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June 10, 2005

ガンダムと厳しい巨人 富野由悠季 『機動戦士Zガンダム 星を継ぐ者』

これは映画のカテゴリにいれるべきかとも思いましたが、なんとなくアニメの方に分類いたしました。
『ゼータ』が放映されていた時分、わたしはまだ中学生でした。当時わたしはどちらかというと、高橋良輔監督の『蒼き流星SPTレイズナー』の方に入れ込んでいて、ゼータ派の友人と「打○きり」「落○目」とレベルの高い争いを繰り広げておりました。
『ゼータ』の真価がようやくわかり始めたのは、それから十年後くらいの再放送で。わたしは「権力というのは生ものと一緒で、気をつけないと腐る」ということを、この作品と『超人ロック』から学びました。また、放映からそれなりの月日が経っているのにも関わらず、そこに描かれた映像が「新しい」ものに見えたことにも感銘を受けました。
さて、それからさらに10年が経ち、新作『SEED』が人気を博している中作られた劇場版。果たしてその出来は?

まあぶっちゃけ分の悪い戦いなんですよね。テレビシリーズ14話分を、1時間半程度にまとめなきゃならん、という話なんですから。たしかに多少かけあし気味ではございましたが、わたしとしてはそれほど不自然には感じませんでした。むしろよくまとめたな、と。ライラなんか完全に省略されるかと思ったら、ちゃんと出てきたし。
しかしオリジナルと新作を継ぎ合わせた映像の方は、なんとも観ていて不自然でした。同一のキャラなのに顔が違って見えたし、なにより画質に著しい差があって、せっかくの「新しい」という『ゼータ』のイメージが大幅にダウンしてしまいました。
全部新作で作るのは、やはり時間的にも資金的にも苦しかったんでしょうか。富野監督は「全部つくりなおしたらそれでは『ゼータ』ではなくなってしまう」とおっしゃってましたが、そいでも全然構わなかったんですがねえ。後半にいくほど新作部分が多くなり、迫力ある・・・・というよか美しいMS戦が見られます。
話を戻してお話に関して。容量に限界がある中、監督がなんとか残しておきたかったと思える箇所は、主人公カミーユの両親に関する部分。カミ-ユのエキセントリックな性格は、この家庭環境が育んだ、ということを強調したかったのかな? あと少し変更があるものの、シャアに関してメインキャラが(本人含む)色々と論評する場面。シャアの狸っぷりがオリジナルより増しているような気がします。さらにカイとハヤトがシャアに関していかにも、という会話を交わしているところにも、思わずニヤリといたしました。
そんなわけでそこそこ楽しんだのですが、なにか物足りないと思えた点が一点。それはあの『Zガンダム』名物ともいうべき「修正」シーンが修正、というか丸ごとカットされていたこと。「こんな映画・・・・・修正しておけ!!」
・・・・すいません。これが言いたかっただけなんです。ハイ。
はやくも十月には第二部が公開予定。タイトルは『恋人たち』(ガニメデの優しい巨人』じゃないのか?)。
きっとスタッフはまだ30話以上あるオリジナルを、どうまとめるか四苦八苦していることでしょう。でも25話~31話はごく少数のエピソ-ドを除いて、まるまるはしょっちゃっていいんじゃないの? ン? 問題発言?

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Comments

まいどです。
>『蒼き流星SPTレイズナー』
体調不良ながら書きましたのでよろしく。
「なんという清らかで美しい光なんだ・・・」
>「打○きり」「落○目」
それに目をつけたSGAさんあなたの目に
狂いはありません。
>「権力というのは生ものと一緒で、
>気をつけないと腐る」
そうですね。以降のUC版「ガンダム」は
そうした権力者を潰しに行こうとする反乱者VS生きる為堕落した為政者のサイドに付く主人公という図式が成り立ちます。
>新作『SEED』
最近ホントに見てません。録画リストから
浄化!しちゃったし・・・・・。
あちこちの情報によるともはやシンはどうしよも無い状況になりそうですね。予想通りの
展開・・・・・。「機動戦士」の名が泣きます。
そんなとこまで「Z」まねんでいいってば!
もう騙されないぞ!
>分の悪い戦い
見に行った人には申し訳ないのですが
見に行きません。このあとも。
前で見せられる情報量がや映像はいいんだけど正直、スポット的に気に入ってルイ居る回を見るだけだから行きたいという気が・・・。
実は「Z」見てた頃は情報誌にかなり振り回され、結局うんざりした経緯があるので・・・
それ以来アニメ雑誌は一切読まないので。
>全部新作
サンライズはバンダイグループですが
予算回してくれないのかも・・・・。
親会社からの「迫害」もあったりしてトミノ氏
自身「Vガンダム」でひどい目に
あっていますから・・・・・・・・。
「~遍歴」コーナーで「Vガン」やるときに
その辺にも触れようと思います。
>シャアの狸っぷり
最近池○秀○が俺の中でいろあせてゆく~。
>「修正」
無いんだ・・・・。あの「ウォン・リー」には
ムカつくがこれはこれでありなんですよ。
長々と失礼しました、では。

Posted by: まさとし | June 10, 2005 09:41 PM

>気に入ってルイ居る回
気に入ってる回
失礼しました。

Posted by: まさとし | June 10, 2005 09:42 PM

闘病続行中のようですね。お大事に。
>レイズナー
さっそく読ませて頂きました。力入りまくってますね。明日中にはコメントいたします。
「ゲイルせんぱ~い!」
>新作『SEED』
もうしわけありませんがわたしは最近の展開の方が続きがきになります。ストレスもたまりまくりですけど。まぞ?
>見に行きません。このあとも。
そうですね。本当に好きな人だけ観に行けばいいと思いますよ。TSUTAYAいけばすぐオリジナル観られるし。ただ本当に愛しているひとはかえって頭にくるかも。
可変MA萌えの方は必見です。
>ウォン・リー
『ZZ』ではすでにへタレになっておられました。今回出番がなかったのは、なにせ名前がモロ中華系なので、反日デモに気を使ったのやも知れません。

Posted by: SGA屋伍一 | June 10, 2005 10:45 PM

オリジナル(TV版)Zって、当時ファーストガンダムを見ていた人が、続けて「Z」を見て、1~2回見て、「Z」は嫌いっていう男性、男の子、多かったと思います。

ファのお節介具合が鼻につくし(ファーストガンダムに於ける、フラウのアムロに対するかまい方よりも、数段ウザイ女だなぁ~って)、TV版「Z」の第1話で、カミーユが自分の名前が女の名前のようで「カミーユ」と呼ばれるのを嫌がっているのにも関わらず、ファは、しつこく、「カミーユ」「カミーユ」って呼び、そのせいで、ジェリドとカミーユとの諍いに繋がっていくわけでぇ~

あと、「Z」を嫌っていた男どもって、あのヒステリックな、見境なくすぐキレてしまうカミーユを見せ付けられると、鏡に自分を映された気持ちになって、それが不愉快に感じたのだと思います。

いかん、いかん、TV版「Z」の話ばかりになってしまった(^^;

>わたしとしてはそれほど不自然には感じませんでした。

いやー、不自然なところ沢山ありましたよ。
また改めて、その点の話は、自分のブログに書くつもりですが(^^ゞ

>シャアの狸っぷりがオリジナルより増しているような気がします

これも私とは反対意見ですね(^^;

オリジナルのほうが、シャアはしつこく「私はクワトロ・バジーナ」だって、(誰が見たってシャアだとバレバレなのに)しらばっくれていて、
終いには、カミーユに「いい加減にしてください!」って怒られる始末(この部分好きだったのになぁ~)
それにレコアの利用の仕方、オリジナルのほうが、シャアのえげつなさがリアルに描かれていたし。

「Z」名物、「修正してやる!」についてですが、
あれは、20年前なら許されたことであって、今、それを残したまま、映画として興行したらたら、ヤバイです。
特に、現在の日・中・韓の状況下で、「修正してやる行為」を全部カットしてなければ、やっぱり日本は軍国主義に戻ったって叩かれるネタとされるでしょう。

長文にて、失礼いたしましたm(__)m

Posted by: a_bee | June 11, 2005 03:44 PM

こっちの方にもお返事どうもです。
>いやー、不自然なところ沢山ありましたよ
はは。正直言うと懐かしさと新作映像をチェックするのに精一杯で、矛盾点に気がつく余裕がありませんでした。ツッコミの記事お待ちしてます。
ただ、『ゼータ』ってオリジナル自体、不自然なところが多い作品ではないかと(ちょっとニュアンス違うかもしれませんが)。例えば、ファがカミーユと再会した場面。
「おとうさんもおかあさんも連れて行かれて・・・・」 ・・・・いや、むしろ恨むべきはそいつじゃないか?という(笑)

>シャア狸
カミ-ユが両親を失った直後の場面ですか。オリジナルの方は「別にかくしてないよ~ん」て感じだったんですが、今回は本当に「知りません」って感じだったので。
ラストでアムロが「しゃあ!」と叫びますけど、シャアにしてみれば(バカ! でかい声でいうな!)という心境だったのでは。

>修正
そうですね。日本のサブカル作品ってそんな気ないのに、「右翼」と言われることよくありますから。
今思えばあの「修正」って、ハインラインの『宇宙の戦士』からの流れのような気がします。
わたしが中高生のころはウォンさんみたいな教師ごろごろいたけど、今はどうなのかな。

Posted by: SGA屋伍一  | June 11, 2005 10:17 PM

たびたびどうも(^^;

>ツッコミの記事お待ちしてます。

突っ込む前に、劇場版の方の細部を忘れてしまいそうです(^^;

劇場版『機動戦士Zガンダム―星を継ぐ者』のDVDが発売されないと、正しいツッコミは難しいかも(^^;

>『ゼータ』ってオリジナル自体、不自然なところが多い作品ではないかと

不自然というよりも、オリジナル自体が、省略的な表現が多くて分かりづらいのだと思います。(まっ、それが富野監督の表現の特徴なんですけど)

>例えば、ファがカミーユと再会した場面。
「おとうさんもおかあさんも連れて行かれて・・・・」 ・・・・いや、むしろ恨むべきはそいつじゃないか?という(笑)

目先の相手に恨みつらみを言うっていうところに、とてもリアリティを感じます。

>シャア狸
>カミ-ユが両親を失った直後の場面ですか。

いや、違います。

>オリジナルの方は「別にかくしてないよ~ん」て感じだったんですが、今回は本当に「知りません」って感じだったので。

オリジナルの方が、自分が「シャア」ではなく「クワトロ・バジーナ」であることに、深い意味性(強調性)を持たせてるし、それを、周囲も認知しているって感じかな。(なにせ、自分、現在、テレビ埼玉で「Z」の再放送しているのを見ていたのと、とうとう、Zのメモリアルボックス3パッケージ購入してしまったので、オリジナルの方の情報はバッチしの状況下にありますので…(^^;)

私の印象では劇場版のほうが、「別にかくしてないよ~ん。そんなこと別にどうでもいいのさ」って感じを受けました(^^;

なして、同じもの見ていて、こうも印象が違うのでしょうかね(^^;
人間の記憶ってとても曖昧なものだからなんでしょうが。。。

>わたしが中高生のころはウォンさんみたいな教師ごろごろいたけど、今はどうなのかな。

今、教師がそれやったら、その教師すぐに訴えられます。(私の元同級生、学校の教師になってる人多いので、いつも愚痴を聞かされています(^^;)

Posted by: a_bee | June 12, 2005 12:39 AM

レスが遅くなりすいません。
くどいようですが、「シャア狸」について
わたしがそう感じたのは例のカミ-ユが落ち込んでいる場面。オリジナルではいきなり「シャアって知ってる?」と問いかけ(これも不自然つっちゃ不自然ですね)、それに対しレコアが「いいの?」みたいな顔をする。この辺からシャア=クワトロということを知ってる人は知っていて、本人もそれほど隠す気はない、ということがわかるわけです。
ところが今回この話題を切り出したのは別の人だったと思いました(記憶あいまいですが)。で、自分についての意見をあれこれ言われてる中、なんとなくシャアが居心地悪そうだったので、「今回は本当に知らんぷりをきめこんでいるのかな」と思ったわけです。
それにしても「ダイクンの忘れ形見」とか「妹思い」とかどっから広まっていったんだろう・・・ 女性セ○ン?

ご友人お疲れですね。いまの子供達は大変だろうけど、教師はもっともっと大変だと思います。先日も学校がらみで変な事件あったし。

Posted by: SGA屋伍一  | June 14, 2005 09:59 PM

お久し振りです!コメントの方アリガトウございます!

あの、横レスみたいですみません。
カミーユが落ち込んでるシーンで交わされた会話なんですけど、
TV版はクワトロ自身が言い出したのに対して、劇場版はエマさんが言い出してました。
(手元に『ゼータガンダムエース』があるので、調べてみました。)
「…シャア・アズナブル、という人がいましたよね?」
というセリフから話題が始まりました。

ワタシから見るに、別の人からシャアという人物に対して色々言われてる事に別にこだわりがない感じに見えたし、
過去の栄光にそんなに捕われてない感じかな?
…というか、クワトロは知らぬフリをしてシャアであった自分を人に評価される事に関して、余裕を持って楽しんでる部分があるんじゃないかな?
と邪推しながら見ていました^^;
そうでないと、そのあとのレコアさん・カミーユとのやり取りでそこまでの余裕を持った冗談めいた会話が出来ないんじゃないかな?と思うんですけどね…。

>わたしが中高生のころはウォンさんみたいな教師ごろごろいたけど、今はどうなのかな。

ウチも中学・高校生の頃はウォンさんまでは行かないんですけど、怖い教師は確かに数人存在してましたよ。
大抵、体育教師の人がその担当(?)という感じだったのですが
その中の一人の先生が、昔怒って教卓にあった机をブン投げたら生徒の額に当たって血が出た、という事件があって
その教師は校長先生に「体罰はしない」と約束したそうです。
あの当時は「体罰なんてイヤだ!」と思ったりもしたんですけど、今の時代の事を考えると何だか複雑な気分になって考えてます。

Posted by: ハルマキ | June 16, 2005 04:44 AM

ようこそおいでくださいました。こちらの方にもコメントありがとうございます。
>劇場版はエマさんが言い出してました。
記憶違いでなくてよかった。ホッ。『日経エンタティメント』にもありましたが、カミ-ユがレコアさんにもたれかかっているところなどにも、意味があるみたいですね。
>クワトロは知らぬフリをしてシャアであった自分を人に評価される事に関して、余裕を持って楽しんでる部分があるんじゃないかな
なるほど。言われてみるとそんな風にも見えたような気がします。

「シャア・アズナブルという人がいたけれど・・・・」
「ひどい水虫だったそうね」
「ワキガも臭かった聞きます」
「痴漢とセクハラの常習犯で」
「お前らいい加減にしろおおおお!!」
「なんで大尉が怒るんですかw」

>ウォン先生
こういう体罰が許されるか否かってのは地域によってもかなり差があるようです。
学校で体罰をするというのはやはり間違ったことなんでしょうけど、それをしないと教師を舐めて掛かる子供がいるというのも問題ですね。
それはそうと、熱血ウォン先生はやはり今回は出番無しですかね。

Posted by: SGA屋伍一 | June 17, 2005 01:05 PM

>「シャア・アズナブルという人がいたけれど・・・・」

すいません、SGA屋さんが書かれたクワトロ大尉と愉快な仲間達のやり取りしてる会話に受けてしまいました(;´Д`)!

>「痴漢とセクハラの常習犯で」

あり得ます。あり得そうに思ってしまうのは気のせいでしょうか…(つД`)
クワトロさんにわざとカマをかけたエゥーゴ・クルーの勝利ですねw

Posted by: ハルマキ | June 17, 2005 03:08 PM

>あり得ます。あり得そうに思ってしまうのは気のせいでしょうか…(つД`)
そうですね。しかし相手の女性がそれを喜んでしまったら、もうセクハラではないのです。そんなところがシャアという男の憎たらしいところでございます。
ワキガで思い出しましたが、クワトロ大尉のあの服は、無駄毛処理をキチンとしておかないとかなり見苦しいと思います。無駄毛処理をするシャア・・・・ あまり想像したくない。

Posted by: SGA屋伍一  | June 17, 2005 10:14 PM

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