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May 25, 2005

はみだし刑事英国系 イアン・ランキン 『紐と十字架』

・・・・というタイトルにしてみたものの、スコットランドは一応英国でいいんだろうか。
当ブログの常連様、高野正宗様絶賛のイアン・ランキンのデビュー作にして、リーバス警部シリーズ第1作です。
スコットランドはエジンバラで起きた連続少女絞殺事件。時を同じくして、捜査を行うリーバス部長刑事の自宅には奇妙なメッセージの付いた紐や十字架が送られつづけていた。過去のトラウマをひきずりつつ、懸命に犯人を追うリーバス。無差別的犯行と思えたその裏に隠された真相が明かされたとき、リーバスはかつて垣間見た地獄を再び見せ付けられる。
たぶんハードボイルドの範疇に入る物語。深く悩み苦しむシーンの多い主人公像は、マーロウやスペードにくらべていささか「弱い」印象をぬぐえませんが、クライマックスにおいて独り宿敵に立ち向う彼の姿は紛れもなくハードボイルドです(装丁イラストがまたかっこいい)。
ただ、作者は特にこのジャンル、と決めて書いたわけではなく、現代版ジキルとハイドを想定していたそうです。この作品の場合一人の体に二つの人格が、というわけではなく、同じ境遇にありながら、道を違えてしまったもう一人の自分との相克が描かれます。こないだ別項で話題に出た『ゲド戦記 影との戦い』とも似ているかもしれません。この時点では続編を考えずに書かれたせいか、まだリーバスのディティールが薄いように感じられます。このあと続編を重ねていくに従い、さらに細かい肉付けがなされていくみたいです。
あからさまな手がかりが提示されているのにそれに気がつかないリーバスに、「ちょっとこの人鈍くね?」と思うところもありますが、それにはもっともな理由があるので、これから手にとる方はその点を思いにとどめておいてください。
印象に残った点を二つ。
あることでダメージを負った主人公は、聖書を読んで慰めをえようとする場面があります。決して道徳的とはいえない彼ですらこうなんだから、やはり向こうの人にとって聖書とは特別な本なんだなあ、と改めて思いました。
もう一つは男兄弟の描写の上手さ。お互い気になる存在なんだけど、久しぶりに会ってもいい話題も見つからず、ただグラスだけを重ねていくような。そんなきまずい空気がよくかけてました。先日GWの際弟が実家に戻ってきていたんですが、ちょうどこんな感じでした(笑)。どこの国でもおんなじなのねー。
このリーバス警部シリーズ、わが国では最初に第八作『黒と青』が訳され、次いで第7作『血の流れるままに』が刊行されました(順番メチャクチャ)。で、どうもこの辺のほうが出来がいいみたいなんです。とはいえ『紐と十字架』もなかなか良かったので、二作目以降が刊行されるならば順次付き合っていきたいと思っています。

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Comments

ああああああああっ。
レビュー、書き上げてあったのに、UPしてなかったらタッチの差で…!
やっぱりすがやん様のレビューはよいですな~。
兄弟関係、いいですよね。
私の方のレビューは、他の作品も読んでちょっと大上段になってますので、こっちのレビューの方が親切でよいですよ。
まあ「濃く」なるのは以後の作品ですが、私としては、シリーズ化するつもりがなかったが故の親切設計と、シリーズ化するしかないじゃんな部分が複雑で、読んでいてわきわきしちゃいました(笑)
トラックバックさせて頂きました。m(__)m

Posted by: 高野正宗 | May 26, 2005 at 07:18 PM

毎度ありがとうございます。こちらからもトラックバックしてみたんですが、うまくいってないかな? また後でトライしてみます。
高野さまの気合いの入ったレビューに比べれば、あっしのなんてお目汚しですがねえ。
>兄弟関係
することもないので、キャッチボールなぞしていたのですが、やはり会話がはずまない。
「カーブ曲がった?」
「微妙」
不毛だ(笑)。
子連れ狼が原案の『ロード・トゥ・パーディション』という映画があります。この映画でもぶっきらぼうな長男と愛想のいい弟が出てきます。長男とうまくコミュニケーションの取れなかった父親は「お前はおれに似てて扱いづらかった」と言います。これにもまたウンウンとうなづいてしまったのでした。

Posted by: SGA屋伍一  | May 27, 2005 at 08:52 PM

TB有難うございます。
あああっ!いいじゃないすか、やることがキャッチボールって!(涙)
そういえば、大昔、私が大学、弟が中学受験の直前の冬、二人で公園に行ってキャッチボールやチャンバラ(手製の木刀と布団叩き棒になっていた竹刀)とか、やったなあ…(どんな姉だ)
妹とは、ケンカばっかりしてました。同性で年が近いとどうしても。弟とは年が離れていたので熱愛でしたが。
それでも、結局年取っても仲良くやってたりするのは同性のきょうだいなんですよね~。
ハワイも、というか初めて、妹と2人だけで旅行をしたり。
あと、カラオケ!家族カラオケって、空気読まなくていいから勝手に好きな歌だけ歌ってられるから楽ですよ!おすすめ。
>俺に似てて
ファラミアとデネソール父ちゃんもそうみたいですね。男家族って難しい。

Posted by: 高野正宗 | May 27, 2005 at 11:30 PM

実はウチの弟も、なついているのは姉ちゃんの方だったりします。
というかヤツは、わたしが幼少時よく小突き回していたことを未だに根に持っているようなフシがあります(笑)。

高野さまんちはカラオケで家族団欒されるんですね。ウチは麻雀。ただし自分はいまだに点の数え方がよくわかりません。いつまでもジャラジャラやっていると、「いい加減寝ろやあ!」と母に怒られます。

Posted by: SGA屋伍一  | May 28, 2005 at 05:41 PM

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 予定を変更して、この作品から。19日木曜日に読了。 イアン・ランキン 延原泰子訳『紐と十字架』(ハヤカワミステリ文庫)  おほほー、やっと読みましてよーv  SGA851様、読みやすかった、とのことでしたが、レビューお待ちしてましてよv  …なんて書いてたら!!今..... [Read More]

Tracked on May 26, 2005 at 07:24 PM

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