのは、渥美としのりへのエールだったのだろうか。ゲストに薬師丸ひろ子 ツボ:再現で「札付きのワル」を演じていた二人、及びそれに翻弄される昇太お坊ちゃま。 評価:竹

#7 猫の皿
ヴィンテージ・ジーンズを巡る争奪戦から、竜二が落語をもう一度やることになる話。彼がなぜ落語をやめたのか、そのわけが語られる。「泣かせる話のほうが笑わせる話よりも上等」と考える連中を批判する竜二。同感だが、クドカンは泣かせもけっこう上手いと思う。この回のモチーフ『猫の皿』の下げには、思わず「そうかーッ!」と膝を売った。ゲストに小日向文世。 ツボ:みごと3位をさらっていく渥美 評価:松

#8 出来心
流星会二代目にして虎児の舎弟・銀次郎が将来の進路について悩む話。この回より少々Vシネ色が濃くなってくる。カヴァーの方の下げはシリーズ中唯一の下ネタ。上手くひねってはあるのだが・・・・・ 古典にもヴァージョン違いがあるというのは、聞いていて興味深かった。ゲストに『パッチギ!』の高岡蒼祐。 ツボ:パンダの真似をする西田敏行 評価:松

#9 粗忽長屋
SPに登場した最低ヤクザ、ヤスオが再登場。演じるは阿部氏と並んでヤバげな名前の北村一輝。この人は本当に器用だ。この回のモチーフは前述の「うそ」「みえ」のどちらも当てはまらないのだけど、壮大なウソ話と考えられなくもない。それにしてもシュール。あと、不覚にも猫背椿の色香にやられた ツボ:なんと言ってもエピソードの最後の最後のオチが秀逸。シリーズ通して一番悶えた。 評価:松

#10 品川心中
この回は最終回の前フリみたいなもんなので、単独で評価するのはチトむずかしい。義理と人情に挟まれて、さびしげに笑う虎児に涙。クライマックスを竜二が担当する唯一の回でもある。メグたんが珍しく「わたしはゲームでもアニメでもないもん!」と自己主張。でもこの人、アニメキャラだよなあ。 ツボ:妄想と現実のギャップに泣き崩れる竜二。 評価:竹

#11 子は鎹
最終回。真のヒロインは西田敏行だったという恐るべき真実が発覚。「泣かせながら笑わせる」という、クドカンの力技が随所で炸裂。モチーフは「笑わせるより泣かせる」話なんだろうけど、下げは面白い。「タイガー、タイガー、じれっタイガー!」その雄たけびよ、永遠に。 ツボ:ピンキャバであられもなく抱擁しあう、どん兵衛と虎児 評価:松

実に6ヶ月ぶりに見たワンクールドラマでした。この調子で行くと、またSPとか劇場版とかあるのでしょうか。
後番組が『ドラゴン桜』っていうのがまたすごい。本作の人気に「『ドラゴン桜』もあやかりタイガー!」ってか。

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Comments

どうも~。
これはもう書き尽くされた感があるので。
まず、kakakai様も仰ってますが、
「あの程度の演技の落語で、”落語は面白い”と思われてブームになっても困る」
ってのは、もともとの落語ファンにはあるでしょうなぁ。
なので、まあブームになるとしてもブームなら去るわけだから、寄席にミーハーがもし異常に増えてもちょっとの辛抱かな、とどうしても切り離さないとイカンですね、自分の中では。
あ・き・ら・か・に合わないだろ、Jニーズファンと、建物自体が傾いた新宿末広亭…(しかもトイレ入ると扉の下から足見えるし。今はきれいになったのだろうか)
ドラマの手法も脚本もよかったですよ。特に、全体を見たらけっきょく阿部サダヲアニキが一番よかった(笑)「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」を先日TVで見ましたが、この人はクドカン作品で何をやらせても楽しいですね。
「メグミは人間だもん!」
は単に、「キャラ」という言葉の今時の用法を彼女が知らないだけの、余計なシーンだったような気がします。
個人的にお気に入りは、やはり昇太がオトナになる回と古田さんの会(泣いた)と、ラス前と最終回ですね。
(野球延長で後半が録画できてなかったのが、片岡デザイナーの出てくる話と森下愛子の回…)
西田さんは、落語がどうというよりこの人は本当に演技のうまい人で、この人でなかったらどうなっていたことやら。公式サイトによれば脚本を気に入って出演OKだったのだそうです。
昇太、クレジットでは「落語監修」でもあるんですね。まあ…一応ね。母校の落研出身(笑)最終回の襲名披露の仕切りお疲れさんでした。
うどん!相変わらずあんたも芸達者だぞ!子役出身とはいえ飛躍していってくれ!な!
こっひー、森下愛子は「キャッツアイ」のレギュラー。
毎回の演目は、そんなに寄席に行かなくてもタイトルぐらいは聴いたことのあるもの。
「芝浜」は談志はちょっと演出を変えているみたいですね。「猫の皿」は確か生で聴いた憶えが。
いわゆる前座噺が多いので、続編ではそれなりにレベルアップしていくのではと。
「子別れ」は大技です。
この噺を、結局まだOかだ君がまだTVでは正式に披露していないわけですよ。だからまだ続編へ引っ張るのかなと。
ちなみに、寄席に行って、前座とトリを取るような真打の違いは、前座は身振り手振りがオーバーだったり笑わせようとして笑わせますが、うまくなればなるほど、身振りなんざ小さくても彼の周りに「情景」が見えますね。
ゆえに、長丁場なので、前座で笑いすぎると最後の方で面白くても笑う体力がなく、しまらない口許でボーッと見続けることになるのでご注意(笑)

Posted by: 高野正宗 | July 03, 2005 09:39 AM

おまけ。連続すいません。
日向小頭が木刀でTVをスッパリやるシーン最高でした(笑)
あと、「五分」ではなく、確か「二分」だったような。でもこのテーマ曲は笑った。確かこのフレーズをやりたくて思いついたドラマだって噂も。

Posted by: 高野正宗 | July 03, 2005 09:41 AM

大変参考になるご意見、どうもありがとうございます。
>ブーム
そうですね。ブームはいずれ去るんですよね。でもその中から一割でも本物の落語ファンが産まれるなら、それでいいんじゃないでしょうか。ド素人のわたしが言うのもなんですが。
>阿部サダヲ
自分も幾つかの作品で兄貴を見てきましたが、今回が一番輝いていたと思います。
>結局まだOかだ君がまだTVでは正式に披露していないわけですよ
彼は「天才」という役柄ですので、ちゃんとやらせるとしたら、それこそ本当に大変なのでは。
>前座とトリを取るような真打の違いは、前座は身振り手振りがオーバーだったり笑わせようとして笑わせますが、うまくなればなるほど、身振りなんざ小さくても彼の周りに「情景」が見えますね。
なるほど! 「動作を制する者は空間を制す」・・・ってか。
>日向小頭
いかつい顔して時々「~だもん」というのもおかしかったっす。
>あと、「五分」ではなく、確か「二分」だったような
あ・・・・ まあ、いいや(コラ)。ちなみにこの前後編の記事のタイトルは。某ナツメロの歌詞からとってあります。

Posted by: SGA屋伍一  | July 03, 2005 08:04 PM

>#9 粗忽長屋
>阿部氏と並んでヤバげな名前の北村一輝。
またまた、かなり好きです。
でもなかなか一般女子に受け入れてもらえません(悲)。
あの視線はかなりヤバゲですが、素っぽい笑顔は最高にキュートなんですけどねぇ。ジュード・ロウと通じるものがあると思っているのは、どうも私だけのようです(苦笑)

Posted by: ハル | July 06, 2005 10:54 AM

最近の北村氏で思い浮かぶものといえば、『ゴジラ ファイナル・ウォ-ズ』の宇宙人と、『戦国自衛隊1549』に出てくる侍(笑)
この二役と比べると、ドラマの方はかなり現実的でありながら、同時に一番ふざけた役柄でありました。でも彼はどの役もノリノリでやっているように見えました。スバラシイ。

>あの視線はかなりヤバゲですが、素っぽい笑顔は最高にキュートなんですけどねぇ。
銀紛蝶と猫背椿もメロメロでしたね。
>ジュード・ロウと通じるものがあると思っているのは、どうも私だけのようです(苦笑)
失礼ながら、わたくしもちょっと賛同いたしかねます(笑)

Posted by: SGA屋伍一  | July 06, 2005 07:56 PM

>『ゴジラ ファイナル・ウォ-ズ』の宇宙人と、
>『戦国自衛隊1549』に出てくる侍(笑)
サムライは大河『北条時宗』や、ドラマ『大奥』で見てたから良しとしても、宇宙人はちょっとねぇ・・・。ドラマから映画までいっぱい出てるのは嬉しいんだけど、すこ~し役を選んで欲しい、っていうか、もっとかっこよく見える役をいっぱい演じて欲しい!!のです(悲)
>ドラマの方はかなり現実的でありながら、
>同時に一番ふざけた役柄でありました。
やくざにしては声が高くって足の短い北村一輝だから、演じれる役なのかもしれません(笑)
>銀紛蝶と猫背椿もメロメロでしたね
もちろん私もメロメロメロ・・・・。
>失礼ながら、わたくしもちょっと賛同いたしかねます(笑)
そりゃそうだよね・・・・・(泣笑)

Posted by: ハル | July 07, 2005 01:33 AM

>ドラマから映画までいっぱい出てるのは嬉しいんだけど、すこ~し役を選んで欲しい
むしろ彼の「仕事を選ばない」ところがスバラシイと思いますけど(笑) そういう意味では遠藤憲一氏も尊敬しています。
三本通してみんな(顔も)違って見えました。一番かっこよかったのはお侍の役。
>もちろん私もメロメロメロ・・・・。
NO.1ホストも演じてたそうですし、その手のテクはお手のものでしょうか。なぜか伊東美咲にのみ通じませんでしたけど。

Posted by: SGA屋伍一  | July 07, 2005 07:37 AM

わたくしも北村氏嫌いじゃないですよ。(確かに名前はやばげですが。阿部サダヲさんも、そのへんマジで考えてるのでしょうか?)
やっぱ「時宗」のね~。
のっけからあのキャラでお茶の間に登場でしたから。すごいです。寺島しのび~との怪夫婦も最高でした。未だにうちの相方の語り草です。
まさか、主人の妻の兄とマジで刃を交えるとまでは…(まああのへんは本気で女性脚本家の萌え趣味だと思いますけどね)
「時宗」終了後は、姐御肌のオカマの役も似合ってましたねぇ。
超ブレイクはしなくても息が長いですよ。
K山S吾さんの道を歩みそうです(笑)彼のファンであるわたくし共々、イバラの道は覚悟の上でございますね(と、同意を求めてどうする)。
失礼しました。

Posted by: 高野正宗 | July 07, 2005 06:13 PM

>高野正宗様
>わたくしも北村氏嫌いじゃないですよ。
ありがとうございます♪
>のっけからあのキャラでお茶の間に登場でしたから。すごいです。
そうですよねぇ。演技派?の印象も無いまま、あの視線をお茶の間にお届けするなんて・・・。きっと大河を楽しみにしてる日本国民の方たちは、濃すぎるキャラにびっくりして、一歩引きながら見てらっしゃったでしょう(笑)
>姐御肌のオカマの役も似合ってましたねぇ。
オカマからホストから殿様からやくざから横山やすしから宇宙人からからから・・・。『仕事を選ばない』っていうのは素晴らしい事なんですよね?>SGA屋伍一様
>超ブレイクはしなくても息が長いですよ。
そうあって欲しいです♪
>K山S吾さんの道を歩みそうです(笑)
>イバラの道は覚悟の上でございますね
はい!覚悟しております!!
お互い最初のインパクトだけで大河の主役はゲットできないでしょうが、来年の『功名が辻』の上川隆也ぐらいのポジションには、行って欲しいものですね(高望みかなぁ・笑)。

Posted by: ハル | July 08, 2005 02:29 AM

>高野正宗さま&ハルさま
二人いっしょですいません。
>時宗
そんなにすごい役だったとですか・・・・ 自分はたぶんそのころ『笑う犬』を観ていたので知りませんでした。
確かに時として、主役以上にインパクトを与えてしまうところがありますね。この方は。
な~んてえらそうなことを言いつつ、沢村一樹と区別がつくようになったのは、実はごく最近だったりして・・・・ お許しを~
>。『仕事を選ばない』っていうのは素晴らしい事なんですよね?
ええ、たぶん(←コラ)。まあジュ-ド・ロウもそうですよね。

よく言われることですが、応援していたマイナーな人や作品がブレイクすると、うれしい反面少しさびしい気もします。わたしの場合チャゲアスとか京極夏彦がそうでした。

>K山S吾さん
HPのぞいてみたら、今度テレビ版『電車男』に2回ほど出るようですね。

Posted by: SGA屋伍一  | July 08, 2005 07:18 PM

>K山S吾さん
あらっ!そうなんですか!うげっ!
でも、この方の出た2時間サスペンスも、録画して見てないんですよ…
いざとなると、「見る側は役を選ぶ」んです…。
「離婚弁護士」での悪役もまだ見てません…。
なじぇ~!!

Posted by: 高野正宗 | July 08, 2005 10:52 PM

>K山さん
まあ、たぶんわたしも観ません。
恐らく電車男の役ではないでしょうけど。
『長崎奉行』であった彼のチョンマゲ姿も、また見てみたいものですね。

Posted by: SGA屋伍一  | July 09, 2005 07:45 PM

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