« 適当掲示板9&愛・地球博報告 | Main | コウモリ1年生 フランク・ミラー 『バットマン:イヤーワン』 »

June 19, 2005

うるとらまん次郎物語第二章 『ウルトラマンネクサス』

今回は各所よりのお怒りが怖い気もしますが、思い切っていってみたいと思います。辛うじてまだウルトラシリーズの最新作である『ウルトラマンネクサス』について。
宇宙より飛来し、人を捕食する怪物「スペースビースト」と、人知れず戦いつづける特殊部隊ナイトレーダー。その戦いに、謎の銀色の巨人が加わったところから物語は始まります。
この『ネクサス』では、今までのウルトラには無かった試みが幾つかなされています。ひとつはウルトラマンになる人間(デュナミストと呼ばれる)が中盤で交替する点。もう一つは、今回の主人公はウルトラマンにならないということ。じゃあ誰が主人公なのかといいますと、ナイトレーダーの一隊員である弧門一輝という青年がそれに当たります。我々はこの弧門くんの視点から物語を追い、ウルトラマンとビーストの謎に徐々に近づいていくという手法が取られています。
こうした構成をみても、今回はやや上の年齢層を狙った作品だったようです。しかし『ネクサス』にとって不幸だったのは、ここのとこ定番だった夕方六時という時間帯をガンダムに取られて、朝七時台という、子供と老人しか起きてないような時間に回されてしまったこと。「主人公がウルトラマンにならない」というこの試みは子供達にはマイナスだったらしく、『ネクサス』は視聴率的に苦しい戦いを強いられます。加えて前半はホラー色の強い演出が多く、古き良きウルトラを愛すファンにも完全に嫌われてしまったようです。
でもわたしは断固『ネクサス』を支持いたします。デュナミストである二人の青年姫矢と憐、そして劇場版『ULTRAMAN』の主人公真木にはひとつの共通項があります。それは「命のはかなさを知っている」ということ。今回のウルトラマンは決して強いヒーローではありません。戦うたびに傷つき、血を流し、デュナミストは次第に消耗していきます。そして怪獣との戦闘から周囲を守るため作り出される空間「メタフィ-ルド」は、文字通りウルトラマンの命を削って造られていたことも途中で明らかになります。考えてみればウルトラマンはもともと、ライダーより戦隊ヒーローより限りなく天国に近いヒーローです。郷や北斗は一遍死んでますし、ダンは死んで国に帰りました。ハヤタに至っては二度死んでます。『ネクサス』が優れているのは、「彼らがなぜそこまでして戦うのか」その理由をきっちり描いているところにあります。
戦場カメラマンであった姫矢は、現地で仲良くなった少女が眼前で死んでいくまさにその時、シャッターを切っていたことに深い自責の念を抱いています。その罪を償うために、姫矢は何度も何度も死地へ向かいます。もう一人のデュナミスト、憐は自分の命が限りあるものであることを知り、その命に意味を持たせるために懸命に戦いつづけます。しかし彼らは決して自暴自棄になっているわけではありません。その戦いが未来を切り開くものであることを信じているがゆえに、過酷な責務を自ら背負ったのです。
「代われるものなら代わってやりたい。ただ見ていることしか出来ない」戦いを通じて彼らと意思を通わすようになっていった弧門は、自分の無力さを嘆きます。組織から下される非情な命令も彼を苦しめます。そんな彼に隊長は言います。「見ることしかできないなら、見届けてやれ。最後までしっかりとな」
姫矢と憐、二人の男の戦いをしかと見届けた弧門が、彼らから受け継いだものとは? 『ウルトラマンネクサス』いよいよ次回最終回です。

|

« 適当掲示板9&愛・地球博報告 | Main | コウモリ1年生 フランク・ミラー 『バットマン:イヤーワン』 »

Comments

まいど。
>各所よりのお怒りが
いや~、別に怒っていないよ(汗)。
ただ、俺の感性が合わないだけ・・・。
最近一度、観た日があったけど、消耗しながら戦う主人公はともかく、どういう事情があれビーストの情報を世間から隠蔽しまくる
あの組織はどうも・・・。
やっぱり思い入れ度が低いなあ。すまん。
>夕方六時という時間帯
朝は日曜日なら分があったかもしれないけど、テレ朝は9時まで強力な編成
だからなあ。
>「メタフィ-ルド」
あっ、やっぱり。そういう設定なんだ。
>その戦いが未来を切り開くもの
「それをしんじなければたたかえないよ、
どんなひーろーだって。」
「Mrインクレディブル」観ながら思った・・。
ところで今回の「うるとらまん」はどこから
やって来たんだろう?
ではでは。

Posted by: まさとし | June 19, 2005 at 08:56 PM

>いや~、別に怒っていないよ(汗)。
ホッ(笑)
>やっぱり思い入れ度が低いなあ。すまん。
いやいや、好き嫌いは人それぞれですから。
ただ、ネクサスは色々と不遇な作品だったもので、根が判官びいきの自分としては応援してやりたいんですよ。もう、結果出ちゃってますけど(涙)
>「Mrインクレディブル」
読んでくださってると思いますけど、去年の12月の項にレビューしてあります。ブラッド・バード監督の前作『アイアン・ジャイアント』もどうぞ。ここ数年のマイベスト映画です。
>ところで今回の「うるとらまん」はどこから
やって来たんだろう?
いや、それはやっぱり宇宙からのようですけど・・・・ 帰る場所はないみたい。「うるとらまん」と言えば『スーパードクターK』の作家さんが、マガジンZでえらい濃い目の漫画を始めちゃいました。

Posted by: SGA屋伍一 | June 19, 2005 at 09:57 PM

>『スーパードクターK』
『イブニング』で『K2』読んでます。
この人は何気に『K」でギャグも
書いてたからなあ。
例えば、味覚に関するエピソードでは
『味大王』とその執事『釣目』という人が
出てきた(笑)。
例の連載企画第六回は本稿との連動企画(?)とし(触発企画かもしれない・・・)急遽
「ウルトラマンダイナ」を書きました。
「マクロス」は無期延期で「ヤマトⅢ」を
書くかも。
事後承諾という事ですみません。
あのアニメの主人公の姓と名入れ替えると
「ダイナ」の主人公なんだな。

Posted by: まさとし | June 21, 2005 at 11:31 PM

>この人は何気に『K」でギャグも
書いてたからなあ。
あんまり知らないんですけど、手術に掃除機使ったりとか。
>ダイナ
これも冒頭数話と最終回くらいしかみてないんですけど・・・・ とりあえずそっちの方に行きます。

Posted by: SGA屋伍一  | June 22, 2005 at 07:43 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/4621742

Listed below are links to weblogs that reference うるとらまん次郎物語第二章 『ウルトラマンネクサス』:

« 適当掲示板9&愛・地球博報告 | Main | コウモリ1年生 フランク・ミラー 『バットマン:イヤーワン』 »