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July 29, 2005

山田風太郎に関しては色々言わせてもらいたい② 忍法帖編

今回もマニアックです。
山田風太郎の「忍法帖」というと、もっぱら奇想天外なアイデアが第一印象として語られることが多いようです。確かに「よくもまあ、こんなアホなこと思いつくなあ」という忍法の着想には、平成の今読んでも、感服させられることしきりでございます。しかし忍法帖が他のバカ時代劇とくらべて、読者に鮮烈な印象を残すのは、その奇天烈なアイデアだけにあるのではありません。ひょうひょうとしたユーモアの根底に、「戦中派不戦人」である山風のシニカルでリリカルな眼差しがあるからです。時の権力者に道具としていいようにこき使われ、翻弄される忍者たち、女たち、へタレたち。名も無き彼ら彼女らが、最後の最後に人間としての誇りを見せて散っていく。面白うて、やがて悲しきこのスタイルが、作品によって濃い薄いはありますが、忍法帖を支える「柱」と言えます。
忍法帖は多くの長編、短編が書かれましたが、長編は全部で27作発表されています。山田先生はなんというか、自作にあまり執着のない方で、ある雑誌の企画かなんかで、主な作品全てをばっさり3段階にランク付けしちゃったりしています。・・・・・フツウしませんよね、そんなこと。
で、忍法帖はどんな感じかといいますと、ここにこういう便利なページがありまして↓
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/3592/
この中の「講談社:山田風太郎傑作忍法帖第1期」に含まれているものが著者評価Aランクの作品です(短編集除く)。すなわち、
『甲賀』『くの一』『月影抄』『忠臣蔵』『伊賀』『柳生』『信玄』『魔界転生』『忍びの卍』『笑い陰陽師』
の10作品。

続いてBランクはこのシリーズの第2期に含まれているもので、すなわち
『江戸』『外道』『八犬伝』『風来』『銀河』『封印いま破る』『海鳴り』『柳生十兵衛死す』
の8作品。

それでどちらにも入れてもらえなかたったのがCランク。すなわち
『飛騨』『自来也』『魔天』『剣士伝』『秘戯書争奪』『天保』『妖の』
の7作品、ということになっとります。

さて、実はCにすら入らなかったものが、まだ二つあるんです。ひとつは『忍法創世記』。忍者誕生の謎に迫る意欲作でありながら、なんでか著者が大変気に入らなかったらしく、生前は「封印」され、単行本化されることすらなかった作品。もうひとつは『忍法相伝73』という作品。現代のサラリーマンが忍法を習得して・・・・という内容。こちらは一応ランク付けしてあるものの、三段階評価なのにDからOをすっとばしてなんと「P」級にランクされています。ここまでボロクソな扱いだと、かえって読みたくなってきますね(笑)。

このようにバッサリ自作を位置付けてしまった山ちゃんですが、著者とファンとでは評価が異なる、ということはよくあること。ファンの間では「『風来』がBとはなっとくいかん」とか、「『飛騨』や『魔天』だってそれなりに味がある」という意見も少なからずあります。 それでA・Bの中で一般に評価の高いものを集めたのが、現在講談社文庫に納められている9作品。ラインナップは・・・面倒くさくなってきたのでこちら↓
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Kenji/3592/zenshu/bunninlist.html
をごらんください。

全作読破したわけではりませんが、ワタクシ個人のベストといいますと①風来②甲賀③柳生といったところでしょうか。このあとに順不同で『伊賀』『八犬伝』『封印いま破る』『忍びの卍』『江戸』などが並びます。他に出来はともかくインパクト大なものというと、『外道』『魔天』などがあげられます。
入門編としてはやはり、せがわまさき氏の手で漫画家された『甲賀』『柳生』などがいいでしょうか。時代を越えて人々を魅了する忍法ワールドを、どうぞお楽しみください。


え~、明日より私用、付き合い、その他のため、更新が滞りがちになるやもしれません。コメントにはこまめにレスするつもりですので、どうぞよろしゅうお願いいたします。

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July 27, 2005

ここ三週の(7/10・17・24)の『義経!』

(第27回 7/10分)
知盛です。昨年のいまごろは江口洋介を追い掛け回していたんですけど、いまはこちらが追われる身です。因果応報ってやつですかね。ところで、もう季節はすっかり夏ですけど、みなさんは幽霊とか信じますか? わたしは信じてません。あんなものは、あなた、トリックに決まってますよ。山内さんちの奥さんも、きっとそう言うでしょう。
さて、この回の『義経!』くんは
・炸裂する音撃
・勝利へのダウンヒル(馬はいい迷惑)
・でんでんムシムシ後白河 あなたのねらいはどこにある
・敦盛完全スルー
の4本でした。ど~んと来い! 鎌倉幕府!

第28回 7/17分は、シャレにならない内容のため、自粛。
鎌倉に送られた重衡はアッパレな態度を示したゆえに命を保つが、人質となっていた義仲の子・義高は逃げ出そうとしたために哀れ斬首に、というお話。

(第29回 7/24分)
能子でーす。最近お兄ちゃんがブイブイいわしてるせいで、一族からあたしへの風当たりが強いのなんの。おじさんたちはそれほどでもないんだけど、女房の方々っていったら、そりゃあもう陰険なのよ。でもあたし、全然平気。メンバー同士ぶつかり合うのは馴れっ子だし。真のヒロインってのはやっぱり揉まれて光るもんでしょ!
で、この回の『義経!』くんだけど
・法皇の甘い罠
・勝手は許さん ヘイ! ブラザー
・鎌倉流萌え系戦略
・母よ あなたは強すぎだ
の4本でした! ♪平家の未来は WOW WOW WOW WOW (波間に消え行く・・・・)

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July 26, 2005

闘猫伝説 HARD PUNCHER モン吉 第7話

(いまさらですが)この物語はフィクションです。が、実在する人名、動物名と多少関係がないでもありません。

第7話 プレリュードの名は戦慄

hpm7-1今度こそモン吉のデビュー戦の相手が決まった。その名はチン・チロリン。中華系のような名前だが、一応、中東系である。
これまでの成績は15勝4敗1引き分け。実力はあるが運に恵まれなかったボクサーである。
・・・・・そして、その日が来た。

hpm7-2ゴングと同時に、モン吉の左フックがチロリンを捕らえた。機先を制されたチロリンは、そのままモン吉の連打の餌食となった。
(おかしい。こんなはずでは・・・)
動揺するチロリン。彼が弱かったわけではない。モン吉が強すぎたのだ。

hpm7-3「・・・・スリー、フォー」
気がつくとチロリンは、仰向けになってカウントを数えられていた。
立たなければ。そう自分に言い聞かせるが、体に力が入らない。
(負けるのか・・・・) 
その時チロリンの脳裏を家族の姿がよぎった。

nyanko-2「あなた、がんばって」
「パパ、負けちゃやだよ」
もやのかかった頭の中で、妻子がそう励ます声を、チロリンは聞いた。
(そう、おれは負けるわけにはいかない。あいつらのためにも)
チロリンは死力を振り絞り、もう一度モン吉の前に立ちはだかった。

hpm7-2が、結果は同じだった。
モン吉のラッシュの前に、成す術もないチロリン。
そして、彼は今度こそ立ち上がることはできなかった。

試合終了を告げるゴングの音が、高らかに響き渡る。


hpm7-4が、会場は水を打ったように静まり返っていた。
「お、恐るべし。モン吉・・・・」
誰もがその凄惨なファイトに、息を飲まれてしまっていた。
それは「モン吉」の名が世間に知らしめられた、最初の瞬間であった。


                    つづく


全然関係ないはなしで恐縮ですが、さきほど近所の沖合いを台風さんが通り過ぎてゆかれました。これから進路に当たられる方、どうぞお気をつけください。

hpm7-oオマケ
百科事典の前で、ガラにもなくマジメぶるモン吉。
「なんでも聞いてくれたまえ」

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July 25, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー⑤ 永倉新八の巻

今回は女性陣の反響がいまひとつのような予感もしますが、新選組の「アニキ」、こと永倉新八つぁんについて語ってみたいと思います。
永倉さんという方は資料がたくさん残っているわりには、作り手によってけっこうアレンジの異なる方でございます。パッと見ですが、漫画『PEACE MAKER鐵』では短髪のやんちゃ坊主のように書かれていました。単に気のいいあんちゃんみたいに書かれているものもあります。そのどれもに概ね共通しているのは、裏表のない真っ正直な性格であるということ。時代劇でいうなら、遠山の金さんか一心太助といったところでしょうか。実際、三谷さんが今回永倉に託したイメージは「子供が憧れるようなヒーロー」というものだったそうです。確かに若いに似合わず、度胸と実力を兼ね備えた永倉像は、まさしく“正義の用心棒”と言った風でございました。
で、彼のまっつぐな性格がはっきり表れたのが、第30回「永倉新八、反乱」。自分は人より多く分け前をもらっているのに、「公平でない!」と怒る。野球に例えるなら攻撃側なのに、「いまのはアウトだろ!」と審判に喰ってかかるようなもんです。まっこと男子の鏡といえるのではないでしょうか。
前述のエピソードもそうですが、その気性ゆえに新八つぁんは組の拡大化のため「変わらざるをえない」局長&副長とたびたび対立することになります。この辺、第1部の家族的な雰囲気を思い出すと、なかなかに辛いものがあります。結局最後は喧嘩別れのように組を飛び出してしまうわけですが。
しかし新八さんは後年、新選組のイメージアップに務め、JR板橋駅にあるでっかい墓碑の設立などにも尽力したといいます。ぶつかりあうことはあったけれど、ココロの底では深くつながりあってたのね・・・・ うふ。

今回永倉を演じたのはお笑いコンビDonDocoDonの山口智充さん。わたしが彼を知ったのはクドカンのドラマ『木更津キャッツアイ』の山口さん(まんま)役。ヤクザという設定だったのでちょっと強面だな~、というのが第一印象でしたが、その後『ワンナイ』などで本当に芸達者なかたであることを知り、イメージが変わりました。歌もうまいし。で、今回はまたガラッと変って重厚な演技を披露。ただただ感心するばかりです。だけど最近ちょっとCMで荒稼ぎしすぎですよね(笑)。相方のことも考えたって!

印象深いシーンを。
・第2話。近藤・土方と初めて対面する場面。歴戦の兵と思いきや実は・・・・「年下かよ!」
・第6話。「あなたにこんなことはしてほしくない!」と訴える近藤の心に打たれ、仲間たちを敵に回すシーン。うーん、青春ですな~!
・何話か忘れましたけど、親友宇八郎のために、隠れて大工のバイトをしてるシーン。その格好が似合ってしまうところがまたなんとも。
・第12話。根岸友山に声をかけられたあと、手元を見ずにパチン、と刀を鞘に納めるところ。これ、けっこう難しいらしいです。
・これも何話か忘れましたけど、お梅さんに「永倉さん、好きかもしれん」と言われ、つい胸筋が反応してしまうシーン。ムッツリスケベの疑惑浮上。
・第22話。嬉々として原田と相撲大会のチラシを配る場面。「おれたちは別に(プライドとか)気にしないもんね~」。こういうこだわりのなさが、彼を明治まで生きながらえさせたひとつの原因だったかもしれません。
・第32話。原田と(またか)山南さんを逃がすためにわざとらしく芝居をするところ。なんか楽しそうでした。
・第39話。皆を家に呼んで、新妻とのおノロケをえんえんと見せつけるシーン。少々腹が立たないでもないが、この時彼が「おれは副長とじっくり飲みたいんだ~」と、土方を引き止め続けたおかげで、周平ちゃんは命を永らえることに。よしとしましょう。
・第43話。何度も立ち向ってくる平助に対し、悲しげに首を横に振るシーン。
・第47話。「もう我慢ならん!」とばかりに組から離脱する場面。やや唐突に感じられたが、この直前に奥さんを亡くしたり、本命が自分でなかったことがわかったりで、彼もいっぱいいっぱいだったのかも。
・最終話。「あの人を悪く言っていいのは・・・・ 俺だけだ!」

近藤と共に試衛館を発った八人の中でも、池田屋に最初に斬り込んだ四人の中でも、維新の嵐をくぐり抜けて天寿を全うしたのは彼だけです。多少のラッキーはあったでしょうが、これってかなりスゴイことなんじゃないでしょうか。そして彼が多くの記録を残してくれたおかげで、わたしたちは新選組について詳しく知ることができるのです。折りよく『歴史読本』最新号の特集は「永倉新八と『新撰組顛末記』の謎」となっております。ご興味おありの方はどうぞ。


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July 24, 2005

三脚カメラ、地球を征す スティーブン・スピルバーグ 『宇宙戦争』

あらすじ
A:米国の一都市に住むレイさんは、やさぐれた一労働者。性格にやや問題があるため、すでにバツイチ。たまに会いにやってきた子供たちとも、当然うまくいきません。そんな時、レイさんの町に突然巨大なマシーンが出現。殺戮と破壊の限りを尽くします。とりあえず元ワイフと合流しようと、ボストンを目指すレイさん親子。行く先々でショッキングな状況に遭遇し、道中はさながら地獄めぐりのよう。果たしてレイさんはボストンにたどり着けるのか・・・
B:広い宇宙のある星に、姿はヘンテコだけどとっても頭のいい生き物が住んでいました。彼らは宇宙の辺境にきれいな青い惑星を見つけ、「ここに一大リゾートでもこしらえりゃ大もうけできるっぺよ」と思いつきます。そこで彼らは100万年前からコツコツと計画を進めます。ところがどっこい、その星には彼らの思いもよらないようなコワーイ生き物が住んでいたのです・・・・

好きな方をえらんでください(←コラ)。
原作はH・G・ウエルズの古典的名作SF。有名な話なんでぶっちゃけちゃいますが、『宇宙戦争』という邦題なのに、地球しかでてきません。かなり昔米国でラジオドラマが放送された折には、事実だとカン違いした人が大勢いたため、けっこうなパニックを引き起こしたという伝説もあります。昔のひとって純真な方が多かったんでしょうね。いい話です。
今回この名作に挑んだのはご存知スピルバーグ。最近の彼のSF大作はいろいろテーマらしきものをほのめかすものの、結局「あとは自分で考えて」というものが多いです。今回も「これが言いたいんかな~」と思えるものが大小10件くらいあるんですけど、わたしが強く感じたのは次の二つ。
ひとつは「我々の生活はいろんなものの犠牲の上になりたっているわけだけれど、たまには犠牲にされるものの身になって考えてみよう」ということ。
もうひとつは「夏は食あたりに気をつけよう」ということです。わけがわからん、という方は映画を見てください。
まあ、そんな小理屈をこねずとも、単に由緒正しい怪獣映画、息つく間もないジェットコースター・ムービーとしても楽しめます。監督はトム君をあの手この手で執拗にいたぶり続けます。トム君、ひょっとしたら何か監督の逆鱗に触れることでもやらかしたのかもしれません。
ある意味、このシーズンに最もふさわしいと言える一本。でもわたしは野暮を承知で、宇宙人さんたちにどうしても言いたいことがあります。
「君たちは百万年も前から、地球のいったい何を調べていたのかね?」
住み替えには十分なリサーチが必要だということです。なんのことやらさっぱり、と言う方は映画を見てください。


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July 23, 2005

これはこれ! 羽住英一郎 劇場版『逆境ナイン』

そういうわけで予告どおり“奇跡の映画化”『逆境ナイン』劇場版について語りませう。
結論から申します。ダメ映画でした(笑)。
大体なぜ少し前まで絶版状態だった『逆境ナイン』が映画になったのか。わたしは『少林サッカー』を観た映画会社の人が「あんなの作れないかねー」「そういえば『逆境ナイン』というマンガがあります」「じゃ、それで行こう!」みたいな安易な流れで決まったのだと思ってました。が、かにさまのブログによりますと「監督は何度も企画段階で却下されたのに諦めなかったそうだ。」ということなので、それに関しては素直に「すいません」と言うほかありません。
ただ、なんというか、前項で「島本先生は全部本気で書いている」と申しましたが、映画のほうはギャグの効果を計算するあまり、作者や不屈の本気っぷりがいまひとつ感じられなかったかな、と。このギャグに波長が合う人はともかく、合わない人はつらいんじゃないでしょうか(とはいえわたしの行った劇場ではちょこちょこ受けてました)。
映画で初めてこの作品に接するひとは、この超展開に度肝を抜かれると思います。けれどこの「超展開」も、やはり原作の方が数段見せ方がうまく、できればマンガの方を先に読んでいただきたいのです。

だからといってわたしがこの映画を苦々しく思っているかというとそんなことはありません。むしろ愛しています。その理由は三つ。

ひとおぉつ! この映画がなにはさておき、“島本和彦”原作であるゆえ!(たぶんもうそんな映画にはお目にかかれないような気がします。動く「炎燃(ほのお もゆる・同作者のマンガ『燃えよペン』の主人公)」が見られたのも良かった)

ふたあぁつ! この映画の置かれている状況そのものが「逆境」であるゆえ!(なんでよりによって大作がひしめくこの時期に公開をぶつけてしまったのか。不屈の「この宇宙のどこかでは今も、お互いの星の命運をかけて壮大な宇宙戦争がおこなわれているんだろうなあ・・・」というセリフに、「すぐ隣のハコでやってるよ!」とつっこんだのはわたしだけではあるまい。)

みっつ! おれは・・・・ おれたちは・・・・ 「オタク」なんだあーッ!!!!


・・・・・ああ暑苦しい。
特撮ファンにとっての見所は、やはり全力学園校長を演じる仮面ライダー一号・藤岡弘でしょう。よくこんなんに出たなあ、と思いましたが、「せがた三四郎」にくらべりゃどってことないか。また主役はガオシルバー・玉山鉄二ですし(演技前よりうまくなった)、現在『仮面ライダー響鬼』で「高校生日記」を好演中の栩原楽人くんも出ています。
ヒロインの堀北真希ちゃんはそれほど人目をひく顔立ちでもないんですけど、不屈にパルスを合わせていくと、段々と光り輝いて見えてきます。これがカメラの力ってやつですかね。
テーマソングは岡村孝子の『夢をあきらめないで』。これもなんだかギャグにしか思えないのですが、EDのメイキング映像と合わせて聴いていると、心和やかになってくるので不思議です。

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July 22, 2005

それはそれ! 島本和彦 『逆境ナイン』 

逆境とは・・・・・思うようにならない境遇や不運な境遇のことをいう!
「廃部だっ!!!!」
呼び出しに応じやってきた、弱小野球部のキャプテン・不屈闘志に、学園の校長は開口一番そう告げた。
こ  れ  だ  !   こ  れ  が  逆  境  だ  !
あまりのショックにひざまずく不屈。だが彼の目はやにわに光を放ち始め、こともあろうに「甲子園で優勝旗をもぎとってくる!」ことを宣言してしまう。そして証拠に近隣の甲子園常連校・日の出商業を、練習試合で「叩き潰す!」ことを確約。「できなかったときは?」「できなかったときは・・・・・ いや、必ずできるッ!! 失礼します!!!!」
その日からいつもの三倍の練習が始められた。次第に結束を強めていくナイン。この分ならもしかして・・・・
しかし運命は非情だ。試合が近づくにつれ、メンバーは次々と負傷、病気、失恋、追試、バイトの約束といった不慮の災難に見舞われる。そして不屈自身も頼りの右腕を痛めてしまう。それでも「今日の試合、勝つ!」と叫ぶ不屈。彼らに奇蹟は訪れるのか!?

とダラダラ書きましたけど、この時点でまだ単行本1巻目の半分くらい。このあとも逆境につぐ逆境、超展開につぐ超展開が彼らを待ち受けます。休む間もなく逆境に襲われる彼らを見ていると、『スラムダンク』の“伝説の26点差”も、「まだまだどうにかなるじゃん」と思えてきてしまいます。
作中のセリフを借りるなら、「並みの漫画家ならこんな無茶な展開はやらんだろう・・・・ だがおれは違う!」そうほくそ笑む島本氏の顔が目に浮かぶようです。
かにさまの『パイプマシン』付属のブログによると「とにかく先のことは考えずに、それは克服することが絶対無理だという逆境を考える。そして描いてしまった後、主人公と一緒に七転八倒しながら克服していくのだ。納得のいく克服ができなかったときは連載を止める。」そういう書き方をしていたそうで、やはり人間、追い詰められるととんでもないエネルギーを発揮できるのだなあ、と感じ入りました(そのまま行き詰まってしまう例も多いが)。
島本作品の主人公は、かようにいつも熱く燃えていて、全力で、命がけであります。結果その空回り具合がギャグになる、というスタイルをとっているのですが、かと言って島本先生がふざけてセリフを書いているかというと決してそんなことはなく、たぶん全部「本気」で書いていると思います。だからこそわたしたちは彼の作品を読んだ後、ゲラゲラ笑っていたはずなのに、「よっしゃ! 明日もがんばろう!」とついはりきってしまうのです。こんな作品を描ける漫画家は、そういるもんじゃありません。
全6巻の中に、数限りない名台詞と男の魂がぶちこもった傑作。このあとも「全力学園サーガ」は『無謀キャプテン』『男の一枚 レッドカード』『ゲキトウ!』と続くわけですが、残念ながらどれも『逆境』を越える域には達していないようです。このマンガを読んで、熱き島本魂にまた触れたい!という方には、小学館より刊行されている『燃えよペン』(全1巻)を強くお薦めします。
次は現在公開中の劇場版について語ります。

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July 20, 2005

適当掲示板11&燃えろいい男

まーいどまいど、まいどでまいど♪ 当ブログに関するご意見ご感想、皆様のお薦め品、ネタ、その他よろずお引き受けいたします。

夏・本番! イエイ! 今年のビーチには、どんなマーメイドがオレを待っているんだろう? ヘイヘイ!
・・・・・なんてヤケになっているのには、わけがあります。梅雨明けと同時に、ウチの職場では一ヶ月間の「アロハ着用命令」が発令されたのです。なんていうかさー、あんまりこういうことは言いたくないんだけどさー、はっきし言って
 バ  カ  じ  ゃ  な  い  の
aroha-1aloha-2aloha-3


しょせん田舎は田舎であって、どれだけあがいても決して「ハワイ」にはなれんのですよ。上の方たちはそんな簡単なこともわからないのでしょうか。お客様たちはみな顔をひきつらせながら、「よくお似合いですね」とおっしゃってくださいます。その優しさはうれしいんですけど、店長にはっきりと「チンピラみたいだよ、あれ」とおっしゃってくださった方が、こちらとしてはありがたいです。
やれやれ、あと一ヶ月か。
・・・・・なんてブツクサ言ってる割に、はしゃいでアホな画像さらしてるバカはどこのどなたさまだよ! 
どうも失礼しました。気分を悪くされた方は口直しに、小生秘蔵のニャンコ画像でも見て和んでください。
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消毒完了。
ついでに久しぶりに近日公開予定を。映画は『宇宙戦争』『逆境ナイン』を。『SWEP3』もたぶん観ます。『逆境ナイン』はマンガの方も書きます。『バガボンド』『20世紀少年』もぼちぼち。小説は『忍びの者』がなかなか終りません。終ったら『バッテリー』の3巻も読みたいです。

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July 18, 2005

山田風太郎に関しては色々言わせてもらいたい① 推理小説編

山田正紀先生に見つかったら「貴様の出る幕などないわッ!」と怒られそうなタイトルですけど、高野正宗さまの連続レビューに触発されて我慢できなくなりました。ややマニアックかもしれませんが、どうぞお付き合いの程、よろしゅう。
絶頂期は一部を除いて権威からゴミカス扱いされながら、晩年になってようやく正当な評価を受ける作家さんがいます。その最たる例が、江戸川乱歩&山田風太郎の「はぐれ師弟コンビ」ではないでしょうか。もっとも「師弟」といってもそれほど密接なつながりがあったわけではありません。「宝石」誌のコンテストにおいて、山田青年が応募した『達磨峠の殺人』という短編を、周囲が首をひねるなか、「こいつ、イイ!」と主張されたのが乱歩先生だったのです。果たして乱歩先生が山風の資質を見抜いていたのか、単にヤマカンで言っていたのかは謎ですが、ともかくこうして山田風太郎は世に出ることになりました。評価してくれた乱歩への恩に報いるため、山田青年はせっせこ推理小説を書き続けます。そしてとうとう『眼中の悪魔』という短編で、第2回探偵クラブ賞を受賞するまでに成長します。このとき横溝正史先生は「あの『達磨峠』の山田君がここまで成長するんだから、新人ってやつは安易に見限るもんじゃない」というようなことをおっしゃっておられます。
この時期の山風の作品群を概観すると、乱歩を意識しつつも、はっきり独自のカラーが既に表れています。意外な犯人、叙述トリック、奇抜な設定、異常な動機・・・・ どんな作品にも何らかの実験精神が見られます。そして、現行の作家たちの手による、名編と謳われているもののアイデアの多くが、すでに山風により先取りされていたことに、今さらながら驚きを禁じえません。
わたしが特に押すのは次の二編
・『誰にでも出来る殺人』
 あるアパートを訪れた青年が、そこで発見した奇妙な日記。青年はその日記を読み進むうち、アパートの住人たちに隠された驚くべき秘密を知る。今読んでもまったく古びていない名編。意表をついた結末には、誰もが溜め息をもらすことでしょう。現在は光文社文庫『眼中の悪魔』に収録。
・『妖異金瓶梅』
 中国の古典『金瓶梅』に材をとった連作推理もの。犯人は毎回おんなじという、「それで話が成立すんのか(するんです)」というスゴイ作品。終盤のカタストロフィーや、叙情的で美しいラストシーンも、ぬぐい難い印象を残します。現在は扶桑社文庫のものが手に入りやすい様子。

この他にも世評高いものというと『十三角関係』『夜よりほかに聴くものもなし』『太陽黒点』『棺の中の悦楽』『厨子家の悪霊』『黄色い下宿人』などがあり、おおむね光文社文庫か 廣済堂文庫 に収められております。『棺の中の悦楽』は、大島渚の手により『悦楽』というタイトルで映画化されたこともあります。
さて、これほどに優れた作品群を著しながら、山ちゃんは「やっぱオレ、推理小説にはむいてないなあ」と悩みつづけていたそうです。そこへ『妖異金瓶梅』を読んだ編集者が、「どうよ、今度は『水滸伝』でも書いてみれば」と勧めます。そこで、『水滸伝』における「一人一芸」みたいなテイストをあれこれいじった結果、生まれ出たのが忍法帖第1作『甲賀忍法帖』であったというわけです。この作品や他の忍法帖に関しては、また別項で語ることといたしましょう。

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July 17, 2005

HARD PUNCHER モ・シュクラ  クリント・イーストウッド 『ミリオンダラー・ベイビー』  

イーストウッドにネタぱくられた・・・・ 畜生、訴えてやる!
なんてアホはさておき、アカデミー賞4部門に輝く『ミリオンダラー・ベイビー』について語ります。もう公開あらかた終了してるようですけど・・・・

腕はあるけど金はない、老トレーナー・フランキー。彼のジムに、ある日マギーという女が入門に来る。「女はみない」とにべもなく断わるフランキーだったが、彼女の熱意に根負けして、トレーナーを引き受けることに。自分を慕うマギーに、フランキーはいつしか疎遠になっている娘の影を重ねあわせていく。年齢のハンデをものともせず、マギーは連勝街道を驀進。ついには百万ドルのかかったタイトルマッチに挑む、 の  だ  が。

イーストウッドってよくわからない人です。ハリー刑事のころは「てめえらに人権なぞねえ!」って感じで悪党をパンパン撃ち殺してたくせに、近年は人の命の重みを問うような作品を多く手がけています。『許されざる者』しかり、『パーフェクト・ワールド』しかり。
この『ミリオンダラー~』でもやはり同様のテーマが、「暴力のもたらすリスク」と共に語られます。フランキーはしきりに「自分を守れ」とガードの大切さを説きます。しかしディフェンスばかりしていたのでは、教育的指導の累積で負けてしまうのは必定。自らを危険領域に投げ出さなければ、到底勝つことは出来ません。マギーはどうしょうもない家族への愛のため、そのリスクを進んで受け入れます。

「夢を追う」とは聞こえのいい言葉です。ですが、その「夢」の中には他者を蹴落としでもしないかぎり得られない物も数多くあります(この辺をまざまざと見せ付けてくれたのが、漫画『ベルセルク』)。自分が蹴落としている側にいる間はまだいいとして、戦いつづけていればいつかは蹴落とされるわけです。そうなった時、人は自分の置かれた状況を直視できるでしょうか。

後半は某文豪の某短編のような(と書いただけで、勘のいい方はピンとくるだろうな・・・・)息苦しい展開がえんえんと続きます。ここにきて、わたしたちは「自分を守れ」というフランキーの言葉の重みを、つくづく実感させられることになるわけです。けれどわたしにはどうしても、イーストウッドが「分不相応な望みなど抱かず、てめえの穴倉でじっとしてろ」と主張しているとは思えないのです。でなければ、黙々とトレーニングに励み、リングの上で奮闘するマギーの姿を、あんなに美しく撮ったりはしないでしょう。「夢を追うのは、やはり美しい。」どれほどの犠牲を払ったのかはわかりませんが、自身も底辺を這いまわり、そして夢をつかんだクリントさんなら、きっとそう言うことでしょう。
胃袋にズシリとくる、ヘビー級の一本。非常に優れた作品だと思いますけど、わたしはもう二度と観ないと思います。

この作品、PG12指定になってましたけど、なにがいけなかったのでしょう。女性ボクサーの筋肉がセクシーすぎたからか。対戦相手の鬼気迫る形相がおっかなすぎたからか。
どうでもいいことですが、わたしには主演のヒラリー・スワンクさんにクリソツな知り合いがいます。彼女は鼻の真下に腫瘍をこさえてけっこうな手術をされたと言ってましたが、ヒラリーさんも劇中とはいえ、鼻骨をボッキリ折っておられました。どうもこの手の人相の方は、顔面に災難を受けやすいようです。「それ系」の顔の方、どうぞお気をつけください。

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July 16, 2005

コウモリの始め方 クリストファー・ノーラン 『バットマン ビギンズ』

い、いかん、記憶が薄れてきた・・・・ 覚えている間にこの話題を。現在絶賛公開中の『バットマン ビギンズ』について語ります。
ご存知、ゴッサムシティの犯罪と日夜(つーか、夜だけ?)戦うヒーロー、バットマン。彼がなぜ誕生したのか、その経緯が極めてシリアスなタッチで描かれます。
最初わたしはこの作品が、過去のシリーズ(通算4作)に対しての、「エピソード1」のような位置付けになるのかと考えていましたが、鑑賞し終えてみると、どうやら「完全新生」→「これまでのことは忘れてくれ」ということのようです。前までの4作は出来や監督のカラーの差こそあれ、「マンガ映画」(蔑称に非ず)であることには変りありませんでした。しかしこの『ビギンズ』で、ノーラン監督は「アメコミヒーローをどこまでリアルに描くことが出来るか」ということに挑戦したようです。ですからこの映画には、奇抜な格好をした悪役は登場しません。コスチュームを身にまとうのは、われらがバットマンだけです(笑)。あと、超能力や宇宙人も登場しません。

ある夜、裏通りを歩いていた仲睦まじい親子を襲った突然の惨劇。ブルース少年一人を残して、ウェイン夫妻は強盗の凶弾により命を絶たれます。復讐心を押さえきれず、長じて強盗の命を奪おうとするブルース。しかしその強盗が別の者に殺されたことにより、ブルース青年は宙ぶらりんに。世界を放浪し、悪を知り、青年は自分が間違っていたことを悟ります。では、どうすれば自分の苦痛は消え去るのか。あの街から犯罪を消し去るにはどうすればよいのか。彼が見出した答えは、「悪党どもの恐怖の対象となること」・・・・
「正義」とは非常に危うい言葉です。人によりその定義は異なりますし、古来この言葉の名のもとに、多くの蛮行が行われてきました。しかしみなが納得する最大公約数的な定義がひとつ存在します。つまり、「弱者をまもること」。けれど、それとてやり方をひとつ間違えただけで、容易に狂気へと発展してしまうこともあります。そのいい例が『タクシードライバー』のトラヴィスです。
「正義」と「狂気」を分け隔てるわかりやすい指針があります。それは、「殺人を許すか否か」。犯罪者を震え上がらせるため、コウモリの衣装に身を包み、鉄拳を振るいつづけるバットマン。その姿は、はっきり言って尋常じゃありません。彼も暴力を手段として用いる限り、「狂気」と無縁ではいられないのです。そのバットマンを辛うじて正気につなぎとめ、本来の目的を見失わないようにさせているのが、この「殺しはイカン!」というコードなのです(第1作ではキレイにスルーされましたが・・・・)。実のところ原作の『バットマン』は、ブルース・ウェインがえんえんと「殺しちまおうか。いや、ダメだ」と悩み続ける物語でもあるのです。
今回の敵役、ラーズ・アル・グールは、自分を悪人とは考えていません。むしろ、自分の行為こそ正義であると主張します。それが多くの人命を奪うものであったとしても。ラーズはその狂気に同調させんと、ブルースを誘惑します。果たしてブルース=バットマンは己の信念を貫く事ができるのか?

一見さんにはやや「尺が長い」と感じられるかもしれませんが、自分的にはお腹いっぱい大満足でした。アメコミの重要なテーマを存分に語ってくれたことに加え、ゴードン刑事との心温まる交流といった、ファン泣かせの要素もしっかりあります。これまでとはまた違った魅力のあるゴッサムシティの存在感も高ポイントです。例によってさらなる続編のお話もあるようですが、このカラーはこれ一本で十分、と思わせるほどのインパクトでした。

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July 15, 2005

ついでに大河ドラマ『義経!』も振り返ってみようのコーナー③

なんとか一の谷の前に終らせたかったのですが、予想通り(笑)間に合いませんでした。では第7回から第12回まで。

(第7話)
うつぼの兄です。え? お前さんも相当なワルだって? へへへ。確かにあっしはワルでやんすけどね、世の中にはもっとすごいワルってのが、いくらでもいるんですよ。例えばこんなワル・・・・ え? お前の話はどうでもいいって? そんなこと言わずに聞いてくださいよ。二分だけでもいいですから。
さて、この回の『義経!』くんは
・追いかけて福原
・ツンツンとデレデレの間
・その者派手な袈裟を身にまとい、金色の海に乗り出でるべし
の三本でした。タイガー、タイガー、大河ドラマ!

(第8話)
亀の前です。伊豆はいいとこですよ~ お茶にミカンに海の幸。温泉だって沸いてます。わたし、こう見えても以前はお笑いで天下目指してたんです。でも、今はやっぱり、人間は土にまみれて生きるのが一番だって、心の底から思えますねえ。ほら、殿さま~ ミキプルーンもよく実ってるよ~!
さて、この回の『義経!』くんは
・平家のためなら鬼となる!
・仏門のススメ
・グッバイ入道
の三本でした。白黒付けるぜ!

(第9話)
お徳ですゥ~ 最近、わけのわからぬこと、多いですなァ~ こないだも、ウチにけったいな電話、かかってきはったんどすゥ~ なんや盛んに「オレオレ」、言ってはったんですけど、弁慶はんじゃなかったみたいやし、一体なんやったんですかのォ~ みなさんもどうぞ気ィつけてくんなましィ~
さてェ~ この回の『義経!』くんですけどォ~
・みちのく?人旅
・珍奇カニ男
・やっとでましたタイトル名
の三本ですゥ~ 東京広○機構です。

(第10話)
秀衡です! ひとつ非道な平家の鬼と ふたつふざけた頼朝どのを みっつミイラの超能力で 退治てくれよう! え? 違う?
で、この回の『義経!』くんは
・ようこそドリームランドへ
・眠っちゃいけない九朗どの
・三人目のオヤジ
の三本です! よっつ世継ぎがいささか不安・・・・

(第11話)
うつぼでーす。みなさん、娘に「うつぼ」って名づける親のセンス、どう思います? 食らいついたら離すんじゃねえ、ってことかしら? 大体、天下のトップアイドルのこのアタシが、どうして「待つ身の女」をやんなきゃいけないのか、その辺も納得いってないんですけどー! まあ、いいわよ。わたしにはスポーツがあるから。♪レシーブ トス スマッシュ エース エース エース~ あれ?
えっと、この回の『義経!』くんは
・泰衡放置命令
・恋はハッケヨイ!
・陰謀ダメだこりゃ
の三本でした。元気ハツラツ~?

(第12話)
重盛です。今回に限ってSGA殿は、「何もネタが思い浮かばなかった」そうです。わたしだって、色々なとこで、色々やってるんですがねえ。特に印象に残りにくい、ってのが名サポート役の辛いとこでしょうか。おまけにそろそろ出番終わりみたいだし・・・・・ ブツブツ
えー、この回の『義経!』くんですが
・痴話ゲンカは猿も食わない
・ヒトヨリモ オゴレヤ
・鬼のなり過ぎにご注意を
の三本でした。一足お先に逝ってます・・・・
 

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July 11, 2005

闘猫伝説 HARD PUNCHER モン吉 第6話

第6話 極限のさらなる先へ


hpm6-1デビュー目前かと思われたモン吉に、ひとつの難題が降りかかった。それは「重量オーバー」。

S・ヘビー級に上限があるのかどうか疑問ではあるが、確かにこの体型ではボクサーというより、力士である。


hpm6-2「おまえには辛い話だろうが・・・・ やむをえん」
SGA=キングが言った。
「こうなったら減量に挑戦してもらう」
沈痛な面持ちで告げるSGAだが、その口元はかすかに笑っていた。


hpm6-3「げ、げんりょう・・・・・」
あまりのショックに立ち尽くすモン吉。それは彼(女)にとってもっとも辛い試練だった。
もうボクサーなどやめてしまおうか。
チラリとそんな考えが頭をかすめた。

hpm6-4しかしすぐにモン吉はその迷いを振り払った。
(おれの夢はこの程度でくじけてしまうものなのか? ちがう。断じてちがう!)
その日からさらにきびしい練習が始まった。そして夜は飢えに耐えるため、自らを紐で縛るのだった。

hpm6-5そして何週間かした後、別人のようにシェィプされたモン吉の姿がそこにあった。

「よくやった、モン吉・・・・」
半ば面白がっていたSGAも、おもわず涙ぐむのであった。


hpm6-6「これで・・・・・安心してメシが食える」
リミットを達成した途端、餌をがっつくモン吉。
・・・ってそれじゃ意味ないだろ!
デビューへの道はまだ険しい。


                 つづく


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July 10, 2005

いまだに大河ドラマ『新選組!』を振り返ってるよ!のコーナー④ 山南敬助の巻

今回は試衛館の癒し系NO.1、山南敬助さんについて語ってみましょう。
彼の名を初めて知ったのは、童門冬二氏の小説『新選組が行く』。温厚で面倒見がよく、皆から「サンナンさん」と呼ばれて慕われていた、と書かれていました。『燃えよ剣』では、思想のいらない新選組にあって、思想にこだわっていたために浮いてしまった男として書かれています。
今回の大河ドラマでは、やはり穏やかでいつも笑顔を絶やさない、けれどその裏で色々と苦悩している山南さんが描かれました。三谷さんが言っていたこのドラマ最大のヤマ場とは、恐らく第33回「友の死」における、彼の脱走→切腹のくだりだと思われます。都合上手を組んだ芹沢とは違い、山南さんは近藤たちにとって正真正銘、身内に他ならなかったはず。その身内を自分たちの手で粛清しなければならない(本人が望んだこととはいえ)。組をより一層強固なものにするために・・・・・ しかしそれほどの犠牲を払ってまで、守るべきものは果たしてあったのか? その答えは、観た者一人一人が出さねばならないものでしょう。
組のために身を投げ打って奔走してきた。けれど気がつけば、組からは必要とされなくなっていた。それに気づいたときの彼の心情を思うと、本当に切なくなります。しかし彼は怒りも嘆きもせず、いつものあの笑顔でこっそりと組を離れます。一時は可愛いひとと新たな人生を歩むことも考えたことでしょう。けれどやはり彼は、最後まで組のために尽くす道を選びます。そこまで身を捧げられるものを見つけることのできた山南さんは、確かに幸福だったと、自分は思いたいです。
「鉄の規律」で知られる新選組ですが、自ら望んで腹を切った者は稀です。幹部連に至ってはなおさらそう言えます。切腹が倫理上責められるべき行為なのかどうかはさておき、そういう意味では彼こそはまさしく真の武士であったと言えるのではないでしょうか。

今回山南を演じたのは若手俳優、堺雅人氏。あの特徴的な笑顔・・・・どんな感情も包含してしまう・・・・はアクの強い試衛館のメンバーの中にあっても、ひときわ強く印象に残っています。
もともと舞台で長く活躍されていたとのこと。わたしが初めて名を覚えたのは、朝の連続テレビ小説『オードリー』。番組つくりに情熱を燃やすプロデューサーを好演されてました。他には特に見てないんですけど、映画『壬生義士伝』では沖田総司を演じていたそうで。最近では小説原作のSPドラマ『空中ブランコ』で、なぜかサーカスの花形を演じておられました。この作品、友人に録画したものを借りたんですけど、まだ見てません(ごめん。ゼンザイ!)。

印象に残ったシーンを
・第4回。桜田門外の変に居合わせて「すごいっすよ! ぼくらみたいなペーペーでも時代を動かせるんすよ!」と、落ち込む近藤などおかまいなしにはしゃぐシーン。
・第7回。奉納試合の再、デコのお皿を割られ、負けたのに「よく出来た!」と微笑むシーン。難しい撮影だったので、素で「よかった♪」と思っていたらしい。
・第13回。横柄な組頭に「水を汲め」と言われて、例の笑顔でつっぱねるシーン。ただニコニコしてるだけの人じゃない、ということがよくわかる場面。土方が助け舟を出してくれるところもいい。
・第15回。珍しいチャンバラのシーン。清河と切り結びながら、気迫とは裏腹に「死んではなりません」とつぶやくシーン。
・第17回。芹沢と土方がヒートしてる横で、「こういうのはどうでしょう♪」とのんきに役職のネーミング案を出しているシーン。この回はゲストが帰った後で、「そういえばあれはああでした」と言って、土方につっこまれるところも笑えた。
・第24回。芹沢暗殺を討議してた場面で、「できれば穏便にいきたい」と言っていたのに、永倉が帰った途端「斬るべきです」。意外にワルなところもあるのね。
・第31回。明里と逢引のあとルンルン気分(死語)で帰ってきたら、葛山の死体を目にして愕然。怒りにふるふると震えるシーン。土方曰く「そいつを殺したのは、お前とオレだ」
・第32回。明里に物覚えが悪すぎると、八つ当たりするシーン。この人は第7回でもこむずかしい話題をふってコンパに敬遠されていた。お水系の店では迷惑がられるタイプと見た。
・同じく第32回。黙って出てきゃいいのに、ついつい沖田に「剣先がさがっているね」とアドバイスしてしまうところ。
・第33回。形だけ探しに来た沖田の前に、自分から出てきてしまう山南さん。わかっちゃいるけど「なんであんたはそこで出てきちゃうんだよ、バカ!」とがなりたくなるシーン。
・同じく第33回。料理を出されて「目で楽しませていただきます」と悟りきった表情で言うシーン。そして明里との別れ。悲しいのを懸命にこらえる明里ちゃんに、涙、涙でございます。

この人放映中、女性人気第1位だったそうですね。年末には第33回がアンコールで放映されたりもしました。ここまで惜しまれる山南像を作り上げたことに、三谷さんも満足しておられるのではないでしょうか。

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July 09, 2005

亡国のタイムスリップ 福井晴敏・手塚昌明 『戦国自衛隊1549』

福井晴敏三部作?の第2弾。半村良原作で1979年に公開された映画『戦国自衛隊』のニューヴァージョンです。
磁気の異常発生に関する実験をしていたところ、うっかり戦国時代にタイムスリップしてしまった、的場一佐率いる自衛隊の一部隊。彼らが過去でなにやらやらかし始めたため、平成の現代に世界消滅の予兆である虚数空間の穴「ホール」が生じてしまう。現実世界を危機から守るため、自衛隊はかつての的場の部下・鹿島を含む特殊部隊を、新たに過去へ送り込むが・・・・ というストーリー。

オリジナルも一応観た事あります。(以下ネタバレあり)戦国時代に来てしまった自衛隊の方々は「自分たちが過去に送られたのには、何か意味があるに違いない」と考えます。それなら思い切り歴史に介入しちゃれ、とばかりに、近代兵器でもってバカスカ騎馬武者たちを蹴散らしてしまう千葉ちゃんたち。けれど結局は後ろ盾の裏切りにあって全滅。意味など全くなかったという、ニヒリズムとヴァイオレンスに満ちた70年代テイスト炸裂の作品だったと思いました。
出だしは同じですけど、それに比べると今回はかなり健康的というか、オーソドックスなタイムスリップものになっています。何せ原作のお二人が、非常に前向きな作品ばかり作っておられる方たちゆえ。自分としてはオリジナルよりも、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦』に近い空気を感じました。
まあ、はっきりいってバランスの悪い作品です。登場人物の行動が一貫していなかったり、「自衛隊の存在意義を問う」という福井ちゃんの悪い癖が出てきたり。それに目をつぶることができれば、あとはまあまあ楽しめるんじゃないでしょうか。「細かい矛盾は気にせずに、勢いでなんとか盛上げれ!」そういう姿勢は紛れもなく角川映画ですね。「時間修正もの」のキモというのは、「あるリミットがあって、それまでに命題を達成しなければならない」・・・・その点でいかに受け手をハラハラさせられるか、そこにあります。この『1549』も、そういう点では及第点にいってるのでは。特にオリジナルの例もあるので、全滅エンドも十分に考えられる。そんなことも考えながら観ていると、けっこうハラハラいたします。

役者陣でいうと、一際輝いていたのがハル様一押しの北村一輝。的場隊と交換のような形で現代に来てしまい、また過去に送り返される侍の役です。江口洋介、鈴木京香、鹿賀丈史、みなさん「計算どおり」の演技ですが、北村氏に限っては計算以上というか、「モノホンの戦国武者ってこんな感じかな」と思わせるだけの説得力を有しています。あとこの映画で貴重なのは、それなりにカッコイイ生瀬勝久が観られるということ(笑)。こんな生瀬氏は、果たして今後見られるかどうかわかりません。
他に見所というと、自衛隊が全面協力しているため、ミリタリーファンはそのあたり楽しめると思います。

この記事を書くにあたり公式サイトを観ていたら、なんと早くもハリウッド版の製作が決定したとのこと。タイトルは『サムライ・コマンド・ミッション1549』 ・・・・・B級の香がプンプンいたします(笑)

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July 06, 2005

ライオンと少女 柳沼行・望月智充 『ふたつのスピカ』

ちょっと時間が経っちゃいましたけど、先日地上波で放映が終了したアニメ作品。

夏だからってわけじゃありませんけど、みなさんは「あの世」の存在を信じますか? わたしは信じてません(笑)
かつて天国は空の彼方にあるものと思われていました。しかし宇宙科学の発展により、空の向こうには果てしない空間が広がっているだけ、ということがわかってくると、天国はだいぶ肩身が狭くなってしまったようです
そんなご時世にあって、堂々と「宇宙と幽霊」を両立させた作品が、この『ふたつのスピカ』。原作はコミックフラッパー連載中の漫画です。

かつてロケットの打ち上げ失敗という、悲惨な事故のあった町、由比ヶ浜。そこで生まれ育った少女アスミは、宇宙飛行士だったという、ライオンの着ぐるみをかぶった幽霊と知り合う。「ライオンさん」と仲良くなったアスミは、自身も宇宙へ行く事を夢見る。成長したアスミは宇宙時代へ向け創設された宇宙専門学校に入学。夢の実現に一歩づつ近づいていく。
お目目の大きな可愛らしい少女が主人公なので、最初に聞いた時はいわゆる「萌え系」作品かとおもったんですが、なかなかどうして、しっかりしたドラマになっています。周囲から変わり者扱いされたり、理不尽な妨害にあってもひたむきにがんばるアスミの姿には、30過ぎた野郎にも、胸が熱くさせられるものがあります。恥ずかしながら幾つかのエピソードでは、感極まって鼻水がブシュッと吹き出てしまったこともありました。こういう作品というのはさじ加減ひとつで、うざったくなったりあざとく見えたりするものですが、本作にかぎってはそういう印象は受けませんでした。スタッフの熱意のせいか、自分の感性にあっていたせいか。ただ最近は、いたいけな子供にいじらしいこと言わせたりするのは、それだけで反則じゃないか、という気もいたします。つまり、そういうものに極端に弱くなってしまったということです。・・・・・・ワシもトシかのう。アスミの声をあてているのはクレヨンしんちゃんでおなじみの矢島晶子女史。この人もそれなりの年齢のはずですけど、最近益々ご活躍のご様子。
影となり日向となりアスミを励ます「ライオンさん」が、またあったかくていい。タイトルの「ふたつ」というのは、恐らくアスミと、このライオンさんのことかと思われます。しかし幽霊はやがて成仏せねばなりません。そこでこのライオンさんの代わりになる者として、マリカという少女が登場します。アスミをハイジとするならば、マリカはさしずめクララ。・・・・ずいぶんとひねたクララではありますが。謎多いこの少女が徐々にアスミに心を開いていくところも、物語の魅力のひとつです。
アスミの級友となる府中野とシュウも、印象深いキャラクターでした。方やぶっきらぼう、方やナンパを気取りながら、胸のうちには熱いものを秘めている。「お前ら未成年のくせになんでそんなにかっこいいんだ!」と叫びたくなる事もしばしばでした。

惜しむらくは、原作のストックがあまりない状態でアニメ化を進めてしまったせいか、まだ十分語る余地があるのに終了してしまったこと。自分としては、アスミと仲間たちの活躍をもっと観ていたかったんですが・・・・・。「原作買え」ってことか? これは。

宇宙飛行士の中には、遊泳体験を通してなにかに目覚めてしまい、帰還してから信仰の道に入る人もけっこういるとか。「あの世」とはともかく、信仰と宇宙の両立はそんなにむずかしくはないようです。

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July 05, 2005

先週(6/26)と今週(7/3)の『義経!』

(先週分)
喜三太です。おれ、「一の子分」なんつって威張ってますけど、本当は自信ないんです。だって、もともとが馬泥棒ですし。ハァ。こないだ、ブランド物みたいなすっごい美人と知り合って、はっきりいってチャンスなんですけど、やっぱりダメだ・・・・ アキ巣系のおれには、彼女は荷が重過ぎる・・・・ (大丈夫! おまいにはおれたちが付いてる!)
え? いまの誰? 
さて、先週の『義経!』くんは
・初めてガッセン
・最後の猿の軍団
・4ヶ月のような13年
・おかあさんがいっしょ
の4本でした。赤い~マフリャ~オ~

(今週分)
重衡です! よう少年、元気か? 今は「義経」っていうんだっけ? まあ、お前と遊んでた時はおれも少年だったけどな。これから平家はますます大変になっていくわけだけど、そんなときこそ鍛えに鍛えて鍛えまくって、逆境をはねとばさにゃ、と思うわけよ。少年も応援してくれよな! 太鼓も叩くぞ♪ ハアッ!
で、今週の『義経!』くんだけど
・そして首(コウベ)
・神器あっての戦い
・シズカに傷心
・リターン・トゥ・プロローグ
の4本だったな。いま、欲しいんだよね。おれのセリフが・・・・
 

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July 04, 2005

適当掲示板10&Musical Batonほか

先週末より梅雨空がもどってきて、気象庁もほっと一息というとこでしょうか。
当ブログに関してのご意見、ご感想、皆様のオススメ品、ネタ、その他よろずお待ちしております。
さて、ちょくちょくお世話になっているリンク先 淳庵堂/ウェブリブログ(http://jun-an.at.webry.info/)のご当主淳庵さまよりMusical Batonなるものを頂きました。こういう→http://d.hatena.ne.jp/keyword/Musical%20Baton
もののようです。最近流行ってるみたいですね。
ではちゃきちゃきと答えてまいりましょう。

◆コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量
すいません。いきなりわかりません(笑) というか、いまだにどうやって音楽をダウンロードしたらいいのかもわかりません。

◆今聞いている曲
サヴェージ・ガーデンの『アファメーション』というアルバム。そこそこ古いです。“I KNEW I LOVED YOU”というメロメロな曲が好きで、折りにふれよく聴きます。

◆最後に買ったCD
最後に買ったのがどれだかよく思い出せない(笑) 用はそれくらい買ってない、ということです。
たぶん 坂本真綾 「ヘミソフィア」(シングル) か 映画「グラディエ-ター」サントラ

◆よく聞く、または特別な思い入れのある5曲
とりあえずオールディ-ズから
プロコル・ハルム “青い影(SHADE OF PALE)”
あとせっかく淳庵さまから頂いたんで
ビートルズから “Here, There, And Everywhere”
やや古いポップスから
飛鳥涼(現ASKA) “MY MR.LONELY HEART”
最近の曲だと
ポルノグラフティ 「メリッサ」
RIDER CHIPS 「ELEMENTS」
それぞれアニソン・特撮ソングだったりします

◆バトンを渡す5名
ここで持ち逃げいたします。
理由としては「めんどいから」という、ただそれだけで、淳庵さまにはちょっと申しわけなく思う次第です。
まあ「わたしにチョーダイ」という奇特な方がいらっしゃるなら、どうぞさしあげます。


画像がないとなんかさびしいので、「最近見かけた変なもの」を三つ貼りますです。
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                   向かって左:ドライブ中に見かけたラーメン屋。“YOUはSHOCK! 美味で頬が落ちてくる~”かどうかは知らない
中央:製作途中の謎の古代建築物。おそらくマ○キングかと思われる。
右:友人とこの子猫。う~ん! キャワイイ! という感じだけど、よく見ると口周りに鬼瓦権蔵状の模様が入っている。

お粗末様でした。


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July 03, 2005

岡山少年野球団 入学編 あさのあつこ 『バッテリーⅡ』

先日紹介した話題作『バッテリー』の続編。自分のピッチャーとしての才能に強烈な自信を抱く少年、原田巧。引越先の新田で、同じく野球に情熱を燃やす永倉豪と運命的な出会いをした彼は、豪と共に中学校に進学する。いまだ旧弊的な風習が根強い学校や野球部にあって、巧の自我は激しく対立する。果たして巧は己を貫く事ができるのか。

正直前作を読んだ時、それなりに面白い作品だと思ったし、丁寧な筆致に好感も抱きました。しかしなぜこの作品が児童文学のワクを飛び越えて、ここまで熱い支持を受けるのかはよくわかりませんでした。
でも今はわかります。この作品は面白い。そして熱い。扱っている題材は相変わらず地味ですし、破天荒な展開があるわけでもありません(ちなみに今回も試合のシーンはなし)。けれど1度ページを開いたら、最後まで読まずにはいられない。これほどな吸引力は実に久々に感じました。なにがそんなに面白いのか、自分でも理由がよくわかりません。考える間もなく、ぐんぐんと引きずりまわされてる間に終ってしまった、そんな感じです。
冷静に振り返ってみるならば、この作品の魅力は、やはり主人公・原田巧の魅力にほかなりません。この原田少年、あまりとっつきやすいタイプではありません。他者が傷つごうがなんだろうが、自分の意志は絶対に通す。相棒の豪や作者ですら、時として「お前、最低だよ」と言いたくなるほどに、傲慢な少年です。
なぜ作者はそんな可愛げのない少年を主人公にすえたのでしょう。普通なら周囲と触れ合うことで、人間的な成長をとげていく、というのが定石です。けれど巧は二巻終了の時点で、全くそういった成長をしていません。作者はこう言います。「それでも巧を変えることはできなかった。傲慢で稚拙なままでなければ、(略)この物語は放り棄てられた空き缶ほどの価値もなくなる。『バッテリー』を少年の成長物語など言わせるものか。友情物語などに貶めたりしない。絶対にしない。」
わたしたちは皆生きる上で、必ずどこかで妥協をします。自分など、それこそ妥協の連続です。そうやって妥協する事が、変る事が成長なんだと心に言い聞かせて。しかし心のどこかで、変らない事に、わがままと思えてもひとつの思いを貫くことに、強い憧れを抱いているのも事実です。
野球部の先輩や顧問に反抗的な態度を取りつづける巧。形だけでも頭を下げればそれで済むのに、それができない巧。そうしつづけていればやがてホサれるのは目に見えているのに、彼は「おれのこの球なら、やつらは必ずおれを使わざるをえなくなる」ことを信じて疑いません。
私自身、巧のような少年には苛立ちを覚える年齢になっていますし、「世の中そんなに甘いものじゃない」と言いたくもなります。その一方で、巧が力尽き崩れ折れる所など見たくないし、突っ張るなら突っ張りとおせ、と強く思わずにはいられません。
彼がどこまで自分を貫くことができるのか、最後まで見届けてみたいと思います。

もう一度言います。この物語は絶対に面白い(獏さん調)。これから読まれる方は、是非二巻まで一気に読んでみることをおすすめします。

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July 02, 2005

おれの噺を聞いてよ 宮藤官九朗 『タイガー&ドラゴン』後編

というわけで続きです。
自分は今まで古典落語ってえと、それこそ『寿限無』『饅頭怖い』他2,3本しか知りませんでしたが、このドラマのおかげで色々勉強させて頂きました。いやあ、古典落語って、九割方が「ウソをつく話」か「見栄をはる話」なんですねえ。まあ、今回のクドカンのチョイスが、たまたまそんな話ばっかしになっちゃっただけなのかもしんないですけど。人間ってえのは「あとあとまずくなる」のが十分に解っているのに、ついつい見栄をはってしまったり、下手なウソをついてしまったりするものです。そういった人情の機微がまるで理解できない朴念仁の虎児が、一生懸命それを理解しようと悪戦苦闘する、そういう過程が面白かったような気がします。

このドラマのウリのひとつに、前編でも述べた「古典の再現映像」があります。あれ、考えてみると、ひごろ話芸だけで何とか頭に絵を描いてもらうことに腐心している噺家のみなさんは、「それはずるいよ」と思われたかもしれない。けれど、これや『頭山』のアニメなどがきっかけになって、若い世代にも落語が知られるようになるのであれば、落語会にとって決して悪い事ではないと思う。

クドカン×落語というと、金城一紀原作の映画『GO』でも、けっこう重要なところで使われていたりします。この作品でどっちかに興味を持たれたかたは、どうぞそちらもごらんください。

では後半を
#6 明烏
林家亭の出世頭、どん吉がマザコンを卒業する話。どん吉を演じるはモノホンの落語家春風亭昇太師匠。合コンシーンで「あんなレベルの低い人たち相手に・・・・」というのは、噺家ならだれでも一度は通る道なのかもしれない。あと冒頭で「『さびしんぼう』見るんだ」と言っていたのは、渥美としのりへのエールだったのだろうか。ゲストに薬師丸ひろ子 ツボ:再現で「札付きのワル」を演じていた二人、及びそれに翻弄される昇太お坊ちゃま。 評価:竹

#7 猫の皿
ヴィンテージ・ジーンズを巡る争奪戦から、竜二が落語をもう一度やることになる話。彼がなぜ落語をやめたのか、そのわけが語られる。「泣かせる話のほうが笑わせる話よりも上等」と考える連中を批判する竜二。同感だが、クドカンは泣かせもけっこう上手いと思う。この回のモチーフ『猫の皿』の下げには、思わず「そうかーッ!」と膝を売った。ゲストに小日向文世。 ツボ:みごと3位をさらっていく渥美 評価:松

#8 出来心
流星会二代目にして虎児の舎弟・銀次郎が将来の進路について悩む話。この回より少々Vシネ色が濃くなってくる。カヴァーの方の下げはシリーズ中唯一の下ネタ。上手くひねってはあるのだが・・・・・ 古典にもヴァージョン違いがあるというのは、聞いていて興味深かった。ゲストに『パッチギ!』の高岡蒼祐。 ツボ:パンダの真似をする西田敏行 評価:松

#9 粗忽長屋
SPに登場した最低ヤクザ、ヤスオが再登場。演じるは阿部氏と並んでヤバげな名前の北村一輝。この人は本当に器用だ。この回のモチーフは前述の「うそ」「みえ」のどちらも当てはまらないのだけど、壮大なウソ話と考えられなくもない。それにしてもシュール。あと、不覚にも猫背椿の色香にやられた ツボ:なんと言ってもエピソードの最後の最後のオチが秀逸。シリーズ通して一番悶えた。 評価:松

#10 品川心中
この回は最終回の前フリみたいなもんなので、単独で評価するのはチトむずかしい。義理と人情に挟まれて、さびしげに笑う虎児に涙。クライマックスを竜二が担当する唯一の回でもある。メグたんが珍しく「わたしはゲームでもアニメでもないもん!」と自己主張。でもこの人、アニメキャラだよなあ。 ツボ:妄想と現実のギャップに泣き崩れる竜二。 評価:竹

#11 子は鎹
最終回。真のヒロインは西田敏行だったという恐るべき真実が発覚。「泣かせながら笑わせる」という、クドカンの力技が随所で炸裂。モチーフは「笑わせるより泣かせる」話なんだろうけど、下げは面白い。「タイガー、タイガー、じれっタイガー!」その雄たけびよ、永遠に。 ツボ:ピンキャバであられもなく抱擁しあう、どん兵衛と虎児 評価:松

実に6ヶ月ぶりに見たワンクールドラマでした。この調子で行くと、またSPとか劇場版とかあるのでしょうか。
後番組が『ドラゴン桜』っていうのがまたすごい。本作の人気に「『ドラゴン桜』もあやかりタイガー!」ってか。

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