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March 18, 2005

スーパーワーカーZ 真保裕一 『奇跡の人』 完結編

実は昨日ゼンザイ先生とお昼をご一緒しました。例の記事にわずかながらでも反応があったことを、大変よろこんでおいででした。そんな彼の最近の一押しは『ダ・ヴィンチ コード』です。

もうあんまり真保先生の某作品とは関係ないような気もしますが、完結編行きたいと思います。
医療の最前線で日夜戦いつづけるスーパーケースワーカー、ゼンザイ。彼が今回担当する事になったのは、自分に関する全ての記憶をなくしてしまった男。彼の悲しみに心を動かされたゼンザイは、全霊をかけてその記憶を取り戻すことを誓う・・・というのが前回までのお話。

さて、数限りないデータベースにアクセスした結果、とうとうゼンザイは患者の戸籍を割り出す事に成功した。すると彼はその病院の近所ではなく、そこから電車で3時間ほどかかる都市に住んでいることが判明した。彼はもともと脳系統に病気をもっていて、今回の記憶喪失・・・じゃなくて全生活史健忘(ああ、ややこし)もそれが原因だったらしい。
住み慣れたところで療養した方が記憶も戻るかもしれない。そう考えたゼンザイは、彼が以前通院していた病院に転院手続きをとろうとした。しかし。
以前担当した医師が彼の転院を拒否した。なんでも以前彼とトラブった折り、「ぶっ殺す」と言われたかどうかはわからないが、かなりな剣幕で脅されたらしい。
目が点になるゼンザイ。まさかあの彼が・・・・ だが調べれば調べるほど、その証言を裏付けるような事実が明らかになっていく。近所では相当の乱暴者として知られていたようだ。
妻子がいたこともわかった。当然彼は対面を熱望した。ところが、所在がわからない。ゼンザイは迷いつつも娘の元担任にコンタクトを取ってみた。するとその教師は妻子の居場所を教えてくれたが、彼には知らせないで欲しいと言う。「相当、旦那さんが怖いみたいで」逃げるように転居していったから、というのがその理由だ。
ゼンザイは調査の結果を隠すところは隠して、患者に告げた。「どうして妻や子は、ぼくを探そうとしてくれないんだろう」泣きじゃくる彼。その様子はとても演技とは思えない。伝え聞く様子とはまるで別人で、ゼンザイの目には本当に「純真な少年」にしか見えなかった。いっそのことこのまま記憶が戻らない方がいいのでは・・・・・ ゼンザイは思った。話を聞いていて、わたしも本当にそう思った。

結局、ゼンザイは地元で療養させた方がいいという結論に達し、先の病院とはまた違う所に手続きをとった。県境を二つ三つ越えて、ゼンザイは彼をそこまで送っていった。涙、涙の別れになるかと思いきや、ゼンザイは正直「ようやく肩の荷が下りた」という気持ちだったそうだ。患者の方も案外サバサバしていたとのこと。

さて、この話にはまだ続きがある。ゼンザイとわかれてからしばらく経ったある日、なんと例の彼、めでたいことに、記憶をある程度取り戻した・・・・・・らしい。が、そのかわり今度はいい子ちゃんだったころの記憶を全部なくしてしまったという。もはやゼンザイのことも毛ほども覚えていないそうだ。今はすっかり元の凶暴な性格に戻り、元気に病院で暴れているとのこと。・・・・・・本当、開いた口が塞がらないとはこのことだ。
「どうする? 会いにいってやる?」とゼンザイに聞くと
「いや、もういい」 疲れきった声で答えた。無理もない。

一つの戦いは終った。だが医療という名の戦場は、彼に休息を許さない。
戦え、ゼンザイ! 負けるな、ゼンザイ!
にっくき事務長をぶち倒すその日まで!
ゼンザイ先生についてもっと知りたいという方は、どうぞコメントをお寄せください。コーナーできるかもしれません。
ひとつも来ないほうに(荒野の)1ドル銀貨。

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Comments

…治ると、忘れていた頃の記憶がなくなるって、本当なんですね。人間の脳って、不思議です。
でも、いい方に統一されませんかね、人間って(汗)
二重人格とかでも、結局最後は第三の人格が現れて終わるっていうし。
ということで、コメントが来る方に1ゴールド。

Posted by: 高野正宗 | March 18, 2005 at 11:07 PM

↑これは一票に入らない、という解釈でいいのでしょうか(笑)。

>人間の脳って不思議です。
ある学者さんは「宇宙でもっとも複雑な構造物」と評していました。数%しか使っていないというのは、本当にもったいない話です。
それにしても上の話は、そんなマンガみたいな話が実際にあるんだな~と、感嘆するばかりでした。

Posted by: SGA屋伍一 | March 19, 2005 at 08:03 AM

こんにちは~。
いやー、一票にカウントですよ♪
>数%
そうか!確か「全部使ってる」という設定なのが「ないとへっど」でしたね。これ、見たかったのですが、当時ビデオが大学生には手の出る値段じゃなかったなあ。
シックスセンスとか、さらにセブンセンシズ(古いなあ)とかありますが、本当に全部使えたら人間には十能(脳)ぐらいあるんではないかしら…
いやー本当に。脳科学の観点からあの人物を描いた『ロシア軍艦』は傑作でした。
人間って本当に記憶次第なんですね。人格も。忘れてしまえば悪い人も本当の純粋な人になっちゃうわけで、戻れば元の悪い?人。心ってどこにあるんでしょう。…教育とかしつけとかは大事ですね(そこか)

Posted by: 高野正宗 | March 19, 2005 at 01:41 PM

>人間って本当に記憶次第
そうですね。DNAで全て決められるような発言を時折目にしますけど、人間を形成するのは遺伝と記憶(環境)の両輪ですから。

ゼンザイ先生、最近はちょくちょく「興味と妄想」も見ているそうですよ。「この人はいっぱい本読んでるねー」とのこと。

Posted by: SGA屋伍一  | March 19, 2005 at 09:43 PM

>Z先生
やべ!まじっすか!(荷物をまとめる音)

Posted by: 高野正宗 | March 19, 2005 at 11:45 PM

高野さーん、なんか落としましたよー
・・・行っちゃった

Posted by: SGA屋伍一  | March 20, 2005 at 09:22 PM

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