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July 10, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー④ 山南敬助の巻

今回は試衛館の癒し系NO.1、山南敬助さんについて語ってみましょう。
彼の名を初めて知ったのは、童門冬二氏の小説『新選組が行く』。温厚で面倒見がよく、皆から「サンナンさん」と呼ばれて慕われていた、と書かれていました。『燃えよ剣』では、思想のいらない新選組にあって、思想にこだわっていたために浮いてしまった男として書かれています。
今回の大河ドラマでは、やはり穏やかでいつも笑顔を絶やさない、けれどその裏で色々と苦悩している山南さんが描かれました。三谷さんが言っていたこのドラマ最大のヤマ場とは、恐らく第33回「友の死」における、彼の脱走→切腹のくだりだと思われます。都合上手を組んだ芹沢とは違い、山南さんは近藤たちにとって正真正銘、身内に他ならなかったはず。その身内を自分たちの手で粛清しなければならない(本人が望んだこととはいえ)。組をより一層強固なものにするために・・・・・ しかしそれほどの犠牲を払ってまで、守るべきものは果たしてあったのか? その答えは、観た者一人一人が出さねばならないものでしょう。
組のために身を投げ打って奔走してきた。けれど気がつけば、組からは必要とされなくなっていた。それに気づいたときの彼の心情を思うと、本当に切なくなります。しかし彼は怒りも嘆きもせず、いつものあの笑顔でこっそりと組を離れます。一時は可愛いひとと新たな人生を歩むことも考えたことでしょう。けれどやはり彼は、最後まで組のために尽くす道を選びます。そこまで身を捧げられるものを見つけることのできた山南さんは、確かに幸福だったと、自分は思いたいです。
「鉄の規律」で知られる新選組ですが、自ら望んで腹を切った者は稀です。幹部連に至ってはなおさらそう言えます。切腹が倫理上責められるべき行為なのかどうかはさておき、そういう意味では彼こそはまさしく真の武士であったと言えるのではないでしょうか。

今回山南を演じたのは若手俳優、堺雅人氏。あの特徴的な笑顔・・・・どんな感情も包含してしまう・・・・はアクの強い試衛館のメンバーの中にあっても、ひときわ強く印象に残っています。
もともと舞台で長く活躍されていたとのこと。わたしが初めて名を覚えたのは、朝の連続テレビ小説『オードリー』。番組つくりに情熱を燃やすプロデューサーを好演されてました。他には特に見てないんですけど、映画『壬生義士伝』では沖田総司を演じていたそうで。最近では小説原作のSPドラマ『空中ブランコ』で、なぜかサーカスの花形を演じておられました。この作品、友人に録画したものを借りたんですけど、まだ見てません(ごめん。ゼンザイ!)。

印象に残ったシーンを
・第4回。桜田門外の変に居合わせて「すごいっすよ! ぼくらみたいなペーペーでも時代を動かせるんすよ!」と、落ち込む近藤などおかまいなしにはしゃぐシーン。
・第7回。奉納試合の再、デコのお皿を割られ、負けたのに「よく出来た!」と微笑むシーン。難しい撮影だったので、素で「よかった♪」と思っていたらしい。
・第13回。横柄な組頭に「水を汲め」と言われて、例の笑顔でつっぱねるシーン。ただニコニコしてるだけの人じゃない、ということがよくわかる場面。土方が助け舟を出してくれるところもいい。
・第15回。珍しいチャンバラのシーン。清河と切り結びながら、気迫とは裏腹に「死んではなりません」とつぶやくシーン。
・第17回。芹沢と土方がヒートしてる横で、「こういうのはどうでしょう♪」とのんきに役職のネーミング案を出しているシーン。この回はゲストが帰った後で、「そういえばあれはああでした」と言って、土方につっこまれるところも笑えた。
・第24回。芹沢暗殺を討議してた場面で、「できれば穏便にいきたい」と言っていたのに、永倉が帰った途端「斬るべきです」。意外にワルなところもあるのね。
・第31回。明里と逢引のあとルンルン気分(死語)で帰ってきたら、葛山の死体を目にして愕然。怒りにふるふると震えるシーン。土方曰く「そいつを殺したのは、お前とオレだ」
・第32回。明里に物覚えが悪すぎると、八つ当たりするシーン。この人は第7回でもこむずかしい話題をふってコンパに敬遠されていた。お水系の店では迷惑がられるタイプと見た。
・同じく第32回。黙って出てきゃいいのに、ついつい沖田に「剣先がさがっているね」とアドバイスしてしまうところ。
・第33回。形だけ探しに来た沖田の前に、自分から出てきてしまう山南さん。わかっちゃいるけど「なんであんたはそこで出てきちゃうんだよ、バカ!」とがなりたくなるシーン。
・同じく第33回。料理を出されて「目で楽しませていただきます」と悟りきった表情で言うシーン。そして明里との別れ。悲しいのを懸命にこらえる明里ちゃんに、涙、涙でございます。

この人放映中、女性人気第1位だったそうですね。年末には第33回がアンコールで放映されたりもしました。ここまで惜しまれる山南像を作り上げたことに、三谷さんも満足しておられるのではないでしょうか。

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Comments

>堺雅人
私は、「新選組!」を見るまで、この人のことを知りませんでした。けっこう多くの人がそうだったのでは? この大河で一番おいしい思いをしたのはまちがいなくこの方でしょう。

>第33回
最終回よりも池田屋の回よりもこの回がインパクトがありました。大河ドラマで本放送と再放送の両方を真剣に最初から最後まで見たのはこの回が生まれて初めてでした。そして、年末のアンコールももちろん見ました。3度目も泣けました。たぶんDVD見ても泣くでしょう(まだ見ていないのかい! 第8回でストップしてます)

>山南敬助
おそらく今回の大河ドラマのおかげで、墓参する人が増えたのでは?
私なんて、これまで何度となく京都に行っているのに、壬生がどこにあるのすら知らなかったというのに、今年に入って(去年じゃないところがいいでしょ)2度も行ってきました。お墓には線香が立っていました。ホントの山南敬助に合掌したのではなく、間違いなく堺雅人演じた山南敬助に合掌してきました。すみません、本物さん。

Posted by: kakakai | July 11, 2005 at 08:04 PM

こんばんは。
>この大河で一番おいしい思いをしたのはまちがいなくこの方でしょう。
そうですね。山本耕史くんもけっこう株を上げたようですけど。
わたしが山南人気を思い知らされたのは、33回の直前にやってた番宣。「もうあの笑顔に会えない・・・・」
まるでヨンさまみたい、と思いました(笑)

>最終回よりも池田屋の回よりもこの回がインパクトがありました。
だからこそのアンコール放送だったのでしょうね。ある意味「新選組」の本質が、もっとも如実に現れた回でもありました。

>年末のアンコールももちろん見ました。
わたしは辛くて見られませんでした。再視聴するにはもう少し時間が必要かも・・・・

>おそらく今回の大河ドラマのおかげで、墓参する人が増えたのでは?
でしょうね。高野様のおっしゃられるところによると、「細かいところはあまりわからない」人なんだそうで。それだけに近藤、沖田、土方に比べると、話の題材になることもほとんどなかったみたいです。

>ホントの山南敬助に合掌したのではなく、間違いなく堺雅人演じた山南敬助に合掌してきました。すみません、本物さん
本物が聞いたら、色男に想像してもらって喜ぶのでは。これ以前はたいていもっさりしたおっさんがやってましたから。

Posted by: SGA屋伍一  | July 11, 2005 at 09:13 PM

(下記作品、結末まで書いちゃってますすいません)

『オードリー』では斜陽の映画業界の万年助監督。ヒロイン岡本綾にあっさり袖にされ、井元由香と結ばれるもほどなく死別。
『反乱のボヤージュ』では学生寮存続を過激に訴える活動家。実は同寮の新山千春目当てだったりするあたり腰砕け。
『嫉妬の香り』では気鋭の音楽家。パートナー本上まなみへの嫉妬のあまり面白い人に変貌し奇行連発。
『五瓣の椿』では篤実な問屋の手代。主人の娘で恋人で連続殺人犯の国仲涼子を庇って自身も人を殺めることに。
『ココニイルコト』では飄々とした会社員。関西弁が新鮮だけど映画に出ても基本は同じ、傷心の真中瞳をやさしく癒すも本人は心臓病でポックリ。
『エンジン』では理論先行型のカタブツ保育士、小雪に惹かれるが恋敵がキムタクでは勝ち目なし。

私も『オードリー』でこの人を知り、そのあと出会った作品でも独特の存在感が気になる存在でした。
「転落のインテリ青年with女難の相」を演じれば彼にかなう俳優はまずいないと思います。
山南敬助役は、そんな堺雅人さんの個性を活かした会心のはまり役でしたね。

Posted by: 秦太 | July 14, 2005 at 12:59 AM

いや、こうしてみるとホント
  幸  薄  い
方ですね。堺まさ・・・・とさん。基本的にもてる男はキライですが、ここまでくると同情するしかありません。
この中で世評高いものというと『ココニイルコト』でしょうか。これでも○○じゃってるんですね。お気の毒。
『エンジン』にも出てたですか。そういえば甲子太郎の中の人も『プライド』でキムタクの恋敵をやっていたなあ。
書き忘れましたが、堺氏はふだんは山南さんと同じく温厚な方なのに、酒が入るとえらい毒舌家になるらしいです。いや! そんな山南さん、見たくない!

Posted by: SGA屋伍一 | July 14, 2005 at 07:33 AM

全く歴史に興味のなかった私が(唯一織田信長とかが好きだった)こんなにハマったドラマはありませんでした。
終わってからも興奮冷めやらず新選組史跡ツアーに出かけDVDも購入して何度見直したことか・・・
本当に最高のドラマでした。
いろんな新撰組の本を買って勉強しましたが山南敬助をあんなにクローズアップしてる事ってないですよね?
あれはあれですごく良かったと思います。
こんな私ですけどちょくちょく遊びにきます。
仲良くしてくださいね。

Posted by: ブログ姫 | July 14, 2005 at 05:30 PM

ブログ姫様、はじめまして。
>全く歴史に興味のなかった私が
>こんなにハマったドラマはありませんでした。
わたしの周りにも、こういう人多かったですよ。あまりにもはまりすぎてしまったため、「『義経』はいいや」って人も多いです(笑)
>山南敬助をあんなにクローズアップしてる事ってないですよね?
それなりに出番のある作品はあるものの、タイトルになってる本はいまのとこ出まわってないみたいですね。それだけに作り手が色々と想像を広げることのできる人物です。
>こんな私ですけどちょくちょく遊びにきます。
仲良くしてくださいね。
こちらこそよろしくです。大河ドラマ『新選組!』については今年の1月からチョボチョボとつまらん記事書いてますので、お気が向いたらごらんください。
そちらの方にも、近いうちお邪魔させていただきます。

Posted by: SGA屋伍一 | July 15, 2005 at 08:48 PM

横レス失礼します。
ほかならぬ童門冬二さんに
『新選組山南敬助』(新人物往来社)
があります。
但し、昨年のブームでさえ見逃されたらしく、絶版のまま、図書館でなら借りられます。単行本のみあり。Amazon扱いなし。
レビューしてます。
http://takamasa.seesaa.net/article/397852.html
後でTBしておきますね。

Posted by: 高野正宗 | July 16, 2005 at 10:47 AM

情報&TBありがとうございます。そうそう、このレビュー覚えてます。もしかしてと思ってYahooのオンライン書店で検索してみたのですが、やはり絶版でした。
>図書館
ウチの方では絶望的ですが、都市部の大きいところなら置いてあるかな? 

Posted by: SGA屋伍一  | July 16, 2005 at 09:39 PM

また遊びにきました。
義経はこの前まで見ていたのですが
やはり新選組ほどおもしろくはなく
途中で止めてしまいました。
SGA星伍一さんは見ていますか?
それにしても副長ファンの私としては今から続編が楽しみで仕方ありません。
でも悲しい最期を見る事となると思いますが・・・

Posted by: ブログ姫 | July 21, 2005 at 12:03 AM

なかなかそちらへ伺えなくてもうしわけありません。き、近日中に必ず・・・・

>SGA星伍一さんは見ていますか?
一応楽しんで見てます。でも、やはり去年の方がいれこんで見てましたね。同じ大河でもこうもカラーが違うものかと思う反面、「夏ごろが一番いい時で、あとはひたすら可哀相な話」というところは一緒だと気づいたりして。
>今から続編が楽しみで仕方ありません。
わたしも楽しみにしています。あと5ヶ月か・・・・
>でも悲しい最期を見る事となると思いますが・・・
今から「ニヤ」と笑って散華する山本くんが思い浮かびます。

Posted by: SGA屋伍一 | July 21, 2005 at 07:46 AM

横レス失礼します
>今から「ニヤ」と笑って散華する山本くんが思い浮かびます。
やっぱ「かっちゃん」と言って散るんでしょうか。
予習のために、新選組本3冊、Amazonで購入してしまいました。

Posted by: kakakai | July 21, 2005 at 09:09 PM

>やっぱ「かっちゃん」と言って散るんでしょうか。
鋭い! もし続編が前作のラストカットから始まるのであれば「トシ・・・・」で始まり、「かっちゃん・・・・」で終る話になりそうですね。
Kakakaiさまも未だ熱冷めやらず、といった感じですね。心強い。榎本海軍を構成する伊庭八郎、ポール・ブリュネ、中島三郎助らもなかなかに味のあるやつらなので、調べてみると面白いと思います。

Posted by: SGA屋伍一 | July 22, 2005 at 10:08 PM

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