南仏怪獣紀行 クリストフ・ガンズ 『ジェヴォーダンの獣』
4年ほど前に劇場公開され、先日深夜に地上波で放映された作品。
革命までまだ幾十年を残しているフランス。南部のジェヴォーダンでは奇怪な獣が出没し、女子供を次々と喰い殺すという、陰惨な事件が頻発する。国王は武人としても優れた博物学者フロンサックをかの地へ派遣。色恋にうつつを抜かしながらも、フロンサックは徐々に「獣」の核心へと迫っていく・・・・
一昔前、フランス映画といったらオシャレで難解な男女のストーリーと、相場が決まっておりました。しかしながらリュック・ベッソンの台頭により、「おフランスだってこんだけバカができるんだぜェ~」という作品が増えてきました。で、こちらもそんなムーブメントを背景にして、産まれでた作品ということができましょう。
とはいえ物語の前半は、たまにワイヤーアクションが入る以外はけっこうシリアスな感じ。なんせこれ一応、実際に起きた事件をもとにして作られているので(マジ?)。加えて、断片的にしか見えない「獣」が、名状し難い恐怖感をあおりたてます。『エイリアン』と同じ手法ですね。
ところが獣の正体が「大体あれかな~」と見当がついてくる段にはいると、バカ・ポルテージがぐんぐん揚がっていきます。クライマックスにはなんとフランスの片田舎で、インディアン武術とアフリカン武術が激突する・・・・ これをバカといわずして、なにをいうのか。なぜそうなるのかは、実際に作品をみればわかります。
因習の深い地方の怪奇を科学力で暴こうとする・・・・・という点ではティム・バートンの『スリーピー・ホロウ』とも似ています。空想好きなオタクのバートンと、どちらかというと体育会系のガンズ監督の作風を見比べてみるのも一興と言えるでしょう。
有名どころの俳優さんとしては、『クリムゾン・リバー』のヴァンサン・カッセルや、『マレーナ』などのモニカ・べルッチらが出演しています。
監督のガンズさんは小池一夫原作の漫画、『クライング・フリーマン』を映画化したくらい日本通の方のようですが、本作ではあまり日本趣味のようなものは見受けられません。でもこの上さらに「漂流したサムライ」とか出てきたら、爆笑コメディになってしまいますから。とはいえちょっとそんなのも観てみたい気もするSGAでございました。
Comments
か、書きたいですが次の機会に。
この時期ジェボーダンの獣、ヴィドッグ、
フロム・ヘルと似たような作品が
上映されましたね。
全部おもしろいですが。
Posted by: 犬塚志乃 | May 15, 2005 10:16 PM
じ、じぶんもぼちぼち体力が尽きて参りました・・・・
ヴィドックは是非観たい、と思いながらまだ観られてません。いつか必ず。わかりやすいおフランス時代劇というと、みなもと先生も漫画化された『シラノ・ド・ベルジュラック』なんかもようございました。
Posted by: SGA屋伍一 | May 15, 2005 10:26 PM