山田風太郎に関しては色々言わせてもらいたい② 忍法帖編
今回もマニアックです。
山田風太郎の「忍法帖」というと、もっぱら奇想天外なアイデアが第一印象として語られることが多いようです。確かに「よくもまあ、こんなアホなこと思いつくなあ」という忍法の着想には、平成の今読んでも、感服させられることしきりでございます。しかし忍法帖が他のバカ時代劇とくらべて、読者に鮮烈な印象を残すのは、その奇天烈なアイデアだけにあるのではありません。ひょうひょうとしたユーモアの根底に、「戦中派不戦人」である山風のシニカルでリリカルな眼差しがあるからです。時の権力者に道具としていいようにこき使われ、翻弄される忍者たち、女たち、へタレたち。名も無き彼ら彼女らが、最後の最後に人間としての誇りを見せて散っていく。面白うて、やがて悲しきこのスタイルが、作品によって濃い薄いはありますが、忍法帖を支える「柱」と言えます。
忍法帖は多くの長編、短編が書かれましたが、長編は全部で27作発表されています。山田先生はなんというか、自作にあまり執着のない方で、ある雑誌の企画かなんかで、主な作品全てをばっさり3段階にランク付けしちゃったりしています。・・・・・フツウしませんよね、そんなこと。
で、忍法帖はどんな感じかといいますと、ここにこういう便利なページがありまして↓
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/3592/
この中の「講談社:山田風太郎傑作忍法帖第1期」に含まれているものが著者評価Aランクの作品です(短編集除く)。すなわち、
『甲賀』『くの一』『月影抄』『忠臣蔵』『伊賀』『柳生』『信玄』『魔界転生』『忍びの卍』『笑い陰陽師』
の10作品。
続いてBランクはこのシリーズの第2期に含まれているもので、すなわち
『江戸』『外道』『八犬伝』『風来』『銀河』『封印いま破る』『海鳴り』『柳生十兵衛死す』
の8作品。
それでどちらにも入れてもらえなかたったのがCランク。すなわち
『飛騨』『自来也』『魔天』『剣士伝』『秘戯書争奪』『天保』『妖の』
の7作品、ということになっとります。
さて、実はCにすら入らなかったものが、まだ二つあるんです。ひとつは『忍法創世記』。忍者誕生の謎に迫る意欲作でありながら、なんでか著者が大変気に入らなかったらしく、生前は「封印」され、単行本化されることすらなかった作品。もうひとつは『忍法相伝73』という作品。現代のサラリーマンが忍法を習得して・・・・という内容。こちらは一応ランク付けしてあるものの、三段階評価なのにDからOをすっとばしてなんと「P」級にランクされています。ここまでボロクソな扱いだと、かえって読みたくなってきますね(笑)。
このようにバッサリ自作を位置付けてしまった山ちゃんですが、著者とファンとでは評価が異なる、ということはよくあること。ファンの間では「『風来』がBとはなっとくいかん」とか、「『飛騨』や『魔天』だってそれなりに味がある」という意見も少なからずあります。 それでA・Bの中で一般に評価の高いものを集めたのが、現在講談社文庫に納められている9作品。ラインナップは・・・面倒くさくなってきたのでこちら↓
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/3592/zenshu/bunninlist.html
をごらんください。
全作読破したわけではりませんが、ワタクシ個人のベストといいますと①風来②甲賀③柳生といったところでしょうか。このあとに順不同で『伊賀』『八犬伝』『封印いま破る』『忍びの卍』『江戸』などが並びます。他に出来はともかくインパクト大なものというと、『外道』『魔天』などがあげられます。
入門編としてはやはり、せがわまさき氏の手で漫画家された『甲賀』『柳生』などがいいでしょうか。時代を越えて人々を魅了する忍法ワールドを、どうぞお楽しみください。
え~、明日より私用、付き合い、その他のため、更新が滞りがちになるやもしれません。コメントにはこまめにレスするつもりですので、どうぞよろしゅうお願いいたします。