五分だけでもいいから 宮藤官九朗 『タイガー&ドラゴン』前編
ここんとこドラマネタばっかしだ・・・・ ま、いっか♪
放映されるや若者たちの間に「落語ブーム」を巻き起こした(マジ?)話題作。
天涯孤独のヤクザ山崎虎児は、借金の取立てに行った先の落語家・林家亭どん兵衛の噺を聞いて、感動。そのまま弟子入りして、「小虎」という名をもらう。どん兵衛には天才と言われながら、ある事がきっかけで落語をやめた竜二という息子がいた。竜二はファッションの世界で成功することを夢見るものの、これがまるで才能がない。話が進むにつれ虎児は実力と人気を身に付け、どん兵衛とも親子のように親密な関係を築いていくが、ヤクザのしがらみもなかなか捨てきれない。一方で竜二は虎児と接していく事で、少しづつ落語への情熱を取り戻していく・・・・・ なんか、こう書くと微妙に別の話のようだ(笑)。
このドラマの特色は『木更津キャッツアイ』でも試された二重構造。毎回ある古典落語にマッチした事件が起き、それと平行して落語の再現映像が流される。そしてクライマックスでは虎児が事件の顛末を、現実と古典を組み合わせたハイブリッド落語として語る、という形式を取っている。この部分になると視聴者は「ああ、一件落着したのね」と安心できるわけだ。それだけに虎児がなかなか噺を始めない第8回、第10回はハラハラした。
「世の中も人も変った」とよく言われるが、こういう構成をとることで、宮藤ちゃんは「人間そうそう変るもんじゃない。今の時代にだって人情はある」ということを訴えたかったのかもしれない。こんな殺伐とした時代だからこそ、なおさらそう言いたかったのかもしれない。
以下は前半のエピソードを簡単に振り返ってみた。単純に「笑えたか」「ひねりが利いてるか」という観点で評価しているので、その点了承していただきたい。
SP 三枚起請
実質の第1回。枕は今ひとつだが、話が飲み込めて行くに従い、段々引き込まれていく。この回はモチーフがとりわけ予備知識がないと解りにくい話なので、説明が非常に丁寧である。ヒロイン・メグミに翻弄される男どものバカっぷりが泣ける。ツボ:ヒロシ扮する伝説のロッカー、デス・キヨシ。評価:竹
#1 芝浜
竜二の店の店員、リサちゃんの恋模様が描かれる。SPと比べ短い分テンポがいい。他では清楚な美少女として描かれる蒼井優が、壊れまくっていくところが楽しい。モチーフの「芝浜」はモ-パッサンの某短編と似ている。ツボ:竜二に「ブス!」と言われてブチ切れるリサ嬢。評価:竹
#2 饅頭怖い
谷中家の長男、どん太の苦悩が描かれる。うーん、自分はこの回がワーストかな。クライマックスがなんか強引だったので。それはともかく阿部サダヲ演じるどん太は登場人物の中で一番突き抜けていて、彼のテレビ出演シーンにはよく笑わせられた。ツボ:抱かれたくない男性ベスト1を見て、「出川抜いたよ・・・」とつぶやくどん太夫人。評価:梅
#3 茶の湯
竜二にビッグチャンスが巡ってくる話。「ヤバイ」「キテル」を連発するいかにもなファッションリーダーも面白いが、この回は何より「茶の湯」の再現映像が楽しい、とゼンザイ先生が言っていた。わたしもそう思います。王道に忠実に行こうとしたら、かえってソッポを向かれてしまって・・・・というのは、クドカン自身の経験によるものか? 虎児のライバル、ジャンプ亭ジャンプが初登場。ツボ:青黄な粉 評価:松
#4 権助提灯
どん兵衛と、虎児の親分の若き日に関するエピソード。コテコテな70年代の再現に爆笑した。なんとなく芥川龍之介の『藪の中』コメディ編という感じがする。「ウン十年したら、おれたちもどっちがやったかわかんなくなっちゃうのかな」「それはねえ!」というやりとりがうけた。ゲストに森下愛子。ツボ:「フランシーヌの場合は」 評価:松
#5 厩火事
前半で最も泣ける話。古田新太&清水ミチコのどつき漫才夫婦を巡る話。さすがに芸達者なお二人だけあって、呼吸がぴったり。モチーフのオチ(下げというべき?)は色んなとこでみかけるけど、これが原点なのか、さらに前があるのか。 ツボ:酒を前に悶える古田。及びラストカット。 評価:竹
後半へ続く

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